リスティング広告の運用をしているマーケターなら「指名検索が伸びない」という悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
ブランドの認知獲得は一朝一夕にできるものではありません。非常に忍耐を要する施策です。
指名検索に連動するブランド認知を向上させるうえで知っておかなけれあならないのが「第一想起」です。
第一想起とは、消費者が特定のカテゴリーやニーズに対して最初に思い浮かべるブランドや商品を指します。
マーケティングにおいて、この第一想起を獲得することは非常に重要です。本記事では、第一想起の獲得方法をメリットデメリットと合わせて詳しく解説していきます。
目次
第一想起とは?
第一想起とは、ある特定の状況やニーズにおいて、消費者が最初に思い浮かべるブランドや製品のことです。
例えば、コーヒーを飲みたいと思ったときに、真っ先に頭に浮かぶのはどのブランドでしょうか?それがあなたの第一想起です。
- ファストフードといえば?⇒マクドナルド
- 動画配信といえば?⇒YouTube
- メール配信システムといえば?⇒ブラストメール
第一想起の獲得は市場シェアが高いブランドが有利に働きます。ユーザーが多ければ売り上げが高く、その分広告や口コミで認知される可能性も高まるからです。
一方、広告や口コミ以外にもメルマガなどで接触し続けることができれば、市場シェアが低くても第一想起を得やすくなります。
ブランドカテゴライゼーションとは?
第一想起を正しく理解するために理解しておく必要がある概念として、ブランドカテゴライゼーションというものがあります。
勝手にマーケティング分析>ブランドカテゴライゼーションとは?消費者の心を掴む戦略を解説より引用
上記の表はブランドカテゴライゼーションの段階をわかりやすく図解化したものです。
ブランドカテゴライゼーションとは、消費者の心の中でブランドがどのように分類され、認識されているかを理解し、分析する手法です。
この概念は、消費者行動理論と認知心理学の知見に基づいており、ブランドの認知から選択に至るまでのプロセスを段階的に捉えます。
ただし、実際消費者が上記の通りの思考プロセスを踏むかというと全くそんなことはありません。むしろ消費者の頭の中は右から入るケースも多いです。
- 入手可能集合:世界中にあるすべてのコーヒーブランド
- 知名段階:名前を聞いたことがあるか?(WONDA / BOSS / GEORGIA など潜在的に知っているものすべて選ばれる)
- 処理段階:商品の特徴がわかるか(「朝専用」「ノンカフェイン」など)
- 考慮段階:今回の判断において「あり」「なし」「保留」を選択(嫌いなブランドなどを排除)
- 選考段階:最初に思い浮かべるのが「第一想起」(BOSSにしよう)
ブランドカテゴライゼーションは、消費者の思考の流れではなく、「消費者の認知の枠組みを細かく分類したもの」と覚えておくとよいでしょう。
第一想起の役割
第一想起は、消費者の購買行動に大きな影響を与える重要な要素であり、マーケティングにおいて戦略的に活用することで、ブランド認知度向上や売上増加に繋げることが期待できます。
ここでは、第一想起がビジネスに与える影響を2つの視点から解説していきます。
ユーザーにとっての第一想起
消費者は、何かを購入しようとする際に、まず自分の頭の中に思い浮かぶブランドや製品から選択することが多いです。
第一想起されるブランドは、消費者に信頼感や安心感を与えるとともに購買のハードルを下げる効果も期待できます。逆に、第一想起されないブランドは、消費者の選択肢から外れてしまう可能性が高く、購買機会を失ってしまうリスクがあります。
ブランド認知度と第一想起の関係
ブランド認知度とは、消費者が特定のブランドを知っているかどうかを示す指標です。
ブランド認知度を高めることは、第一想起を確立するために非常に重要です。ブランド認知は上述の表でいうところの「知名段階」に当たるので、そもそも知られていないと想起しようがありません。
第一想起獲得のメリット
チャック付きのビニール袋を買いたいとき、お店で店員さんになんと質問しますか?
