メールを使った集客をしている中で、もっと顧客ごとにパーソナライズ化されたコンテンツの配信はできないだろうか、と考えたことはないでしょうか。
メールマーケティングの代表的な例として挙げられる「メールマガジン」とは違い、読者のアクションに応じて異なるメールを配信する「シナリオメール」という手法があります。
メルマガによる集客を行っている企業と比較して、シナリオメールを採用している企業はそれほど多くありません。
とは言え、提供しているサービスや顧客の属性によっては、メルマガよりもシナリオメールの方が集客効果が期待できる場合があります。
この記事では、メルマガとシナリオメールを比較して解説しており、どちらの集客方法が自社に適しているかを考える際の判断材料としてお読みいただけます。
自社のサービスをより効率的に、より魅力的に伝えるにはどちらのコンテンツを選ぶべきなのか考えてみましょう。
目次
メルマガとシナリオメールの違い
同じ内容のコンテンツを同時に読者に配信する「メールマガジン」とは違い「シナリオメール」は、特定のアクションをきっかけとして読者ごとに異なったメールを配信します。
上記の図では、まずメールA開封の有無をアクションとして設定し、それぞれのアクションに応じてメールBとメールCを送り分けています。
メールAを開封した読者により詳細な情報を配信することができますが、開封していない受信者に対して同様のメールを配信してしまうと、読者離れを起こす原因になります。
そこで、メールAと同じサービスを紹介しつつも、違う角度から切り出しているメールCを配信し、メールAには興味を持たなかった受信者にも次のステップに進んでいただけるような働きかけをします。
シナリオの数が多いほどパーソナライズ化されたメールマーケティングが可能になりますが、同時にシナリオやコンテンツの作成、配信設定などのコストも増えていきます。
シナリオメールとステップメールの違い
シナリオメールと混同しやすいメールマーケティングには、ステップメールも挙げられます。
ステップメールは「複数のメールを設定した日付・順序で送付する」集客手法です。
シナリオメールとの違いは、配信設定に日付が関連してくる点です。
それぞれの集客の違いを「資料請求」を起点に考えてみましょう。
- シナリオメール:資料請求後、特定のアクション(トライアル申し込み等)ごとに設定したメールを配信する
- ステップメール:資料請求後、設定した日にちの経過を基準にメールを配信する
コンテンツの受信者のアクションに応じて配信するメールを変更する場合、複数のシナリオが考えられますが、ステップメールは1つのシナリオを辿る配信形式です。
詳しくは後述していますが、両者はメルマガの運用と比較してツールの利用コストが高い傾向があることも特徴として覚えておきましょう。
また、どちらの集客も、事前にシナリオを設計し読者を誘導するマーケティングですが、シナリオメールの方がより細かく読者の反応に合わせた配信が可能です。
メルマガの活用方法
メルマガは、同じコンテンツを一斉送信するマーケティング手法です。
以下のようなコンテンツの配信で活用すると、効果を発揮すると言われています。
- クーポンやキャンペーンの告知
- お役立ち情報の共有
これらの情報を長期的に配信し読者にアプローチをすることで、読者のナーチャリングを行い売り上げやファン獲得を目指します。
詳しくは以下の記事で解説していますが、メルマガを活用する上で「クーポンやキャンペーンの告知のみ行う」のはNGです。
上記のようなメルマガの配信は読者に押し売り感を与える配信の方法になっており、金額以外にネックを抱えている見込み客にはアプローチができません。
自社のサービスを利用するか迷っている見込み客にアプローチをするには、他社サービスとの比較や活用方法のような、読者との信頼関係を築くことを目的としたメルマガ配信が必要です。
関連記事:集客できる「メルマガ」作成のポイントとは?メールのプロが徹底解説
メルマガ運用のメリット
メルマガやシナリオメールのような、広義のメールマーケティングには以下のようなメリットがあります。
- 印刷費などがかからず費用対効果が高くなりやすい
- 中・長期的に顧客と接触することができる
- 自社が運営するWebページに誘導しやすい
これらは、メルマガ・シナリオメールどちらにも共通した特徴として考えることができます。
ここからは、上記のようなメールマーケティング全般に見られる特徴ではなく、メルマガとシナリオメールを比較した際のメリット・デメリットを解説します。
即時性のあるトピックが提供できる
あらかじめ配信するメールを用意しているシナリオメールとは違い、メルマガ配信では話題になっているトピックをネタとして提供できます。
トレンドと自社サービスの共通点を見つけ出し、コンテンツのタイトルに反映することができれば開封率の高いメルマガが作成できるかもしれません。
即時性があるトピックとの組み合わせは様々な集客で有効な手段になるので、メルマガ配信の大きなメリットと言えるでしょう。
HTMLメールの作成コストが低い
HTMLメールとは、メール内に画像やボタンを配置して視覚的な訴求効果を高めたメールのことです。
HTMLメールは、作成にHTMLに関する知識やスキルが必要とされていたコンテンツです。
しかし「メール配信システム」と呼ばれる、メールの一斉送信やHTMLメールの作成に特化したサービスが開発され、誰でも簡単にHTMLメールを作成できるようになりました。
シナリオメールの配信機能があるメール配信システムも存在しますが、メルマガ専用のものと比較し高価になる傾向があります。
これは、シナリオメール機能を提供しているメール配信システムが少ないことや、ほとんどの場合「MAツール」や「CRMツール」などのよりマーケティング寄りなシステムの機能として付随していることが原因です。
一方、メルマガ配信を目的としたメール配信システムは母数が多く、十分な実績があるシステムでも4,000円/月額〜利用可能です。
以下の記事では、シナリオメールを提供しているサービスも含め、メール配信システムの機能や価格をまとめてご紹介しています。
関連記事:おすすめメール配信システム比較20選!タイプ別に解説!
