非対面営業とは、文字通り顧客と直に対面せずに商談などを行うことです。
しかし、営業活動には商談以外にも多くの業務が含まれます。例えば商談の日程調整、名刺の管理、契約の締結などです。そのため、一口に非対面営業を実践するといっても、どの営業活動を非対面化したいかで導入すべきデジタルツールも変わってきます。
そこで本記事では、名刺管理サービスやビデオ会議ツールなど、様々な非対面営業ツールについて解説します。非対面営業ツールのおすすめサービスも紹介するので、これから営業の非対面化を進めようとしている企業にはかならず読んでいただきたい内容です。
なお、別の記事では営業支援サービスについても詳しく解説しています。こちらも本記事とあわせて参考にしてください。
参考:営業ツール(MA・SFA・CRM)とは?各営業ツールの特徴と選び方を徹底解説!
目次
非対面営業ツールの種類
非対面営業ツールとして代表的なのは下記の4つです。
- ビジネスチャット
- クラウド名刺管理サービス
- ビデオ会議ツール
- 電子契約サービス
各ツールの用途や機能について、詳しく解説していきます。
ビジネスチャット
- 顧客とのやり取りがよりスピーディーになる
- グループ作成やタスク管理機能によって柔軟な連携が可能
- 過去のやり取りが簡単に参照できる
顧客とテキストでやり取りする際にメールを利用している営業担当者は多いでしょう。メールも非対面といえばそうなのですが、メールでのやり取りは瞬発力や柔軟性に欠け、スムーズなコミュニケーション方法とはいえません。
非対面営業を真に実現するなら、テキストのやり取りにビジネスチャットを導入するのがおすすめです。本来ビジネスチャットは社内コミュニケーションをチャット化するためのツールですが、サービスによっては社外とのやり取りにも活用できます。
注意すべきは、すべての顧客とのやり取りをチャットに置き換えるのは難しい点にあります。なぜなら、ビジネスチャットはそのサービスのアカウントをお互いに持っていないとやり取りできないためです。
とはいえ、ビジネスチャットを使った非対面営業のスピーディーさを一度経験すれば、そのデメリットを上回る利便性を感じ取れるでしょう。
クラウド名刺管理サービス
- 同じサービスのユーザーならURL共有だけで名刺交換が完結する
- 紙の名刺をデジタル化できる
- 名刺に記載されている情報以外に任意の情報を付与できる
- もらった名刺が探しやすくなる
- 名刺から情報を引用しやすくなる
クラウド名刺管理サービスとは、名刺をオンラインで管理することにより、名刺交換や顧客管理の効率化するための非対面営業ツールです。
名刺管理サービスなら、紙の名刺をスキャナーに通すだけで氏名や電話番号などの情報を自動でテキストに起こしたり、業種や役職といったタグを自動で付与したりできます。そのため、従来の名刺整理にかかっていた手間はほとんど省けてしまいます。
もちろん様々な条件で絞り込み検索ができるため、「あの会社の名刺どこに入れたかな……」と名刺フォルダを探る時間もかかりません。
ビデオ会議ツール
- 在宅勤務でも商談が行える
- オンラインで名刺交換できる
- 紙の資料を作らずに済む
- 往復が必要ないためスケジュール調整の自由度が高まる
- ウェビナーも開催できる
非対面営業といえば、ビデオ会議ツールを使った商談のオンライン化でしょう。むかしの商談といえば顧客や取引先のオフィスまで赴くのが当たり前でしたが、ビデオ会議ツールを使えば場所に囚われず商談できます。
場所に囚われないというのは中々に大きいメリットです。このメリットひとつだけで移動の時間や経費が削減できる、紙の資料を用意しないで済む、スケジュールが調整しやすくなるなど、様々な利点がもたらされます。
また、一部のビデオ会議ツールはウェビナー(Web上で行うセミナー)を開催できるものがあります。営業手段のひとつにウェビナーが加わるだけで、営業戦略の自由度は格段に向上するでしょう。
ビデオ会議ツールは様々な面から見て、非対面営業の実現になくてはならないツールです。
電子契約サービス
- 書類のやり取りが簡略化される
- コピー関連の経費が削減できる
- 契約書の保管スペースを空けられる
- ワークフロー管理機能によって契約プロセスをより厳格に管理できる
電子契約サービスとは、オンラインのやり取りだけで契約締結が実現できる非対面営業ツールです。電子契約を利用すれば書類のコピーや郵送といった手間を省け、経費削減にもつながります。
また、多くの電子契約サービスにはワークフロー管理機能が備わっており、書面で行うよりも契約プロセスを厳格に遂行することが可能です。
なお、「オンラインの契約でちゃんと法的な拘束力のある書類が作れるの?」と心配になる方もいると思いますが、結論からいえば心配ありません(※一部の例外あり)。オンライン上での契約も有効な契約方式として法律(契約自由の原則)で認められています。
※ 書面化の必要がある契約について
定期借地権設定契約や農地の賃貸借契約など、一部の契約については法律で書面化が強く要請されている。もしくは書面作成することが契約の成立要件になっている
非対面営業ツール活用時の注意点
在宅での商談を可能にしたり、名刺管理を簡単にしたりと様々な利便性をもたらす非対面営業ツールですが、いくつか注意点もあります。それは下記の3点です。
- オフィスにオンライン商談用スペースを設ける
- 段階を踏んで少しずつ導入を進める
- 非対面営業はあくまで数ある手段のうちのひとつと捉える
各注意点について詳しく解説します。
オフィスにオンライン商談用スペースを設ける
