「見込み顧客の育成」を意味するリードナーチャリングですが、ナーチャリング手段の筆頭に「メール」が挙げられます。
特に在宅勤務が推進される昨今、オンライン営業移行の一環として、メールでのリードナーチャリングを検討し始めているところが多いでしょう。
また同時に、メールに関する知見・経験の不足ゆえに、「具体的に何をすればいいの?」と困っている人も多いはずです。
そんな人たちのために本記事では、メールでリードナーチャリングを行うのに必要な知識について分かりやすく解説します。
目次
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、見込み顧客を購買へとつなげるために、見込み顧客を育成するマーケティング活動のことです。
リードナーチャリングが特に重要なのは、BtoB向け商材や、BtoCの中でも高額な商材(不動産や金融商品など)を扱う業界などです。
それらの業界は、商品・サービスを決定・購入するのに必要な材料やプロセスが非常に多く、金額も高いため、慎重に判断を下す必要があります。
そこで商品を選ぶための判断材料を与えたり、購買のための後押しをすることで、見込み顧客のサポートをするのがリードナーチャリングのイメージです。
メールによるリードナーチャリングの設計手順
メールでリードナーチャリングを行う際の手順は、以下の通りです。
- KGI・KPIを設定する
- ナーチャリングのシナリオ作成
- メールを作成・配信する
- 効果測定し、PDCAを回す
各手順でやるべきことを、詳しく解説します。
手順1. KGI・KPIを設定する
まずはメールでのナーチャリングによってどのような成果を得たいかを明確にし、それを元にメール施策におけるKGI・KPIを設定しましょう。
KGIとしては多くの場合、メール配信経由でのコンバージョン獲得数か、メールから直接コンバージョンを狙わない場合は、メール内URLのクリック数になってくるはずです。いずれにせよ、メールによって得たい最終成果にあわせてKGIを設定しましょう。
また、KPIとしては以下が代表的です。
- 到達率
送信を実行したメールが、実際にどれくらい読者の受信ボックスに届いたかを示す指標。無効リストの除外やセキュリティ対策によって改善できる - 開封率
読者に届いたメールが、実際にどれくらい開封されたかを示す指標。件名や配信者名の最適化によって改善できる - 反応率
開封されたメールのうち、どれくらいがURLクリックに至ったかを示す指標。コンテンツの最適化によって改善できる - クリック率
読者に届いたメールのうち、どれくらいがURLクリックに至ったかを示す指標。メールの効果を俯瞰的に分析できる重要な指標 - オプトアウト数
メルマガが購読停止された数。メルマガを運用していれば多少の購読停止は避けられないが、際だって高い数値をつけた日がある場合には原因調査が必要
メルマガではなくステップメールを送る場合は、どれくらい興味を維持できているかを計測するという意味で、シナリオを通しての開封率の推移も重要な指標となります。
手順2. ナーチャリングのシナリオ作成
メールを使ったナーチャリングで特に重要なのはシナリオ作成となります。なぜなら、効果的なナーチャリングのためには、見込み顧客の育成段階に応じて適切な情報を発信していく必要があるためです。
そこで必要となるのがメール読者のペルソナ、そしてカスタマージャーニーマップのふたつです。これらを利用して、ナーチャリング開始から購買までの間にある各プロセスで、どんな情報をどのような順序で配信するかを計画します。
特にステップメールの場合はシナリオ作成が大前提となっており、各メールごとの連続性やストーリーテリングを意識しなければいけません。
メルマガの場合、ステップメールと違って順序だててメールを送ることはできないため、多少の工夫が必要です。具体的には、以下例のように、読者のメルマガに対する反応度合いで配信を最適化する方法が考えられます。
- 流入初期はオウンドメディアの記事やホワイトペーパーなど、新着コンテンツの通知のみにとどめる
- 新着通知のクリックが一定数を超えており、育成が進んでいると思われる読者には、自社商材の資料配付や事例紹介を行う
- 自社商材のPRに反応があった(開封された、資料DLされたなど)顧客に対し、ウェビナーオや無料体験オファーをかける
このように、メルマガのエンゲージメントが低い読者にはコンテンツ提供を多めにし、逆にエンゲージメントが高い読者には、売込みの比重を上げるようなイメージです。
なお、ペルソナとカスタマージャーニーマップの作成方法については以下の記事で解説しています。参考にしてください。
ペルソナの作り方徹底解説!すぐに使えるテンプレートもあります
カスタマージャーニーの作り方と注意点を分かりやすく解説します!
