BtoB商材や高単価なBtoC商材(住宅や車など)の販促戦略に、「資料請求」はごく一般的な手法として組み込まれています。
しかし、資料請求というのは顧客に個人情報の入力という作業を強いるため、顧客視点でいうと「やらずに済むならその方がいい」と思われているのが現実です。そのため、資料請求が思うように増えず悩んでいる担当者の方は多くいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、資料請求を増やすための基本的な考え方と、6つの具体的な施策について解説します。資料請求を増やすために考えを整理したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
資料請求を増やすための基本的な考え方
資料請求を増やすということは、すなわちコンバージョンを増やすということです。
コンバージョンとはユーザーが顧客に転換(Conversion)することを意味します。より広い意味では、ユーザーが自社の望んでいる行動を取ること全般がコンバージョンです。つまり資料請求はもちろん、問い合わせ、無料体験の申込み、購買などをコンバージョンと呼ぶこともあります。
マーケティング・セールスにおいてコンバージョンはごく基本的な概念なので、知らなかった方はここで確実に覚えておきましょう。
さて、コンバージョンを増やすためには最低限、「コンバージョン率」という指標について理解しておく必要があります。コンバージョン率とは、集客した人数のうちコンバージョンに至った人数が何割だったかを表す数値です。
例えば、あなたのサイトに訪れたユーザー数が1,000人いて、そのうち資料請求(コンバージョン)に至った顧客が25人だったなら、コンバージョン率は2.5%ということになります。
2.5% = 25人(コンバージョン数) ÷ 1,000人(集客数) × 100%
コンバージョン率は、訪問者の受け皿となるサイトの力をそのまま示します。つまり今回の例の場合、「あなたのサイトには、訪問者の2.5%を顧客に転換する力がある」ということです。
コンバージョン率の成り立ちについて理解しておけば、資料請求を増やすためにやるべきことは、実は大まかにふたつしかないということが分かります。詳しくは後ほど解説するため、ここではコンバージョン率について把握すればOKです。
資料請求を増やすためには効果の視覚化が不可欠
そもそもコンバージョン率を算出するためには、Webサイトへの流入数やコンバージョン数を視覚化する必要があります。Webサイトの効果を視覚化するには、Google社のアクセス解析ツール「Google アナリティクス」を用いるのが一般的です。
Google アナリティクスには無料版と有料版の二種類がありますが、アクセス解析を行うだけなら無料版でも十分すぎるほど機能が揃っています。もしサイトのアクセス解析を行える環境が整っていない場合、まずはGoogleアナリティクスの導入から始めましょう。
資料請求を増やすための大まかなアプローチはふたつだけ!
資料請求を増やすためのアプローチには、大まかに「訪問者の母数を増やす」か「資料請求フォームへの遷移率を上げる」かのふたつしかありません。そのため広告を運用する、CTAを設置するといった具体的な打ち手のすべては、このふたつのどちらかに分類されます。
それではふたつのアプローチについて詳しく解説します。
1. 訪問者の母数を増やす
資料請求を増やすには、母数となる訪問者を増やすことがひとつの方法です。
例えば、あなたのサイトのコンバージョン率(資料請求率)が2.5%だった場合、訪問者が1,000人集まれば25件の資料請求が見込めることになります。さらに訪問者を2,000人集めて、合計で3,000人集まった場合は、75件の資料請求の獲得が期待できます。
- 訪問者が1,000人の場合
25件(資料請求数)= 1,000人(集客数)× 2.5%(コンバージョン率) - 訪問者が3,000人の場合
75件(資料請求数)= 3,000人(集客数)× 2.5%(コンバージョン率)
この方法の良いところは、コンバージョン率を上げずとも資料請求数を増やせることです。コンバージョン率を上げるには細部の改善から全体的な設計の見直しまで、幅広い着眼点があります。しかし、訪問者を増やすには露出を増やせば良いだけなので極論、予算さえ増やせば解決するのです。
とはいえ、訪問者を増やすことは決して簡単ではありません。集客方法ひとつとってもSEOやリスティング広告、SNSなど様々な手法があり、かかるコストも特徴も、さらには訪問者の性質までまったく異なります。
そのため、「資料請求を2倍にしたいから、広告費を2倍にすればいいや」という安易な考えに陥らないようにしましょう。実際に施策を決定する際には、資料請求が伸び悩んでいるの原因(ボトルネック)がどこかを特定することが重要です。
2. コンバージョン率を上げる
ふたつめのアプローチは資料請求フォームへの遷移率を上げることです。このアプローチでは訪問者の受け皿となるサイトの改善を行い、訪問者が資料請求に至る確率(コンバージョン率)を向上させることが目的となります。
