STP分析は、マーケティング戦略を立案する上で非常に重要なフレームワークです。
市場を細分化し、ターゲット顧客を明確にし、自社のポジショニングを決定することで、効果的なマーケティング活動が可能になります。
本記事では、いまさら聞けないSTP分析の基本から実践方法、具体的な事例までを分かりやすく解説します。
目次
STP分析とは?
STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)ターゲティング(Targeting)ポジショニング(Positioning)の3つの要素から構成されるマーケティングフレームワークです。
市場を細分化し、ターゲットを絞り、自社の立ち位置を明確にすることで、効率的なマーケティング活動を目指します。
この分析手法は、企業が市場全体を捉え、より効果的な戦略を立てる上で不可欠の古典的なフレームワークです。
STP分析を行うことで、マーケティング活動はより戦略的になり、結果として、リソースの無駄を削減し、より高い成果を期待できるようになります。
STP分析の各要素:S・T・Pを詳しく解説
STPについてそれぞれ詳しく解説していきます。
- セグメンテーション:市場を細分化する
- ターゲティング:狙うべき顧客層を絞る
- ポジショニング:自社の独自性を確立する
セグメンテーション:市場を細分化する
セグメンテーションとは、年齢、性別、居住地、ライフスタイルなどの基準で市場を細分化することです。
これにより、より具体的な顧客像を把握し、ニーズに合った製品やサービスを提供することが可能になります。
- 人口動態変数:年齢・性別・職業など明確な性質で区別可能な変数
- 地理的変数:関東在住・駅徒歩5分圏内など文字通り地理的な変数
- 行動変数:購入履歴あり・通勤途中に立ち寄る習慣があるなどユーザーの行動起点の変数
- 心理変数:商品に対して前向き・普段からネガティブな傾向などのユーザーの心情や性格に紐づく変数
ターゲティング:狙うべき顧客層を絞る
ターゲティングは、細分化した市場の中から、自社の製品やサービスが最も効果的に届けられる顧客層を選定するプロセスです。
ターゲティングでは、セグメンテーションで特定された複数の顧客層の中から、自社のリソースや強みを最も活かせる層を絞り込みます。
- 集中型:特定のセグメントに集中して資源を投入
- 差別型:複数のセグメントに対応した異なるアプローチ
- 無差別型:市場全体をターゲットとする
適切なターゲティングを行うことで、マーケティング活動の効率を大幅に向上させることができます。
ポジショニング:自社の独自性を確立する
ポジショニングは、競合他社との比較において、自社が顧客にどのように認識されたいかを決定するプロセスです。
独自の強みを明確にし、競合との差別化を図ります。
ポジショニングは、顧客の心の中で自社製品やサービスがどのように位置づけられるかを決定する戦略です。
- 差別化ポイントは「顧客のニーズ」に合致しているものにする
- 顧客にとってのゲイン(得るもの)が大きいか、ペイン(我慢や苦労)を減らせるか の2軸で考える
STP分析に役立つフレームワーク
STP分析は、①市場をセグメント化し、②ターゲット顧客を選定、③ポジショニングを決定します。この一連の流れはテンプレートを活用することで、効率的に進めることが可能です。
セグメンテーションに役立つフレームワーク
セグメンテーションを行い際に役立つ切り口を二つ紹介します。
4つの基準によるセグメンテーション
最も定番のフレームワークは、市場を以下の4つの基準で分類するものです。
要因 | 説明 | 例 |
---|---|---|
地理的変数 | 居住地、国、地域、都市規模、気候など | 都市部 vs 郊外 |
人口動態変数 | 年齢、性別、収入、学歴、職業、家族構成など | 20代女性、年収600万円以上の世帯 |
心理変数 | ライフスタイル、価値観、興味、性格など | 健康志向の人、冒険好きな人 |
行動変数 | 購買行動、利用頻度、ブランドロイヤルティ | 週1回以上購入するリピーター、新商品を試したい層 |
RFM分析
RFM分析は、顧客の購買行動データを基にセグメントを分ける手法です。上記の4つの基準の中の行動要因をさらに深掘るフレームワークです。
- Recency(最新購入日): 最近購入したのはいつか。
- Frequency(購入頻度): 購入の回数。
- Monetary(購買金額): 購入金額の合計。