「ジップロックってどこにありますか?」と聞く人も多いのではないでしょうか。ここでいう「ジップロック」はブランド名で決してカテゴリの名前ではありません。
実際にジップロックのおいてある棚には類似商品がたくさん並んでいますが、特に比較検討せずにそのままジップロックを購入する人いると思います。
このように、第一想起獲得の獲得には多くのメリットがあります。
いずれの場合にも共通して言えるのは「競合と比較されない(されたとしても有利な状況から比較される)」ということです。
- 確実に検討してもらえる
- 最初に検討してもらえる
- 直感的または習慣的に買ってもらえる確率が一番高い
- 検討後に買ってもらえる確率が一番高い
確実に検討してもらえる(ブランド指名検索をしてもらえる)
店舗での購入でも、ECサイトでも、Googleなどの検索でも、第一想起を獲得したブランドは基本的に検討段階に上ります。
購入を決めた状態で検索する人もいます。こうなると導入までの道筋が圧倒的に近くなるので、営業部門などは非常に成約を得やすくなります。
最初に検討してもらえる
同様に、その順番も大きなアドバンテージがあります。
最初に検討してもらって使い心地がいい、費用感があっている、という状態になれば基本的にはそのまま購入までたどり着けます。
競合製品は比較検討のテーブルにすら乗りません。
直感的または習慣的に買ってもらえる確率が一番高い
ジップロックのような消耗品の場合、何度も購入する時に比較なしで購入してくれます。
なじみ深く、使い方や陳列場所まで覚えている人もいるので、競合製品は目に入りません。
検討後に買ってもらえる確率が一番高い
比較検討のテーブルに競合製品が上がってきたとしても「もとから知っていた」というアドバンテージは揺るぎません。
最終的に購入の決め手に「聞いたかとがあった」「友人が使っていた」などと答える人も多いです。
第一想起獲得のための具体的な取り組み
第一想起の獲得方法は様々ですが、「接触し続ける」という点においては共通しています。それぞれメリットデメリットがあるので、どれか一つではなくて複数施策で多角的にユーザーに接書し続けることが大切です。
参考記事:ザイアンス効果(単純接触効果)とは?マーケティングに利用できる心理学を分かりやすく解説
マス広告
テレビ、新聞、看板、交通広告などの不特定多数に向けた広告です。
著名人を起用するなどして「〇〇さんが広告やっているところ」という認知をとることが可能です。
デメリットとしては費用が圧倒的に高いことと、効果測定が難しいことです。マス広告はある程度利益を出していて資金が潤沢なる強者の施策と呼べるでしょう。
WEB広告
検索連動型よりもSNSやディスプレイといった画像訴求ができる広告がおすすめです。
特定のユーザに対して何度も接触できるうえ、接触したいターゲットをある程度絞り込むことも可能です。
一方、成果を上げるにはそれなりの資金が必要なうえ、直接広告をクリックして購入することもほとんどないので、KPIの設定が難しいです。
口コミの獲得
ユーザーの力を借りて拡散することも有効です。こちらは広告費をかけずに行うことができ、うまくいけば強烈なインパクトにつながります。
一方、ネガティブな発信がされる可能性もあります。また、そもそも発信するかどうかをコントロールできません。
折衷案として口コミ投稿キャンペーンなどを実施することもあります。口コミを投稿してくれた人にクーポンなどのインセンティブを用意します。
多少の費用は掛かりますが、一定数の口コミを安定して稼ぐことができます。
メディアでの紹介の獲得
テレビや新聞、WEBメディアなどの第三者機関からの紹介も非常に重要な方法です。
第三者(特に法人)からの紹介は、商品やブランドの認知度を非常に高めてくれます。
メディアアプローチの方法ですが、プレスリリースやニュースレターなどで、とにかく新規の情報を送り続けましょう。個別最適化されたメールが送れれば一番ですが、時間がなければ一斉送信でも構わないので、とにかく情報提供をし続けましょう。
メディアでの紹介と口コミは、第三者経由の紹介という意味で「アーンドメディア」と呼ばれます。アーンドメディアについては以下の記事で詳しく解説しているので読んでみてください。
参考記事:アーンドメディアとは?オウンドメディア・ペイドメディアとの違いや関係、効果的な活用法まで徹底解説
メルマガ配信
