本記事ではリストマーケティングのやり方を、以下の手順に沿って、徹底的に解説します。
- リストを集める
- リストを育成する
- リストを仕分け、アプローチも最適化する
- PDCAを回す
なお、リストマーケティングとは、顧客リスト(電話番号やメールアドレスなど)を軸としたマーケティング手法のことです。この記事で紹介する手順をマネするだけで、初めてリストマーケティングを行う人でも一定の成果が出るので、ぜひ実践してみてください。
リストマーケティングの概要について知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
リストマーケティングとは?成功の秘訣とメリット・デメリットを解説します
それでは、リストマーケティングのやり方をお伝えしていきます。
目次
1. リストを集める
まずはリストマーケティングの要となる「顧客リスト」を集めましょう。すでにリストがある場合は、この後の手順「リストを育成する」から開始しても問題ありません。
さて、顧客リストの集め方には、主に以下の5つが挙げられます。
- メルマガ
- アンケート
- 会員登録
- ホワイトペーパーの配布
- 無料体験・サンプル提供
各方法について詳しく解説します。
メルマガ
すでにメルマガを運用している、あるいはこれから運用を検討しているのであれば、メルマガ購読を促進することでメールアドレスのリストが収集できます。
メルマガ登録を促すには、ブログにCTAを設置したり、専用のランディングページを作ったりする方法が挙げられます。
この場合、集客方法としてはSEO、SNS、リスティング広告などがメインになってくるでしょう。
メルマガ登録を促すコツは、メルマガを登録したいと思える理由をユーザーに与えることです。例としては、メルマガではより希少性の高い情報を発信していることをアピールする、メルマガ読者限定の特典を用意する、といった手法が挙げられます。
アンケート
ユーザーに対するアンケート項目に個人情報の記入欄を設けることで、リスト収集が可能です。アンケートでリストを集める際のコツは、個人情報の入力はシートの最後の方に設置すること。こうすることで離脱率を低く抑えられます。
また、アンケートでもメルマガ登録同様に、ユーザーが回答するための理由付けが必要です。景品をプレゼントしたり、ポイントを付与したりなど、アンケート回答によってユーザーが何らかの利益を得られるようにしましょう。
会員登録
店舗型ビジネスや、ECサイトや業務効率化ツールなどのウェブサービスを提供しているなら、会員登録を促すことでリストを集められます。
こちらもメルマガやアンケート同様、「登録したい!」とユーザーから思ってもらうために、会員登録によって何らかの利益が得られるようにしましょう。
会員登録のインセンティブとしてよくあるのは、お得に買い物できるポイントカードやスタンプカードの発行、優遇価格の提供、保証の延長などが挙げられます。
ホワイトペーパーの配布
オウンドメディア戦略とよくセットで行われる施策に、「ホワイトペーパー」の配布があります。ホワイトペーパーとは、ユーザーの課題解決に役立つ情報をまとめた資料のことです。
ホワイトペーパーは無料で配布されるケースがほとんどです。その代わり、ダウンロードするには企業名やメールアドレスの入力が必要な仕組みになっています。いわばホワイトペーパーは、リストを集めるためのドアノックツールということです。
ホワイトペーパーは作成に手間がかかるだけでなく、そもそもダウンロードされるための土台作りも必要です。その代わり、条件さえそろえばリストマーケティングにおける強力な武器となります。
すでにブログやメディアがある程度育っており、ホワイトペーパーがダウンロードされる土台はあるなら、ぜひ実践してみましょう。
なお、ホワイトペーパーについては以下の記事で詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
ホワイトペーパーとは?作り方から効果測定のやり方までわかりやすく解説!