メール配信システムの導入前にぜひご活用ください。
HTML形式によるコンテンツの作成・配信は、メールマーケティングを行う上では必須と言えるほど重要な項目です。
できる限りコストを抑えた上で、運用する上で無駄な機能がないメール配信システムを選ぶべきでしょう。
メルマガ運用のデメリット
メルマガを配信する際に発生するデメリットについて解説します。
こちらもメリットをご紹介した時と同様に、シナリオメールを運用した場合と比較して解説します。
コンテンツの作成に手間がかかる
シナリオとコンテンツを事前に作成するシナリオメールとは違い、メルマガ配信では集客を続ける限りコンテンツの作成コストがかかります。
近年では、その負担を軽減するためにAIを利用しメルマガの構成や話題をリサーチしている企業もあるようです。
関連記事:【決定版】ChatGPT×メルマガで効率的なメール配信!実際の画面付きで解説!
メルマガのネタ探しは集客効果に影響する大事な業務ですが、あまりにコストが掛かりすぎると他の業務とのバランスが崩れてしまうため注意しましょう。
メール配信の自由度が低い
メルマガ集客はコンテンツの作成に関しては自由度がある集客方法ですが、あくまで一斉送信によるものなので、読者に合わせたメールの配信はできません。
そのため、自社のメルマガを受信してる方はどんな情報を求めているのか、常に考えてコンテンツに反映する必要があります。
ただし、メルマガの登録者全員に対して全く同じコンテンツを配信するしかないのか、というと実はそうではありません。
メルマガ配信では「ターゲット配信(もしくはセグメント配信)」と呼ばれる機能を使い、メルマガの読者を属性ごとに分類して配信することが可能です。
- 居住地域
- 年齢
- 性別
などは、メルマガ配信におけるターゲットの代表的な分類項目です。
この機能は、先述したメール配信システムで提供しています。
シナリオメールの活用方法
シナリオメールは、読者のアクションに応じて別のメールを配信する集客です。
- メールの開封
- リンクのクリック
- 資料請求
上記のようなアクションを起点として、次のアクションを促すシナリオメールを配信します。
シナリオメールを活用することで、自社のサービスを利用する可能性が高いリードに優先的にアプローチを仕掛けられます。
また、読者のアクションごとに行うシナリオメールは、読者の心に響きやすいタイミングで
のコンテンツ配信に繋がります。
特に、高価なサービスを提供している場合は、読者と継続的に接触をしてサービスが必要になったタイミングで自社のサービスを選択してもらわなければなりません。
そのため、以下のような業界ではシナリオメールの配信が有効とされています。
- 不動産
- 金融
- 保険
シナリオメールを配信することで、資料を請求したタイミング、無料相談を行ったタイミングのようなサービスを利用する可能性が高いタイミングで接触することができるでしょう。
シナリオメール運用のメリット
シナリオメールを使った集客のメリットを解説します。
パーソナライズ化されたコンテンツを配信できる
前項でも解説したように、シナリオメールは読者ごとにパーソナライズ化されたコンテンツの配信ができることがメリットです。
そのため、サービスの制約や資料請求などのコンバージョン率を高めることが可能になります。
また、メルマガのように常にメールを配信する集客方法ではないシナリオメールは、読者離れを起こしにくいメールマーケティングとしても知られています。
リードを確保しつつ、読者の状況にあった情報提供ができることがシナリオメールを運用する大きなメリットです。
自動化される領域が広い
配信するメールはあらかじめ用意されたコンテンツに限定されるため、シナリオの変更がない限り新しくコンテンツを作成する必要はありません。
また、基本的にはメール配信システムを使い配信するタイミングも自動化されるので、シナリオメールの配信開始後は労力を抑えて運営することができます。
もし、メール配信システムを利用せずにシナリオメールを配信しようとすると、リンクのクリックやメールの開封といった、ウェブ上で集計するアクションに対してシナリオが組めません。
