ビジネスメールのやりとりは、何かと心労を伴う仕事です。重要なメールに返信がないと仕事中そわそわしますし、相手から返信がなければ失礼のないようリマインドをかけないといけません。また、自分も相手方からのメールを見落とさないように注意する必要があります。
こうした悩みの根っこには「相手がメールを見たか分からない」という問題があります。
そのため「LINEの”既読機能”のように相手がメールを開封したかどうか知りたい」と思った方は多いでしょう。そんな方におすすめなのが「メールトラッキング」です。
本記事ではメールトラッキングにどのような機能があるのか、またおすすめのサービスはどれなのかについて解説します。
メールトラッキングはビジネスメールの悩みを一挙に解決可能なツールといえます。特に営業担当者には非常に重宝するツールであるため、ぜひ導入しておくと良いでしょう。
目次
メールトラッキングとは?
メールトラッキングとは、配信したメールの配信・開封状況を追跡(トラッキング)し、通知してくれるツールのことです。Webブラウザの追加機能という形で利用できるタイプと、SFA・CRMの一機能として利用できるタイプの2種類があります。
前者の場合は手軽かつローコストで運用できるのがメリットですが、サポートには不安がある点と、限られたメールサービスでしか利用できないケースが多いのがデメリットです。
一方SFA・CRMのメールトラッキングはコストが高いものの、サポートが充実していたり、メールサービスを問わず活用できる点がメリットです。また、副次的なメリットとして営業活動の効率化も見込めます。
メールトラッキングと「メール配信システム」の違い
メールトラッキングはあくまで個別のやり取りか、数十件程度までの小規模な一斉配信のメールの配信・開封状況を追跡するのに利用するものです。
一度に1,000件を超えるような大規模の一斉配信を遅延無く処理したり、追跡したりするのはメール配信システムの領域となります。
- メールトラッキング
宛先が一件、あるいはごく小規模な一斉メールの配信・開封状況を追跡するツール - メール配信システム
宛先が1,000件を超えるような大規模な一斉メールを遅延無く処理し、なおかつ配信・開封状況を追跡するツール
このため、もしメルマガなどのような大量配信を追跡するつもりなのであれば、メールトラッキングではなくメール配信システムに焦点を絞ってツール選びを行いましょう。
参考:5分で分かる!メール配信システムの仕組みとは?メーラーとの違いも解説します
メールトラッキングの主な機能
メールトラッキングには、メールの開封状況を含めて、いくつかメインとなる機能があります。それが下記の3つです。
- 配信したメールの開封状況の確認
- 受信したメールの重要度を判定する
- スケジュール調整
配信したメールの開封状況の確認
メールトラッキングでもっとも活用されるのは、やはりメールの開封状況が確認できる機能でしょう。これにより、そのメールが正しく配信されたか、いつ開封されたかが分かるようになります。
また、ツールによっては添付されたファイルがダウンロードされたかや、URLをクリックしたかまで確認可能です。メールに対するアクション状況が把握できるだけで、返信の催促が必要か判断しやすくなるなど、業務中の安心感が増すでしょう。
受信したメールの重要度を判定する
メールトラッキングは相手のアクション状況を把握できるだけでなく、自分に送られたメールの重要度を自動で判定する機能があります。これにより対応漏れを予防できたり、やり取りの優先度がつけやすくなる、というメリットが得られます。
日々大量のメールを処理する必要があるビジネスパーソンにとって、非常に役立つ機能のひとつです。
スケジュール調整
多くのメールトラッキングにはスケジュール調整を支援する機能があります。イメージとしては、メールの作成画面でそのままカレンダーを開いて、空いている日付・時間帯を選択することで相手にアポイントの候補日を送る、というような使い方です。
メールトラッキングは主に営業担当者に重宝されていることもあり、メールの追跡以外にも営業活動を効率化する機能が備わっています。また、営業支援ツールの目玉機能として紹介されるケースも多く存在します。
メールトラッキング利用時の注意点
配信や開封などメールに対するアクション状況を把握できるメールトラッキングですが、「実際に内容を読んだか」までは分からない点には注意しましょう。
メールトラッキング上で開封が確認できても、ただ開いただけで実際にはすべて読んでいない可能性はあります。それなのに読まれたことを前提にやり取りを進めると、コミュニケーションに齟齬が生まれてしまうでしょう。
確実に読んでもらいたいほど重要性・緊急性の高いメールについては、読まれていない可能性を踏まえ、リマインドをかけるようにしておくのが無難です。
おすすめのメールトラッキングサービス
ここからはおすすめのメールトラッキングサービスを3つ紹介します。
- Mailtrack for Gmail
- Senses
- Sales Hub
Mailtrack for Gmail
