営業やマーケティングにおける成果アップのキーワードに「今すぐ客」があります。今すぐ客とは、簡単にいえば「あなたの商品が今すぐ欲しい」と思っている見込み顧客のことです。
今すぐ客は見込み顧客全体のうち、わずかな割合しかいないと言われています。そのため、「なかなか今すぐ客が見つからない、育たない」「そもそもどこから今すぐ客と判断すれば良いのか分からない」といった悩みを抱えている営業担当者は多いでしょう。
本記事ではそうした悩みを抱えている方のために、今すぐ客とその他の見込み顧客との見分け方と、今すぐ客の育て方について詳しく解説します。
目次
今すぐ客とは?
今すぐ客とは、購買の見込みが高い顧客のことです。大まかには、「今すぐ欲しい」という顧客の思考をそのまま言葉にしたビジネス用語、と考えれば良いでしょう。
今すぐ客は見込み客全体のうちたった1%しか存在しないと言われています。そのため、営業やマーケティングにおいて、今すぐ客を見極めて確実に成果へとつなげることは、ひとつの大きな課題です。
それと同時に、ニーズはあるがまだ欲しいとは思っていない「お悩み客」や、欲しいとは思っているがニーズがない「そのうち客」を拾って、今すぐ客を創出することも重要です。
今すぐ客と他の見込み顧客との違い
今すぐ客を見極めるには、その「お悩み客」や「そのうち客」といった他の見込み顧客の違いを知っておきましょう。
見込み客はニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)の2軸によって、以下4つのセグメントに分類できます。
ニーズ低 | ニーズ高 | |
ウォンツ高 | そのうち客:商品に対する欲求はあるが、ニーズが顕在化していない | 今すぐ客:ニーズが顕在化しており、商品に対する欲求も高い |
ウォンツ低 | まだまだ客:商品を知ってはいるが、ニーズが顕在化しておらず、欲求もない | お悩み客:ニーズは顕在化しているが、商品に対する欲求が低い |
- 今すぐ客
商品に対するニーズがあり、購買欲求も高い、最もコンバージョンに近い見込み顧客 - お悩み客
商品のニーズは顕在化しているが、価格が高い、緊急度が低いなどの理由で購買欲求が高まっていない見込み顧客 - そのうち客
商品の購買意欲はあるが、実際のところ必要性はあまり感じていない見込み顧客 - まだまだ客
商品を知ったばかりなどで購買欲求がなく、機能や特徴に関する知識もほとんどないため必要性を感じていない状態の見込み顧客。割合としては最も多く、見込み客全体の8割ほどにあたる
これだけだとお悩み客とそのうち客の差がよく分からないという人もいるかと思うので、一戸建て不動産を取り上げて具体例を示してみます。
- お悩み客:賃貸だとペットを飼ったり楽器を弾いたりなど、趣味が満足にできないため、いつかはマイホームが欲しいと思っている。しかし、ローンを組む手間や経済的リスクの大きさが壁になり、なかなか本格的な検討に踏み切れない
- そのうち客:マイホームを持つというステータスに強い憧れはあるが、生活は賃貸で事足りているし、貯金も少ないため買うほどではないと思っている
このように、お悩み客はニーズが頭の中で具体化されていますが、何らかの障壁があって欲求が高まっていない状態がほとんどです。
一方そのうち客は、ニーズがまだまだ抽象的ですが、「それが好みだから」「周りで流行っている」といったような理由で購買欲求は高くなっています。
今すぐ客とその他の見込み顧客を見分ける方法
「ニーズがあるか、欲求が高いか」といったことは目に見えない抽象的な物事なため、そのままの状態では、今すぐ客とその他の見込み顧客を見分けることは不可能です。
今すぐ客かそうでないかを見分けるには、顧客のニーズや欲求が高まったことを数値化するための「コンバージョンポイント」を設定しましょう。
顧客はニーズ・欲求が高まると、Google検索したり問い合わせたりといった、何らかのアクションを起こします。コンバージョンポイントを設定するとは、そうしたアクションを把握できるようにする、ということです。
具体的なコンバージョンポイントとしては下記が挙げられます。
ここからはお悩み客、そのうち客、そしてまだまだ客を育成し、今すぐ客を増やす方法について解説していきます。 お悩み客は必要性(ニーズ)を強く感じているものの、何らかの障壁で欲求(ウォンツ)が高まっていない状態の見込み顧客です。 「必要だが欲しくない」とは矛盾も甚だしいですが、そこにこそ、お悩み客攻略の糸口があります。その矛盾の原因は「将来的に必要なだけで、今は必要じゃない」「必要だけど、これが理由で諦めている」といった顧客の思考にあるのです。 お悩み客のそうした思考をくみ取り、適切なアプローチを取ることでウォンツを効果的に刺激できます。 そのうち客は欲求(ウォンツ)があるものの、何らかの理由で必要性(ニーズ)が具体化されていない状態の見込み顧客です。 「欲しいが必要ない」とはこれまた矛盾していますが、その理由を探ることがそのうち客の今すぐ客化に必要な作業です。 例えば、スマホでよく写真を撮る人の多くは「もっとキレイな写真が撮れる高級な一眼レフをプレゼントするよ」と言われたら、喜んで受け取ると思います。なぜなら、スマホでよく写真を撮る程度には写真撮影が好きだからです。 しかし、自分のお金でその一眼レフを買うかというと、その可能性は低いでしょう。