あなたはメール配信を到達させるためにどのような対策を講じていますか?
「到達率の重要性は理解できているが、実際、対策は徹底できていない」というメール配信担当者は非常に多いでしょう。
令和に入った今でも、到達率対策が不十分なままメール配信している業者は少なくありません。スパム行為をしておらず、事業自体も優良なのに、到達率対策が不十分ではあまりにもったいありません。
そこで本記事では、メール配信の到達率の基本知識と到達率を上げる具体的な方法について解説していきます。
有効なリスト全員にメール配信を到達させるためにも、ぜひ本記事を参考にして到達率対策を万全にしてください。
目次
メール配信の到達率とは?
メール配信における到達率とは、メール配信総数のうち、どのくらいメールが配信成功したかを表す指標です。
受信ボックスに届いたかどうかなので、迷惑メールボックスに届いたメールは到達にカウントされません。
到達率が低いまま、メール配信を行っていると顧客に情報が届けられず、業務に支障が出る可能性もあります。
最悪の場合、クレームに繋がる可能性もあるので、メールマーケティングを行う際は到達率も必ず確認するようにしましょう。
配信成功率とは何が違うのか?
メールマーケティングには到達率と同じような指標に配信成功率がありますが厳密には下記のような違いがあります。
- 到達率=受信ボックスに届いた確率
- 配信成功率=サーバーに受け入れられた確率
メールはサーバーを経由してから受信ボックスに届くので、基本的には配信成功率よりも到達率の方が低くなります。
配信成功率も大事な指標ではありますが、最も重要な指標は到達率であることを覚えておきましょう。
到達率が低いまま放置すると、そのまま到達率が下がっていくだけでなく、せっかく手に入れたリストの有効性も下がってしまい、メールマーケティングの成果に大きな悪影響を及ぼします。十分注意して下さい。
メルマガ配信の到達率の目安はどれくらい?
メルマガ配信の到達率の目安は90%です。
到達率の計算方法は下記のとおりとなります。
到達数 ÷ 配信総数 × 100 = 到達率
メール配信が1万通で、そのうち届いたメールが9,000通なら、到達率は90%となります。
どんなに優れている配信システムでも難しいことなので、現実的なラインとして90%を目指しましょう。
到達率が90%を切るような場合は何かしらの対策が必要と考えて良いでしょう。
何かしらのエラーが起きているか調べたり、他の配信システムに切り替えることを視野に入れることをおすすめします。
メール配信が到達する基準
結論からいうとメール配信は、ISP(インターネットサービスプロバイダ)によるフィルタリングをクリアしたものだけが購読者の受信ボックスに届く仕組みになっています。
フィルタリングをクリアできなかったメール配信はすべてスパムメールと判定され、迷惑メールボックスに届くか、受信が拒否されます。
フィルターの厳密な基準は開示されていませんが、セキュリティ対策がされているかや、スパムメール業者が行っているようなメール配信していないかなどが関係しています。
それら様々な基準からISPは送信元のレピュテーション(評価)を決め、メールを受信者に届けるか、スパムメール判定するか、受信拒否するかを選択しているわけです。
メール配信の到達率を上げる5つの対策
メール配信の到達率を上げるには、以下5つの対策が有効です。
- 送信ドメイン認証(なりすましメール対策)を徹底する
- 同一IPからの大量配信は避ける
- 配信エラーになるリストを取り除く
- スパムトラップを避ける
- 購読者に「迷惑メール報告」されないようなメール配信をする
各対策について詳しく見ていきましょう。
送信ドメイン認証(なりすましメール対策)を徹底する
送信ドメイン認証とは、メールの送信元が他の何者かになりすまされていないことを証明するためのセキュリティ対策のことです。送信ドメイン認証がされているとレピュテーションが高まり、到達率が高まります。
メール配信開始の事前にできる対策なため、これからメール配信を始めるなら必ず送信ドメイン認証を実践するようにしてください。
また、「すでにメール配信しているが送信ドメイン認証の設定は怪しい」という場合は、必ず設定を見直すようにしましょう。送信ドメイン認証は、Webサイトでいう「SSL化」くらい当然のように行うべきセキュリティ対策です。
送信ドメイン認証とは、具体的に以下3つのことを指します。
送信ドメイン認証の手法
- SPF(Sender Policy Framework)
メール配信時、送信元のIPアドレスをサーバーに事前登録されたIPアドレスと照合することでなりすましを検知するセキュリティ対策。メールの送信元となるDNS(ドメインネームサーバー)に送信元のIPアドレスをTXTレコードとして追加することで設定可能。 - DKIM(DomainKeys Identified Mail)
メール配信に電子署名を付与し、受信側がそれを検証することでなりすましを検知するセキュリティ対策。メール、もしくはサーバーサービス上でDKIM公開鍵を生成し、送信元となるDNSにTXTレコードとして追加することで設定可能。 - DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)
