「顧客」という言葉はビジネスに置いてよく使われていますが、その定義やマーケティング上の立ち位置などを把握しているでしょうか。
普段、何気なく使われている言葉でも、定義や意味を理解することでマーケティング施策の効果を今まで以上に引き上げることができるかもしれません。
この記事では「顧客」の定義やマーケティングをする上での使い方について解説をしています。
後半では、分類した顧客を育成し自社の売上アップにつなげる施策についてもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
目次
顧客の定義
顧客とは以下のように定義された言葉です。
自社が提供する商品・サービスを購入したことがある人。もしくはこれから購入したいと考えている人。
一度でも自社のサービスを利用したことがある方はもちろん、場合によってはまだ自社のサービスを利用したことがない人のことも「顧客」と呼ぶことがあります。
そのため、マーケティングをする上で「顧客」は以下のように分類され、それぞれにあった施策を講じるのが一般的です。
- 潜在顧客(見込み客)
- 既存顧客
- 優良顧客
もし「一度だけサービスを利用したことがある人(既存顧客)」と「何度もサービスを利用している人(優良顧客)」を同じ顧客として扱い、同様のアプローチをしてしまっているとしたら、それは最善とは言えないでしょう。
マーケティングをする際は顧客を上記の分類に当てはめて、それぞれに合った顧客管理や施策を行わなければなりません。
顧客の分類
先述した顧客の分類についてもう少し詳しく解説をしていきます。
顧客を分類する際の基準は各企業ごとに異なりますがこの記事では、サービスの利用頻度に注目して顧客を分類してご紹介します。
潜在顧客
「潜在顧客」とは、自社の商品やサービスを利用したことがなく、認知もしていない方を指します。
潜在顧客は、サービスの購入までが最も遠い顧客と言えるでしょう。
そのため潜在顧客は、自社のサービスを認知しているものの利用はしたことがない「見込み客」に引き上げるような施策が必要になります。
既存顧客
自社のサービスを1回以上利用したことがある方は「既存顧客」と呼ばれます。
とは言え、このままの定義ではかなり多くの顧客が既存顧客に分類されてしまうので、サービスの利用頻度別に以下のように細分化します。
- 休眠顧客:サービスを利用したことはあるが一定期間利用をしていない顧客や、商談から一定期間のアクションがない顧客
- 優良顧客:適切なタイミングでサービスをリピートしている顧客
休眠顧客はサービスの内容や金額に不満があり、競合他社のサービスに流出している可能性もある層です。
後述している、各顧客層へのアプローチを参考に休眠顧客の掘り起こしを行い、売上のアップにつなげましょう。
優良顧客
「優良顧客」は適切な頻度で自社のサービスを利用している顧客のことを指します。
サービス利用の頻度は業種によって異なるので、自社が提供する商品・サービスの目標となる購入頻度を設定しましょう。
各層の顧客をグレードアップさせる施策を考える
自社の商品・サービスをより認知させ、売上につなげるには各層にいる顧客に適切なアプローチを行う必要があります。
ここからは、これまでに分類した顧客層別にアプローチのコツを解説していきます。
潜在顧客や見込み客には他社との比較を通してニーズや課題を認識させる
潜在顧客はそもそも自社のサービスを認知していない顧客層です。
そのため、広告などを通じてサービスを認知させる必要があります。
広告媒体はチラシやダイレクトメールのようなオフラインの集客と、ウェブを使ったオンラインの集客に大別することができます。
提供しているサービスやターゲットの属性などを考慮し、広告媒体を選択しましょう。
サービスを認知させる施策と並行して、他社との比較や自社製品の強みを潜在顧客に伝える取り組みも必要になります。
見込み客には、以下のようなポイントを意識してサービス利用への後押しをしましょう。
- 他社のサービスと比較して、どのようなメリットが得られるのか
- どのような課題を抱える方の利用頻度が高いのか
上記のような項目を具体的に伝えられるコンテンツを作成し差別化を図りましょう。
既存顧客・優良顧客には定期的な接触や休眠顧客の掘り起こしを行う
既存顧客や優良顧客に対しては、定期的な接触を通して自社のサービスの存在を忘れないようにさせる工夫が必要です。
ウェブが発達した昨今では、消費者は日々たくさんの広告媒体に接して情報を入手しています。
その中には、自社の競合となる商品・サービスも含まれているため、既に自社の顧客となっている方でもアプローチもせずにいると、他社に流出してしまう可能性があります。
休眠顧客に対しては新サービスの紹介や商品のアップデート情報を定期的に提供しましょう。
休眠顧客はサービスをすでに認知・利用していることや、商談までは進んでいることから、潜在顧客を既存顧客にするよりも集客効率が良いとされています。
顧客が休眠化した原因には以下のようなものが挙げられます。
- 予算の問題で見送られた
- サービス利用時のイメージが伝わらなかった
- 運用に関するリソースに問題があった
休眠化した原因を探ることで、自社のサービスを改善するきっかけにもなるでしょう。
顧客を育成する媒体は中~長期で運用できるものを選ぶ
潜在顧客を見込み客へ、既存顧客を優良顧客へといった、顧客の育成はマーケティング用語で「ナーチャリング」と呼ばれます。
先述したように、消費者が得られる情報量が多い現代では消費者が能動的にサービスの比較検討をするのが当たり前になっています。
そのため、消費者がサービスの購入に至るまでの時間が長くなっている傾向があり、企業が行うナーチャリングも中長期的な施策が一般的です。
中長期的に運用することができ、各層の顧客別にアプローチをすることができる集客媒体として「メール」があります。