コンバージョン率を上げることのメリットは、サイトの費用対効果が上昇することです。例えばコンバージョン率を2.5%から3.5%に上げられたなら、集客予算を増やさずとも資料請求を増やすことが可能です。
- コンバージョン率2.5%の場合
25件(資料請求数)= 1,000人(集客数)× 2.5%(コンバージョン率) - コンバージョン率3.5%の場合
35件(資料請求数)= 1,000人(集客数)× 3.5%(コンバージョン率)
上記の例だとわずか10件しか増えていませんが、集客数を増やせば差はより顕著になります。
- コンバージョン率2.5%の場合
125件(資料請求数)= 5,000人(集客数)× 2.5%(コンバージョン率) - コンバージョン率3.5%の場合
175件(資料請求数)= 5,000人(集客数)× 3.5%(コンバージョン率)
このように5,000人集客すれば、コンバージョン率が1%上がるだけで50件も資料請求が増えます。
これは逆に言えば、サイトの力が不十分なまま集客を増やしても効率が悪いということです。コンバージョン率の改善と集客力の向上は、それぞれコンバージョンを増やすための両輪なため、やはりボトルネックの特定が非常に重要といえます。
さて、サイトの改善では導線全体の見直しや、細部のデザイン・コピーの改善など幅広い施策が考えられますが、基本的には「ユーザーが欲するコンテンツを用意し、届ける」ことが軸になります。
例えば、せっかく広告費をかけて訪問者を増やしても、訪れたサイトに魅力がなければ離脱されてしまいます。資料請求を獲得するには、価値のあるコンテンツで訪問者のニーズに応えて信頼を勝ち取る必要があります。
また、コンテンツ自体に魅力があったとしても、次のコンテンツへつながる導線がなければ「タメになった!」で終わってしまい、結局離脱されます。訪問者からの信頼をステップアップさせるためには、次々とコンテンツを見たくなるような導線作りが必要なのです。
意外と見落とされやすい「資料請求フォーム」の最適化(EFO)
実は、コンバージョン率の改善にはコンテンツの充足の他にもうひとつ、「資料請求フォーム」の最適化が上げられます。
ユーザーは資料請求フォームにアクセスしても、「項目数が多くて面倒」「あとで電話がたくさんかかってきそう」といった理由で、資料請求を諦めてしまう場合があるのです。
対策については後ほど具体的に解説しますが、資料請求フォームにアクセスしたユーザーを捉えて離さないためには「些細な不安」を取り除く工夫が必要なのを理解しましょう。
資料請求を増やすための6つの具体的な施策
ここからは資料請求を増やすのに有効な以下6つの施策を紹介します。
- 資料請求に直接つながりそうなキーワードを狙う
- 資料請求フォームへの導線を増やす
- CTAを改善する
- 資料請求フォームを改善する
- 特典を用意する
- 資料の種類を増やす
資料請求に直接つながりそうなキーワードを狙う
サイトには様々なユーザーが訪れます。例えば自社のサービスについて知らないユーザー、興味があるユーザー、導入を検討しているユーザーなどです。
効率よく資料請求を増やすには、それらユーザーのうち自社のサービスに興味があり、なおかつ競合サービスと比較・検討しているような、検討段階がある程度進んでいるユーザーを優先的に狙うべきでしょう。
そこで実施すべきは、検討段階が進んでいるユーザーが検索しそうなキーワードを狙ってコンテンツを準備することです。
具体例としては「サービス名 価格」「サービス名 導入事例」のような、自社サービスの名前が絡んだキーワードが代表的です。ユーザーの持つ自社サービスへの疑問に対してきちんと解答できれば、ユーザーはさらなる詳細を知ろうとして別のコンテンツを見たり、そのまま資料請求に進もうとするでしょう。
資料請求フォームへの導線を強化する
資料請求フォームへのリンク(CTA)をサイト内の様々な箇所に設置し、露出を十分確保することで、資料請求が増えやすくなります。
CTAの出し方としては、画面の最下部に追従する形でバナーを設置する、ある程度ページスクロールされた段階でポップアップさせるなどの方法が一般的です。それらの他、シンプルにコンテンツ内でテキストリンクを設置する方法もあります。
どの見せ方が効果的かについては明確なデータがなく、ジャンルや業種によって異なるというのが実際のところです。ABテストや検証・改善を繰り返して、勝ちパターンを突き止めましょう。
ただし、単に資料請求フォームのリンクを増やすだでけでは不十分です。問い合わせフォームにアクセスしてもらうには、その過程でユーザーのニーズに十分応える必要があります。
ニーズに応えるには、コンテンツの充足はもちろんのこと、資料請求のCTAを設置するのと同様、ユーザーの目に触れるところにコンテンツを設置することが大切です。
CTAを改善する
資料請求のCTAとしてバナーをやボタンを採用している場合、デザインやコピーを改善することでクリックを促進できる可能性があります。改善可能なポイントは多種多様ですが、主に以下のような点をチェックしてみるのがおすすめです。
- デザインの視認性は確保されているか?
