ビジネスシーンでよく使われている「幸いです」という言葉は、皆さんも一度は使ったことがあるかと思います。
しかし、その意味と正しい使い方を理解している人はどれほどいるのでしょうか。
実際に「幸いです」を誤って使ったことがある人は70%もいると言われています。自分は大丈夫と思っている人ほど、実は使い方を間違っていることが多いです。
そこで今回は「幸いです」の意味と正しい使い方、言い換え表現について解説します。
ビジネスシーンで恥をかかないためにも、確認しておきましょう。
目次
「幸いです」の意味とは?
ビジネスシーンにおいて、「幸いです」は「〜してもらえるとありがたいです、たすかります」という意味になります。
主にメールやチャットで何かを依頼する時に使われる事が多いです。
ビジネスシーンで使う時の注意点
実は「幸いです」の使い方には注意が必要です。
正しい使い方ができるように下記のポイントを確認していきましょう。
「幸いです」は上司にも使える?
「幸いです」を上司に使うのは控えましょう。
敬語の一種である丁寧語ではあるものの、謙譲語や尊敬語とは違い、目上の人に対して使うのは適していません。
そのため、上司に「幸いです」と伝えたいときは、「思う」の謙譲語である「存じる」に丁寧語の「ます」を付けて「幸いに存じます」と言い換えると目上の人に対して、失礼のない言葉になります。
その他にも言い換えできる表現がありますので、後ほどご紹介します。
急ぎのお願いをするときに「幸いです」を使うべきではない
「幸いです」は「〜してもらえるとありがたいです、たすかります」といった、お願いをしている表現です。
お願いしていることを、受けるか受けないかは相手に委ねているというニュアンスになりますので、急ぎで対応してほしい時や必ず相手にしてほしいことをお願いするときは、「幸いです」ではなく、「お願いします」を使うようにしましょう。
「幸いです」は話し言葉には向いてない
「幸いです」は主にメールなどの文章で使われる言葉なので、話し言葉には向いていません。
メールではなく対面での会話の際、「幸いです」と同じ意味を伝えたいときは、「お願いします」や「お願い申し上げます」と言い換えましょう。
「幸いです」の正しい使い方を例文で解説
「幸いです」の正しい使い方を学ぶことで上手な文章を作成できるようになります。
ここからは「幸いです」の正しい使い方を例文で解説していきます。
「お手数をおかけしますが、ご確認していただけますと幸いです」
こちらの表現は特にビジネスシーンで使う事が多いです。「確認することはできますでしょうか」という意味の表現になります。
同じような表現で「していただけると幸いです」という言葉もありますが、「していただけますと幸いです」の方がより丁寧な表現になります。
「ご相談いただきました件、少しお時間をいただけますと幸いです」
こちらの表現は「検討するのに少しお時間をもらえるとありがたいです」と、時間の猶予を相手にもらえるかという意味の表現になります。
取引先などの社外の人とのやり取りで使う事も多い表現なので、「幸いです」ではなく、「幸いに存じます」の方が適している場合もあります。
「旅行のお土産なのですが、お口に合えば幸いです」
贈り物をするときにも「幸いです」を使うことができます。
この場合は「あなたの好みに合うか分からないが、喜んでもらえたら嬉しいです」という意味の表現になります。
このような普段の会話においては、書き言葉ではなく話し言葉でも使われることもあります。
「ご多忙と存じますが、来週までにご返事をいただけますと幸いです」
こちらは相手に対して何かしらの催促をしたいときに使う表現です。
「来週までに返事をもらえたら嬉しいです」という意味になります。
しかし、催促の際に「幸いです」を使う時は時間に余裕がある時のみにしましょう。
「幸いです」はお願いをしているというニュアンスがあるので「明日までに対応してほしい」など、時間が迫っている場合には「お願いいたします」のようにストレートに伝える方が良いでしょう。
下記の記事では催促をするときのメールの作成方法について詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:【例文付き】「お願いメール」の正しい書き方とは?相手を不快にさせないポイントも解説!
ビジネスシーンで使える類語や言い換え表現
ここからはビジネスシーンで使える「幸いです」の類義語や言い換え表現をご紹介します。
場合によっては「幸いです」を言い換えた方が良い時もありますので、注意が必要です。
「幸甚です」
「幸甚です」の意味は「非常に幸いなこと、大変ありがたい」などの意味があり、「幸いです」よりも幸せの気持ちを伝えたいときに使える表現です。
また、「幸甚です」に「至り」や「極み」を付け加えることでより強く幸せな気持ちを伝えることができます。
「幸甚に存じます」
「幸甚に存じます」は「幸甚です」よりも敬意を強めたいときに使う表現です。
「幸甚です」よりも「幸甚に存じます」の方が、より丁寧な印象になります。
「ありがたく存じます」
「ありがたく存じます」は「ありがたく思っています」の謙譲語の表現です。
そのため同僚や部下になどの目下の人に対しては「ありがたく存じます」は使えず、「幸いです」もしくは「ありがとう」を使用します。
「うれしく存じます」
「うれしく存じます」は「うれしく思っています」の謙譲語の表現です。
「ありがたく存じます」と同様に目下の人へは使用することができないので、注意が必要です。
「お願いいたします」
「幸いです」ではお願いのニュアンスが含まれているので、依頼したことを確実に対応してほしい場合や、「幸いです」よりも丁寧な表現をしなくてもいい場面では「お願いいたします」を使用します。
「お願いいたします」については下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:今さら聞けない「お願いいたします」に関するルールをきちんと理解していますか?
「幸いです」を英語で伝えたいときは?
オンライン化の影響で海外の人とやり取りをする人も増えています。
「幸いです」を英語で伝えたい時に、まず思いつくのは「happy」だと思いますが、これは間違いです。「happy」の日本語訳は「幸せです」や「満足している」という意味があります。
本来、伝えたい「幸いです」の意味である「〜してくれるとありがたいです」の意味ではないので、「感謝いたします」の意味がある「appreciate」を使用するのが適しています。
- 「I would appreciate it if you could investigate with this matter.」
訳)この件に関してご検討をしていただけますと幸いです。 - 「I would appreciate your immediate attention to this matter.」
訳)今回の件、早急に対応をしていただけますと幸いです。 - 「We would appreciate your patience.」
訳)もうしばらくお待ちいただけますと幸いです。 - 「I’d appreciate it if you could give me some advice to this matter.」
訳)この件について、アドバイスをいただけますと幸いです。
「幸いです」を正しく使えるようになろう
今回は「幸いです」の意味や使い方、言い換え表現についてご紹介しました。
ビジネスシーンで多く使われる言葉なので、意味をしっかりと理解して正しい使い方ができるようになりましょう。
「幸いです」を正しく使えるようになると相手に対して、失礼がなくお願いをすることができます。
また、ビジネス用語をたくさん学ぶことで、円滑なコミュニケーションを取ることができます。以下の記事ではビジネス用語を使ったメールの例文集を無料でダウンロードすることができます。
ぜひ、ご活用ください。
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