「Mailtrack for Gmail」は、Google ChromeやFirefoxなどのWebブラウザ用拡張機能として提供されている、Gmail専用メールトラッキングです。Gmailにおけるメールの送信・開封状況がLINEの既読チェックのように、ひと目でわかるようになります。
Mailtrack for Gmailには無料版と有料版がありますが、無料版でもメール追跡機能は無制限で利用可能です。
無料版の機能 | ● メールトラッキング(配信・開封状況の解析)
● 開封状況のリアルタイム通知 ● 日次メール追跡レポート ● リンク追跡 ● リマインダー |
有料版の機能 | ● 無料版の全機能
● 機能無制限 ● 広告なしの署名 ● 24 時間サポート ● CRMとの統合(Zoho CRM、Sugar CRM、Salesforceなど) |
Mailtrack for Gmailのメリットは、Gmailユーザーなら手軽にメールトラッキングが使える点です。他のメールトラッキングは営業支援ツールの一機能として提供されていることが多く、導入コストが高くなりがちですが、このツールではブラウザに追加するだけで利用可能です。
Senses
「Senses」は株式会社マツリカが提供している国産の営業支援ツール(SFA/CRM)です。メールトラッキングはもちろんのこと、営業アクションとカレンダーの連携、取引先の情報取得や実績レポートなど、営業活動を効率化する様々な機能が備わっています。
メールトラッキングをセールスに活用するつもりでいるなら、Sensesのような営業支援ツールを導入する方がより抜本的な課題解決を図れるでしょう。
Sensesの料金プランは下記3種類となっており、組織の規模に応じて適したプランを選択可能です。
スターター | 月額2.5万円から(5ユーザーまで。ユーザー追加一名につき月額5,000円) |
グロース | 月額10万円から(10ユーザーまで。ユーザー追加一名につき月額10,000円) |
エンタープライズ | 月額30万円から(20ユーザーまで。ユーザー追加一名につき月額15,000円) |
なお、株式会社マツリカは「Notia」というメールトラッキング専用ツールを提供していましたが、2021年12月20日にサービスを終了しました。
Sales Hub
「Sales Hub」は、様々なマーケティングツールを展開する「HubSpot」が提供している営業支援システムです。メールトラッキング、案件の進捗管理、アカウントベースドマーケティングの実現など、Senses同様に営業活動を支援する機能が多く備わっています。
料金プランは下記の通り4つとなっており、この手のツールでは珍しく無料プランが存在します。メールトラッキング機能は無料プランから利用可能です。
無料版 | 0円 |
Starter | 月額5,400円から |
Professional | 月額54,000円から |
Enterprise | 月額144,000円から |
このようにSales Hubは機能・料金面では非常に魅力的ですが、電話サポートは英語のみとなっており、緊急時に不便を感じる可能性があります。チャット・メールであれば日本語サポートが受けられますが、この点はあらかじめ把握しておきましょう。
大量の一斉送信も兼ねるならメール配信システムがおすすめ
冒頭でも解説したとおり、メルマガや同報メールなどといった大量配信の到達・開封状況を知りたいなら、メールトラッキングではなく「メール配信システム」を利用しましょう。
なぜなら、メールトラッキングを利用するためのGmailやOutlookなどといったメーラーは、一斉配信を行うための設計になっていないためです。
また、メーラーで一斉配信を行うと迷惑メール判定される、大幅な配信遅延が発生するなど、多くの致命的デメリットがあります。また、BCC設定ミスによる情報漏洩は、メーラーによる一斉配信でもっとも危惧されるリスクです。
以下の記事ではおすすめのメール配信システムを比較・解説しています。開封・クリック率の計測やデザインテンプレートなど、より効果的な一斉配信を実現する様々な機能が備わるサービスを紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
参考:【2021年最新】メール配信システム20選!機能・料金を徹底比較
メールトラッキングまとめ
メールトラッキングは、配信したメールに対する受信者のアクション状況を把握するためのツールです。具体的にはメールの配信状況、いつ開封されたか、URLクリックや添付ファイルはダウンロードされたかなどが分かるようになります。
メールトラッキングは主に営業担当者が利用するツールで、対応漏れの予防やメール作成画面でのスケジュール入力を支援する機能も豊富です。
何かと便利なメールトラッキングではありますが、実際に相手がメールの内容を読んだか、理解したかどうかまでは把握できない点には注意しましょう。
また、大規模な一斉メールのアクション状況を知るには、メールトラッキングではなくメール配信システムを利用しましょう。メール配信システムは大量配信を適切に処理し、なおかつ到達・開封状況を数値で分かりやすく示してくれます。