「ダイレクトメール(DM)を送っているが成果につながらない」「お客様からの反応が期待できるデザイン、活用方法が知りたい」と言う悩みは、アパレル業界でマーケティングを担当したことがある方であれば、常々感じるのではないでしょうか。
ネットが普及した現在は、ウェブメールやSNSを使ったダイレクトメールを採用している企業が増えていますが、依然として、紙媒体で手書きのダイレクトメールも頻繁に行われています。
実際にお客様が手に触れる「手触り感」が紙媒体のダイレクトメールが無くならない理由の一つです。
お客様と直に接する機会が多いアパレル業界だからこそ、手書きのダイレクトメールが持つ「リアル感」は他の業界以上にお客様の心に刺さるでしょう。
そして、ダイレクトメールの媒体に限らず大切なのは、文章やイメージなどを含めた「デザイン」と、実際にダイレクトメールを見た「お客様の反応」です。
この記事では、新規のお客様やリピーターのお客様、最後の来店から期間が空いているお客様から反応を引き出し、良好な関係につなげるダイレクトメールの例文やポイントをご紹介します。
また、手書きのダイレクトメールの課題となるポイントと、その解決策もご案内しています。
せっかく作成・送信するダイレクトメールなので、成果に繋がるものを作成していきましょう。
目次
【アパレル業界用】新規のお客様へのダイレクトメール
ここからは一度自社のブランドで商品を購入していただいた、新規のお客様へ向けて送信するダイレクトメールについてご説明していきます。
できるだけ長期間、たくさんの商品を自社のブランドから購入していただきたいのは当然ですが、その思いだけが先走って、割引やセールの情報だけを送信してしまっては、お客様から良い反応を得ることは難しいです。
新規のお客様へ送るダイレクトメールの役割として大きいのは、お客様との関係構築です。
新規のお客様と良好な関係を築くには、「セールをしているからお店に来て欲しい」と言うコンタクトの仕方ではなく、来店していただいた事への感謝を伝える「サンキューダイレクトメール」の方が良い反応が期待できるでしょう。
サンキューダイレクトメールを送信する際のポイント
新規のお客様へ向けて送信するサンキューダイレクトメールは、お客様と良好な関係を築く為の有効なツールですが、ポイントを抑えていないメールではお客様に作業感を感じさせてしまうかも知れません。
ポイントを抑えたサンキューダイレクトメールの例を手書き版で、ご用意したので確認してみましょう。
まずは、何よりも来店していただいた事と、ご購入頂いた事への感謝の気持ちを伝えましょう。
そして次に、『ご購入いただきました商品はお客様にピッタリの物だった』と言う旨の、ご購入頂いた商品に関する満足感や期待感を引き出す言葉を続けましょう。
買った後に服や小物に対して、ネガティブな感情を持つ事は珍しい事ではありません。
そこで、お客様に購入時の気持ちを思い出させるような声がけをしてあげると、ブランドへの満足度が高まります。
そして、大切なのが「お客様へのパーソナルなメッセージ」です。
せっかくお客様個人へ向けて送信するダイレクトメールなので、ただ書面で挨拶をするのではなく、お客様とより深いコミュニケーションをとることを意識しましょう。
例文では『佐々木様が持つ大人の雰囲気』と言う言葉や、『店頭でご説明させていただいた〜』などの文がパーソナルなメッセージに該当します。
最後に、再来店を促す言葉を添え、新規のお客様と今後も関係を続けていきたいと言う意思表示をしましょう。
この際は、「御来店ください」などの営業感があるメッセージよりは「またお話しできたら嬉しいです」のような自然な言葉の方がお客様の心に響くダイレクトメールになるかも知れません。
新規のお客様へ送るダイレクトメールの例文集
アパレルショップで新規のお客様へ送る、サンキューダイレクトメールの例文を、パターン別にまとめました。
状況によって言葉を変えて、お客様の反応を引き出し、良好な関係を築いていきましょう。
