日本では年末にはお世話になった方に、感謝の品物を送る「お歳暮」の文化があります。
お歳暮は友人や恩人に向けてだけでなく、ビジネスで関わりのある方に対しても送ることがありますが、自分がお歳暮を受け取った場合は、電話などでお礼を伝えるのがマナーです。
仕事の都合などもあり直接お礼を伝えられない場合は、お礼の手紙やメールで代用します。
この記事では、メールでお歳暮のお礼を送る場合の例文をご紹介しています。
ご紹介している文章は封書に応用することもできるので、封書などでお礼を伝える方も是非参考にしてください。
目次
お歳暮のお礼はメールで問題ないのか
お歳暮をいただいた際のお礼のメッセージをメールで送って失礼がないのは、近親者や親しい知人のような間柄のみです。
なお、親しい間柄でない場合でも、まずは感謝の気持ちを伝えるために「取り急ぎ」の旨を記載した上でメールでお礼を伝えるのは、マナーとして問題ありません。
お礼の連絡は遅れてしまうと相手への印象もよくないので、お歳暮をいただいてから遅くとも一週間以内に送るのが一般的です。
もし遅れてしまった場合は、お詫びの言葉を手紙・メールに書き添えて送信しましょう。
お歳暮をいただいた相手に年賀状を送るとしても、年賀状とお礼のメール・手紙は別のものと考え、別途作成するようにしてください。
お歳暮のお礼メールの例文
ここからは送信する相手別に、メールでお歳暮をいただいたお礼を伝える際の例文をご紹介します。
本文の部分は、封書などでお礼の連絡をする場合にも応用できるようになっています。
葉書でお礼をするのはNGではありませんが、封書に比べると一般的ではないので、もしメール以外でお礼状を作るのであれば封書を使って作成しましょう。
メールは先述の通り、相手と親しい関係である場合や、後に送る封書とセットで利用しましょう。
お歳暮のお礼メール【基本形】
件名
御歳暮の御礼
本文
〇〇株式会社 人事部部長 佐藤様
拝啓
師走の候、貴社におかれましてはますます盛栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度は、結構なお品を頂きまして、感謝申し上げます。
お忙しい折、心遣いをいただき恐縮に存じます。
これから本格的な寒波が到来して参ります。佐藤様並びに、スタッフの皆様の健康を切にお祈り申し上げます。
本来であれば書面を持ってご連絡差し上げますところ、略儀ながらメールにて御礼申し上げます。
敬具
(署名)
お歳暮のお礼メールに限ったことではありませんが、メールの件名は一目で内容がわかる物にしましょう。
ここでご紹介しているのは、お礼メールの基本形として目上の方に送信する場合の例文なので、件名・内容共に形式を守った構成になっています。
お歳暮のお礼メールを送信する、冬の言葉を使ったメールの構成は以下の記事で詳しくご紹介しているのでご確認ください。
仲の良い友人・同僚などに送る場合
件名
お歳暮ありがとうございます
本文
お歳暮ありがとうございます。
〇〇さんから頂くお歳暮は、子供たちも大喜びで我が家の冬の風物詩です。
先日、こちらからも〇〇を送りましたので、是非ご家族でお召し上がりください。
年末に差し掛かり、何かと忙しい日が続いているかと思いますが、お互い体調に気をつけて過ごしましょう。
高橋
仲の良い友人へのお礼メールは「頭語・結語」や季節の挨拶は省略しても良いでしょう。
お礼のメールだからといって、普段のコミュニケーションとあまりにかけ離れた文面になってしまうと、かえって違和感を強調してしまいます。
感謝の気持ちは敬語を使って適切に表現し、不自然さを感じさせないメールにしましょう。
元上司・恩師などに送る場合
件名
お歳暮のお品ありがとうございました
本文
〇〇様(先生)
拝啓
親雪の候、年末に向け何かとお忙しくお過ごしのことと存じます。
また、日ごとに寒さが募って参りましたが、お体にお変わりはありませんでしょうか。
さて、この度は、お心尽しのお歳暮の品を頂き、誠にありがとうございました。