非対面営業を実現するにあたって、オンライン商談の導入を優先的に進めている企業は多いでしょう。そんな企業に取り組んで欲しいのが、自社にオンライン商談専用スペースを設けることです。
なぜなら、「家族がいつも家にいる」「賃貸のため大きな声で話せない」といった環境的事情により、在宅での商談が難しいスタッフは少なからずいるためです。彼らの非対面営業をサポートするためにも、気兼ねなくオンライン商談ができる環境を自社に整えましょう。
予算が潤沢な場合は、Webカメラやモニターといった機材の費用や引越し費用の一部を負担するなど、在宅勤務の環境を整えるという切り口で対応するのも有効です。
段階を踏んで少しずつ導入を進める
非対面営業ツールは便利なものばかりですが、導入して最初のうちは運用を定着させるための期間が必要です。
そのため、非対面営業ツールは優先順位を決めて段階的に導入を進めましょう。非対面化を急ぐあまり短期間で多数のツールを導入すると、従来の業務とのギャップが大きくなってしまい、むしろ営業担当者のパフォーマンスを低下させる恐れがあります。
非対面営業はあくまで数ある手段のうちのひとつと捉える
営業活動は必ずしも非対面が正解というわけではありません。特に商談においては、対面でなければ成約が難しい顧客も少なくないでしょう。
そのため非対面営業ツールは、あくまで数ある手段のひとつとして捉えてください。対面での営業も引き出しに入れておき、状況に応じて最適な選択をする意識を持っておきましょう。
非対面営業ツールのおすすめ4選
ここからは、非対面営業を実現するツールのおすすめを下記のとおり4つご紹介します。
- Sansan(名刺管理サービス)
- Zoom(ビデオ会議ツール)
- Chatwork(ビジネスチャット)
- NINJA SIGN(電子契約サービス)
Sansan
種類 | 名刺管理サービス |
公式サイト | Sansan |
提供 | Sansan株式会社 |
料金 | 要問い合わせ |
Sansanはベンチャー企業から大企業まで、幅広い業種・規模に利用されている名刺管理サービスです。トップクラスのシェアを誇り、国内で8,000社以上の企業が導入しています。
名刺の読み取りは専用スキャナかスマホアプリで行え、一枚あたり0.3秒というわずかな処理時間で読み取り精度は99.7%を誇ります。
名刺管理に特化したサービスではありますが、名刺交換した相手にメッセージを送れたり、CRMやグループウェアなどの外部サービスと連携できるなど、機能が豊富です。
Zoom
種類 | ビデオ会議ツール |
公式サイト | Zoom |
提供 | Zoom Video Communications, Inc. |
料金 | 月額2,000円 / 1ユーザーから(無料プランあり) |
Zoomはいわずと知れたビデオ会議ツールです。クライアントのインストール不要でビデオ会議に参加できるため、オンライン商談を行う際のハードルが低いというメリットがあります。
オンライン商談を行うのに役立つ機能も、もちろん充実しています。例えば画面キャプチャを利用した資料共有、ビデオ会議の録画機能などです。さらにはウェビナー開催機能も備わっており、オンライン商談だけにとどまらない非対面営業を実践できます。
Chatwork
種類 | ビジネスチャット |
公式サイト | Chatwork |
提供 | Chatwork株式会社 |
料金 | 月額500円 / 1ユーザーから(無料プランあり) |
Chatworkは国産のビジネスチャットサービスで、低い価格設定とシンプルな使い勝手が特徴です。機能が足りないかといえばそんなことはなく、グループ作成や簡易的なタスク管理機能などが備わっており、非対面営業に利用するには十分すぎる仕様となっています。
また、相手のメールアドレスや氏名で検索するだけで連絡先を追加できる、社外アカウントとのチャット画面には注意喚起のアイコンが表示されるなど、Chatworkはビジネスチャットの中でも特に社外とのやり取りを行いやすい設計になっています。
NINJA SIGN
種類 | 電子契約サービス |
公式サイト | NINJA SIGN |
提供 | 株式会社サイトビジット |
料金 | 月額4,980円から(無料プランあり) |
NINJA SIGNは会計ソフト「freee」のグループ企業、株式会社サイトビジットが提供している電子契約サービスです。弁護士の監修が入っており、安心して電子契約を導入することができます。
NINJA SIGNの特徴は月額料金内で契約書のやり取りが無制限で行えることです。多くの電子契約サービスは契約一件ごとに数百円の従量課金が発生しますが、NINJA SIGNではそのような費用はかかりません。
非対面営業ツールまとめ
今回は4種類の非対面営業ツールについて解説しました。最後に各ツールで実現できることを短くまとめておきます。
- ビジネスチャット
メールよりも迅速なコミュニケーションが実現できるようになり、スピーディーに営業活動を進められる - クラウド名刺管理サービス
名刺登録や検索がオンラインで行えるようになり、名刺管理の煩雑さから解放される - ビデオ会議ツール
オンライン商談やウェビナー開催など、非対面営業になくてはならないツール - 電子契約サービス
契約締結がオンライン上で行えるようになり、書面での契約でかかっていた時間やコストが削減できる
これらのツールはデジタルの力で営業活動を円滑にし、営業担当者のパフォーマンスを飛躍的に向上させる可能性を秘めています。ただし、顧客がパソコンに不慣れな場合など、非対面営業が不適切な状況も少なくありません。
非対面営業ツールは従来の営業活動に手段をプラスするものとして考え、過信しないように気をつけましょう。