
サービスの値上げは、企業側だけでなくお客様にとっても重大な関心事です。そして値上げそのもの以上に、お客様との信頼関係を左右するのが「値上げ(価格改定)のお知らせ」をどう設計し、どの媒体で、いつ、どうやって届けるかという点です。
説明のないまま価格を変更すると、お客様の不信感を招き、競合他社への流出を引き起こしかねません。逆に、納得感のある理由を、適切なタイミングと媒体で丁寧にお知らせできれば、解約を最小限に抑えられます。
この記事では、値上げのお知らせに使う媒体の比較、送るべきタイミング、開封されやすい件名の付け方、すぐ使える例文まで、価格改定のお知らせに必要な要素を体系的に解説します。
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目次
値上げ自体は仕方がないこと
総務省統計局のデータによると、サービスの末端価格の変動を表す「消費者物価指数」は、1950年以降上昇を続けています。値上げの主な理由として考えられるのは「人件費」「原材料費」「輸送コスト」の上昇です。ほとんどのサービス制作・提供に欠かすことができない「電気」に注目してみましょう。
日本では2011年の東日本大震災以来、電力会社が提供する電気価格は上昇し続け、結果として多くのサービスが値上げを余儀なくされました。経済産業省の発表では、震災後の2014年には原油価格の下落などで電気料金も一時期は低下しましたが、2016年を境に再び上昇を始めています。直近では2020年5月に、大手電力会社が電気料金の引き上げを発表しました。
原材料費だけでなく、従業員の賃金引き上げも多くの企業が行っており、会社の利益を確保するために、サービスの価格が上がってしまうのは仕方がないことと言えるでしょう。
値上げをした時は、お知らせが必須
小売価格を抑える努力をしても、最終的にサービスの値上げが避けられない状況は確かに存在します。
しかし、当然のことながら消費者にとってサービスの値上げは嬉しいものではありません。そのため、自社のサービスを値上げする時には、直接の取引があるお客様はもちろん、自社のホームページを使うなどして、多くの方に丁寧に経緯を伝えるようにしましょう。
値上げのお知らせをしない「ステルス値上げ」で炎上
食品などのサービスを提供している場合は、提供する量を減らすことで価格を今まで通りに抑えることも可能ですが、提供量の減少は実質の値上げと捉える消費者は多くいます。
お弁当などの量を減らして値段を据え置く方法は「ステルス値上げ」とも呼ばれています。コンビニ業界では、提供する商品のステルス値上げが注目を集め、ネットでは多くの消費者から不満の声が上がりました。
ウェブの影響力が強くなった昨今では、消費者間の情報共有もしやすく、時にはブランディングに大きな影響を与えることもあります。もし、自社のサービスを値上げする場合は、誠心誠意、お客様に値上げのお知らせをするようにしましょう。
値上げのお知らせに使う媒体
ここからは、値上げのお知らせに使うことができる媒体について解説します。
封書
紙の媒体に値上げのお知らせを印刷し、お客様に送信する方法です。印刷物や封筒だけでなく、印刷・郵送にもコストがかかるため、多くのお客様に送信する場合は費用を計算し、場合によってはメールを使うなどのコスト対策が必要です。
メール
メールは配送費用を抑えて、値上げのお知らせを多くのお客様に届けることができるツールです。
ただし、一斉送信には注意をしましょう。メールソフトなどを使ってメールの一斉送信する場合は、BCCやCCにお客様の宛先を手作業で設定することになりますが、手作業での宛先選定は情報漏洩の原因になりかねません。
ホームページ
直接取引をする相手に値上げのお知らせを知らせる、封書やメールと比較して、ホームページでの値上げのお知らせは、不特定多数の方へ向けたお知らせになります。
提供しているサービスの種類にもよりますが、より多くの方が確認できるように先述した媒体と合わせて、自社のホームページにも記載しましょう。
【チェックリスト】値上げのお知らせに記載すべき項目
値上げのお知らせは、感情面への配慮だけでなく、必要な情報が漏れなく記載されているかが重要です。情報が不足すると「聞いていない」というトラブルや問い合わせの増加につながります。最低限、次の項目を盛り込みましょう。
- 差出人情報(社名・部署・担当者名)
- 日頃の感謝を伝える挨拶
- 価格改定の事実
- 値上げの理由・背景