無料体験・サンプル提供
ホワイトペーパーの配布と似たリストの集め方に、商品・サービスの無料体験や、無料で使えるサンプルの提供があります。
ホワイトペーパーと違うのは、商品・サービスの露出さえすればすぐにでも実践できてしまう点です。また、商品・サービスについてユーザーのフィードバックが得られるという、副次的な効果も期待できます。
2. リストを育成する
リストが集まったら、メルマガやDMなどでアプローチをかけ、リストを育成していきましょう。
マーケティングにおいて育成とは、自社から顧客へ、価値のある情報や商品に関する知識を提供することです。
そうすることで自社に対する顧客の信頼が生まれ、なおかつ顧客は検討をより円滑に進められます。そして、結果的に自社の商品が買われやすくなるのです。
育成の内容は商品・サービスのジャンルによりけりですが、値段の高い商品・サービス(B2B向けの商材や金融商品)は、顧客の検討期間は長くなる傾向があり、丁寧な育成が求められます。
一方で、アプローチのやり方については、どんな商品・サービスであれ、方法が限られてきます。今回は以下の通り、アプローチのやり方を3つ紹介していきます。
- メルマガ
- ステップメール
- LINE公式アカウント
メルマガ
メルマガは、ブログ記事やホワイトペーパーなどといった育成コンテンツの発信媒体として、非常に適任です。特にB2Bのリストマーケティングで重宝されています。
また、メルマガなら、メールアドレスさえあればアプローチできるため、集客時のコストも比較的低く抑えられます。
メルマガはリスト育成において、最も効率的で効果的な手法です。
低価格で簡単なのでハードルが低く、誰でも始めやすいため、リストマーケティングをする場合は第一に検討するべきでしょう。
ステップメール
ステップメールとは、リストの流入タイミングを起点に順序よく送られる、一連のメールシナリオのことです。リストマーケティングでは、メルマガ同様によく使われるアプローチ手法となります。
メルマガと違って、複数のメールから成るシナリオを作る必要があるため、施策としては上級者向けです。
メルマガのステップメールの違いについては別記事にて詳しく解説しているため、合わせて参考にしてみてください。
「メルマガ」と「ステップメール」の違いとは? 両者の違いを正しく理解しよう!
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントとは、LINE社が提供している法人向けサービスで、LINE版のメルマガともいえるサービスです。B2Cのリストマーケティングでよく活用されます。
集客時にLINE登録を促す必要があり、メールアドレスを集めるよりもハードルは高いのがネックです。
3. リストを仕分け、アプローチも最適化する
リストの育成がある程度進むと、反応が多いリストと、そうでないリストに分かれてくるはずです。そうなったら、リストの反応に応じてアプローチも最適化しましょう。
- 反応が少ないリスト(無関心層)
反応が少ない理由を分析して、アプローチのやり方や内容を改善する - 反応が多いリスト(見込み層)
導入事例の紹介や資料配付など、PRを多めにし、積極的に商品を売込んでいく。販売を行う際は、メルマガやLINEだけでなく、テレアポやセミナーといった、よりクロージングがしやすいやり方も取り入れる
販売をかけたリストは、さらに「購買したリスト」と「購買に至らなかったリスト」に分かれます。ここでもアプローチを最適化して、リストマーケティングの成果を最大化します。
- 購買したリスト
商品・サービスの使い方のサポートコンテンツを提供して顧客ロイヤリティの向上を図ったり、アップセルのオファーをかけてさらに売上を伸ばしたりする - 失注したリスト
失注の原因を分析し、ダウンセルのオファーをかけたり、育成を再開したりする
このように、リストの状態に応じてアプローチを柔軟に切り替えるのが、リストマーケティングを成功させる秘訣となります。
ただ、今回の場合は「反応と購買の有無」という4パターンのみ例に挙げましたが、ここからさらに性別、年齢、そして流入経路などといった絞り込み方も考えられます。文字通り、無限通りの絞り込みができてしまうのです。
また、リストが膨大であればあるほど、リストの仕分けやアプローチの最適化を手動で行うのは困難になります。そこでカギとなるのは「自動化」です。
リストマーケティングを自動化するやり方
リストマーケティングを自動化するには、「メール配信システム」もしくは「マーケティングオートメーション(MA)」と呼ばれるような、マーケティングを自動化するツールを導入する必要があります。
