BtoBや高単価商材を扱うBtoCのWebマーケティングにおいて、「問い合わせ」は重要なコンバージョンポイントとして位置づけられています。そのため多くのWeb担当者は問い合わせを増やすために、様々な施策を試みていることでしょう。
それと同時に「アクセスは増えたのに問い合わせ数が伴わない」「色々と改善を試みているが成果につながらない」といった悩みも付きものです。
そこで今回はWebサイトの問い合わせが増えない原因と、問い合わせを増やすための具体的な方法について解説します。ぜひ参考にしてください。
Web問い合わせが増えない原因
Web問い合わせが増えない原因は、主に以下の3つが挙げられます。
- 母数となる訪問者が少ない
- 問い合わせフォームまでの遷移率が低い
- EFO(入力フォーム最適化)が不十分
母数となる訪問者が少ない
Web問い合わせが増えない根本的な問題として多いのが、集客力の低さです。サイトの集客力が低い、つまり訪問者の絶対数が少ないと、逆立ちしてもWeb問い合わせが増えることはありません。
仮にあなたのWebサイトのコンバージョン率を1%(※ ここでのコンバージョン=訪問者がWeb問い合わせに至ること)とすると、訪問者の数が変わるだけで、獲得できるWeb問い合わせ数も下記の通り大きく変動します。
- 訪問者数が1万人の場合:100人(問い合わせ数)= 1万人 × 1%
- 訪問者数が8万人の場合:800人(問い合わせ数)= 8万人 × 1%
1万人集めるのと8万人集めるのとでは実施している集客施策が異なり、訪問者の性質に差が出てくるため、実際は上記のように完璧に比例はしません。
しかし、1万人の集客で800人の問い合わせを獲得するより、8万人の集客で800人の問い合わせを獲得する方が難易度としては低いのです。
- 集客数1万人のままで800人の問い合わせを獲得するには……コンバージョン率を8倍にする必要がある
- 集客数を増やして800人の問い合わせを獲得するには……広告費などの集客予算を8倍にして8万人集客すればよい
コンバージョン率8倍というのは少々極端な例でしたが、実際のところコンバージョン率は0.1%増やすだけでも結構な苦労を伴います。
サイト全体の設計を見直し、時間をかけてキーワード対策を行ってもまったく変化が見られない、ということがコンバージョン率の改善施策では起こりえます。それどころか前より下がってしまうことすらあり得るでしょう。
しかし、訪問者数が増えれば獲得できる問い合わせ数はほぼ確実に増えるのです。予算をかけて集客数を増やすのは一見攻めているように見えます。しかし、より確実な成果が見込めるという意味では、安パイな打ち手といえるでしょう。
問い合わせフォームまでの遷移率が低い
訪問者数が十分であっても、問い合わせフォームへ遷移する訪問者の数が十分でなければ、当然問い合わせは増えません。この場合、下記のような施策をとって問い合わせフォームまでの遷移率、すなわちコンバージョン率を向上させる必要があります。
- 訪問者のニーズを汲んだコンテンツの準備
- 既存コンテンツの改善
- 導線設計の改善
遷移率を向上させるには、訪問者が必要としているコンテンツを漏れなく準備し、なおかつコンテンツを届けるための導線を敷くことがカギです。次々とコンテンツを見たくなるWebサイトを作ることで、訪問者の問い合わせへのモチベーションは徐々に高まっていきます。
広告費をかけて多くのアクセスを稼いでも、訪問者に「ほしい情報が得られない」と感じられてしまったら意味がありません。遷移率は細部を改善するだけ大きな効果が見込めることもあるため、集客予算を増額を決める前には、訪問者の受け皿となるWebサイトのコンテンツが十分かを見直すべきでしょう。
EFO(入力フォーム最適化)が不十分
問い合わせが伸び悩む原因として、実は問い合わせフォームの最適化が不十分なケースも考えられます。入力フォームを最適化することは専門用語で「EFO」といい、マーケティングにおいて重要な考え方のひとつです。
ここで理解しておきたいのは、問い合わせフォームにアクセスしたユーザーが必ず問い合わせに至るとは限らないことです。以下のような様々な理由で、ユーザーは問い合わせ(フォーム入力)を諦めてしまうことがあります。
- 問い合わせたら電話がたくさんかかってきそうでイヤだ
- 入力項目が多くて面倒くさい
- 入力した情報が安全に取り扱われるか不安
- 無料体験でクレジットカードの情報を入れたくない