- 対象となる商品・サービス名
- 改定後の新価格
- 改定の適用日(いつから変わるか)
- 問い合わせ先
理由は「具体的かつ簡潔に」
「物価高騰のため」だけでは説明として弱く、納得感が得られにくくなります。原材料費・物流費・人件費の上昇など、可能な範囲で客観的な事実を示すことが理解につながります。
ただし企業努力の記載に力を入れすぎると、言い訳のような印象を与えかねません。理由は誠実に、しかし簡潔に。お詫びの姿勢を保つことがポイントです。
消費者向けのメールは「税込価格」で案内する
BtoC(一般消費者向け)に価格改定をお知らせする場合、メールに記載する価格は税込(総額表示)で案内するのが原則です。
消費税法では、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する際、消費税を含めた総額を表示する「総額表示義務」が定められています。この義務は店頭の値札やチラシ、Webサイトだけでなく、表示媒体を問わず適用されるため、消費者へ新価格を提示する価格改定メールも対象に含まれると考えられます。
企業から発信する案内は公式な情報となるため、適切な表記をするよう注意しましょう。
値上げのお知らせの例文
ここからは実際に、サービスの値上げに関するお知らせの例文をご紹介します。
値上げのお知らせ(原材料費高騰の影響)
件名
【店頭価格改定のお知らせ】株式会社◆◆
本文
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。皆様におかれましては平素より格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、表題のとおり、この度はお取引いただいております「〇〇」の価格を改定する運びとなりました。
価格維持のための努力を続けてまいりましたが、原材料である〇〇の高騰が改善されず、従来の価格を維持することが困難となりました。
つきましては、誠に恐縮ながら下記のとおり価格を変更させていただきます。
何卒、事情をご賢察のうえ、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
敬具
【価格変更の内容】
・商品名 「〇〇」
・料金 「〇〇〇〇円 → 〇〇〇〇円」
・変更日 「〇〇〇〇年◯月◯日」
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社〇〇 〇〇部 担当:〇〇〇〇
TEL:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
Email:〇〇〇@〇〇〇.co.jp
受付時間:平日〇:〇〇〜〇:〇〇
値上げのお知らせ (流通コスト増加の影響)
件名
【重要】◆◆社製「商品名」価格改定のお知らせ(〇〇年〇月〇日より)
本文
お取引先各位
拝啓 暖かい日差しを感じる今日この頃、貴社ますますのご清栄とお喜び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り深く感謝申し上げます。
さて、弊社にて販売させていただいております◆◆社製の「商品名」はお客様にも大変ご好評をいただいております。
しかしながら近年、流通コストの増加や消費税の増税に伴い、小売の価格を維持することが困難な状況となっております。
これまでも、大量発注や長期保存などで流通コストの削減を行い、価格の据え置きに尽力して参りましたが、力が及ばず、やむなく価格を改定させていただく運びとなりました。
つきましては、下記のとおり価格を改定させていただきます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
【価格改定の内容】
・対象商品:◆◆社製「商品名」
・改定前価格:〇〇〇円(税込)
・改定後価格:〇〇〇円(税込)
・適用開始日:〇〇年〇月〇日ご注文分より
添付のPDFに詳細を記載いたしましたので、お手数ですが、あわせてご確認いただきますようお願い申し上げます。
今後もより一層のサービス向上に努めてまいります所存ですので、何とぞ諸般の事情をご賢察いただき、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社〇〇 〇〇部 担当:〇〇〇〇
TEL:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
