店舗の集客施策として、メルマガ配信を行っている方は多いでしょう。メルマガは低コストで運用でき、きちんと活用できれば来店促進・リピート率の向上につながる、費用対効果の高い集客ツールです。
しかし現実には、メルマガできちんと効果が出せていない、あるいは効果が出ているか分からない、と悩んでいるメルマガ担当者は多く見受けられます。
そこで本記事では、店舗メルマガを効果的に運用するためのポイントを10個ご紹介します。メルマガを安心安全に運用するために必ず守るべきルールも合わせて解説するため、メルマガ初心者の方はぜひ最後まで読んでみてください。
読者獲得編:店舗メルマガの運用ポイント
まずは店舗メルマガの読者を増やすポイントから解説します。どんなに良いメルマガ配信でも、読む人がいなければ成果につながりません。今回紹介する店舗メルマガの読者を増やすポイントは下記の5つです。
- 目につく箇所や接客時などに購読を誘導する
- メルマガ登録によるインセンティブを明示する
- メルマガの概要を伝える
- 登録ハードルはできる限り低くする
- お客様の属性情報も同時に取得する
目につく箇所や接客時などに購読を誘導する
集客を増やす基本は人の目がつくところで宣伝することですが、これはメルマガの読者を増やす上でも同様です。飲食店であれば卓上やメニュー内、そしてトイレなど、お客様が一息つきそうな場所にメルマガ購読のQRコードを設置するとよいでしょう。
また、服や雑貨の店舗であれば接客時や会計時など、お客様が接するタイミングでスタッフからおすすめするのも効果的です。
メルマガ登録によるインセンティブを明示する
お客様のメルマガ購読に対する意欲を高めるのにもっとも簡単な方法は、メルマガ購読によって何かしらのインセンティブ(特典など)を提示することです。例えばその場で使えるクーポンや、粗品プレゼントなどです。
「そのようなことをするとインセンティブ目当ての登録が増えてしまうのでは?」と思うかもしれませんが、確かにそれは否めません。
しかしながら、お客様は誰でも基本的に「メルマガは購読したくない」と考えていることも重要です。どんなにあなたのお店や商品が好きでも、メルマガというのは売込みばかりで参考にならないと思い込んでいるお客様は大勢います。
もし実際にはあなたのメルマガが価値の高い良質な情報を提供しているのであれば、メルマガを購読しないことはお客様にとって大きな損失といえるでしょう。
とはいえ、インセンティブ目当ての登録を可能な限り抑える工夫はもちろん意味があります。インセンティブの内容を、あなたの店舗のファンだからこそ喜びそうなものにすることで、有効な購読者の割合をすこしでも上げましょう。
メルマガの概要を伝える
どんなにインセンティブに魅力的でも、中身の分からないメルマガは登録したくないと思うお客様は多いです。メルマガ購読の意欲を高めるためには、そもそも送ろうとしているメルマガどのようなものか説明するようにしましょう。
よく見受けられるのが、「店舗からお得な情報を配信します」といった説明です。この程度では具体性が低く、「メルマガは別にいいや」とお客様に思われてしまいます。
「読者限定クーポンを定期配布します」「スタッフ直伝の商品活用法を配信中」など、一文添えるだけでもよいので、店舗メルマガにどのような魅力があるのかきちんと伝えましょう。
登録ハードルはできる限り低くする
せっかくメルマガに価値を感じてもらえても、購読手続きが面倒だとお客様の意欲は削がれます。メルマガの購読者を増やすには、購読の手順が可能な限り楽であることが重要なのです。
例えばQRコードだけで購読が可能な仕組みにする、購読フォームの項目は必要最低限に収めるなどです。また「1分で完了」など、登録が手早く行えることが伝わるメッセージを盛り込むのも効果的となります。
お客様の属性情報も同時に取得する
これは読者数を増やすというより配信時に役立つポイントなのですが、メルマガ購読をしてもらう際、同時に性別や年齢といった属性情報も取得しましょう。そして、取得した情報を顧客リストに登録することで簡単に引用できるようにしてください。
そうすることで、お客様の属性によって配信を送り分けることができ、より効果的なメルマガ配信が実現できます。
配信編:店舗メルマガの運用ポイント
ここからは店舗メルマガを実際に配信する際に押さえておきたいポイントを、以下の通り5つ解説します。
- 定期的に配信する
- セグメント配信を活用する
- 件名作成時は「この内容で開封してもらえるか」を意識する
- メルマガが来店に直接つながったことを計測できるようにする
- 配信結果を検証する
定期的に配信する
