始まりの季節である春に、お世話になっている方や、取引先などに挨拶メールを送った経験はあるでしょうか。
ビジネスの場で行われる挨拶メールでは、正しい言葉遣いをし、フォーマルな形に整える必要があります。
しかし、いざ挨拶メールを作成しようとした際に「適切な書き出しと結びの言葉はどれか」と不安に思うこともあったはずです。
日本語には、「季語」という言葉があるくらいなので、季節や各月によって、最適とされる書き出しと結びの言葉が異なります。
この記事では、春(2月~5月)の挨拶メールに使える、書き出しと結びの言葉をまとめています。
受け手に気持ちが伝わるように、シーンや相手との関係によって、適切な春の挨拶メールを送りましょう。
目次
新年度を迎える春の挨拶メールの重要性
年度が変わり、人事関係でも動きのある春の季節は、フォーマルな挨拶をする機会が多い季節です。
挨拶はビジネスの場だけでなく、人間関係の基本であり、特に変化が大きい「春」という季節の挨拶はとても重要な意味合いを持っています。
自分と関わりのある方に対して、春の挨拶メールを送ることにはどんなメリットがあるのか、改めておさらいをしてみましょう。
挨拶は良好な人間関係の基本
日本では、「暑中見舞い」、「寒中見舞い」といった、季節の節目にお世話になっている相手に対して挨拶をする習慣があります。
相手方に直接出向いたり、手紙を出したりという機会は少なくなりましたが、節目ごとに丁寧な挨拶をすることで、普段の感謝の気持ちを相手に伝える文化は今でも良好な人間関係の基本になっていることは間違いないでしょう。
きちんとした挨拶メールは自分の評価アップにも繋がる
時代の変化とともに、古くからの慣例にしたがった、いわゆる「お堅い日本語を使った文章」を作成する機会は減少しているかもしれません。
とは言え、ビジネスの場では大切な相手であればそれだけ、フォーマルな文章を使った挨拶をする必要があります。
しっかりとした日本語で挨拶の文章を作成することは社会人にとって必須のスキルとも言えますが、実際のところそういった文章を自作できる人は多くはいません。
だからこそ、形の整った文章を作成し挨拶メールを作成することができれば、それだけで周囲の方からの評価アップに繋がります。
送る時期や相手を考慮した上で、誰に見せても恥ずかしくない挨拶メールを作成しましょう。
春の挨拶メールの書き出し、結びの例文
ここからは、実際に挨拶メールで使われる「書き出し」と「結びの言葉」を各月ごとにご紹介していきたいと思います。
挨拶メールを送るのはもちろん大切なことですが、相手に違和感や不快感を与えない文章を作成することを意識しましょう。
あまりに形式的な挨拶をしてしまうと、相手に気持ちが伝わりづらいばかりか、「作業で挨拶をしているのでは無いか」といった不信感を持たせることにも繋がりかねません。
天候などの状況を加味して言葉を選んで文章を作成しましょう。
2月(如月)
気温で言うとまだまだ寒さが残る2月ですが2月4日は「立春」と呼ばれ、春の始まりを意味しています。
この辺りから春を感じさせる言葉を書き出しに使用するケースが多いです。
- 晩冬の候、〜
- 残寒の候、〜
- 向春の候、〜
- 梅花の候、〜
- 軽暖の候、〜
以上の様な言葉が2月の挨拶メールにおける「書き出しの言葉」として使われます。
これらの言葉は「漢語調」と呼ばれており、ビジネスでも最もフォーマルな場合に使用されることが多いです。
上の3つはまだまだ寒い冬の季節にフォーカスした書き出しになっていますが、「向春」や「梅花」「軽暖」といった、春を思わせる様なフレーズもこの時期から使われています。
もっと柔らかい表現の方が適切だと思われる場合は「漢語調」をもう少し柔らかくした「和語調」を使いましょう。
- 余寒厳しき折ではありますが、いかがお過ごしでしょうか。
- 厳しい寒さは残るものの、暦の上では春を迎えました。
- 節分を過ぎ、寒い中にも春の気配が感じられる昨今。
- 立春とは名ばかりの厳しい寒さが続きますが、お元気でお過ごしでしょうか。
- ほころび始めた梅のつぼみに、春のきざしが感じられる時節となりました。
この様に「和語調」は、より生活感を演出することができるのが特徴です。
また、挨拶メールを送る時期にあった挨拶をすることができるのも魅力と言えます。
2月4日が立春であるとは言え、大寒波が来ている時期に「軽暖の候」などの、暖かさを感じさせる様な挨拶メールは適切とは言えません。