こうしたユーザーの不安を取り除いてあげるだけで、問い合わせ数は劇的に伸びる可能性があります。訪問者数を増やす、遷移率を改善するといったこれまでに紹介した方法と比べると、EFOは低コストかつ手軽に取り組めるといえるでしょう。
Web問い合わせを増やすための6つの施策
ここからは、Web問い合わせを増やすために有効な具体的施策を6つ紹介します。
- 問い合わせまでの距離感が近そうなキーワードを狙う
- 既存顧客の集客も試みる
- ホームページの導線を見直す
- お役立ちコンテンツを充実させる
- 問い合わせフォームを最適化する
- チャットボットを用意する
問い合わせまでの距離感が近そうなキーワードを狙う
問い合わせまでの距離感が近いキーワードとは、「商品名 機能」「サービス名 料金」のような自社プロダクトに関連するワードが絡んだものを指します。問い合わせを効率よく増やすなら、まずはそうしたキーワードを狙って集客を試みましょう。
なぜなら、自社プロダクトに関連するキーワードで訪問するユーザーは自社に強い興味を持っており、問い合わせ獲得の難易度が低いためです。
すでに競合と比較しているユーザーの問い合わせを獲得するなら、「自社製品 競合製品 比較」のようなキーワードを狙います。コンテンツ中で自社の優位性をきちんとアピールできれば、問い合わせを獲得することは容易でしょう。
既存顧客の集客も試みる
問い合わせを増やすとなると、どうしても新規顧客に目を向けがちです。しかし「既存顧客」の活用も忘れてはなりません。
過去にセミナー参加があったユーザーや、サービスの利用履歴がある顧客は、すでに製品やサービスに対しての関心度は高いでしょう。新規顧客とあわせてそのような既存顧客の問い合わせを促すことで、安定的に訪問数を増やせます。
既存顧客へのアプローチ手段としてはメール、電話、ダイレクトメールなどがあります。中でもメールはもっとも費用対効果が高い手段です。以下の記事では休眠顧客の掘り起こしにメールを活用する方法について解説しているため、あわせて参考にしてみてください。
参考:休眠顧客の掘り起こしにメールが最適な理由とは?効果的なメールの作り方も解説!
お役立ちコンテンツを充実させる
「機能も評判もよく分からないけど、とりあえず問い合わせよう」というユーザーはまれといえます。問い合わせてもセールストークばかり聞かされることを知っているためです。
ユーザーは事前にある程度情報を集め、競合と比較し、信頼できそうな数社に候補を絞ってから問い合わせます。
ここでポイントとなるのが、ユーザーの情報集めを助けることです。ユーザーが知りたいこと、悩んでいることに焦点を当てて情報提供することで、自社に対するユーザーの信頼が育ちます。予算や機能などの条件さえ合えば、そのまま問い合わせに至るでしょう。
要するに、問い合わせのモチベーションを高めるには、ユーザーの疑問やニーズに十分応える必要があります。以下のような方法でユーザーの情報集めを手助けし、問い合わせのモチベーションを高めてあげましょう。
- ブログ記事
- ホワイトペーパー
- 料金プラン比較・価格表
- 競合他社との比較資料
- 製品資料・カタログ
- メルマガ
- セミナー・ウェビナー
Webサイトの導線を見直す
問い合わせが増えない原因として、問い合わせまでの過程でコンテンツを届けられておらず、ユーザーが問い合わせページにたどり着けていない可能性が考えられます。また、どこから問い合わせをすれば良いのか分かりにくい、というケースもありうるでしょう。
こうした可能性が考えられる場合は、ホームページ全体を見直して、問い合わせに至る導線が十分敷かれているか、適切かを見直しましょう。コンテンツが十分揃っていても、結局それらを適切に届けられていないのなら意味がありません。
集客コンテンツで別の人気コンテンツへのリンクを貼る、問い合わせページへのCTAを目立たせるなどすることで、問い合わせは劇的に増える可能性があります。
問い合わせフォームを最適化する(EFO)
EFOは「Entry Form Optimization(入力フォーム最適化)」の略称で、フォームの項目やデザイン、機能を最適化することでコンバージョン数(問い合わせ数)の最大化を試みる施策です。
例えばあなたは何かしらのアンケートに答えるときやWebサービスの会員登録時、「項目が多くて面倒だな」「無料体験なのにクレジットカードの番号を入れたくない」と思った経験はありませんか?