Email:〇〇〇@〇〇〇.co.jp
受付時間:平日〇:〇〇〜〇:〇〇
敬具
値上げのお知らせ(メニュー価格改定)
件名
お客様へ 【(商品名)価格変更のお知らせ】
本文
平素より、レストラン〇〇をご利用いただき、厚く御礼申し上げます。
この度、原材料費および家賃の高騰に伴い、〇〇年〇月〇日より一部メニューの価格を改定させていただくこととなりました。お客様にご理解いただきたく、ご連絡を差し上げております。
当店では、高品質なお食事をリーズナブルにお楽しみいただけますよう企業努力を続けてまいりましたが、上記の理由により、現在の価格を維持することが困難となりました。誠に心苦しい限りではございますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
【価格改定の内容】
・適用開始日:〇月〇日より
・改定メニュー(一部)
〇〇 〇〇〇円 → 〇〇〇円(税込)
〇〇 〇〇〇円 → 〇〇〇円(税込)
価格を改定するメニューの一覧は、店頭の掲示および当店ホームページ(URL:〇〇〇)に掲載しております。お手数ですが、あわせてご確認ください。
これからも、皆様に愛されるお店であり続けられますよう、サービスの向上に努めてまいります。変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
【お問い合わせ先】
レストラン〇〇
TEL:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
営業時間:〇:〇〇〜〇:〇〇(定休日:〇曜日)
値上げのお知らせメール作成のポイント
ここからは、ご紹介してきた例文で使われているポイントを解説します。
理由を記載する
ただ値上げを知らせるのではなく、相手が納得する理由を記載しましょう。
止むを得ない事情があることを理解していただければ、サービス利用を中断するお客様を最小限に押さえられるかもしれません。
タイトルには「値上げ」ではなく「価格変更」
値上げをする事実は変わりませんが、タイトルに直接「値上げのお知らせ」と記載してしまうと、相手に与える印象はよくないでしょう。
相手に与える印象を和らげるためにも「値上げ」という表記ではなく「価格変更」や「価格改定」などの記載にしましょう。
値上げを決定するまでの努力を記載する
先述の通り、お客様にとっては利用しているサービスの価格が上がることは、喜ばしいことではありません。そのため、値上げをする企業には、お客様のために価格を維持する努力が求められています。
自社がサービスの価格を据え置くために行った努力を簡潔に記載し、お客様の理解を求めましょう。
言い訳はしない
自社の企業努力の記載に力を入れすぎると、お知らせを読んだ方に言い訳をしているかのような印象を与えかねません。
あくまで値上げの事実をはっきり伝え、お詫びをする姿勢が伝わるような丁寧な表現を心がけましょう。
値上げのお知らせを送る最適なタイミング
値上げのお知らせメールにおいて、文面と同じくらい重要なのが「いつ送るか」というタイミングです。通知が遅すぎると、相手方の予算計画を狂わせたり、不信感を与えたりする原因となります。
基本は「改定の1〜3ヶ月前」に通知する
一般的に、価格改定のお知らせは「新価格適用の1ヶ月〜3ヶ月前」に行うのがマナーとされています。
- BtoB(法人)の場合: 多くの企業では、月次や四半期ごとに予算を管理しています。そのため、稟議やシステム設定の変更にかかる時間を考慮し、3ヶ月前を目安に通知するのが理想的です。特に下請法が適用される取引においては、十分な協議期間を設ける必要があるため、余裕を持ったスケジュールが法的なリスク回避にもつながります。
- BtoC(個人)の場合: 個人の場合でも、家計のやりくりや他社比較の検討期間が必要です。最低でも1ヶ月前には通知を行いましょう。直前のお知らせは「不親切」「強引」という印象を与え、顧客離れの直接的な原因となります。
駆け込み需要への対応準備
値上げの告知を行うと、価格が上がる前に購入しておこうとする「駆け込み需要」が発生する可能性があります。これは売上アップのチャンスである一方、準備不足だと在庫切れや配送遅延を引き起こし、クレームに発展するリスクもあります。
- お知らせメールを送る前に、以下の点を確認しておきましょう。
- 十分な在庫が確保できているか
- 注文が急増しても、受注処理や発送業務が回る体制になっているか