部署の移動もありこの一年は、思うように過ごすことができなかったように思えますが、〇〇さんに教えていただいた事を思い出しながら、初心にかえることができた時期でもありました。
2年目となる来年は、部署内でも活躍できるように気を引き締めて、業務にあたりたいと思います。
最後になりますが、〇〇様(先生)のご健康を心よりお祈りしております。年始には例年のように、ご挨拶にお伺いさせていただきます。
まずは、取り急ぎメールにてお礼のご挨拶とさせていただきます。
敬具
以前お世話になった方であれば、基本形に則ってお礼メールを作成した方が良いでしょう。
また、決まり切った言葉だけでなく、文中に共通の思い出などを添えることで、オリジナリティのあるお礼メールが作成できます。
形式を気にしすぎるあまり、無機質な印象にならないように注意しましょう。
取引先に送信する場合
件名
御歳暮、ありがたく頂戴いたしました
本文
〇〇株式会社 営業部 各位
拝啓
年末の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、この度はご丁寧なお歳暮をお送りいただき誠にありがとうございました。
この一年は、弊社の方こそ大変お世話になりました。その上このようなお品まで頂戴し、大変恐縮に存じます。
こちらこそ、今後とも宜しくご厚誼賜りますようお願い申し上げます。
今年も残す所あとわずかとなりました、皆様のご健康を切にお祈りし、まずはメールにて御礼申し上げます。
(署名)
「各位」とは複数の方に当てた敬称で、この場合は〇〇株式会社の営業部全員にかかっています。
敬称なので「〇〇株式会社 営業部様各位」とするのは重複した表現になり、適切ではありません。
ビジネスで取引のある相手に送信する場合は、お礼だけでなく一年間取引していただいたことに感謝し、来年もお互いが健康にビジネスができることをお祈りしましょう。
封書でお歳暮のお礼を伝える場合
お歳暮のお礼は、メールよりも封書でお伝えした方が丁寧です。
また、頭語や結語はこれまでにご紹介してきた例の通りで大丈夫ですが、自動的に日付が記載されるメールとは違い、文末に封書を出した日付を記載するのがマナーです。
封書でお歳暮のお礼を出す場合は、以下の例を参考にしてください。
件名
本文
拝啓
今年も残りわずかとなりましたが、〇〇様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、この度は大変結構なお歳暮の品をお送りいただきまして、誠にありがとうございました。
これから、ますます寒さが厳しくなりますがご自愛後懸賞のほどお祈り申し上げます。
略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
敬具
令和〇〇年12月△△日
メールの場合も「略儀」という言葉を使って最後のあいさつにしていますが、これは「本来の手続きを簡略させていただき〜」という意味を持っています。
冒頭でもお伝えした通り、手紙やメールでのお礼は、直接電話などで感謝の言葉を伝えられなかったときの手段です。
直筆の手紙でのお礼も充分に感謝の意思は伝わるとは思いますが、謙遜の意味も込めて「略儀ながら(ではありますが)〜」とつけ加えるようにしましょう。
まとめ
お歳暮をいただいたことに対する感謝の気持ちは、電話などで直接伝えられればベストですが、手紙・メールで代用することも可能です。
いずれの場合も、お歳暮をいただいてから一週間以内にはお礼を伝えるようにし、感謝と共に相手の活躍や健康をお祈りしましょう。
例文にもあるように、日本では拝啓や敬具などを使った頭語や結語、季節の言葉を使うことで、相手への敬意を表現します。
しかし、親しい相手へ送る文章などでは、そのような表現が逆に違和感を感じさせる原因にもなりかねません。
相手との関係性や普段のコミュニケーションの距離感を考慮して文章を作るようにしましょう。