そのような経験からフォーム入力を途中で諦めるユーザーは少なく、これは問い合わせにおいてもまったく同様のことが言えます。
問い合わせフォームの項目があまりに多かったり、何を入力すれば良いのか分からない項目があったりすると、せっかく温めた問い合わせのモチベーションを萎えさせてしまうのです。問い合わせフォームの回答率を高めるなら、以下のようなポイントを押さえましょう。
- 回答必須項目の数は最低限にする
- フォーム入力の進捗率を表示させる
- 自由入力ではなく、できる限り選択式にする(プルダウンやチェックボックスなど)
- 自由入力欄にはプレースホルダを入れ、どのような内容を入力すれば良いか例を示す
- 入力アシストを取り入れる(郵便番号による住所自動入力など)
- 不安を取り除くひと言を入れる(マイクロコピー)
不安を取り除くひと言としては、以下のような文言が効果的です。可能であれば問い合わせフォームに盛り込んでおきましょう。
- フリーダイヤル、“無料”問い合わせ
- 1分で完了
- しつこいセールスなし
- プライバシー保護を最優先
- 2営業日以内にお返事 など
チャットボットを用意する
記事執筆時点(2021年)における最新のEFO手法として注目されているのが「チャットボット」です。チャットボットはWebサイトに訪問したユーザーからの問い合わせに対話形式で応答するツールで、フォーム入力を意識させずスムーズに問い合わせを獲得できます。
また、基本的に画面の右下などに常駐するため、導線確保としての効果が高いのもチャットボットの利点です。導入コストがかかるため費用回収まで時間が必要なのは難点ですが、問い合わせ数を増やすのに大いに役立つでしょう。
問い合わせフォームとメール関連システムの併用
問い合わせフォームとメール関連のシステムを併用することで業務を効率化することができます。
メール共有システム
問い合わせフォームからの問い合わせを複数の担当者で共有し、効率的に対応するためには、メール共有システムが役立ちます。メール共有システムは、複数の担当者が同時に同じメールアカウントにアクセスし、顧客対応を行うことを可能にします。これにより、迅速な対応や担当者間での情報共有が容易になり、顧客満足度の向上に繋がります。
例えば、複数人でのメール管理に特化したメール共有システム「メールディーラー」であれば、ある顧客からの問い合わせに対して、担当者Aが対応中であることを担当者Bもリアルタイムで把握できるため、重複した対応を避けることができます。また、過去の問い合わせ履歴や対応状況を全ての担当者が確認できるため、一貫性のある対応が可能となります。
おすすめのメール配信システムは以下の記事で解説されていますので併せてご確認ください。
関連記事:メール共有システム12社を比較!機能や選び方まで徹底解説
メール配信システム
問い合わせフォームは顧客からのフィードバックや質問を受け付ける重要なツールですが、これを効果的に活用するためには、メール配信システムとの連携が不可欠です。
メール配信システムを導入することで、問い合わせやその他の手法で集めたリストに対してメルマガなどのメール一斉配信が可能となります。サービスにもよりますが、ターゲットを絞ってメールを配信できる「ターゲット配信」や、誰でも簡単にデザイン性の高いメールが作れる「HTMLメール作成エディタ」など。
例えば、14年連続顧客導入シェアNo.1の「ブラストメール」であれば、月額4,000円から利用でき、上記のようなメール一斉配信が可能となります。下記の記事ではお勧めのメール配信システムを紹介していますので、ご興味ある方はご確認ください。
関連記事:メール配信システム比較20選!機能・料金を徹底比較
問い合わせ獲得にはメルマガによるユーザー育成がおすすめ
問い合わを獲得するにはコンテンツ提供を通したユーザー育成が必要ですが、そこで有効なのが「メルマガ」です。
Webサイトの回遊はユーザー自らが見たいコンテンツを選びますが、メルマガなら見せたいコンテンツを自社が選べます。そのため、SEOだけに頼るよりも効率よくユーザーを育成可能なのです。
実際、メルマガはリターゲティング広告と比べて高い費用対効果が得られた、という導入事例もあります。
参考:リターゲティング広告よりも安価で効果アリ|株式会社オウチーノ様
メルマガは問い合わせ獲得の土台ともいえる施策であるため、現在メルマガを行っていないなら新しく始めてみることをおすすめします。
なお、当サイトではメルマガの作り方を分かりやすく解説したe-bookを提供しています。下記リンクから無料でダウンロードできるため、メルマガに興味があればぜひ参考にしてください。
e-bookはこちら:メルマガの作り方を徹底解説!誰でも1時間で配信できる基本ステップ
Web問い合わせを増やす方法まとめ
Web問い合わせを増やすには、まず問い合わせが伸びない主な原因が集客数にあるのか、コンバージョン率にあるのかを知る必要があります。もちろん、状況によってはそのどちらもという場合や、原因がどうやっても分からないという可能性もあるでしょう。
そのような場合は、まずサイトのコンバージョン率の改善に目を向けます。コンバージョン率が低ければ集客に予算をかけても効率が悪いためです。
コンテンツの充実、導線の設置といったコンバージョン率改善の施策を実行し、改善が見られるか、大きな変化がなかった場合は集客力の改善を検討しましょう。
また、問い合わせのモチベーションを育てるには、継続的なコンテンツ提供によるユーザー育成が不可欠です。Webサイトの運用だけでなく、メルマガのような能動的なアプローチ手法も同時に運用して、効率よく育成を行いましょう。