手順3. メールを作成・配信する
シナリオが固まったら、実際にメールを作成・配信しましょう。メールの構成要素は大きく以下の4つに分かれ、メールを作る際、各要素においてどういったことを意識すべきかが異なります。
- セキュリティ(到達率に影響)
メール配信における問題のひとつに「なりすまし」があります。メール配信者はこのなりすまし対策を行っておくことでセキュリティを高められ、結果的にメールの到達率を高く保てるようになります - 差出人名(開封率に影響)
メールを開封する判断基準のひとつが差出人の名前です。差出人名は基本的に、読者が認識できる名前を設定するようにしましょう。例えばオウンドメディアからの流入であればメディア名を、名刺交換した相手に送るなら社名と担当者名を設定すると良いでしょう - 件名(開封率に影響)
件名は差出人名以上に、開封率に影響を与える要素です。件名はスマホで見た際に後ろの方が省略されてしまうため、文頭には重要な情報を入れるようにしましょう - 本文(反応率に影響)
本文内のURLクリックを促すためには、基本的にファーストビュー(メールを開封してすぐ目に入る領域)にCTAボタンを設置するようにしましょう。また、見やすさを確保するためにも、HTMLメールを使用して画像やクリッカブルなボタンデザインを活用してください
メール作成のさらなる詳細については、当サイトで無料配布している資料『メルマガ作り方大全』でお伝えしています。メールによるナーチャリング施策を検討しているなら、今のうちにダウンロードしておいてください。
これで全部分かる。もう迷わない。みんな読んでるメルマガ作り方大全
いざメルマガを配信する際は、時間と頻度に気をつけましょう。適切な時間と頻度でメールを配信することで、クリック率の向上が期待できます。
配信時間は、メールが読まれやすいであろうタイミング(通勤時間や昼休みなど)を想定し、頻度は「できるだけ多く、しかし嫌がられない程度に」を意識してください。
また、配信をセットする前には必ずテスト配信を行い、件名の訴求力はあるかや、URLに仕込んだパラメータが正常に動くかどうかといったことを確認しましょう。
なお、メルマガの場合は配信するその日に作るのでも間に合いますが、ステップメールの場合は、すべてのメールをあらかじめ作っておかなければならない点に注意してください。
手順4. 効果測定し、PDCAを回す
マーケティング目標を達成するには、施策の効果を測定し、改善するという一連の流れ、すなわちPDCAが必要です。これはメールナーチャリングでも同様のことがいえるため、効果測定は必ず行いましょう。
特にクリック率はメールのパフォーマンスを俯瞰的に見られる指標であるため、すべて見る余裕がない状況でも、クリック率の推移だけはチェックしておくことをおすすめします。
特にメールの場合は配信を開始したその日から効果が出始め、配信一つひとつの効果が出切るまでの時間が短いという性質があります。そのため、Web広告運用のように短いスパンでPDCAを回すことで、目標達成までのスピードを高めることが可能です。
リードナーチャリングにおけるメールの配信方法
メールと一口にいっても、実は様々な配信方法があります。やりたいことに合わせて、適切な配信方法を選ぶようにしましょう。
さて、リードナーチャリングで有用なメールの配信方法には以下の3つがあります。
- 一斉配信(メルマガ)
- ステップメール
- セグメント配信
一斉配信(メルマガ)
すべてのリストに対して同じ内容を一斉に配信することを、そのまま一斉配信と呼びます。また、メルマガといえば一般的には一斉配信を指すことがほとんどです。
一斉配信の特徴は速報性です。そのため最新情報を伝える、何かを予告するといった使い方に適しており、メール以外でのナーチャリング施策をサポートする使い方と相性が良くなっています。
一斉配信のよくある使い方としては、具体的に以下のようなものが挙げられます。
- 新着コンテンツの通知(オウンドメディアの記事やホワイトペーパーなど)
- ウェビナー・勉強会の開催告知
- 導入事例・ユーザーボイスの紹介
- 自社商材の資料配付
- キャンペーンの告知
- 連載・コラム
ステップメール
ステップメールとは、読者の流入タイミングに応じて、あらかじめ決められたシナリオを配信していくメールのことです。
一斉配信の場合は「1月1日にメールAを送る」という送り方になりますが、ステップメールの場合は、「登録1日目にメールA、2日目はメールB、3日目はメールC…」というふうに、登録日を起点としたスケジュールに従って送られます。
