
メルマガを配信する上で重要な「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 (以下、特定電子メール法) 」はご存知ですか?
メールマーケティングを行う上で、避けて通れないのが「特定電子メール法(迷惑メール防止法)」です。名前は聞いたことがあっても、具体的なルールや違反した場合の重いペナルティ(最大3,000万円以下の罰金など)について正確に理解している担当者は意外と多くありません。
知らず知らずのうちに法律違反を犯してしまうと、社会的信用の失墜や最悪の場合は刑事罰の対象となるリスクがあります。しかし、恐れる必要はありません。守るべきルールは実は非常にシンプルです。
本記事では、特定電子メール法の概要からメルマガ配信で絶対に守るべき「4つの要件(オプトイン・オプトアウト・表示義務など)」、そしてすぐに使える「表示義務のテンプレート」まで、専門用語を噛み砕いてわかりやすく解説します。
目次
特定電子メール法とは
まずは、「特定電子メール法」の概要をご紹介します。
特定電子メール法とは、短時間のうちに無差別かつ大量に送信される広告や宣伝メール、いわゆる「迷惑メール」を規制し、良好なインターネット環境を保つために2002年に施行された法律です。2008年に法改正が行われ、後述するオプトイン方式の導入や罰則の強化も図られています。
詳しい内容を解説する前に、「特定電子メール」にはどのようなメールが該当するのかを確認していきましょう。
特定電子メールの定義は、
「営利を目的とする団体および営業を営む場合における個人」である送信者が「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信する電子メール」
※「特定電子メールの送信の適正化に関する法律 (定義) 第二条の二」より引用
とされており、総務省のガイドラインには、「電子メールの内容が営業上のサービス・商品等に関する情報を広告または宣伝しようとするもの」である場合には、明らかに特定電子メールに当てはまると記されています。
また、次のような電子メールについても、広告または宣伝を行うための手段として送信されているものと判断され、特定電子メールに該当するとされています。
- 営業上のサービス・商品等に関する情報を広告又は宣伝しようとするウェブサイトへ誘導することがその送信目的に含まれる電子メール
- SNS (Social Network Service) への招待や懸賞当選の通知、友達からのメールや会員サイトでの他の会員からの連絡などを装って営業目的のWebサイトへ誘導しようとする電子メール
一方で、次のような電子メールについては、広告または宣伝のための手段として送信されたものとは考えられず、特定電子メールには当てはまらないものもあります。
- 取引上の条件を案内する事務連絡や、料金請求のお知らせなど取引関係にかかる通知であって、広告または宣伝の内容を含まず、広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしない電子メール
- 単なる時候の挨拶であって、広告や宣伝の内容を含まず広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしないメール
つまり、「広告または宣伝」、それに関わるウェブサイトへの誘導の有無で「特定電子メール」に該当するかしないかが分けられるということです。メールマガジンの場合には、ほとんどが「広告又は宣伝」をする内容が含まれるため、「特定電子メール」に該当します。
メルマガを送る際には、正しく特定電子メール法を理解して運用していきましょう。
特定電子メール法の要点「罰則」
次に、特定電子メール法で知っておきたいポイントを解説します。まずは、特定電子メール法を違反した場合に与えられる「罰則」についてです。
特定電子メール法では、後述する「オプトイン方式」と「送信者の表示義務」を守らなかった場合に加え、「送信者情報を偽った電子メールの送信 」や「架空電子メールアドレスあての送信」を行った場合にも罰則の対象となります。
罰則は、最高で「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、法人の場合には「行為者を罰する他、法人が3000万円以下の罰金を支払う」と定められています。さらに違反者は、企業名やその詳細が総務省のWebサイトに掲載されてしまいます。
そうなると、企業にとっては信頼損失に繋がりかねない事態ですので、絶対に避けたいところですね。
特定電子メール法の要点「オプトイン方式」とは
二つ目のポイントは、「オプトイン方式」です。オプトインとは、特定電子メールの送信について、受信者から事前に同意を得ることです。
