CSFという言葉をご存じですか?
ビジネスにおいて目標を達成するためには、CSF(重要成功要因)の理解が欠かせません。しかし一方で、CSFの使い方や意味を覚えられていない人も多くいます。
上司や先輩から「この目標に対するCSFは何ですか?」と聞かれて困った人も多いのではないでしょうか。
本記事では、CSFの意味や具体的な設定方法、活用法について詳しく解説します。
CSF(重要成功要因)とは?
CSFとは、”Critical Success Factor”の略です。そのまま訳すと「カギとなる 成功の 要素」といったところでしょうか。正式な訳し方では「重要成功要因」と呼び、企業が成功を収めるために不可欠な要因を指します。
KPIやKGIと並んで重要な役割を果たし、企業が目指す目標達成のために、どのような要素が重要であるかを明確にするものです。
また、似た言葉で「KSF」(Key Success Factor)もあります。同じ意味ですのでこの際どちらも覚えてしまいましょう。
CSFとKPI、KGIの関係性
CSFはKPIやKGIと密接に関係しており、それぞれの役割を理解することで戦略的な目標設定が可能になります。
KGIとは
まずKGI(Key Goal Indicator)とは、企業全体の目標のことです。中期経営計画や当月の利益金額目標など期間に差異はありますが、全体の業績を指すことが多いです。
最近は個人レベルまでKGIを落としこんでいる会社もあります。
CSFとは、「これさえやればKGIを達成できる」と確証が持てる行動のことです。
- 商談数を増やす
- 来店客数を上げる
- 客単価を上げる
- 滞在時間を延ばす
KPIとは
KPI(Key PerformanceIndicator)は、CSFを数値化したものです。
「商談数を増やしたらいいのは分かった。ではどれぐらい増やすのか?」の答えがKPIになります。
- 「今、月に20件行っている商談を30件にする」
- 「来店客数を今の1.5倍にする」
- 「客単価を8000円にする」
KPIは具体的な数値目標にすることが大切です。
以下は、メールマーケティングにおけるKPIについて解説した記事です。
関連記事:メールマーケティングにおけるKPI設定を分かりやすく解説!
CSF設定時の5つのポイント
CSFは間違って設定してしまうと時間の努力を無駄にしかねないので慎重な判断が必要です。
というより、CSFは「発見する」というニュアンスが強いです。成功要因などそんなに簡単に見つかるわけがありませんからね。
逆に言えばCSFを見つけてKPIを設定してしまえば、あとは実行するだけでKGIを達成できることになります。
CSFは「〇〇する」という動詞の形にする
先の例にもあるように、CSFは「増やす」「上げる」「延ばす」といった動詞の形にしましょう。「何をすれば、KGIを達成できるのか」という問いを頭に置くと考えやすいです。
CSFが「営業力」といったあいまいな言葉だと、結局具体的に何をすればいいのかがわからず行動できません。
測定可能なものにする
先の例に挙げた「営業力」で考えてみましょう。
仮に動詞の形に倣って「営業力を上げる」というCSFを置いたとして、営業力の基準はどのように図るのでしょうか。
この場合は「営業力」というあいまいな言葉をさらに分解して「一人当たりの月間アポ獲得数」「リード獲得件数」「キーマンコンタクト件数」など、だれが見ても定量的な評価ができる指標を選びましょう。
いくつも設定しない
CSFは「クリティカル」な指標ですから、基本的に1つと思ってください。事業部やサービスがいくつも乱立している企業なら別ですが、1サービスや1店舗レベルで見てCSFを複数設定するのは、あまりいい方法ではありません。
CSFはメンバー間で共通認識を持つことが大切なので、あまり多く設定すると何を優先していいかの判断がつかなくなります。
「率」ではなく「数」にする
これは場合によりますが、CSFで上げる、ないしは増やす対象は「率」よりも「数」が適切である場合が多いです。
率の場合は分母を減らすと必然的に上がってしまうので、結果的にKGIにたどり着かないリスクがあるからです。
とはいえ、先の商談件数の例でいえば、現状の営業人員がフル稼働して商談に行っていて売り上げが足りない、アポイントも十分とれているといった状況下で商談件数を増やすのは現実的不可能です。