ステップメールの特徴は連続性です。そのためオンライン講座や、購買客のフォローアップといった使い方と相性が良く、一斉配信よりも丁寧なナーチャリングが可能となっています。また、新商品のローンチキャンペーンに使われることもあります。
しかしながら、ステップメールでのナーチャリングはシナリオ作成の手間がかかるという欠点もあります。
なお、一連のシナリオが終了した後は、読者をまた別のシナリオに移行させたり、一斉配信(メルマガ)を送ったりすることがほとんどです。
ステップメールは使いこなせば便利な機能ですが、ほとんどの場合は多くの時間を使い、あまり大きな効果は得られません。
メールマーケティングに精通している上級者向けの機能と言えるでしょう。
ターゲット配信
ターゲット配信とは、読者の属性に応じて、メール内容を変える配信方法のことです。一斉配信ではもちろん、ステップメールと併用させることもできます。
例えば一斉配信の場合は「コールドリードにはメールA、ホットリードにはメールB」というふうに、メールごとに送りたい読者を設定するイメージになります。
一方ステップメールの場合は、「ブログからの流入はシナリオAへ、アンケート結果が○○だったらシナリオBへ分岐」のように、読者の流入経路や属性、アクションなどに応じてメール内容を最適化するイメージです。
ナーチャリングを効率よく行うためにはターゲット配信が必須ですが、ターゲット配信をするためには対応しているメール配信ツールを使う必要があります。こちらについては後述します。
リードナーチャリングにおけるメールコンテンツ例
リードナーチャリングにおける代表的なメールコンテンツには、Web施策との連動コンテンツとオンライン講座のふたつが挙げられます。それぞれについて詳しく解説していきます。
他のマーケティング施策との連動コンテンツ
メールにはいくつか配信方法がありますが、その中でもメルマガは、他のマーケティング施策との相性が良いです。
例えばオウンドメディア運用をしているなら新着記事の通知をしてみたり、ウェビナーオファーをかけてみたりといった具合です。
これであればメール配信のたびに新しくネタを考える必要がないため、費用対効果を高く保てます。 一斉メールを利用したナーチャリング施策といえば、オンライン講座が挙げられます。例えば英会話教室の販促において、最初は無料講座によるナーチャリングを行い、最終的に有料コンテンツの販売につなげる、といったやり方が考えられます。 オンライン講座をする際に気をつけておきたいのは、読者のモチベーション維持です。あまり高度な内容にはせず、「自分でもできそう、続きそう」という感覚を読者に持たせるのがカギとなります。 また、メールだけでは講座の質や訴求力に限界があるため、オンライン講座用のビデオを撮影し、YouTubeに限定公開してそちらに誘導する、というやり方が有効です。 リードナーチャリングでメールを活用するなら、メール配信ツールの利用はほぼ必須です。 ただ、メール配信ツールにも色々種類があり、機能や価格がまちまちです。そのためターゲット配信は可能か、配信したメールの効果測定ができるかなど、目的に合わせてツールを選ぶようにしましょう。 また、特に重視したいのが「使いやすさ」です。マーケティングツールを導入したときにありがちな問題が、難しくて使いこなせず、結局費用に見合った効果が出せないということです。 メール配信の経験やノウハウがないのであれば、使いやすさを重視してツールを選ぶようにしましょう。 具体的にどういったサービスがおすすめかについては、以下の記事でまとめてあります。参考にしてください。 【2021年最新】メール配信システム20選!機能・料金を徹底比較 メールでのリードナーチャリングは、BtoB向け商材や、BtoCの中でも高額な商材を扱う業界で活用されます。 リードナーチャリング成功の鍵は、PDCAをいかに細かく回せるかです。見込み顧客の状態や育成段階に合わせて適切なメールを送ることで、ナーチャリングの効果が最大化されます。 そのためには、効果測定やターゲット配信ができるメール配信ツールを導入する必要があります。 メールによるリードナーチャリングを検討しているなら、メール配信ツールの導入も同時に検討を進めるべきでしょう。 下記資料では、メール配信システムの選び方について、徹底的かつ分かりやすく解説しています。無料でダウンロード可能なので、今のうちにダウンロードしておくと良いでしょう。
オンライン講座
リードナーチャリングにおすすめのメール配信ツール
メールでのリードナーチャリングについてまとめ