つまり、同意を得ていない相手に対して特定電子メールを送信してはいけないということです。

この「オプトイン」の反対の意味を表す「オプトアウト」も同時に覚えておきましょう。「オプトアウト」とは、受信者側が特定電子メールを「もう入りませんよ、送らないでください」と受信を拒否する形になります。

このオプトアウトの通知が来た場合、送信者は原則メールを送ることはできません。メルマガではこれを購読解除ということもあります。また、送信者側にはオプトアウトをするための導線設置が義務付けられているため、オプトアウトの設置についても後ほど解説していきます。
ちなみに、オプトイン、オプトアウトをせずにメルマガ配信を行うと、違反となるだけでなく、メールキャリアやプロパイダからスパム、迷惑メールとみなされてしまう場合もあるため、注意しましょう。
オプトインの取得方法と注意点
続いて、オプトインの取得方法と注意点を解説していきます。オプトインは、ただ取得するだけでなく「取得を証する記録」を保存しなければなりません。
また、特定電子メールの中でもオプトインが必要のない場合があるため、それぞれをご説明します。
オプトインを得るには
オプトインの取得は、HPやWeb広告を見て興味を持った顧客が、資料請求や登録の際にメルマガ配信登録を行う形が一般的です。

他にも、個人情報の取り扱いに関する同意文の中にオプトインの取得を含めるという方法などがあります。

この場合は、「ご記入いただいた個人情報は、当社が扱う商品及びサービスの情報提供に利用します」といった一文や、画像のように利用目的の項目に「弊社からの情報提供 (広告を含む) 」という文を記載します。
受信者が個人情報の取り扱いに同意した場合、その時点で、オプトインも取得できるという仕組みです。
このように、オプトインの取得には様々な方法がありますが、重要なのは受信者にあらかじめ「メール配信が行われると認識してもらうこと」、「メール配信の同意をする意思表示をしてもらうこと」です。
小さい文字や分かりにくい表記をして「受信者が気づかない内に同意してた」ということのないように、フォントサイズや色を変えて目立たせるなど、分かりやすく表記しましょう。
この他にも、以下のような項目が推奨事項として挙げられています。
- ページ下部への記載は避ける
- 配信希望欄のチェックをデフォルトオフにする
- デフォルトの場合は注意事項を目立つように記載する
オプトインの取得を証する記録を保存する
オプトインを取得した際には、顧客が「同意した」ことを証明する記録を保管する必要があります。この時、オプトアウトを取得した時期や方法などが分かるように保管すること、さらに保管期間は配信の停止日から1ヶ月と定められています。
ただし、特定電子メール法に基づく措置命令を受けている場合は、1年間の保存義務が生じます。
オプトインには例外がある
オプトイン方式の中でも、下記の3つは同意を取得しなくてもいい「オプトインの例外」とされています。
- 「電子メールアドレスの通知」をしたもの
- 「取引関係」にあるもの
- 「自己の電子メールアドレスを公表」している団体・営業を営む個人
「電子メールアドレスの通知」をしたものとは、名刺などの書面によって電子メールアドレスを送信者に伝えた者を指し、一定の予測可能性があることから、オプトインの例外とされています。
また、すでに取引関係にある人に対しては、ビジネスの実態として広告や宣伝メールの送信が行われているため、受信者側もこうしたメールの送信を予測できることから例外とされています。
企業や個人事業主など、Webサイト等に自己のメールアドレスを記載している場合も、公開している事業者に対して、広告宣伝メールを送信することは実態的に行われており、ビジネス慣習上も一定の範囲で認められていると考えられ、例外となります。
また、電子メールアドレスを公表することは、基本的に電子メールを受け取るために行われるものであることから、一定の送信は許容されるものとされています。
このように、受信者側がメールの送信に対して予測可能な場合や、自らメールアドレスを公開している場合にはオプトインは不必要となっているため、覚えておきましょう。
オプトアウトも忘れずに設置する
特定電子メール法で定められているのは、オプトインの取得だけではありません。受信者がメールの受け取りを止めたくなった場合に、オプトアウト (配信の停止) をするための導線設置が必要になります。
この時、分かりやすさを重視して記載することが重要です。オプトアウトを設置していない場合や、方法が分かりづらいものは、「迷惑メール」や「スパム」扱いになってしまうこともあるため、注意しましょう。
メルマガ配信で気をつけたい「オプトアウト」とは?オプトアウトの注意点を分かりやすく解説します!