メルマガ運用の基本中の基本は定期的に配信することです。不定期や2, 3か月に一回といったペースだとメルマガの存在が忘れられてしまい、メルマガによる来店やリピート購入を促進できません。
おすすめしたいのは週に1通以上配信することです。感覚的に「多すぎるのでは?」と思われるかもしれませんが、多くの企業はメルマガを週に1通以上、ときには一日1通以上配信しているケースもあります。
つまり週に1通以上は送らないと、あなたのメルマガが他のメルマガに埋もれてしまうわけです。それにあなたの店舗が本当に好きで、なおかつメルマガの内容に価値を感じているお客様なら、配信が多いことはむしろ喜ばしいことでしょう。
また、「配信が多いと店舗が嫌いになってしまうのでは?」という心配は、ほぼ必要ありません。なぜならメルマガは簡単に購読解除できるためです。
逆にいえば、簡単に購読解除できない仕組みになっていると、それこそ嫌われてしまう可能性があります。購読解除の点は後ほど詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
セグメント配信を活用する
セグメント配信(ターゲット配信)とは、お客様の属性や行動に応じてメルマガの内容を最適化することを指します。
ありがちな例としては、女性にはバレンタインのキャンペーンを、男性にはホワイトデーのキャンペーンを案内するといった具合です。誕生日クーポンのメルマガなどもセグメント配信の一種ですね。
参考:セグメント配信とは?メールマーケティングの基礎知識をわかりやすく解説
メルマガは基本的にすべてのお客様に対して同一の内容を配信しますが、要所でセグメント配信を用いれば集客力は格段に向上します。可能であれば、セグメント配信はぜひ実践しましょう。
件名作成時は「この内容で開封してもらえるか」を意識する
メルマガの件名は開封率の大きな影響を与える大切な要素です。短文だからといって雑に済ませることはせず、「この内容で開封してもらえるだろうか?」ということを意識して作成しましょう。
効果的な件名を作る際のポイントはターゲットの意識です。ターゲットを意識した文章にすることで、「これは自分に関係のあるメールだ」とお客様に思われやすくなります。
「○○様にぴったりなおすすめの商品を紹介します」「△△のお買い上げありがとうございます」など、お客様が持つ属性や取った行動を文中に含めて開封されやすい件名作りを目指しましょう。
その他、件名作りのポイントについては下記E-Bookでも詳しく解説しています。無料でダウンロードできるため、メルマガ作成のお供としてぜひお役立てください。
E-Bookはこちら:魅力が伝わるメルマガタイトルの付け方ブック
メルマガが来店に直接つながったことを計測できるようにする
メルマガを集客に活用するなら、メルマガが実際に来店につながったことが分かる仕組みを作りましょう。そうでないと改善の方向性が分かりませんし、運用のモチベーションが低下してしまいます。
メルマガからの来店を計測するには、メルマガ専用のクーポンコードを発行するのが最も簡単かつ確実な方法です。
また、メルマガが実際に読まれているかを確かめる方法としては、本文中にクリック計測を行うための専用URLを設置するという方法があります。こちらの方法であれば来店の計測にはならずとも、メルマガにどれだけ反応があるかを推し量ることが可能です。また、コストもかかりません。
配信結果を検証する
配信を漫然と垂れ流すだけでは、メルマガを活用できるとはいえません。メルマガの効果を十分得るには、各配信結果を検証し、分析・改善につなげることが肝心です。逆にいうと、PDCAさえきちんと回せれば、メルマガは集客の要ともいえるほど強力な媒体になります。
配信結果を検証する際はクリック率、開封率、反応率の3つを中心にチェックしましょう。
- クリック率
届いたメルマガがどのくらいクリックされたかを示す数値(クリック数 ÷ 到達数)。メルマガのパフォーマンスを総合的に評価できる - 開封率
届いたメルマガがどのくらい開封されたかを示す数値(開封数 ÷ 到達数)。開封率が低い場合は件名や配信タイミングの改善につなげる - 反応率
開封されたメルマガがどのくらいクリックされたかを示す数値(クリック数 ÷開封数)。反応率が低い場合は本文の内容やコンテンツそのものの改善につなげる
なお、業界ごとのメルマガの平均パフォーマンスについては以下の記事でまとめてあります。各業界のメルマガサンプルも多数掲載しているため、メルマガ作りの参考としてもぜひ役立ててください。
参考:【2022年版】業界別のメルマガ活用事例を豊富なサンプル付きでご紹介!
