お礼状は手書きの文書で感謝の気持ちを伝える手段で、かしこまった場面で使われるものなのであまり馴染みがないかもしれません。
しかし、電子媒体でのやりとりが多い昨今、ここぞという場面で心のこもったお礼状を送ることができれば、より敬意を示すことができます。
今回は、お礼状を書く際のポイントを実際の例文と合わせて紹介していきます。
手書きで送るまでもないけど… という場面でも、今回紹介する例文は流用できるので、メールでお礼状を送る際の参考にもしてみてください。
目次
お礼状を送る場面
お礼状は何かプレゼントをもらった際や、ビジネス上のコミュニケーションとして、目上の方へ感謝の気持ちを述べる際に使用されます。
- 贈り物やお祝いをもらったとき
- 冠婚葬祭に参列してもらったとき
- ビジネスシーンでお世話になったとき
- 結婚の挨拶や結納をした後
- お客様への来店のお礼として
基本的にフォーマルな場面でお礼状は使われますが、お中元やお歳暮へお礼状を送ったり、来店してもらったお客様にメッセージを送ることでコミュニケーションの一つになり、より良い関係を作って行くことができます。
お礼状のマナー
それでは、お礼状のマナーや書く際のポイントを解説していきます。
せっかく手間をかけて送るものなので、間違いがあって相手に失礼が無いように注意しましょう。
お礼状の封筒や便箋
関係性によっては、はがきでも問題ないようですが、基本的には封書(封筒と便箋)を使います。
茶封筒は事務的な用途で使うものとされているので、白地や無地でシンプルな物を使用するようにしましょう。便箋は罫線の入った縦書きのものに万年筆で手書きで文章を書くのが望ましいとされています。
お礼状を送る時期
お礼状は、翌日に送るのがベストです。
すぐにお礼状を送ることが難しい場合は、電話やメールでお礼の挨拶を行い、後日お礼状を送るようにしましょう。その際には文中に、お礼状が遅れたことを詫びる文言を入れることを忘れないようにしましょう。
ただし、お見舞いや退院祝いへのお礼状、香典返しの際には送るタイミングに注意が必要です。お見舞いや退院祝いへのお礼状は自分の体調が落ち着いてから、香典返しの場合は四十九日法要後(忌が開けた後)に送るようにしましょう。
すぐにお礼状を送ると要らぬ心配をかけてしまうかもしれません。
お礼状の書き方
お礼状は万年筆や黒ボールペンを使い、直筆で縦書きの便箋に右から左に向かって書くことがマナーとされています。
お礼状の文章は、
「頭語」→「前文」→「主文」→「末文」→「結語」
というのが基本的な構成になります。
一般的な頭語として「拝啓、啓上、謹啓、謹呈、前略」などがよく使われます。前略は親しい関係性の場合に使われる頭語なので注意しましょう。
前文は、お礼状では不要という考え方もあります。書く場合は、時候の挨拶や相手の健康を気遣う文章を入れるようにしましょう。
時候の挨拶は以下の記事を参考にしてみてください。
末文で「寒い日が続きますがくれぐれもご自愛ください」など、相手の健康を願う言葉や、用件のまとめを行い「結語」に繋げます。
結語は頭語と対になります。以下の表にまとめました。
頭語 | 対になる結語 |
拝啓(はいけい) | 敬具(けいぐ) |
拝呈(はいてい) | 敬白(けいはく) |
恭敬(きょうけい) | 敬白(けいはく) |
啓上(けいじょう) | 拝具(はいぐ) |
謹啓(きんけい) | 謹言(きんげん) |
謹呈(きんてい) | 謹白(きんぱく) |
前文を省略する場合 | 草々、不一 |
便箋の折り方
封筒に便箋を入れる際には「三つ折り」が基本です。入らない場合には四つ折りにしましょう。
縦書きの便箋を三つ折りにする際は、初めに下三分の一を折りあげ、その後上から下に折り重ねます。四つ折りの場合も先に下二分の一を折りあげ、もう一度下二分の一を折りあげます。
その後封筒に入れて、のり付けしますが、封締めには「〆」、お祝い事の際には「寿」「賀」なども使われます。
お礼状の例文
では実際に、お礼状の例文を紹介していきます。
お礼状がよく使われるシーンの例文をまとめたので是非参考にしてみてください。
お客様への来店のお礼状
