メールのやり取りが多いビジネスマンに切っても切り離せないのが「メールの誤送信」です。
「必要なファイルが添付されていなかった」というような小さなミスならまだしも「重要な情報を別の取引先に送ってしまった」というようなメールの誤送信をしてしまっては、会社の信用問題にまで発展しかねません。
ですが、意外にもこうした誤送信による情報漏洩は頻繁に発生しています。特に最近は、コロナ騒動に伴う一斉送信でメールの誤送信が頻発しているようです。
コロナ騒動による一斉メール誤送信が頻発!誤送信に有効な防止策とは?
誤送信によって、情報漏洩や信用問題という大きなトラブルに発展しないよう。本記事ではメールの誤送信を起こさないための対策方法について解説します。
目次
メールの誤送信が起きるパターン
まずはメールの誤送信が起きるパターンをまとめました。
対策法を講じる前に、どのような原因でメールの誤送信が起きてしまうのか知っておきましょう。
BCCの使い方を間違えてしまう
メールの誤送信が起きるパターンの中でも特に多いのが「BCCの使い方を誤ってしまった」ことによるものです。
BCCはアドレスを他の受信者に知られないように一斉送信する際に非常な便利な機能です。しかし「BCCで送らなければならないところをCCで送ってしまった」という単純なミスが原因で情報漏洩が起きてしまうというトラブルが頻発しています。
例えば2021年では「来場御礼メール誤送信でアドレス合計600件が流出か、マイティカーサービス」という事例がありました。
なお、BCCでの誤送信ミスの9割の原因は「操作ミス」です。
BCCをCCにしてしまったという小さなミスが、大騒動にも発展しかねません。BCCを使う際にはこういった点に注意しましょう。
プロが教える!一斉メール配信にBCCをお勧めしない理由と、正しいBCCの使い方!
間違った宛先を入力していた
こちらもちょっとした不注意により、大問題に発展しかねない誤送信のパターンです。
多くのメーラーでは、アドレスの頭文字を予測表示する機能があります。その機能によりアドレスの選択を誤ったり、不注意で同じ苗字の異なる人物のアドレスを入力してしまった、というミスが誘発されます。
いつもの流れで普段から使っている一斉送信リストを利用してしまい、除外しなければいけない人物、追加しなければいけない人物の入力を忘れていた、ということも考えられます。
重要なメールや機密情報を伴うメールの場合「宛先を間違える」という誤送信は、情報漏洩に直結するので、しっかりとした対策が必要です。
誤った情報を伝えてしまう
メールの内容に誤りがあるのも立派な誤送信になります。よくあるのは以下のような間違いです。
- 添付すべきファイルを間違える
- メールが完成していないまま送信してしまう
- 件名を付けずに送ってしまう
- 名前や会社名が間違っている
- 本文中の日時や金額などの数字が間違っている
- コピペして送った際に修正すべき点を忘れていた
BCCの使い方を間違えた、宛先を入力ミスしていたというミスに比べると修正が効くので、そこまで大きな問題にはなりませんが、相手からは「細かなミスをする信用できない人だ」というレッテルを貼られかねません。
「メールの内容をコピペして利用した際に、相手の名前や日時を変え忘れていた」「会社の正式名称や名前の漢字が間違えていた」というのはあるあるのミスです。
メールは相手の顔が見えないコミニュケーションツールなので、より慎重に送信前の確認を行うことが大切です。
メールの誤送信を防ぐ対策方法
それでは、これらの誤送信への対策方法について以下のポイントを解説します。
- 誤送信しないためのチェックリストを作成する
- メーラーの設定を工夫する
- 社内ルールを徹底する
メール担当者や、社内メールの整備や新人教育として基本的なビジネスメールの使い方を指導する際や、ご自身のメール誤送信対策として参考にしてみてください。
誤送信しないためのチェックリストを作成する
まず第一に考えられる対策は、送信前のチェックリストの作成をすることです。
チェック項目を設定する際には、基本的な事項に加え、実際に過去に起こった誤送信によるミスを参考にするのがおすすめです。ただ、チェック項目がありすぎても確認作業が面倒くさく感じてしまうので、チェック項目は取捨選択し更新していくことをおすすめします。
メーラーの設定を工夫する
利用しているメーラーの設定を工夫することで、誤送信の対策を行うこともできます。
誤送信を防ぐ設定として以下のようなものがあります。
- オートコンプリート機能を無効にする
- アドレス帳の漢字登録
- 送信取り消し機能
オートコンプリート機能とは、メールアドレスの頭文字を入力するだけで、候補となるアドレスが自動で入力される機能です。