- メール配信システム
配信の自動化から、リストの管理、そしてメールの効果測定など、メール配信に関連する機能が一通り揃っているツール。MAよりも低いコストで導入できる - マーケティングオートメーション(MA)
メール配信の自動化以外にも、サイトのアクセス解析やリードスコアリングなど、マーケティング業務全般をサポートするツール。非常に高機能な代わりにコストが高く、運用も難しい
マーケティングオートメーションは非常に高機能ですが、費用が高く、使い方も難しいため、マーケティング初心者や小規模なビジネスには向きません。もしリストマーケティングに初めて取り組むのであれば、「メール配信システム」から試すのがおすすめです。
ただメール配信システムと一口に言っても色々な種類があり、自社にマッチするサービスを見つけるのは大変です。弊サイトでは、主要なメール配信システムを紹介した記事を公開しているため、こちらを参考に検討を進めてみてください。
【2021年最新】メール配信システム20選!機能・料金を徹底比較
4. PDCAを回す
マーケティングで成果を出し続けるには、PDCAが欠かせません。これはリストマーケティングでも同様です。
リストマーケティングのPDCAを効率よく行うためには、マーケティング全体で得られた成果を、リスト一件あたりの成果に換算しましょう。
具体的には、リスト一件あたりの取得費用(CPA)と、リスト一件あたりの売上(LTV)を算出するようにします。
こうすることで、どんな属性のリストがより高い成果を得られているか、逆にパフォーマンスが悪いのはどんなリストか、といったことをチェックできるのです。
例えば、とある商品のリストマーケティングにおいて、Web広告、SEO、SNSの3つの流入経路を用意したとします。マーケティングの開始からしばらく経ち、獲得リストから得られた成果は、それぞれ以下のようになりました。
取得リスト数 | 取得コスト(広告費など) | 売上 | |
Web広告 | 2,000 件 | 200 万円 | 300 万円 |
SEO | 300 件 | 50 万円 | 150 万円 |
SNS | 80 件 | 10 万円 | 24 万円 |
上記結果を元にすると、リスト一件あたりの取得費用・売上は以下の通りとなります。
リスト一件あたりの取得費用 | リスト一件あたりの売上 | リスト一件あたりの粗利 | |
Web広告 | 1,000 円 | 1,500 円 | 500 円 |
SEO | 1,666 円 | 5,000 円 | 3,334 円 |
SNS | 1,250 円 | 4,000 円 | 1,750 円 |
今回の例の場合、Web広告が最も大きな売上げを出してはいるものの、リスト一件あたりの粗利は最も低くなっています。
一方、リスト一件あたりの粗利が最も高いのはSEOとなっています。つまり、金額として見るとSEOはWeb広告に劣るものの、費用対効果の観点では、Web広告よりもSEOの方が高いパフォーマンスを発揮しているのです。
このように、リスト一件あたりの数値を算出すると、投下コストの規模がまったく異なる施策同士や、リストの属性ごとのパフォーマンスを比較しやすくなります。
つまり、どの施策によりコストを集中投下すべきか、逆に縮小すべき施策はどれか、どんな属性に狙いを定めるか……といった意思決定がしやすくなるのです。
リストマーケティングで成果を上げるにあたって、リスト一件あたりの成果に直してパフォーマンスを分析するのは、非常に重要な工程です。ぜひ実践してください。
リストマーケティングのやり方まとめ
リストマーケティングのやり方を、以下に簡潔にまとめておきます。
メルマガやアンケートなどといった方法で、電話番号やメールアドレスといった顧客の情報を収集する
メール配信やLINEを使ってリストに育成コンテンツを送り、販売に向けて準備する
反応の多いリストにはPRや販売を仕掛けるなど、リストのアクションや属性ごとにアプローチを切り替える
マーケティング全体で上がった成果を、リスト一件あたりの数値に直して評価する
リストマーケティングにおいて特にカギとなるのは、三番の段階です。リストごとにアプローチを最適化することこそが、リストマーケティングのカギとなります。
そのために必要となるのが「メール配信システム」です。メール配信システムが無ければリストマーケティングを行うのは不可能と言っても過言ではありません。
リストマーケティングを実施するなら、メール配信システム探しも並行して行いましょう。