顧客をスコアリングしてセグメント化することで、優良顧客や休眠顧客を特定できます。
ターゲティングに役立つフレームワーク
ターゲティングに役立つフレームワークを2つ紹介します。
DAMPフレームワーク
DAMPとはターゲット市場を評価する際の基準です。
- Distinct(明確性): セグメントが他と明確に異なる特性を持っているか。
- Accessible(到達可能性): ターゲット層にアプローチ可能か(広告や営業で接触できるか)。
- Measurable(測定可能性): セグメントの規模や購買力が測定できるか。
- Profitable(収益性): 十分な利益をもたらす可能性があるか。
TAM、SAM、SOM分析
こちらは市場規模の評価に基づいてターゲティングを行うフレームワークです。
- TAM(Total Addressable Market)
商品やサービスの潜在市場全体の規模。 - SAM(Serviceable Addressable Market)
実際にサービスを提供できる市場規模。 - SOM(Serviceable Obtainable Market)
獲得可能な市場規模。自社の現実的なシェアを見積もる。
いずれのフレームワークもそこにビジネス機会があるか?という問いを念頭に置いた状態で分析しましょう。
ポジショニングに役立つフレームワーク
ポジショニングマップは市場での自社商品やサービスの位置を視覚化するためのツールです。
縦軸と横軸に市場特性(価格、品質、機能など)を設定し、競合と自社の位置関係をプロットし、空白領域(市場の隙間)を見つけて差別化を図りましょう。
ポジショニングマップは各軸を何でとるかによって全く変わってきます。
以下は、メール配信システム市場のポジショニングマップの例です。
縦軸が使いやすさ、横軸が配信速度の場合
縦軸が価格、横軸を導入実績にした場合
このように、軸を何に取るかでその内容は全く異なってくるので注意しましょう。
縦軸横軸は、ターゲティングで定めた狙いたい顧客が買いと感じるであろうポイントを設定しましょう。
STP分析の注意点
STP分析を実施する際は、市場の動向を常に把握し、顧客目線を忘れないことが重要です。
また、分析結果に固執しすぎず、柔軟な視点を持つように心がけましょう。
市場は常に変化しており、顧客のニーズもそれに伴って変化します。そのため、STP分析の結果に固執しすぎると、市場の変化に対応できず、戦略が陳腐化する可能性があります。
セグメントを絞ったマーケティングに必須のツール
顧客のセグメントを絞ったマーケティングに最も有効なのが「メールマーケティング」です。
関連記事:メールマーケティングとは?基礎知識やメリット・実施方法を徹底解説【2024年最新版】
メールマーケティングは非常に有効な手段ですが、実際に行う場合は「メール配信システム」の利用をおすすめします。
ここでは、メール配信システムのメリットについて説明します。
宛先リストの管理が容易
メール配信システムにはセグメント配信機能がついていることが多く、送信先を容易に調整できます。Gmailなどのメーラーでも可能ではありますが、誤送信等のリスクがあるので、あまりおすすめのやり方ではありません。
大量のメールを一度に効率的に送信できる
メール配信システムは多くの場合、大量送信に適したサーバーを使用しているので、一度に大量のメールを送ることができます。また、有料サービスの場合、送信通数やアドレス数に応じて料金が設定されているので、自分に合ったシステムを導入すれば、低価格で大量のメール配信が可能です。
特にブラストメールは、アドレス数に応じた料金プランなので、配信数の少ないメルマガ初心者にもお得に使えるサービスです。
配信の分析ができる
メール配信システムは多くの場合、到達率や開封率、クリック率といった指標の分析が可能です。
特にメルマガを送りたい場合、施策の効果測定は必須です。通常のメーラーを使った一斉送信ではどれだけ届いたか、何人が開封したか、といったデータが全く取れません。
メルマガを送りたい人にはメール配信システムの利用を強くお勧めします。
HTMLメールを知識なしで作成できるエディタがある
メール配信をマーケティング目的で行う場合、HTMLメールの利用は必須です。
メール配信システムにはHTMLメールを知識なしで直感的に操作できる「エディタ」やあらかじめ構成が組まれている「テンプレート」といった機能が備わっています。