特定電子メール法の要点「送信者の表示義務」とは
特定電子メール法の三つ目のポイントは、「送信者の表示義務」です。
特定電子メールの送信者には、受信者が事前の同意を通知しているメールであるかどうか容易に判断できるように、下記の項目を表示することが義務付けられています。
- 送信者の氏名または名称
- 受信拒否ができる旨の通知
- 送信者の住所
- 苦情や問い合わせの受付先
「送信者の氏名または名称」と「受信拒否ができる旨の通知」は本文中に必須となっており、「送信者の住所」と「苦情や問い合わせの受付先」はリンク先のページでも可能になっています。

これらは、受信者にとってわかりやすいように、電子メール本文の最初または最後に記載することが推奨されています。また、リンク先に表示する場合も、何度もクリックしないとたどり着けないような場合は、「表示として不適切」とみなされるため、注意しましょう。
それぞれを簡単に説明していきます。
送信者の氏名または名称
送信者の使命または名称は、正式な氏名または名称でなければなりません。
サービスを提供しているWebサイト名やサービス名、ブランド名の表示では、送信者名を表示したことにはならないので注意が必要です。
受信拒否ができる旨の通知
受信拒否、つまり先ほど解説したオプトアウトができることを明記します。配信停止ができることに加え、配信停止の手続きの方法もここの載せましょう。
専用のURLから配信停止の手続きをするもの、配信停止用のメールアドレスへメールを送るものなど、方法は様々ありますが、どの方法でも、受信者が理解しやすいような表記をしましょう。
送信者の住所
送信者の住所は、リンク先での表示でも可能とされています。
その場合には、表示場所を示す情報を電子メールの中に記載する必要があります。
苦情や問い合わせの受付先
苦情や問い合わせができる連絡先を明記します。
送信者の住所と同様に、リンク先でも可能とされています。また、メールアドレス、URLだけでなく、電話番号まで掲載することが推奨されています。
法律だけでは不十分?Gmail送信者ガイドラインとの関係
特定電子メール法を遵守していればメール配信において法的な問題はありません。しかし現代のメールマーケティングでは法律を守るだけでは不十分なケースが増えています。
特にGmailやYahoo!メールなどの主要なメールサービスプロバイダは、法律よりも厳しい独自の「送信者ガイドライン」を設けており、これを守らなければメールが届かない事態に陥ります。
法律よりも厳しい「ワンクリック解除」の要件
特定電子メール法では配信停止の方法について「受信者が送信者に対して停止の意思を通知できること」を求めています。つまりメールアドレスへの返信や専用フォームでの入力を求めても法的には問題ありません。
一方でGmailが2024年から強化したガイドラインでは、1日5,000通以上送信する送信者に対し「ワンクリックでの登録解除」を義務付けています。これはメール本文内のリンクをクリックするだけで即座に配信停止処理が行われる仕組み、あるいはList-Unsubscribeヘッダーという技術的な仕組みを実装することを意味します。ユーザーにログインを求めたり複数ページの遷移を強いたりする解除フローは、法律上は適法でもGmailのガイドライン違反となりスパム判定されるリスクが高まります。
迷惑メール率の維持(0.1%未満推奨)
法律には「迷惑メール率を〇%以下に抑えなければならない」という数値基準はありませんが、プラットフォーム側には明確な基準が存在します。Gmailではユーザーから「迷惑メール」として報告される割合を0.1%未満に維持することが推奨されており、0.3%を超えるとメールが拒否されたり迷惑メールフォルダに直行したりするようになります。
特定電子メール法上の表示義務を果たしていても、送る内容が受信者にとって無益であれば迷惑メールボタンを押されてしまいます。法律はあくまで最低限のルールであり、実際にメールを届けるためには受信者との良好な関係維持とプラットフォーム側の基準クリアが不可欠です。
「ワンクリック解除」の義務化を含め、Gmailが2024年2月から適用した新しい送信者ガイドラインの全容については、以下の記事で詳細に解説しています。未対応の項目がないか、改めてご確認ください。
メール配信システムを活用する