この場合、人員を増やせないのであれば受注率を上げることがCSFになりえます。
上記はあくまで参考程度に、自社の状況や周囲の環境を考慮して決めましょう。
CSFの5つのタイプと特徴
CSFには系統別に特徴が微妙に分かれます。ここでは、CSFの5つのタイプについて紹介します。
業界関連のCSF
同一業界内での競争優位性を確保するための重要成功要因は、業界特有の競争環境や顧客ニーズを理解した上で設定する必要があります。
例えば、自動車業界では「燃費性能」「安全性」「デザイン性」などが重要なCSFとなります。これらの要素を強化することで、顧客満足度を高め、競合他社との差別化を図ることができます。
環境要因に基づくCSF
経済や社会の変化に対応したCSFの設定がいかに重要かを説明します。
環境要因に基づくCSFは「経済状況」「社会情勢」「技術革新」など、企業を取り巻く外部環境の変化を考慮して設定する必要があります。
例えば、環境問題への関心の高まりを受けて、環境負荷の低減やリサイクル技術の開発などが重要なCSFとなるケースがあります。
一時的な成功要因
ある時期に特に重要となるCSFについて、時事的な要因を考慮します。
一時的な成功要因は、市場のトレンドや競合他社の動向など、短期的な変化によって重要度が変化するCSFです。
年末年始やバレンタイン、ゴールデンウィークなど、特定のニーズが急激に増加するシーズンには、需要に即したCSFを見つけましょう。
顧客関連のCSF
顧客満足度向上のためのCSFは、顧客との良好な関係構築やニーズへの的確な対応が重要となります。
顧客関連のCSFには「顧客満足度」「顧客ロイヤリティ」「顧客獲得」などが挙げられます。
顧客の声を収集し分析することで、顧客ニーズを把握し、より良い製品やサービスを提供することができます。
顧客アンケートやメルマガにはメール配信システムを使うことをお勧めします。
関連記事:メール配信システムおすすめ比較20選!専門家が図解とランキング形式で解説
内部資源関連のCSF
内部資源関連のCSFは、企業が持つ人材、技術、資金などの資源を効果的に活用することで、目標達成を促進します。
人材育成や技術革新、資金調達などの活動を強化することで、企業の競争力を高めることができます。
プロセス関連のCSF
プロセス関連のCSFは、企業の業務プロセスを効率化し、品質向上を図ることで、目標達成を促進します。
業務プロセスを標準化し、自動化することで、業務効率を向上させることができます。また、品質管理体制を構築することで、製品やサービスの品質を高めることができます。
CSFを設定する具体的な方法
ここからはCSFを設定する具体的な方法について紹介します。
SWOT分析を行う
SWOT分析は、企業の内部環境(Strength:強み、Weakness:弱み)と外部環境(Opportunity:機会、Threat:脅威)を分析することで、企業の現状を把握し、将来の方向性を定めるための手法です。
SWOT分析を通じて、企業の強みを活かし、機会を最大限に活用することで、成功を収めるためのCSFを特定することができます。
個人レベルでは必要のない工程ですが、経営戦略を考える際には欠かせないステップです。
関連記事:SWOT分析とは?初心者向けにSWOT分析の成り立ちや成功のコツについてわかりやすく解説!
KJ法を活用した問題解決策の発見
KJ法とは問題の根本を探り、CSFを明確にするためフレームワークです。
KJ法は、アイデアや意見をカードに書き出し、それらを分類・整理することで、問題の本質を見抜き、解決策を生み出すための手法です。
複数人で意見を持ち寄り、漏れのない検討をするために有効な方法です。
よいCSFの共通点
ビジネスにおいて有効なCSFは、いくつかの共通点があります。
- 目標達成への貢献度:目標達成にどの程度貢献できるか
- 実現可能性:実現するための資源や能力が十分にあるか
- 緊急性:すぐに取り組む必要があるか
これらの要素を総合的に評価することで、自社にとって最も重要なCSFを特定し、優先的に取り組むことができます。
まとめ
CSFは、企業が成功を収めるために不可欠な要素であり、今後もその重要性はますます高まります。
CSFはKPIやKGIと密接に関係しており、それぞれの役割を理解することで戦略的な目標設定が可能になります。
経営者、管理職に限らず、一般現場メンバーも含めてCSFを習慣的に設定し、業務改善に取り組みましょう。