SPFとDKIMの認証に失敗したなりすましと思われるメール配信をどのように扱ってもらうか(受信、スパム、受信拒否)、メール配信側が決められるセキュリティ対策。こちらも送信元のDNSにTXTレコードを追加することで設定可能。
これら3つのセキュリティ対策はどれか一つではなく、すべて行うようにしてください。なぜなら、どの対策も一長一短あり、すべて行うことで弱点を補い合えるためです。
同一IPからの大量配信は避ける
同一IPからの大量配信は、スパムメール業者がやるメール配信の典型です。そのため、同一IPからメールを大量に配信するとレピュテーションが下がり、結果的に到達率が悪くなります。
また、IPアドレスがブラックリスト入すると、すべてのメールが届かなくなります。
それらのことを防ぐためにも、1日に何万通もメール配信する場合は、複数IPから分散して行うようにしましょう。そうすることでレピュテーションが下がりにくくなり、到達率も上がりやすくなります。
なお、複数IPからの分散配信を行うには、メール配信システムの利用がおすすめです。下記記事ではおすすめのメール配信システムをまとめていますので参考にしてください。
関連記事:メール配信システム比較20選!機能・料金を徹底比較
配信エラーになるリストを取り除く
無効なアドレスにメール配信し続けると、スパムメール判定されやすくなります。配信エラーがないかどうかを定期的にチェックして、入力ミスのあるアドレスや存在しないアドレスは配信対象から外すようにしてください。
特に無効なアドレスは、有料で販売されているようなアドレスリストによく見られます。そのためリストをお金で購入するのは控えるようにしましょう。
スパムトラップを避ける
スパムトラップとは、スパムメール業者をあぶり出すためにIPS側が作った囮メールアドレスです。
スパムトラップにメール配信すると即座にブラックリスト入となり、到達率が著しく悪化します。有料のアドレスリストに紛れ込んでいることがよくあるので、やはりリストをお金で購入するのは控えるようにしましょう。
購読者に「迷惑メール報告」されないようなメール配信をする
メールクライアント上で「迷惑メール報告」されてしまうと、その購読者の受信ボックスにメール配信が届かなくなるだけでなく、メール配信全体がスパムメール判定されやすくなります(レピュテーション低下)。
迷惑メール報告されないようにするためにも、以下のようなメール配信を心がけましょう。
- 意図しない購読を減らす
- 配信解除のプロセスを簡単にする
- なりすましメール対策を万全にしておく
- 公序良俗に反する内容の配信は控える
各対策について詳しく解説します。
意図しない購読を減らす
「購読する」にはじめからチェックが入った状態で商品購入をしたなど、ユーザーが意図せずメール配信を購読してしまうと、迷惑メール報告される可能性が高まります。
メール配信オファーは必ずユーザーが認識しやすい形で行い、意図しない購読は可能な限り減らすようにしましょう。
配信解除のプロセスを簡単にする
購読者がメール配信を迷惑メール報告する理由として多いのが、「配信解除が難しい、面倒くさい」ということが挙げられます。
購読者からすると、メール配信の解除はワンクリック(ワンタップ)で済むのが理想です。サービスにログインしたりメニューを探したりといったことが必要な仕様だと、その場ですぐに配信解除できないため、もっと簡単にできる迷惑メール報告に流れてしまいます。
なお、配信解除ができない仕様は法律違反となるので、絶対にやらないようにしてください。これには「特定電子メール法」という法律が関係しています。あなたがメール配信担当者であれば、特定電子メール法の知識も蓄えておくとよいでしょう。
送信ドメイン認証(なりすましメール対策)を万全にしておく
なりすましメール対策が万全でないと、レピュテーションが下がるだけでなく、受信者のメールクライアント上に「このメールは安全性が保証されていません」という旨の表示がされます。
こういった表示は購読者に不安を与え、実際にはなりすましでなかったとしても迷惑メール報告されてしまう可能性が高まります。
公序良俗に反する内容の配信は控える
公序良俗に反する内容の配信は購読者を不快にさせ、迷惑メール報告される可能性が高まります。たとえば「1時間タイムセール!! 完全無料!!」や「ノーリスクでお金が稼げます」などといった内容です。
また、それらのワードはISPのフィルタリングに引っかかる可能性もあります。普段は気をつけていても、力を入れたキャンペーンでつい射幸心を煽るような内容にしてしまうことはありえる話です。十分留意しておきましょう。
メール配信の到達率まとめ
メール配信の到達率とは、メール配信がどのくらい受信ボックスに届いたかを表す数字です。到達率が高ければ高いほど、メール配信の成果は上がりやすくなります。
到達率を上げるには、まず送信ドメイン認証(なりすまし対策)を万全にすることから始めましょう。送信ドメイン認証が行われていないとIPSからの評価が下がり、到達率が下がりやすくなります。
また、メールクライアント上でも「安全性が保証されていない」と表示され、購読者による迷惑メール報告がなされる可能性が高まります。
送信ドメイン認証の他、エラーリストを定期的に間引いたり、配信を解除しやすくしたりといった対策も有効です。
ぜひ、あなたのメール配信をこの機会に見直してみてください。