SNS集客などは、不特定多数のユーザーに向けて広告媒体を表示するため、潜在顧客にサービスを認知させる目的で運用されることがほとんどです。
しかし、既に自社の顧客となっている既存顧客以上のユーザーに向けて、個別にアプローチをすることはできません。
メールを使ったナーチャリングは顧客を階層ごとに分類した上で、階層ごとに異なったコンテンツを配信することができるため、業種を問わず多くの企業で採用されています。
特に、ビジネスではSNSよりもメールを使う機会が多いことから、BtoBサービスにおけるナーチャリング媒体として需要が高まっています。
また、メールを使ったナーチャリングの一つである「メールマガジン」は、BtoCでも活躍しています。
『メールマガジン購読状況調査2021年度版』では、年代別のメールマガジンの受信率を調査しており、結果は以下の通りになりました。
世代 | 一通以上受信率 |
20代 | 62.6% |
30代 | 70.3% |
40代 | 76.2% |
50代 | 82.6% |
60代 | 84.9% |
コミュニケーション手段としてはSNSが主流になった近年でも、企業からの情報を受け取る媒体はメールが選ばれていることが分かります。
メールを使った顧客育成
メールを使った顧客育成とその方法についてもう少し詳しく解説しましょう。
メールマガジン
メールマガジンは「受信を希望するユーザーとのコミュニケーションを目的として、企業に関する情報を記載したメールを配信する」ナーチャリング手法です。
メルマガに記載されるものには、以下のようなものがあります。
- 商品・サービスの運用方法やお得情報
- 新商品に関する情報
- キャンペーン・フェアに関する情報
- 同じ商品を使っている企業(個人)の事例
これらの情報を定期的にユーザーに配信することで、顧客のナーチャリングだけでなく既存顧客からのリピートやアップセル・クロスセルが期待できるでしょう。
SNS集客とは違い、ユーザーをグループ分けした上で、各グループに向けて別々のコンテンツを選択的に配信できるのもメルマガを運用するメリットになります。
例えば、既存顧客に対しては商品の運用方法やお得情報を配信し、優良顧客に対しては新商品の情報を配信する、といった使い分けが可能です。
以下の記事では、累計10,000通以上のメルマガの配信実績があるメールマーケターがメルマガの運用・配信の方法について解説をしています。
併せてご覧ください。
ステップメール
ステップメールは、あらかじめ用意されているプログラムに沿ってメールを配信しナーチャリングを行います。
会員登録をした方には(a)のメール、メルマガの受信を始めた方には(b)のメールを……といったようにメールを配信します。
上記の例では、会員登録やメルマガの購読をメール配信のタイミングとなっていますが、任意に設定することができます。
ユーザーの購買意欲に応じて、効果的なシナリオとコンテンツを作成することを意識しましょう。
ただし、ステップメールはメルマガ配信上級者向けの機能となります。
ナーチャリングをするうえでは、最低限グループ配信や予約配信機能があれば問題ありません。
顧客育成に利用できるメール配信システム
メルマガ配信やステップメール配信を行うには「メール配信システム」と呼ばれる、メール集客に特化したシステムを利用する必要があります。
GmailやOutlookのような無料のウェブメール・メーラーで運用している企業も散見しますが、セキュリティや運用効果、人的コストの観点からオススメはできません。
特に、メルマガを使いナーチャリングをする上では不可欠とも言える「効果測定」は、Gmailなどでは使用することができません。
効果測定機能とは、配信したメルマガに関する以下のデータを取得する機能です。
- 到達率
- 開封率
- クリック率
作成・配信したコンテンツに対する読者の反応を数値的に把握することで、コンテンツをブラッシュアップしていくことが可能になります。
Gmailなどから配信したメルマガは、どれだけの顧客の受信ボックスに到達したのか、キャンペーンの詳細を記載したページのURLをクリックした顧客はどれだけいるのか、と言った数値を取得することができません。
つまり、配信したコンテンツが顧客育成に役立っているのかが分からないまま、メルマガを運用することになるのです。
メール配信システムは、配信規模や提供している機能ごとに金額顔となっていますが、月額4,000円程度のコストで運用することができるものもあります。
以下の記事ではメール配信システムごとに、金額や機能をまとめ、ランキング形式でご紹介しています。
ぜひご参考にしてください。
まとめ
広義では自社の商品・サービスを利用している方を「顧客」と呼びますが、マーケティングをする上ではもう少し詳しく分類し、各層ごとにアプローチを仕掛ける必要があります。
- 潜在顧客・見込み客
- 既存顧客
- 優良顧客
潜在顧客に対しては、自社の商品・サービスを認知させる取り組みが必要になり、既存及び優良顧客に対しては、定期的なアプローチを行い売り上げのアップに繋げましょう。
本記事でご紹介したメルマガなどを通して顧客を育成し、販促を行うことを「ナーチャリング」と呼びます。
ナーチャリングは商品の存在を知らない潜在顧客を育成するよりも、既存顧客にアプローチをした方が効率が良いとされています。
顧客ごとに任意のグループを作成し、グループごとに異なるコンテンツを配信することでアプローチをすることができるメルマガはナーチャリングの代表的な手法と言えます。
メルマガの作成・配信はメール配信システムを利用して行うのが一般的です。
ご紹介したメール配信システムのランキング記事を参考に、メルマガを利用し自社の顧客のナーチャリングを進めてみてはいかがでしょうか。