SNS運用に欠かせない指標に「エンゲージメント率」があります。
エンゲージメント率とはかんたんに言ってしまえば、「その投稿に対してどれだけ反応があったか」を示す指標です。
双方向性やリアルタイム性が強いSNSにおいて、投稿に対する反応数は非常に大事な要素となります。SNS運用を担当するなら、エンゲージメント率については確実に理解しておきましょう。
それでは、エンゲージメント率について解説していきます。
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目次
エンゲージメント率とは? 計算方法はズバリ「エンゲージメント数 ÷ 投稿の閲覧数」
エンゲージメント率とは、「投稿の閲覧数に対して反応(エンゲージメント)がいくつ得られたか」を示す指標です。一般的には「約束、婚約」といった意味合いのエンゲージメント(Engagement)という言葉ですが、SNSにおいては「つながり、反応」というニュアンスで捉えられます。
エンゲージメント率を意識してSNS運用する最大のメリットは、自社の発信した情報が、ターゲットに対してどの程度響いているのか把握できる点です。
エンゲージメント率が高いということは、ユーザーの関心や拡散を得られたということであり、結果的にフォロワー獲得やより質の高いフォロワーの育成といった成果につながります。
ただし、エンゲージメント率は反応率を見るための指標です。反応数を把握したい際は、エンゲージメント数を見るようにするのが適切です。
さて、エンゲージメント率の計算方法は下記のとおりとなります。
エンゲージメント数 ÷ 投稿の閲覧数(インプレッションやリーチ) × 100 = エンゲージメント率
エンゲージメントの中身はSNSにより異なりますが、おおむね「コメント、いいね、シェア、画像やURLクリック」などのことを指すと考えていただいて構いません。つまり、「いいねやシェアの総数=エンゲージメント数」ということです。
投稿の閲覧数についてはSNSにより定義が大きく異なります。このあたりのことは「各SNSのエンゲージメント率」の項で詳しく解説していきます。
「エンゲージメント率が高い=成果が出ている」とは限らない!?
エンゲージメント率は基本的に高いほど成果が出ていると見てよい指標です。しかしながら、そうではない場合もあります。
核心から触れてしまうと、エンゲージメントは投稿が「炎上」したときにも集まります。エンゲージメント率がどれほど高くても、実はエンゲージメントが炎上によって集まったものであるなら、「数字が高いほど成果から遠ざかっている」と解釈すべきでしょう。
2018年の事例ですが、飲料メーカーの『キリンビバレッジ』は、同社の看板商品である『午後の紅茶』において「午後ティー女子」という名前のSNS企画を実施しました。
企画は結果的に、SNSユーザーから「女性蔑視」との批判を受けて炎上してしまいました。おそらくエンゲージメント数は取れていたでしょうが、エンゲージメントの多くはネガティブな要因によるものだったでしょう。
参考:「午後ティー女子」炎上から、キリンはどう学び、どう変わったのか
つまり、エンゲージメントがポジティブな要因で起きているのかそうでないのかは、数字から見えてこないということです。
数字を追うことだけに終始してしまうと、エンゲージメント率が高い本当の理由に気づかないまま運用を続けてしまうことがありえます。
エンゲージメント率の際立って高い投稿があるときは、エンゲージメントの内容がポジティブかネガティブかどうかをチェックしましょう。
各SNSのエンゲージメント率
「エンゲージメント数 ÷ 投稿の閲覧数」という画一的な計算式があるエンゲージメント率ですが、エンゲージメントと閲覧数の定義はSNSによって異なります。
特に閲覧数については、SNSによって「投稿が見られた回数」だったり、「投稿を見た人数」だったりと大きな違いがあります。エンゲージメント率を正しく解釈するためにも、各数字の定義を把握しておくことは重要です。
今回は主要SNSであるFacebookとTwitter、そしてInstagramを例に取り上げて、各SNSのエンゲージメント率について詳しくみていきましょう。
Facebookのエンゲージメント率
Facebookのエンゲージメント率は、投稿の閲覧人数(リーチ数)のうち、返信や「いいね」などのエンゲージメントを示したのは何人だったかを示します。
Facebookにおけるリーチは、ユーザーのフィードに投稿が表示されたかどうかによってカウントされます。エンゲージメントの中身については下記のとおりです。
- いいね
- コメント
- シェア
- クリック(投稿に挿入された画像やURLなど)
計算式としては下記のようになります。
エンゲージメント人数 ÷ 投稿のリーチ数 × 100 = Facebookのエンゲージメント率
式にもあるように、Facebookのエンゲージメント率は人数に対する人数で割り出されます。そのため、ある一人のユーザーによって「いいね」とコメントがなされた場合、エンゲージメント数は2ではなく「1」としてカウントされます。
たとえばあなたの画像付き投稿をAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人が見たとしましょう。反応がそれぞれ下記の通りだったなら、エンゲージメント率は何%になるでしょうか?