ある程度目立つデザインでなければ、リンクに気付かれず離脱される - メインコピーでメリットが伝わるか?
資料請求によってどのようなメリットが得られるかが具体的に分からないと、資料請求のモチベーションを刺激できない - 資料の概要を紹介できているか?
資料の中身が分からないと、資料請求のモチベーションを刺激しにくい - 請求の手順が簡単なことをアピールできているか?
「住所・電話番号不要」「20秒で完了」などの文言があると資料請求のハードルが下がる - 無料で請求できることをアピールできているか?
資料請求が無料なのはごく一般的だが、「無料」というワードそのものにユーザーの注意を引きつけるパワーがある
資料請求フォームを改善する
資料請求フォームの項目を変える、減らすなどして入力のハードルを下げることで、問い合わせの増加が期待できます。
- 項目数は最小限にする
- できる限り選択形式の項目を採用する
- 想定される不安に応じたマイクロコピーを記載する。例えば「しつこいセールスなし」「当社はプライバシー保護を最優先しています」など
- 郵便番号による自動住所入力や、過去入力した内容の自動入力などのアシスト機能を使う
HubSpotの調査によれば、文章を自由入力するタイプの必須項目があると、フォームの回答率は特に下がりやすいとのことです。もし資料請求フォームに自由入力の項目がある場合、取り下げるか選択形式に切り替えることをおすすめします。
また、最近はEFOに特化したチャットボットを導入する方法も流行しています。チャットボットであれば、フォーム入力を意識させずに資料請求させることが可能となります。
当ブログでは、チャットボットのおすすめサービスについて紹介しているため、興味があればぜひ参考にしてください。
特典を用意する
資料請求のモチベーションを高める方法として、資料とは別に特典を用意するのも有効です。参考として、よくある特典を以下に示します。
- QUOカード・図書カード・Amazonギフト券などの金券系
- 家電・雑貨・旅行券などの景品系
- 自社商品・サービスの購入に利用できるクーポン
- 無料サンプル・無料体験
この方法の難点は、どうしても特典目当ての資料請求が多くなってしまうことです。自社サービスにまったく興味がないユーザーの資料請求が増えても、最終的な成果につながらないため意味がありません。
より高い費用対効果を得るためにも集客のターゲットを絞る、ターゲットだからこそ喜んでもらえる特典内容にするなどの対策を取りましょう。
資料の種類を増やす
資料請求が増えない根本原因として、そもそも資料に魅力がないという可能性も考えられます。
この場合、製品・サービスの紹介資料だけでなく、競合との比較資料や料金プランごとの機能詳細に焦点を絞った資料など、ユーザーのニーズに合わせた資料を用意しましょう。様々な資料を用意することで、より資料請求の間口が広がりコンバージョン率の向上につながります。
また、製品・サービスの紹介とは直接関係しない情報提供のみに特化したお役立ち資料、いわゆるホワイトペーパーを用意するのも効果的です。
参考:ホワイトペーパーとは?作り方から効果測定のやり方までわかりやすく解説!
資料請求を増やす方法まとめ
今回は資料請求を増やすのに効果的な施策を6つ紹介しましたが、まずは「集客が足りないのか、それともコンバージョン率が低いのか」の分析を始めることが重要です。
資料請求が増えない原因を特定し、大まかな方針を決めてから具体的にどのような施策を実行するかを考えましょう。
また、資料請求が増えたあとも重要です。資料請求から購買につなげるため、見込み顧客との関係を維持するための施策も講じなければなりません。
資料請求を行った見込み顧客をフォローする方法として特に有効なのが「メルマガ」です。メルマガなら自社から定期的にコンテンツを提供することで、顧客を効率よく育成できます。また、電話よりも売込み感を抑えて自社サービスをアピールできるのもメリットです。
資料請求が増えたあとのことを見据えるなら、今のうちにメルマガをぜひ実践してみましょう。