むしろ、受信した相手に「作業感」や「不信感」を与えてしまう可能性もあります。
この後に紹介する「結びの言葉」も同様に、現在の気候・状況を加味した挨拶メールを心がけましょう。
結びの言葉には、基本的に「和語調」が使われます。
- 暦の上に春は立ちながら、厳寒の折でございます。何卒ご自愛されます様お願い申し上げます。
- 寒気冴え返る時節ゆえ、何卒ご自愛下さい。
- 残寒の時節柄、ご自愛専一にてお願い申し上げます。
- 梅の便りが聞かれる昨今、皆様のご健勝を心よりお祈りいたします。
- 三寒四温の時節ですが、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
立春をすぎたとは言え、春を感じさせる締めの挨拶が適切なのかどうかを考慮した上で春の挨拶メールを作成しましょう。
3月(弥生)
- 早春の候、〜
- 陽春の候、〜
- 春和の候、〜
- 霞立つ春、〜
- 浅春の候、〜
3月になると「冬の中に春を感じさせる」といった意味合いよりも、「これから春が始まる」という、春の到来を感じさせる言葉が適切になってきます。
記録的な寒波などにより、まだまだ寒さが目立つ場合はそれに適した「和語調」の挨拶で、寒さを表現しましょう。
- 寒暖定まらぬこのごろですが、お達者でお暮らしでしょうか。
- 暑さ寒さも彼岸までと申しますが、まだ肌寒い日の続くこのごろ、お元気でお過ごしでしょうか。
- 日差しが春のおとずれを感じる頃となりました。
- 徐々に厳しい寒さも和らぎ、春の陽気を感じられるようになりました。
- 暖かな日差しに春の訪れを感じるこの頃。
「彼岸」とは昼と夜の長さが同じになる時で、「春分」と「秋分」がそれにあたります。一般的に春分は3月17日〜3月23日の期間を指します。
それを超えて寒さが続く様な場合には、2番目にご紹介している様な挨拶をすることで、フォーマルの中にも親近感のある挨拶メールを作ることができるでしょう。
次に結びの言葉です。
- 寒暖定まらぬ時期ですので、ご自愛くださいますよう念じあげます。
- まだまだ寒さが残っております。お風邪など引きませんようお気をつけください。
- 新しい環境で心機一転、皆樣の幸福をお祈りいたします。
- 春暖快適の候、貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
- 春風とともに、皆様にお幸せが訪れますようお祈りいたします。
2月と比較すると、春を感じさせる言葉が使われることが多い時期ではありますが、状況によって寒さにも注目した挨拶をする様にしましょう。
4月(卯月)
- 麗春(れいしゅん)の候、〜
- 春爛漫の候、〜
- 春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)の候、〜
- 惜春の(せきしゅん)候、〜
- 桜花の候、〜
4月になると、春の暖かさや爽やかさを表現する様な言葉が適切になってきます。
「桜」の様に一月の中で大きく変化をする言葉を挨拶メールに使うことで、より挨拶をする時期にあった文章を作成することができるでしょう。
ただし、桜の場合は地域によって開花の時期が大きく異なるので、ニュースなどで桜前線の情報を確認して送信した方が良さそうです。
- 春の日差しが心地よい毎日でございますが、(○○地方ではいかがでしょうか)。
- 花吹雪から葉桜となり、晩春の愁い感じる季節になりましたが〜。
- 桜もいつしか盛りを過ぎましたが、お健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。
- うららかな春の日が続きますが〜。
- 花の盛りもあわただしく去り、いよいよ春も深まってまいりましたが〜。
桜のシーズンが終わりに近くなった頃には「葉桜」というワードを使うことで、春の終わりと初夏の訪れを感じさせる文章を作ることができます。
- 新天地でのさらなるご活躍をお祈りしております。
- 行く春を惜しみつつ、ますますのご活躍を祈っています。
- 色とりどりの花が咲き競う季節です。一層のご活躍のほどをお祈りいたします
- うららかな春の日が続きますが〜。
- 花冷えに風邪など召されませぬようご自愛下さい。
「花冷え」とは、桜が咲く時期にも関わらず寒い日が続いている様な状況で使われる言葉です。
「新天地」や「新たな環境」などの言葉も、移動が多い春の時期によく使われる言葉なので、状況に応じて使いましょう。