まずは、アフターサービスを重視したサンキューダイレクトメールです。
件名
佐々木様
本文
先日は、当店の『春限定Tシャツ』をご購入いただき、誠にありがとうございました。
お時間が少ない中で、商品をお買い上げ頂きましたが、その後はいかがでしょうか。
お買い上げ頂いた商品の別サイズも多数ご用意してありますので、もしお気に召さなかった場合は、お気軽に◯◯までお申し付けいただけると幸いです。
店舗でもお話しさせていただきましたが、来週からは『春物スキニー』を多数入荷いたします。
お忙しい中とは存じますが、お体にお気をつけてお過ごしください。
是非またお目にかかれます日が来るよう祈っております。
次に、店舗での会話を多く盛り込んだサンキューダイレクトメールです。パーソナルな部分が多いので、お客様が不快にならない範囲かどうか考えながら作成・送信するようにしましょう。
件名
佐々木様
本文
先日は、当店の商品をご購入いただき、誠にありがとうございました。
ご購入頂いたネクタイは、ご友人の結婚式で使用されると仰っておられましたが、付け心地は如何だったでしょうか。
試着の際にもお伝えしましたが、フォーマルなデザインの中にも個性的な特徴がある商品ですので、結婚式だけでなく、美容師のお仕事中にお使いいただいても映えるかと思います。
また、ご覧いただいておりましたジャケットに似た雰囲気の春物も来週あたりに入荷をする予定ですので、是非お気軽にお立ち寄りいただければと思います。
次に、トータルコーディネートを提案するサンキューダイレクトメールです。
件名
佐々木様
本文
先日は、当店の商品をご購入いただき、誠にありがとうございました。
青色のバッグをいくつか持っていらっしゃるとのことでしたので、同系色のワンピースをご提案させていただきました。
深い青色のカーディガンは、佐々木様の持つ落ち着いた雰囲気と相まって、とても魅力的でした。
デザイン・色どちらも落ち着いた雰囲気が売りのワンピースですが、反対色の赤系の靴などを合わせるとスパイスの効いたアクセントにもなります。
佐々木様の大人の雰囲気に、ワンポイントで赤を使うのも、とても素敵なコーディネートになると思います。
また、ファッションのお話をできる日を心待ちにしております。
以上、3つのケース別にサンキューダイレクトメールの例文をご紹介いたしましたが、いづれの場合も、先述したポイントをしっかりと抑えて作成するのが、お客様と関係を構築する際には大切です。
【アパレル業界用】常連客様へのダイレクトメール
常連となっているお客様へ向けてのダイレクトメールは、先述したセンキューダイレクトメールとは違い、お客様の来店・購入頻度を増やし、自社のブランドから離反させない事が目的になります。
お客様から引き出す反応としては「再来店(リピーター化)」と「上顧客化(ロイヤル化)」と言えます。
そのために大切なのが、「特別感」と「期待感」の演出です。
期待感とは、店舗の商品・サービスや接客がマンネリ化しないように、常連のお客様に与える「ワクワク感」の事です。
常連のお客様に「お店に大切にされている」と感じさせる「特別感」と合わせて、お客様を離れさせない工夫として重要です。
それぞれの演出を意識したダイレクトメールをご紹介していきたいと思います。
特別感をダイレクトメールで演出
「特別感の演出」と言っても難しく考える必要はなく、先ほどご紹介した「手書きのサンキューダイレクトメール」と同じように、お客様のパーソナルな情報を記載しコミュニケーションをとることを心がけましょう。
それでは、常連のお客様に「特別感」を感じさせるダイレクトメールの例を確認してみましょう。
見出し部分にお客様の名前を入れるのはもちろん、お客様の購入履歴を分析し、好みに合ったアイテムを提案することができれば、より効果の高いダイレクトメールになるでしょう。
普段からお客様と接する頻度が多いアパレルだからこそ、常連のお客様の好みを察知し、細やかなアプローチをすることができます。
誕生日をお祝いするダイレクトメールも、お客様に特別感を感じさせることができるでしょう。