そのため、シナリオメールの運用は、シナリオメール機能を提供しているメール配信システムを利用して行うのが現実的と言えるでしょう。
シナリオメール運用のデメリット
次に、シナリオメールの運用時に発生するデメリットを解説します。
シナリオの作成が難しい
シナリオメールの成果は、メールを配信するタイミングを決めるシナリオのクオリティに大きく左右されます。
シナリオの制作者にはシナリオの細かさだけでなく、アクションを起こした読者の心理状態やニーズを正確に把握し次のシナリオを設定するセンスが求められます。
もちろん、最初に作成したシナリオは改良を重ねていくものですが、常に読者のニーズをシナリオに反映しなければコンバージョン率の改善は期待できません。
メール配信以外の業務も行いながら、シナリオの改善でも結果を出さなければならなくなるので、根気とセンスが求められる業務と言えるでしょう。
メール配信システムが割高になる
冒頭でも解説したように、シナリオメールの機能があるメール配信システムは、メルマガ配信に特化したものと比較して割高になる傾向があります。
また、マーケティングツールとしての機能を提供しているサービスが多いため、操作が複雑な場合もあるため注意が必要です。
シナリオの制作と専門的なシステムの運用が可能なスタッフを確保しましょう。
メルマガ?シナリオメール?自社に適したメールマーケティングはどちらか
これまでの解説を踏まえ、自社のメールマーケティングはどちらを選択すべきか考えてみましょう。
メルマガ配信がおすすめの企業
メルマガの配信は、BtoCで多くの見込み客にナーチャリングを行いたい企業におすすめです。
また、以下のような目的がある場合もメルマガ配信を検討しても良いでしょう。
- トレンドと組み合わせた集客が可能なサービスを提供している
- 運用コストを抑えてメールマーケティングを行いたい
- 専門的なスキルの要素を減らして集客をしたい
元々、様々な業界で採用されており、汎用性が高い集客方法ですが上記のような条件に該当する場合は特におすすめです。
もちろんBtoBでのメルマガ配信も効果的ですが、BtoCの方がより費用対効果が高くなるケースが多いです。
以下の記事では、メルマガ配信のノウハウや配信方法など、メルマガの基礎について詳しく解説しています。
関連記事:メルマガとは?意外と知らない基礎知識や配信方法を分かりやすくご紹介!
メルマガ配信を検討する場合は、ぜひご覧ください。
シナリオメールがおすすめの企業
シナリオメールは、すでにメールマーケティングを行っており関連するスキルを持つ人材を確保している企業におすすめです。
- 高価なサービスを提供している
- リピーターを増やすことが目的
- メールマーケティングを自動化したい
本記事で解説したように、パーソナライズ化されたコンテンツを配信することで読者がサービスを利用する可能性を高めることができます。
また、すでに自社のサービスを利用した方に向けて、それぞれの購入履歴に合わせたシナリオを用意すれば、リピーターの獲得を促進できるでしょう。
まとめ
メルマガとシナリオメール・ステップメールは同じメールマーケティングの手法ですが、内容は大きく異なっています。
メールマーケティング施策を検討中の方は、それぞれの違いと自社の集客目標をしっかりと把握しましょう。
初めてメールマーケティングを行う場合は、費用や人的コストが抑えられるメルマガ配信から始めることをおすすめします。
また、本記事で解説したように、シナリオメールの運用はメルマガの配信と比較してマーケティングスキルが求められることも理由の一つとして挙げられます。
ご紹介したメール配信システムのランキング記事にも掲載されていますが、メールマガジンによる集客を導入する方は、無料トライアルを実施しているものを選ぶようにしましょう。
メール配信システムの操作感や、自社が想定しているメルマガ集客の運営を事前に試すことが可能です。
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