拝啓
寒さの厳しい季節になってきましたがいかがお過ごしでしょうか。
○○様にはご清祥のことと存じます。
先日はご多用のところ△△店へご来店いただきまして、誠にありがとうございます。
お買い求めいただいたスーツは、シンプルですが、〇〇様の上品な雰囲気に大変お似合いでございました。
フォーマルなシーンではもちろん、鮮やかな色のシャツや、小物をコーディネートすることで華やかが増し、カジュアルな場面でも使える一着となっております。
お洋服のお直しやコーディネート等、何かお困りのことがございましたら、いつでもご相談くださいませ。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。またのご来店を心からお待ち申しあげております。
敬具
購入に対するお礼と、今後もよろしくお願いしますという気持ちを伝えましょう。次の購入を促したり、新商品のセールスをするのはNGです。
お礼状を出すまでもなくとも、はがきやメール、今だとLINEのメッセージを送ることでお客様との距離を近づけるのことができます。
新規取引先へのお礼状
謹啓
暑さ厳しい折、貴社におかれましては益々ご健勝のことと存じます。
このたびは、〇〇に関する案件について、ご用命をいただきまして誠にありがとうございます。担当いたします〇〇でございます。
業界のリーディングカンパニーでいらっしゃる貴社とご縁ができ、更にお仕事のお手伝いをさせていただけますことは、とても光栄なことと存じます。
貴社の皆様との出会いはもちろんのこと、ご用命いただいた仕事を大切にし専念して担当いたします。一年後、両社ともに喜び笑顔が広がりますように。
何かございましたら、いつでもご連絡をくださいませ。
略儀ながら、お手紙にてお礼を申し上げます。
謹言
ビジネス上のお礼状の例文です。
取引があったことに関するお礼の言葉を述べることはもちろん、今後とも良い関係性を構築していけるよう、前向きで謙虚な姿勢が伝わるように意識しましょう。
新規の取引の場合、まだ信頼関係が構築できていない段階なので、自社の商品やサービスをアピールしすぎないように注意しましょう。あくまでも、感謝の気持ちを先方に伝えるのがお礼状の役目です。
セミナー講師へのお礼状
拝啓
清々しい秋晴れが続く昨今ですがいかがお過ごしでしょうか。〇〇先生におかれましてはますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
昨日はご多忙の中、弊社までご来訪いただき、ビジネスマナーに関するセミナーをご担当くださいまして誠にありがとうございました。
〇〇先生のセミナーは、実例を交えながらの講話で大変わかりやすかったと、受講者から大好評でございました。新入社員にとって、ビジネスマナーは重要であり、入社後にどのような教育を受けているかで会社の人材育成に大きく関わります。
〇〇先生のセミナーによって、マナーを身に着けることの重要性や、ビジネスの取引も最低限のマナーの上に成り立っていることを実感したようです。
早速、新入社員の共通課題として、お教えいただいたマナーやテクニックを定期的に振り返る時間を作り、業績アップに繋げてまいりたいと考えております。
新入社員にビジネスパーソンとしての自覚が現れてきた頃、その成果を先生にご報告させていただきます。
皆で、一生懸命取り組んでまいりますので、引き続きご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、人事部一同〇〇先生のますますのご健勝をお祈り申し上げ、お礼といたします。
敬具
こういった場面でのお礼状には、主催者や受講生の感想、今後の目標などを添えると、相手にも喜んでもらうことができるでしょう。
会食のお礼状
謹啓
余寒厳しい折折ではありますが、いかがお過ごしでしょうか。
〇〇様のご紹介でお食事の機会を設けてくださり、誠にありがとうございました。思いがけずご馳走になり、重ねてお礼を申し上げます。
〇〇様が選んでくださったお店は、さすが素晴らしいお料理ばかりで、存分に堪能させていただきました。