5月(皐月)
- 惜春の候、
- 若葉の候、
- 向暑の候、
- 惜春(せきしゅん)の候、
- 初夏の候、
気象庁による「時に関する用語」によると、日本の夏は「6月〜8月」の時期を指します。
また、立夏(5月6日)の前後から、夏をイメージした挨拶をするのが一般的であると言われています。
したがって5月の挨拶メールでは「初夏」や「向暑」の様な、徐々に夏が近づいている事を表す言葉が好まれます。
特に近年は、5月頃から高い気温の日が多く、同月における都内の平均気温は20℃前後になっています。
異常な暑さが続いている場合には和語調を使って、挨拶メールを送信するタイミングに適した文章を作成してみましょう。
- 風薫る五月がやってまいりました。
- 八十八夜も過ぎ、夏の訪れを感じるころとなりました。
- まるで夏を思わせるような陽気ですが〜。
- 梅雨の走りかと思うような日々が続いていますが〜。
- 暦の上ではもう夏を迎え、暑い日が続いておりますが〜。
「八十八夜」とは、2月4日の立春から88日後を指しています。
- 向暑の折、くれぐれもご自愛下さい。
- さわやかな五月晴れの日々を、ますますお元気でご活躍くださいますようお祈り申しあげます。
- 風薫る五月、どうぞお健やかにお過ごしください。
- 梅雨入りも間近でございます。体調を崩されませぬよう、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
- 連休明けでお忙しいと思いますが、ご無理なさいませんよう〜。
日本では、長期の連休は5月の「ゴールデンウィーク」か1月の「正月」であることが一般的なので、「連休」という言葉自体が季節感を持っています。
挨拶メールを送る相手との距離感や、結びの言葉以前の文章構成にもよりますが、挨拶の結びに「ゴールデンウィーク」という言葉を使ってしまうと、フランクな印象の文章になってしまう可能性が高いです。
「(5月の)連休」や、テレビでも使われる「大型連休」の様な言葉に置き換えると、文章のまとまりを出すことができます。
また、6月前後から始まる「梅雨」へ向けての言葉も、5月ならではの言葉になります。
さらに印象の良いメールを作るには?
季節の挨拶は文頭に添える役割だけでなく、グリーティングメールとしても活用できます。
定期的にお客様と接触を持つことができ、継続的な信頼関係を築く役割があるグリーティングメールは、挨拶メールのトレンドとなっています。
上の画像のようなオシャレなメールを受け取ったら、気分も明るくなり印象も良いですよね。「今日、●●会社さんから素敵なメールを貰いましたよ」と、先方の社内でも評判になるかもしれません。
このように気遣いが感じられる素敵な画像付きメールは人気がありますが、作るのは大変そうですよね。
確かに一昔前は画像付きメールを作るのは専門知識が必要でしたが、今では下の動画のように直感的におしゃれなメールを簡単に作ることができます。
ちなみに、このようなメールをHTMLメールと呼びます。
HTMLメールについて知りたい方は、ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
まとめ
手紙でのやりとりが減り、電子メールを使った季節の挨拶をする機会が増えてきました。
しかし、お世話になった方へ感謝・応援の気持ちを伝える習慣は、まだまだビジネスの場にも根付いています。
フォーマルな挨拶メールにはある程度のパターンが決まっていますが、あまりに形式的な挨拶では、かえって相手に不信感を与えてしまう可能性もあるので注意が必要です。
挨拶メールにおいて大事なのは、フォーマルな形式に従いつつ、季節感や挨拶をする相手との関係を適切に表現することです。
適切な挨拶メールを作成できれば、社内での評価アップにもつながることでしょう。
しかし、ビジネスで関わりのある人があまりに多く、それぞれの方に合ったメールを自作するのが現実的ではない方もいるかと思います。
その場合は、「メール配信サービス」を利用することで、問題を解決できるかもしれません。
1000、2000件のメールを一斉に送信できるだけでなく、宛名が自動で差し込まれる機能もあり、一人一人に心のこもったメールを届けることができます。
時間の短縮にもつながる上に、多くの方へ向けて春の挨拶メールを送信する事を可能にするメール配信サービスを上手に活用してみてください。