特定電子メール法を遵守しながらメルマガを運用するのは、手作業では限界があります。特に「オプトアウト(配信停止)の即時反映」や「同意記録の保存」などをミスなく行うためには、専用のメール配信システムを活用するのが一般的です。
メール配信システムを使うメリット
特定電子メール法を遵守しながらメルマガを運用するのは、手作業では限界があります。特に「オプトアウト(配信停止)の即時反映」や「同意記録の保存」などをミスなく行うためには、専用のメール配信システムを活用するのが一般的です。
オプトアウトの自動化:配信停止URLをクリックするだけで、システムが自動的に次回の配信リストから除外するため、配信停止漏れによる法律違反を防げます。
- ワンクリック解除への対応:2024年からのGmailガイドラインで求められている「List-Unsubscribeヘッダー」などの技術的な要件も、多くのシステムで標準対応しています。
- 同意記録の管理:誰がいつ、どのフォームから登録したかをログとして残せるため、法律で定められた「記録の保存義務」を容易にクリアできます。
- 高い到達率の維持:法律を守っていても、技術的な設定(SPF/DKIM/DMARCなど)が不十分だとメールは届きません。システムを利用することで、これらの認証設定もスムーズに行えます。
おすすめのメール配信システム「ブラストメール」
数あるシステムの中でも、特に初心者から大手企業まで幅広く支持されているのがブラストメール(blastmail)です。
- 15年連続顧客導入数No.1:多くの企業が利用しているという実績は、法規制への対応やセキュリティ面での安心感に直結します。
- とにかくシンプルで使いやすい:専門知識がなくても、直感的な操作で表示義務を網羅したフッター作成やオプトアウト設定が可能です。
- 圧倒的なコストパフォーマンス:月額4,000円〜という低価格ながら、毎時1,500万通という高速配信性能を誇ります。
特定電子メール法を「守らなければならない義務」から、システムを活用して「スムーズに運用できる仕組み」に変えることで、より本質的なマーケティング活動に注力できるようになります。
公式サイト:シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」
FAQ
- Q:どのようなメールが「特定電子メール法」の規制対象になりますか?
- A:主に営利を目的とした「広告・宣伝メール」が対象となり、一般的なメールマガジンもこれに含まれます。個人・法人を問わず、商品やサービスの宣伝を含むメールを送信する場合は、必ずこの法律を遵守しなければなりません。
- Q:メルマガ配信で守るべき「オプトイン」「オプトアウト」とは何ですか?
- A:「オプトイン」は受信者から事前に送信の同意を得ること、「オプトアウト」は受信者が配信停止できる仕組みを提供することです。原則として同意を得ていない相手への送信は禁止されており、メール内には必ず配信停止(解除)のためのリンクや連絡先を明記する義務があります。
- Q:メール本文に記載しなければならない「表示義務」の項目を教えてください。
- A:送信者の「氏名または名称」「住所」「苦情や問合せの受付先」などを表示する必要があります。特に住所や電話番号は、実在する正確な情報を記載する必要があり、虚偽の情報を表示することは法律で禁止されています。
- Q:特定電子メール法に違反した場合、どのような罰則がありますか?
- A:総務大臣などからの措置命令に従わない場合、懲役や罰金が科される可能性があります。特に法人の場合、行為者だけでなく法人に対しても最大3,000万円以下の罰金が科される非常に重いペナルティが定められています。
まとめ
今回は、メルマガ配信をする際に、必ず知っておかなければならない「特定電子メール法」について解説してきました。この法律では、オプトインの取得やオプトアウトの設置、送信者の表示義務など、受信者が安心してメルマガを受け取るために必要なことが定められています。
それに加え、受信者に分かりやすい表記など、顧客が利用しやすいようなメルマガを書くことが推奨されています。メルマガ配信は、顧客と長く関わり信頼関係を築くことも、重要な目的の一つです。
「特定電子メール法」を正しく理解し、受信者が心地よく利用できるメルマガ配信をいていきましょう。また、メルマガ配信におすすめのシステムは以下の記事で紹介していますので参考にしてください。