お食事もさることながら、公私にわたるさまざまな事柄をじっくり語り合うことができたお時間は大変貴重なものになりました。
実際にお話させていただくことで、意外な一面も知ることができ、より一層親しみが湧きました。貴社の製品への想いを伺い、素晴らしい製品が次々と開発される原動力が分かり、感動いたしました。
弊社のサービスとコラボレーションさせていただけましたら、必ず業界に新しい風を吹かせることができると確信いたしております。ぜひ、両社で〇〇のプロジェクトを実現できますと幸甚です。
まだまだ話し足りないこともございますので、またお目にかかれますことを楽しみにしております。次は、わたくしがお店を探し、ご連絡いたします。
今後ともお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
謹言
会食のお礼状を書く際のポイントは、話をする中で感銘を受けたポイントや、今後の願望などを具体的に書くことです。
会食をきっかけに親睦を深め、ビジネスに繋がるということは少なくありません。一手間かけた感謝状で、チャンスをものにできるようにしましょう。
結婚式に出席してくれた人へのお礼状
謹啓
暖かな日差しに春の訪れを感じるこの頃。ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
先日はご多忙のところ、私どもの結婚式にご出席くださいまして、誠にありがとうございました。また、過分なお祝いの品と温かい激励のお言葉を頂戴いたし、心より御礼申し上げます。
新しい生活が始まるわけではございますが、二人で温かな家庭を築いていきたいと思っております。
何分未熟な二人ではございますが、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
謹言
友人などには、かしこまった挨拶は不要かもしれませんが、会社の上司やお世話になった方々にはお礼状を送るのがマナーです。
今後の家族生活を応援してもらうためにも、感謝の気持ちが伝わるようなお礼状を送るようにしましょう。
内定のお礼状
拝啓
陽春の候、貴社におかれましては、益々ご隆盛のこととお喜び申し上げます。
このたびは、採用内定のご通知をいただき、誠にありがとうございました。
早速家族へ報告し、家族ともども大変喜び感謝いたしております。
来春からは、貴社の発展に貢献できますよう、一社員として恥じることなく精励恪勤して参る覚悟でございます。
未熟な私ですが、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社の益々のご発展ご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
まずは書中をもちまして、内定の御礼を申し上げます。
敬具
ですが、今後お世話になる会社なので、一社会人としてお礼状を出すのも良いでしょう。宛先は採用担当者とし、内定承諾書やその他の書類に同封して送るとベストです。
メッセージカードが作れるツール
お礼状を紙で送るときは、デザインを考えたり印刷をする必要があります。
そのような際は、デザインツールを利用するのがおすすめです。
Canvaではお礼状を作成するのに必要な機能がすべて備わっています。
どのようなシチュエーションでも対応できる豊富なテンプレートを用意していますし、使いやすいシステム設計がCanvaの特徴です。ご興味ある方は下記のリンクからご確認ください。
Canva公式サイト:オリジナルメッセージのデザイン・印刷
まとめ
電子媒体でのやりとりが主流となった現代だからこそ、手書きのお礼状は温かみがあり、効果を発揮します。
もらった側も、電話やメールよりも、より感謝の気持ちを感じることができるはずです。
便箋や封筒の用意、手書き、郵送と手間は多いですが、その分相手に思いを伝えることができるお礼状を使いこなせるようにしていきましょう。
かしこまってお礼状を書くまでもない、という場合には感謝の言葉をメールで送るということが頻繁に行われています。
以下の記事で、お礼メールを送る際の注意点や例文を紹介しているので参考にしてみてください。