メルマガ配信はやメ-ルマーケティングは、獲得したリストに対して何度でも無料でブランド名を連呼できる最高の広告手段です。
メールは開封されなくても件名に商品名やブランド名が書かれていれば接触効果はあります。開いてくれたら御の字でしょう。
また、メルマガ配信は今まで紹介した方法の中で唯一施策の効果を明確に測定できる施策なので、導入ハードルも非常に低いといえます。
関連記事:メールマーケティングとは?基礎知識やメリット・実施方法を徹底解説【2024年最新版】
第一想起を測定する方法
第一想起を実際獲得できたかどうかを調べる方法は以下のようなものがあります。
- アンケート:消費者に特定の状況やニーズにおいて、最初に思い浮かぶブランドや製品を尋ねる
- インタビュー:消費者に直接インタビューを行い、第一想起に至るまでの思考プロセスや理由を詳しく聞き取る
- 市場調査:市場調査データや競合他社の分析を通じて、第一想起に関する情報を収集する
取れる情報の量は「市場調査」>「アンケート」>「インタビュー」ですが、情報の質(深さと解像度)は逆の順になります。
調査手法を選択する際には、調査目的やターゲット層、予算などを考慮する必要があります。また、調査結果の精度を高めるためには、適切なサンプルサイズを設定し、偏りのない方法で調査を実施することが重要です。
どれを選べばいいかわからない場合、アンケートをお勧めします。メール配信システムを導入していれば簡単にフォームを送信することが可能ですし、実際のユーザーに直接声を聴くことが可能です。
参考記事:回答したくなるアンケート依頼メールとは?送る上での基本事項や例文も紹介します!
第一想起獲得に必須のツール
第一想起獲得の施策を実行するうえで、なくてはならないツールが「メール配信システム」です。
メール配信システムは大量のメールを一斉送信することに特化したシステムのことで、HTMLメールが簡単に作成できたり、メールの到達率を高めてくれます。
第一想起を獲得するうえで「メルマガ配信」「プレスリリース配信」「口コミキャンペーン告知」「アンケート調査」など様々な場面でメールを一斉送信する必要が出てきます。
これらの施策を通常のBCC一斉送信で行うのは手間がかかるだけでなく、個人情報漏洩などの重大なリスクもあります。
メール配信システムを使うメリット
メール配信システムには様々なメリットがあります。ここではメール配信サービスを使ってメルマガを送るメリットを紹介します。
スパムフィルタ対策が充実している
メール配信システムにはドメイン認証などセキュリティに特化した機能が備わっています。また、信頼度の高いIPアドレスを保有していることも多く、通常のメーラーで配信を行うよりも到達率が高くなります。
宛先リストの管理が容易
メール配信システムにはセグメント配信機能がついていることが多く、送信先を容易に調整できます。Gmailなどのメーラーでも可能ではありますが、誤送信等のリスクがあるので、あまりおすすめのやり方ではありません。
セキュリティ上のリスクを抑えられる
誤送信やCC/BCC間違いといった人的エラーから生じる情報漏洩といったリスクも最小限に抑えられます。
大量のメールを一度に効率的に送信できる
メール配信システムは多くの場合、大量送信に適したサーバーを使用しているので、一度に大量のメールを送ることができます。また、有料サービスの場合、送信通数やアドレス数に応じて料金が設定されているので、自分に合ったシステムを導入すれば、低価格で大量のメール配信が可能です。
特にブラストメールは、アドレス数に応じた料金プランなので、配信数の少ないメールマーケティング初心者にもお得に使えるサービスです。
配信の分析ができる
メール配信システムは多くの場合、到達率や開封率、クリック率といった指標の分析が可能です。
特にビジネス利用でメールを送りたい場合、施策の効果測定は必須です。通常のメーラーを使った一斉送信ではどれだけ届いたか、何人が開封したか、といったデータが全く取れません。
一斉メールを送りたい人にはメール配信システムの利用を強くお勧めします。
関連記事:メール配信システムおすすめ比較20選!専門家が図解とランキング形式で解説
メール配信システムの選び方
メール配信システムには多様なサービスがあるので、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。
ここでは、メール配信システムを選ぶ時のポイントについて解説します。
