マーケティングの具体的戦術を考えるのに役立つマーケティングミックスですが、「マーケティングミックスってどんなときに行えばいいの?」と疑問に思っている人もいるでしょう。
そこで本記事ではマーケティングミックスの基本概念や行うべきタイミングなどについて、実際の事例も交えて解説していきます。
目次
マーケティングミックスとは?
マーケティングミックスとは、プロダクト戦略やプロモーションといった様々な施策を組み合わせることで、マーケティング効果の最大化を目指す施策を指します。マーケティング施策をミックス(組み合わせる)するからマーケティングミックスというわけです。
マーケティングは大まかに市場調査・分析 → 戦略立案 → 実行という順序で行われますが、この中でもマーケティングミックスは戦略立案の終盤で必要となります。
なぜなら「このターゲット戦略を踏まえ、具体的にどんなプロモーションを仕掛けるべきか」といったような、具体的戦術を計画するときにマーケティングミックスは役立つためです。
マーケティングをはじめるなら、必ず押さえておきたいのが「デジタルマーケティング」についてです。
デジタルマーケティングは近年、マーケティング業界で大きく注目を浴びており、マーケティングに少しでも携わる方なら「どんなマーケティング手法なのか」を知っていて損はありません。
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代表的なマーケティングミックスの「4P」と「4C」
マーケティングミックスには「4P」や「4C」といったいくつか代表的なフレームワークがあります。
実際4Pと4Cでマーケティングミックスは事足りることが多く、書籍や記事によっては、「4Pや4C=マーケティングミックス」と説明されることもあるほどです。それでは4Pと4Cについて詳しく解説していきます。
4P(製品・価格・プロモーション・流通)
マーケティングの4Pとは、マーケティングにおける各要素を企業側の視点で以下の4つに分類したフレームワークのことです。
これだけだと少々イメージしにくいため、カフェチェーンを展開する「スターバックス」を事例に取り上げて、4Pをより具体的に見ていきましょう。
「サードプレイス(家でも職場でもない第三の場所、憩いの場)」をメインコンセプトとし、オシャレな空間づくりや質の高いサービス提供を目指す
一杯300~700円が価格帯のメイン。他のカフェチェーンよりすこし高いが、ホテルのラウンジよりは安いという価格設定
大規模な広告を打たず、店頭看板や口コミ、SNSなどを利用
都市部やショッピングモールなど、人が集まるところに幅広く出店。また、空港やレジャー施設といった特例を除き、直営店のみ展開されている
マーケティングの成功事例としてよく引き合いに出されるスターバックスですが、こうしてみると、4Pの視点においても非常に練られた戦略をとっていることがわかります。
スターバックスがサードプレイスをコンセプトとしているのは知っている人も多いと思いますが、価格や流通といった他の要素とのバランスも取られているのです。
- 製品 × 価格
オシャレな空間とサービスの質との釣り合いが取れている価格設定。高級感ある空間づくりにより、ホテルのラウンジを利用していたような層の取り込みにも成功 - 製品 × プロモーション
唯一無二の顧客体験により口コミを喚起。マス・Web広告といった大々的な宣伝活動ではなく、TwitterやInstagramなどのSNSや自社ブログでのプロモーションを中心とし、ブランディングを大切にするプロモーション戦略を取っている - 製品 × 流通
都市部だけでなく、地方のショッピングモールにも幅広く出店することでサードプレイスとしての地位を確立。また、直営店展開を主軸に置くことで、店舗によるサービスや品質のバラツキを抑える
このように4Pでマーケティング施策を考えることで、各要素でバランスが取りやすくなるだけでなく、相乗効果も期待できるようになるのです。
4C(価値・コスト・コミュニケーション・利便性)
マーケティングの4Cは、4P同様にマーケティングの各要素を4つに分類したフレームワークですが、4Pとは違い、顧客視点で各要素が解釈されています。
4Pでマーケティングを考えるときは、「客単価4,000円、駅前」のような無味乾燥な情報に留まってしまいがちです。
こうしたときは4Cの視点に立つことで、「リピートしやすい価格設定で、仕事終わりでも通える立地」のような、より顧客にとってのメリットを大切にしたマーケティングミックスを考えやすくなります。
マーケティングミックスを成功させる4つのポイント
マーケティングミックスを成功させるために押さえておきたいポイントは、以下の4つです。
- STP分析ありきで実践する
- 「4P」と「4C」どちらも活用する
- 各要素のバランスや相乗効果を意識する
- 競合他社のマーケティングミックスと比較する
各ポイントについて詳しく解説していきます。
ターゲティングやポジショニングを明確にしてから取り組む
適切なマーケティングミックスを立案するには、そもそもターゲティングやポジショニングが明確になっている必要がありますが、そんなときに役立つのが「STP分析」です。
- セグメンテーション(市場の細分化)
- ターゲティング(狙っていく市場)
- ポジショニング(市場における自社の立ち位置)
の分析を通して、市場のニーズを整理したり自社の強み・弱みを把握したりするためのフレームワークです。
適切な製品戦略や価格戦略を立案するためには、市場のニーズや自社の優位性を正しく理解しなくてはなりません。ターゲティングミックスはあくまで具体的戦術を決めるための施策なため、それまでに必要な市場分析や基本戦略の立案も怠らないようにしましょう。
「4P」と「4C」どちらも活用する
マーケティングミックスを行うときは、できるだけ4Pと4C、どちらも使っていくようにしましょう。
4Pは具体的な行動計画を決めるのには役立ちますが、顧客のメリットを考えるときは4Cの方が向いています。両者の役立つポイントは微妙に違っているため、併用することで、より抜け漏れなくマーケティングミックスを実践できるのです。
また、順序としては4Cから4Pへ、という形が理想です。その方が、より顧客ありきでマーケティングミックスを練ることができるためです。
各要素のバランスや相乗効果を意識する
先ほど挙げたスターバックスの事例でも説明したとおり、マーケティングミックスでは、各要素でバランスが取れているかや、相乗効果が狙えているかが肝心です。
たとえば人気IPの限定グッズを販促するとなったとき、顧客の利便性向上を意識しすぎて大量の在庫を発注・流通させてしまったら、どうでしょう。
大量に在庫を用意してしまったら、IPの旬が過ぎたときに在庫が余ってしまったり、期間限定というありがたみが薄れ、顧客の購買熱を刺激できなかったりしてしまうかもしれません。
「限定性・貴重性」を軸としたプロモーションを仕掛けるなら、流通もそれなりに制限をかけてバランスを取るようにすべきでしょう。そうすることでプロモーションも打ち出しやすくなり、顧客の熱量も刺激できます。
競合他社のマーケティングミックスと比較する
マーケティングミックスでは、競合他社との差別化も重要です。そのためには、競合他社と自社のマーケティングミックスを表にして、照らし合わせてみるのがよいでしょう。
もしくは最初から差別化ありきで考え、競合他社のマーケティングミックスを元に自社のマーケティングミックスを作り上げていくのもよいでしょう。
マーケティングミックスとは? まとめ
マーケティングミックスとは、マーケティングにおける各要素を組みわせて、具体的戦術を決めるための施策を指します。
あくまで具体的戦術を決めるための施策であるため、適切なマーケティングミックスを立案するには、ターゲティングやポジショニングといった基本戦略を立案してから取り組む必要があります。
実際にマーケティングミックスを考える上では、「4P」と「4C」の2つのフレームワークを活用していきましょう。順序としては、まず4Cを使って顧客視点からマーケティングミックスを考え、その後4Pで具体的戦術へと落とし込んでいく、という流れが理想です。