写真撮影に対するこだわりが強ければ、スマホのカメラでは満足していないはずだからです。これこそ、欲求はあるが必要性まで感じていないという状態といえます。 スマホでの写真撮影で事足りている人に高級な一眼レフを買わせるには、もっとニーズを育てなければなりません。例えば、同シチュエーションにおけるスマホと一眼レフの画質差を見せ、「一眼レフの方が大切な瞬間を最大限美しい思い出にしてくれます」といったような訴求をするのです。 このように、そのうち客にはベネフィットを具体的に伝えるなどしてニーズを顕在化させることで、今すぐ客化を促せます。 お悩み客とそのうち客はニーズ育成とウォンツ育成のどちらか一方を行えば今すぐ客になってもらえますが、まだまだ客の場合はその両方が必要です。 まだまだ客を今すぐ客へと育成するには、先にニーズ育成を行ってからウォンツ育成を行うという流れがおすすめです。 そのうち客の項でも書いたとおり、まずはベネフィットを具体的に伝えて、まだまだ客のニーズを顕在化させ「お悩み客」化します。そこからは欲求の刺激によって、今すぐ客へとステップアップしてもらいましょう。 ウォンツからの育成がおすすめでない理由は、ニーズが無い状態で欲求を刺激するのは、その商品によほど分かりやすい魅力がない限り難易度が高いためです。 分かりやすい魅力というのは、例えばデザインや機能が非常に革新的だったり、誰もがうらやむブランドだったりなどです。こうした場合であれば、ウォンツの育成から入るのも効果的かもしれません。 お悩み客、そのうち客、そしてまだまだ客全体で共通していえるのは、定期的に接触しなければ育成にならない点です。 接触手段にはDMや訪問など色々あり、業界や扱っている商材によって最適な方法も異なりますが、その中でも「メルマガ」は比較的どのような状況でも効果的な接触手段です。 なぜなら、メルマガであればDMより圧倒的に少ない手間で送れますし、訪問より接触頻度を保ちやすいためです。 SEOや広告といった他のWeb施策と比較しても、「リストさえあればすぐコンテンツを見てもらえる」「導入コストが低い」など、多くのメリットがメルマガにはあります。継続的なアプローチを無理なく実現したいなら、ぜひメルマガの導入を検討しましょう。 今すぐ客を確実に成果へとつなげるには、以下3つの施策が有効です。 各施策について詳しく解説します。 キラーコンテンツとは、購買の強い動機となるような訴求材料のことを指します。 キラーコンテンツに関するさらに詳しいことは、こちらの記事で解説しています。 「商品のメリットを頭では理解できているが、実際にそのメリットを享受できる確証が得られない」ということは、今すぐ客のクロージングで失注する原因のひとつです。キラーコンテンツはその原因を解消する上で非常に強力な武器となります。 無料体験・サンプルの提供は、「メリットを享受できる確証が得られない」という今すぐ客の悩みを、より高いレベルで解消できます。なぜならこれは、「気に入らなかったら、お金を払わなくていいよ」という、今すぐ客からすれば非常に都合のよい特典なためです。 Webサービスやソフトウェア、そして食品やその他消費財など、無料体験・サンプルが比較的提供しやすい商品・サービスを扱っているなら、ぜひ実践してみましょう。 コンサルタントや企業研修のような、無料体験・サンプルの提供が難しい商材を扱っているなら、導入による費用対効果を詳細に分析した資料を提供するのが効果的です。 場合によってはPoC(概念実証)まで行って、今すぐ客の課題解決をより具体化するのも有効でしょう。 今すぐ客を成果につなげるポイントは、とにかく導入後の成功イメージを具体化させることです。導入事例を紹介するのも、無料体験を提供するのも、今すぐ客の中にある成功イメージの具体化を助けるための数ある方法論のひとつでしかありません。 顕在ニーズと高い購買欲求という、クロージングの確度が高い性質を持つ見込み顧客が「今すぐ客」です。 今すぐ客の攻略や創出は営業の成果を高めるのに有効ですが、何も対策をしなかった場合、今すぐ客の見極めは困難を極めます。 メルマガ購読や資料請求といったコンバージョンポイントを用意し、見込み顧客のニーズ・ウォンツの高まりを把握できる仕組み作りをしっかり行っておきましょう。 また、今すぐ客を育てるには継続的なアプローチが鍵となります。継続的なアプローチを実現するには、費用対効果が高くなりやすい「メルマガ」が最もおすすめです。 メルマガを行うにはメール配信システムの導入が必須となりますが、メール配信システムには様々なサービスがあり、選定には一手間かかります。顧客向けのメール一斉配信をしたことがない場合、どんな基準でシステムを選べば良いかすら分からないでしょう。 もしメルマガについてあまり詳しくないという方は、以下の記事を読んでみてください。 【2021年最新】メール配信システム20選!機能・料金を徹底比較 記事では20ものメール配信システムの中から、おすすめのサービスを紹介しています。メール配信システムをどのような基準で選べば良いのかも分かるため、ぜひ参考にしてください。
各セグメントから今すぐ客を創出する方法
お悩み客から今すぐ客へ
そのうち客から今すぐ客へ
まだまだ客の育成ルート
今すぐ客を育てるには継続的なアプローチが不可欠
今すぐ客を成果につなげる方法
キラーコンテンツの提示
無料体験・サンプルの提供
費用対効果の分析
まとめ:今すぐ客の見極めがマーケティングや営業の効率を高める