- Aさん……「いいね」だけ押した
- Bさん……「いいね」とコメントをした
- Cさん……「いいね」とシェアに加え、画像をクリックした
- Dさん……投稿がフィードに表示されただけ
この場合、投稿がリーチした4人中3人がエンゲージメントしているため、答えは「75%」となります。
Twitterのエンゲージメント率
Twitterのエンゲージメント率は、ツイートの閲覧回数(インプレッション数)のうち、返信や「いいね」などのエンゲージメントが何回あったかを示します。
Twitterでのインプレッション数はユーザーのフィードにツイートが表示された回数を示します。エンゲージメントの中身は以下のとおりです。
- いいね
- リプライ
- リツイート
- クリック(ツイートに挿入された画像やURLなど)
- ツイートの詳細閲覧
- ツイートからのプロフィール閲覧
- ツイートからのフォロー
計算式はこちらです。
エンゲージメント回数 ÷ インプレッション数 × 100 = Twitterのエンゲージメント率
Facebookと大きく異なるのは、人数ではなく「回数」をベースにしている点です。
たとえばあるユーザーのフィードに同じツイートが2回表示されればインプレッション数は「2」となり、あるツイートに対してなされた「いいね」・リツイート・リプライがすべて同じユーザーによるものなら、エンゲージメント数は「3」となります。
また、ツイートの詳細閲覧やツイート経由のフォローなどがエンゲージメントに含まれるのも、Facebookと異なる点ですね。
たとえば、とあるツイートが見られた回数は150回だったとしましょう。そのツイートに対して「いいね」が18件、リツイートが5件、リプライが6件、ツイート経由のフォローが1件あったなら、エンゲージメント率は何%になるでしょうか?
30(エンゲージメント回数)÷ 150(インプレッション数)× 100 = 20%(エンゲージメント率)
「いいね」やリツイートといったエンゲージメントの総数が30回に対して、インプレッションは150回あるので、上記計算のとおりエンゲージメント率は「20%」となります。
Instagramのエンゲージメント率
Instagramのエンゲージメント率は公式で提供されておらず、担当者みずからで算出する必要があります。
とはいえ「エンゲージメント数 ÷ 投稿の閲覧数」という計算式は変わりません。特に問題となるのは、「閲覧数」をどのように扱うかという点です。
閲覧数の扱いについて解説する前に、まず分子となるエンゲージメントの中身についてサッと把握しておきましょう。
- いいね
- コメント
- シェア
- 投稿の保存
これらの総数=エンゲージメント数です。とある投稿に対して一人のユーザーがいいね、コメント、保存を行ったなら、エンゲージメント数は「3」となります。
さて、分母となる「閲覧数」の方ですが、これはInstagramの運用目的や状況に応じて変わってきます。
Instagramの閲覧数として挙げられる数値はリーチ数、インプレッション数の2つがありますが、Instagramの場合はフォロワー数を分母に入れることも多くなってきます。
なぜならInstagramはインフルエンサーマーケティングに活用されやすいという関係上、他のSNSよりもフォロワー数が特に重要視されるためです。
結局の所、3つのうちどれが分母として適切なのか? 前述したとおりInstagramはフォロワー数が重要指標となるため、やはりフォロワー数を分母としてエンゲージメント率を出すのが基本です。
しかし、フォロワーを業者に委託して水増しするのであれば、フォロワー数を分母にしてもあまり意味がありません。こういった場合はリーチ数を分母にするのが好ましいです。
また、純粋に各投稿の効果だけを測りたいという場合はインプレッション数を分母にするのが適しています。
結論、Instagramのエンゲージメント率では基本的にフォロワー数をベースにし、目的や状況に応じてリーチ数かインプレッション数を使っていく、という考え方でよいでしょう。
以上を踏まえて、Instagramにおけるエンゲージメント率の計算式は下記の通りとなります。
エンゲージメント回数 ÷ フォロワー数(場合によってリーチ数 or インプレッション数) × 100 = Instagramのエンゲージメント率