いちいちアドレスを選択する必要がない便利な機能ですが、誤った候補が入力されていることに気付かずに誤送信が起きてしまうことがあります。メーラによっては、この機能をオフにすることができるので「自動でアドレスが入力されるのが煩わしい」と感じたことがあるなら、設定を変えても良いかもしれません。
また、宛先名は必ず漢字で表示されるように登録しておきましょう。少し手間に感じるかもしれませんが、ローマ字で宛先名が表示されると似たような文字列が並ぶと非常に見分けにくく、ミスを誘発する原因となります。
送信取り消し機能は、メールを送信してしまった後、間違いに気づいた際に役立ちます。例えばGmailでは最大30秒、Outlookでは1分ほど送信までに猶予を持たせることができるので、送信ボタンを押した後でも取り消すことができます。
「ファイルを添付し忘れた」というような単純なミスの場合、すぐに気づくことができればこのような対策で防ぐことができるので、保険として設定しておくことをおすすめします。
社内ルールを徹底する
メール送信に関する社内ルールを徹底し、社員の意識改革をすることも誤送信対策になります。
まずは、メールによる誤送信のリスクを教育することが大切です。特に新入社員の場合ビジネスメールに関するマナーやメールによるトラブルの深刻さを知らないという事もあるため、まずは危機管理意識を高める事が重要です。
大事な情報を添付するメールへのパスワード設定など、メールに関する運用ルールが明確に決められていないと、社員がそれぞれでメールに関する設定を変えてしまったり、セキュリティ対策に一貫性が無くなるので、ルールの統一と遵守を徹底できるような取り組みを行いましょう。
更なる強固なメール誤送信の対策とは?
いくつか誤送信への対策方法を紹介しましたが、送信前の確認やチェックリストの作成、社員教育を徹底しても、結局のところヒューマンエラーは防ぎようがありません。
社内ルールを設定したり、チェックリストを作成してもそれらが運用されていなかったり、怠慢でチェックを怠っている可能性もあります。
人間ですから、どんなに注意してもうっかりミスというのは起こってしまいます。そうした点は、以下のような対策を行うことで防ぐことができます。
- メール配信システムで一斉送信によるリスクを減らす
- 承認機能を使う
- 送信メールの一時保留機能を使う
メール配信システムを使った強固な誤送信対策について解説します。
メール配信システムで一斉送信によるリスクを減らす
メール配信システムを利用すれば、メール誤送信による情報漏洩で多い「BCC、CC、TOの利用を間違えてしまう」というミスを防ぐことができます。
メール配信システムでは、一斉送信の際にBCCを使わないので、そもそも「BCC、CC、TOを誤って使う」ということは起きません。
また、大量のメールを一斉送信する場合、BCC機能を使うとメールが正しく届かなかったり配信遅延が生じるリスクもあるので、頻繁にメールの一斉送信を行うという方はシステムの導入をおすすめします。
【徹底解説!】メール配信サービスを導入するメリットとは?メール配信サービスの種類・機能・導入事例をご紹介!
メール配信システムについては上記記事で詳しく解説しているのでご参考ください。
認証機能
誤送信を対策するツールには、送信のために上長(上司やリーダー)の認証を必要とする機能があります。
この機能があれば、送信するメールは必ず一度は上長の目を通すことになるので、二重チェックが必ず行われるというフローが出来上がります。
送信メールの一時保留機能
先ほど紹介した、GmailやOutlookの送信取り消し機能と似たようなものですが、専用のツールを使えば取り消しまでの時間を延ばすことができます。
忙しい中でメール業務を行っていると、メールを送った後に「あっ、しまった!」とミスに気づく危険が高くなります。要らぬトラブルを招かぬよう、取り消すための保険を用意しておくと良いでしょう。
まとめ
誤送信を減らすためには、まずは誤送信が起きることが多いパターンと、メールの誤送信によるリスクを啓蒙し、各々の危機管理意識を高めておくことが大切です。
その上で、送信前のチェックリストや社内ルールを作成し、誤送信に対する対策を万全にしていきましょう。
とはいえ、ヒューマンエラーは避けようがありません。メールによる業務連絡が多く、機密情報を扱うことが多いという場合には「システム」による対策を取り入れましょう。ケアレスミスを最大限減らしていくためには、人間による介入をなるべく減らすことが重要です。
「システムによる対策」を導入すれば、設定した運用ルールが徹底されるので、誤送信の抑止力が高まることに加え、セキュリティ管理者の負担も結果的に減ることになります。
手作業でも誤送信の対策は行うことはできますが、より安全なメール運用にぜひ誤送信を防ぐシステムの運用も検討してみてくださいね。