配信規模と料金プラン
メール配信システムは、配信規模によって最適な料金プランが異なります。少量のメールであれば無料プランでも十分ですが、配信リストが増えたり、頻繁にメールを送信する場合は有料プランをお勧めします。
配信速度
見逃されがちですが、メール配信システムにおいて配信速度は最重要項目といっても過言ではありません。
サポートや機能が各社の戦略次第で変更可能なのに対し、配信速度は長年蓄積された技術に裏付けされているので、一朝一夕にまねできるものではないからです。
メール配信システムを選ぶ際はその信頼度の指標としいて必ず配信速度を確認しましょう。
安全性と到達率
到達率も非常に重要です。SPF(Sender Policy Framework)やDKIM(DomainKeys Identified Mail)といった、メールの正当性を保証するための認証プロトコルに対応していないと、メールがスパム扱いされる可能性が高くなります。
特にGmailは送信者ガイドラインもアップデートされているので、これらの対策がなされているシステムを選ぶのは必須といえるでしょう。
関連記事:【解決策】2024年2月よりGmailガイドラインが変更!1日5000件以上の配信は対応必須!
サポート体制
メールの一斉送信は個人情報を扱う非常にデリケートな領域なので、万が一の際のサポート体制は非常に重要です。特にチャットサポートや電話サポートといった、リアルタイムのサポートが提供されているか、日本語でのサポートがあるかは重要なチェックポイントになりえるでしょう。
機能の充実度
メール配信システムには、セグメント機能や効果測定など、様々な付加機能が用意されています。必要な機能が揃っているか確認しましょう。
また、不必要な機能がついていることで、金額が高くなっているケースもあります。本当に自社で必要な機能は何かを考えたうえで、必要最低限のプランを選ぶことをおすすめします。
使いやすさ
メルマガ初心者の場合、いきなり高度なデザインの入ったメールを0から作成するのは非常に難易度が高いです。また、管理画面の見やすさも、メルマガの運用をしていく上では非常に大切です。
無料トライアルやFreeプランを提供しているサービスは、実際に使ってみることができるので、自分に合ったサービスを探すのに役立つでしょう。
メール配信システムといえばブラストメール(blastmail)
ブラストメールは、14年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
配信速度が高く、到達率が非常に高い点が魅力で、速報性の高い情報も届けることが可能です。最も安いプランなら、月額4,000円で導入することができます。
効果測定機能はもちろん、セグメント配信や豊富なテンプレート、HTMLメールエディタなど、基本的な機能はすべて揃っています。
「メディアアプローチをやり切れない」「メルマガ配信の手間を減らしたい」「たくさん機能があっても使いこなせない」といった方にはブラストメールがおすすめです。
無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
まとめ 第一想起獲得は長期的な戦略
第一想起を確立することは「ブランド認知度向上」「顧客ロイヤリティ構築」「競合との差別化」など、様々なビジネス効果をもたらします。
しかし第一想起は簡単に獲得できるものではありません。第一想起を維持し続けるためには、持続可能なブランド構築が不可欠です。
- ターゲット層を明確にする:どのような消費者に第一想起されたいのか、ターゲット層を明確にすることが重要です。
- 競合他社を分析する:競合他社がどのような戦略で第一想起を獲得しているのかを分析し、自社の戦略に活かします。
- 独自の価値を提供する:競合他社との差別化を図り、消費者に独自の価値を提供することで、第一想起を確立します。
- 継続的な取り組み:継続的な取り組みを通じて、ブランド認知度を高め、消費者の心に残るブランドを目指しましょう。
これらの取り組みをおこなうことで、あなたのビジネスは長期的に勝てるビジネスに育っていきます。
第一想起を戦略的に活用することで、ブランド認知度向上、顧客ロイヤリティ構築、競合との差別化など、様々なビジネス目標を達成することができます。第一想起を確立し、消費者の心に残るブランドを目指しましょう。