エディタの使いやすさはシステムによってさまざまなので、必ず無料トライアルなどで操作感を試してから選びましょう。
スパムフィルタ対策が充実している
メール配信システムにはドメイン認証などセキュリティに特化した機能が備わっています。また、信頼度の高いIPアドレスを保有していることも多く、通常のメーラーで配信を行うよりも到達率が高くなります。
セキュリティ上のリスクを抑えられる
誤送信やCC/BCC間違いといった人的エラーから生じる情報漏洩といったリスクも最小限に抑えられます。
参考記事:メール配信システムおすすめ比較20選!専門家が図解とランキング形式で解説
メール配信システムの選び方
メール配信システムには多様なサービスがあるので、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。
ここでは、メール配信システムを選ぶ時のポイントについて解説します。
配信規模と料金プラン
メール配信システムは、配信規模によって最適な料金プランが異なります。少量のメールであれば無料プランでも十分ですが、配信リストが増えたり、頻繁にメールを送信する場合は有料プランをお勧めします。
配信先の安全性と到達率
到達率も非常に重要です。SPF(Sender Policy Framework)やDKIM(DomainKeys Identified Mail)といった、メールの正当性を保証するための認証プロトコルに対応していないと、メールがスパム扱いされる可能性が高くなります。
特にGmailは送信者ガイドラインもアップデートされているので、これらの対策がなされているシステムを選ぶのは必須といえるでしょう。
関連記事:【解決策】2024年2月よりGmailガイドラインが変更!1日5000件以上の配信は対応必須!
サポート体制
メールの一斉送信は個人情報を扱う非常にデリケートな領域なので、万が一の際のサポート体制は非常に重要です。特にチャットサポートや電話サポートといった、リアルタイムのサポートが提供されているか、日本語でのサポートがあるかは重要なチェックポイントになりえるでしょう。
機能の充実度
メール配信システムには、セグメント機能や効果測定など、様々な付加機能が用意されています。必要な機能が揃っているか確認しましょう。
また、不必要な機能がついていることで、金額が高くなっているケースもあります。本当に自社で必要な機能は何かを考えたうえで、必要最低限のプランを選ぶことをおすすめします。
使いやすさ
メルマガ初心者の場合、いきなり高度なデザインの入ったメールを0から作成するのは非常に難易度が高いです。また、管理画面の見やすさも、メルマガの運用をしていく上では非常に大切です。
無料トライアルやFreeプランを提供しているサービスは、実際に使ってみることができるので、自分に合ったサービスを探すのに役立つでしょう。
メールマーケティングを始めるならブラストメール(blastmail)
ブラストメールは、14年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
セグメント配信はもちろん、HTMLメールエディタや豊富なテンプレート、迷惑メール判定対策機能など、メールマーケティングに必要な基本的な機能はすべて揃っています。最も安いプランなら、月額4,000円で導入することができます。
また、配信速度が高く、到達率が非常に高い点も魅力です。
「とりあえずメールマーケティングを始めたい」「たくさん機能があっても使いこなせない」「メールマーケティングにかかっている工数を減らしたい」といった方にはブラストメールがおすすめです。
無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
まとめ
STP分析は、マーケティング戦略の根幹をなす重要なフレームワークです。
市場の変化に対応しながら、顧客ニーズを捉え、自社の強みを活かした戦略を立てることが、今後のマーケティング活動において不可欠となるでしょう。
STP分析は、新しい市場機会の発見にも役立ちます。
未開拓のセグメントを特定し、そこに特化した製品やサービスを提供することで、新たな収益源を確保できます。また、市場の変化に合わせて、ターゲット顧客やポジショニング戦略を見直すことで、競争力を維持することも可能です。
STP分析は、マーケティング戦略を成功に導くための羅針盤として、今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。