- 「お一人様〇点まで」などの購入制限を設ける必要があるか
メール文面にも「改定直前は注文が混み合うことが予想されますので、お早めのご注文をおすすめいたします」と一言添えることで、需要の分散を促すことも可能です。
開封率を高め、悪印象を与えない「件名」の付け方
メールボックスの中で最初に目に入る「件名」は、そのメールが開封されるかどうかを決める重要な要素です。
具体的な商品名と「重要」の隅付き括弧を活用する
件名を見ただけで「自分に関係のある重要な連絡だ」と認識してもらう必要があります。 単に「お知らせ」とするのではなく、以下のような工夫を取り入れましょう。
- 【重要】や【価格改定】などの隅付き括弧を使う: 視認性が高まり、通常のメルマガや営業メールとは異なる性質のものであることをアピールできます。
- 具体的な商品名・サービス名を入れる: 「製品価格改定のお知らせ」よりも、「【重要】クラウド会計ソフト『〇〇』価格改定のお知らせ」の方が、受信者は自分事として捉えます。
良い件名の例と悪い件名の例は以下の通りです。
- 【重要】「〇〇(商品名)」価格改定のお知らせ
- 【必ずご確認ください】〇月〇日より一部メニューの価格を変更いたします
- ご利用料金の改定に関する大切なお知らせ
- 大切なお知らせ
- 価格について
- 10月からの変更点
「価格改定」と「値上げ」の使い分け
件名においては、言葉の選び方も印象を左右します。「値上げ」という言葉は直接的で分かりやすい反面、ネガティブな印象(「高くなる」「損をする」)を強く与えてしまいます。ビジネスメールの件名としては、より中立的で事務的な響きを持つ「価格改定」や「料金改定」を使用するのが一般的です。これにより、感情的な反発を和らげつつ、事実を正確に伝えることができます。
ただし、本文中で誠意を持って説明する際には、文脈に応じて「値上げ」という言葉を使い、正直に事情を話す方が誠実さが伝わる場合もあります。件名では「フラットに事実を伝える」ことを意識しましょう。
多くの方に値上げのお知らせメールを配信する場合
値上げのお知らせを送らなければならないお客様が多くいる場合は、メールを使った一斉案内をすることがおすすめです。
ただし手作業での一斉送信は宛先の設定ミスによる情報漏洩や迷惑メール判定のリスクを伴うため、メール配信システムの利用を検討するのが良いでしょう。
メール配信サービスとは
メール配信サービスとは、同一の内容のメールを個別に送信することができるサービスで、メールマガジンの配信などでも利用されています。お客様のメールアドレスが登録されているリストを作成すれば、個別に宛先を設定する必要がなくなります。
シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」

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公式サイト:シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」
まとめ
提供しているサービスの値上げは、お客様にとっても嬉しいことではありません。利用してくださっているお客様に不信感を抱かせないためにも、値上げに関する詳細や、自社の努力を記載したお知らせを送るようにしましょう。一度に多くの方に値上げのお知らせを送らなければならない場合は、メールを使うことで郵送の手間やコストを軽減できます。
値上げのお知らせなどの重要なメールを送る場合は、メール配信システムの利用をオススメします。ブラストメールでは7日間の無料トライアル期間を提供していますので、ぜひお試しください。
FAQ
- Q:値上げのお知らせメールにはどのような項目を記載すべきですか?
- A:挨拶、値上げの理由、適用日、対象商品、改定後の新価格、問い合わせ先が必須項目です。あわせて、価格維持のために行ってきた企業努力の背景を伝えると理解を得やすくなります。
- Q:件名は「値上げ」と「価格改定」のどちらを使うべきですか?
- A:件名では、ネガティブな印象を和らげられる中立的な「価格改定」「料金改定」が一般的です。本文では文脈に応じて「値上げ」と正直に表現し、誠実に事情を説明するとよいでしょう。
- Q:値上げのお知らせはいつ送ればよいですか?
- A:新価格適用の1〜3ヶ月前が目安です。BtoBは稟議や予算管理の都合から3ヶ月前、BtoCでも最低1ヶ月前には通知し、相手の準備期間を確保しましょう。