店舗メルマガ運用時の注意点
ここまでは集客力の向上という観点に絞ってメルマガ運用について解説しましたが、実はそれ以前に、メルマガには最低限まもるべきルールやセキュリティ対策などが存在します。
メルマガを集客に活用することばかり考えては、ルールがおろそかになってしまう可能性があるため注意しましょう。さて、ここからメルマガを運用するにあたっての注意点を3つ解説します。
- 購読前にメルマガ配信の同意を取る(オプトイン)
- セキュリティ対策をきちんと行う
- 購読解除リンクを各配信に必ず設置する(オプトアウト)
購読前にメルマガ配信の同意を取る(オプトイン)
メルマガを配信するには、事前にユーザーに対して配信してもよいか同意を取る必要があります。また、同意を取ったことは何らかの形で記録に残っている必要があります。これは特定電子メール法という法律で厳格に定められているルールです。
参考:「特定電子メール法」とは?違法にならないためのポイントを理解しましょう
特定電子メール法に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人の場合には行為者に前述の罰則を科すのに加えて法人に3000万円以下の罰金が科されます。メルマガ運用時は十分注意しましょう。
メルマガ配信の同意を取るもっとも基本的な方法は、QRコードを読み込ませた先のページ(メルマガ登録フォーム)上で「お得な情報をメールで受け取りますか?」のような項目にチェックを入れてもらうことです。また、紙のアンケートであれば、メルマガ購読のチェックボックスにチェックを入れてもらえば同意したと見なせます。
購読解除リンクを各配信に必ず設置する(オプトアウト)
こちらも特定電子メール法で定められていることですが、各メルマガには必ず、購読解除の方法と購読解除URL(もしくはメールアドレス)が記載されている必要があります。
参考:メルマガ配信で気をつけたい「オプトアウト」とは?オプトアウトの注意点を分かりやすく解説します
メルマガを読んでも購読解除の方法が分からない、また購読解除したはずなのにメルマガが止まらないといったことになると、ユーザーは店舗のメルマガを「迷惑メール報告」してしまいます。
迷惑メール報告を多数受けるとメルマガがスパム判定されやすくなり、到達率が悪化してしまうため、十分注意しましょう。
セキュリティ対策をきちんと行う
メールにおけるセキュリティ対策とは、主に「なりすまし対策」を指します。なりすまし対策が十分でないと、ユーザーの画面上で「このメールは安全ではない可能性がある」といった旨の表示がされ、ユーザーが安心してメルマガを受け取れないため注意しましょう。
なりすましメール対策の技術的な対策としてはSPF、DKIM、DMARCの3種類があります。これらの対策はどれか一つだけではなく、すべて行うようにしてください。
参考:SPFレコードとは??5分でわかるspfレコードの設定方法
また、最新の手法に「BIMI」というなりすまし対策もありますが、こちらは先に紹介した3つの方法と比較して対策に時間がかかるため、余裕があるときに済ませておきましょう。
安全なメルマガ運用にはメール配信システムが必須!
店舗のメルマガを成功させるためのポイントを解説してきましたが、実はそうしたポイントよりも、メルマガを配信する上で最低限大事なことがあります。それは情報漏洩リスクへの対策です。
あなたはメルマガをどのように配信していますか? もしGmailやOutlookなどのBCCを使って配信するような方法だとしたら、それは赤信号です。BCCを使ったメルマガの一斉配信は、ささいな設定ミスでお客様の情報が大多数に漏洩する危険性があります。
参考:プロが教える!一斉メール配信にBCCをお勧めしない理由と、正しいBCCの使い方
直近だと2021年11月にデジタル庁がBCCとCCを取り違えてメール配信をしてしまい、約400件のメールアドレスが流出したという事件が起こりました。このようなことが起こると店舗の信用に影響が出るだけでなく、最悪の場合は訴訟問題に発展する可能性もあります。
情報漏洩リスクを根本から防ぐには、メーラーではなくメール配信システムを使ってメルマガを配信しましょう。メール配信システムを使ったメルマガ配信はBCCやTOといった概念がなく、メールアドレスのコピペを間違うという人的ミスが絶対に起こらない仕組みになっています。
また、メール配信システムは文字通りメール配信に特化したツールなため、メルマガを効果的に運用するための様々な機能を備えています。
- セグメント配信機能
- 効果測定ツール
- HTMLメールエディタ
- なりすまし対策の支援機能
メール配信システムの導入には費用がかかりますが、サービスによって機能差があるため、価格には幅があります。店舗メルマガであれば必要な機能は絞られるため比較的、低価格で導入が可能でしょう。
店舗メルマガの運用でおすすめなのが、月額4,000円からスタートできるサービス「blastmail(ブラストメール)」です。blastmailは14年連続で導入数No.1の実績があり、大企業から小規模な店舗まで幅広い導入事例があります。
blastmailは現在7日間の無料トライアルを実施しているため、興味があれば今すぐ申し込んで、使い勝手を確かめてみましょう。
店舗メルマガのポイントまとめ
最後に、今回紹介した店舗メルマガの運用ポイント10点をまとめておきます。
- 飲食店であれば卓上、ショップであれば接客時など、目につく箇所や接客時などに購読の導線を敷く
- メルマガ登録によるインセンティブを明示し、お客様のモチベーションを高める
- メルマガの概要を説明し、メルマガ自体にどのような魅力があるか伝える
- QRコード読み込みだけで登録できるようにする、項目数を最小限にするなど、手早く購読できるようにする
- メルマガのパーソナライズを見据え、性別や生年月日といったお客様の属性情報も同時に取得する
- まずは週に一通以上、定期的に配信してみる
- セグメント配信を活用してコンテンツのパーソナライズを行う
- 件名作成時はターゲット像を意識し、「この内容で開封してもらえるかどうか」を意識する
- メルマガ専用のクーポンコードを発行し、来店に直接つながったことを計測できるようにする
- クリック率や開封率といった日々の配信結果をチェックし、改善につなげる
10個だけとはいえ、これらのポイントを一気に実践するのは難しいはずです。そのため、まずはできるところから、あるいは不足しているところから順番に実践していきましょう。
また、メルマガ運用では「特定電子メール法」と呼ばれるルールを守ることや、なりすまし対策を十分行うことも重要です。これらは集客のポイントというより、安心安全なメルマガ配信のために最低限注意すべきこととして押さえておきましょう。