なお、フォロワー数を分母にしてエンゲージメント率を出すのは、競合他社との比較・分析がしやすいというメリットもあります。Instagramの場合、フォロワー数とエンゲージメント数は誰でも見られるオープンな数字なためです。
それを考えると、Instagram以外のSNSでもフォロワー基準のエンゲージメント率という考え方は役に立ちそうですね。
エンゲージメント率の上げ方
エンゲージメント率の上げ方には、主に以下の3つが挙げられます。
- ユーザーの興味・関心を刺激する投稿を意識する
- ハッシュタグを活用する
- ユーザーとコミュニケーションを取る
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ユーザーの興味・関心が刺激される投稿を意識する
エンゲージメント率を上げる、すなわち一つの投稿でより効率よくエンゲージメントを獲得するためには、投稿内容でユーザーの興味・関心を強く刺激する必要があります。
たとえばあなたが家電メーカーのSNS運用担当者だったとしましょう。SNSといえば犬や猫の投稿は一定の人気がありますが、それを利用して、自社製品のこたつやストーブで温まる犬や猫の投稿などをすれば、ある程度のエンゲージメントを獲得できるはずです。
このようにユーザーの興味と自社商材を都合よく関連付けられれば理想的ですが、そうでない場合は、ユーザーの興味・関心だけに焦点を合わせたお役立ちコンテンツ的な投稿も効果的です。
ただし、そういったコンテンツ戦略的なSNS運用で効果的にエンゲージメントを獲得するには、ペルソナ設定も必要不可欠となってきます。
ペルソナ設定せず漫然とSNSを運用していると、当たり障りのない浅い内容の投稿になってしまいがちです。コンテンツ戦略的なSNS運用では、ペルソナ設定もセットで行っていきましょう。
ハッシュタグを活用する
エンゲージメント率の上げ方というよりSNS運用の基本ともいうべき手法ですが、ハッシュタグはぜひ積極的に活用していきましょう。なぜなら、ハッシュタグを活用することでフォロー外からのエンゲージメント獲得が見込めるためです。
特に消費者の行動傾向として、情報収集のためにGoogleやYahoo!などの検索エンジンよりもSNS検索を利用するというケースが増えてきています。
たとえばお出かけスポット探しやメイクのやり方はInstagramで、地震の規模や交通網の遅延をチェックするときはTwitterといったような具合です。
文字数の制限がゆるいSNSでは、投稿内容に関連しうるハッシュタグを可能な限り多く盛り込み、潜在ユーザーとの接点を広く保ちましょう。
ユーザーとコミュニケーションを取る
投稿に対するコメントやリプライがさほど多くない場合は、それらに返信をすることがエンゲージメント率の改善につながります。また、自社の商材について言及しているユーザーの投稿に対して「いいね」やシェアをするのも効果的です。
SNSを運用していると投稿一辺倒になってしまいがちですが、双方向性が強いというSNSの性質を活かして、ユーザーとのコミュニケーションも大事にとっていきましょう。
エンゲージメント率まとめ
エンゲージメント率の高さは、そのまま顧客との関係性の深さや拡散の度合いを示します。エンゲージメント率はSNS運用で成果を出していく上で欠かせない非常に重要な指標なため、ぜひエンゲージメント率をKPIのひとつとしてSNSを運用していきましょう。
エンゲージメント率の基本的な計算方法は「エンゲージメント数 ÷ 投稿の閲覧数」となりますが、閲覧数の中身はSNSによって異なります。
- Facebook……エンゲージメント数 ÷ リーチ数
- Twitter……エンゲージメント数 ÷ インプレッション数
- Instagram……エンゲージメント数 ÷ フォロワー数(場合によってはリーチ数 or インプレッション数)
会話の場面で齟齬が生まれないよう、主要SNSのエンゲージメント率の成り立ちは正しく把握しておきましょう。
エンゲージメント率の上げるためのポイントとしては、投稿内容とユーザーコミュニケーションの2つが焦点となります。
投稿にはユーザーの興味・関心を刺激しうる内容を盛り込み、なおかつハッシュタグを積極的に盛り込んでください。
また、投稿についたコメントやリプライには可能な限り返信し、コミュニケーションを取るようにしていきましょう。