ご紹介してきた商品の提案、誕生日のダイレクトメールの他にも、様々なケースが考えられますが、いづれの場合も、お客様に作業感を感じさせないようにする工夫が大切です。
「手書き」以外にも、お客様との会話や好みの商品を記載するなどのテクニックを使って、特別感を演出したダイレクトメールを作成しましょう。
期待感をダイレクトメールで演出
期待感はお客様にマンネリ感を抱かせないための演出です。
紙媒体のダイレクトメールであれば、紙のおり方を工夫するだけでもお客様にワクワク感を演出することができます。
ダイレクトメールの折り加工はいくつかの種類があるので、ご紹介したいと思います。
- 二つ折り
- 巻き三つ折り
- Z折り
- 十字折り
- 観音折り・開き観音折り
先述したとおり、紙媒体のダイレクトメールにおけるポイントは実際にお客様の手に触れるというリアル感です。
それに加えて折り方を工夫することによって、お客様に自社のブランドに対する印象を強く残すことができるでしょう。
文面やデザインを変えるだけでなく、折り方を変えることによって「色々な工夫を凝らして楽しませてくれるお店」というブランディングを確立していきましょう。
いくらお客様むけにカスタマイズされたダイレクトメールといえど、何十通も同じようなものを受け取っているお客様には、飽きを感じさせてしまう可能性があります。
お客様の手に触れるという、紙媒体のダイレクトメールならではの特徴を活かして、お客様に「期待感」をお届けしましょう。
最後の来店から期間が空いているお客様へのダイレクトメール
最後の来店から足が遠のいているお客様に対して送信するダイレクトメールは、再び来店していただくことが最大の反応です。
再来店を促すダイレクトメールの作成には、今までご紹介してきた「新規顧客」「常連客」とは違った要素が必要になります。
来店頻度に見合った挨拶
最後の来店からどのくらいの時間が経っているのかにもよりますが、お客様によっては、お店でアイテムを買った事自体を忘れている可能性があります。
そのような方相手に、常連客様に向けて送信するような「いつもご利用ありがとうございます」と言った挨拶はNGです。
お店を覚えていないお客様にとっては、「なぜ私の住所を知っているのか」と不審に感じる方もいるかもしれません。
したがって、「ご無沙汰しております」や「お元気でしょうか」のようにお客様の来店頻度に合わせた挨拶から始める必要があります。
お客様のハードルを下げる言葉
アパレルショップに限らず、一度足が遠のいてしまったお店に再び訪れるのは、人によっては気まずく感じてしまうものです。
再来店を進めるお客様には、「お気軽にお立ち寄りください」、「またお会いできるを楽しみにしております」のように、お客様の心理的なハードルを下げてあげましょう。
また、「お店の模様替えをいたしました」や「無料で〜を配布しています」などのように来店する理由を作り、動機付けをするのも効果的です。
パーソナルなメッセージと提案
足が遠のいているお客様の中でも、以前はよく来店されていた方に対しては、今までご紹介してきたようなパーソナルな文面が心に響くケースがあります。
「趣味のスイーツ巡りには最近行かれておりますか?」「以前お話しいただいた、化粧水は今でも愛用しております」などの話題で、もう一度あの店員さんと話したい、と感じていただくのも、お客様とのパーソナルな話題で再来店を促すテクニックです。
お客様の再来店促進と新規顧客の獲得、どちらが大事?
一般的には新規顧客を獲得するよりも、最後の来店から期間が空いたお客様に再来店を促すダイレクトメールの方が効率が良いと言われています。
とは言え、一度のダイレクトメールでお客様に再来店をしていただくのは簡単ではありません。
一度のダイレクトメールで反応がなかった場合は、複数回に分けてダイレクトメールを送信する『3ステップ法』がオススメです。
先ほどご紹介したポイントを踏まえつつ、セールの情報などを折り込み再来店を促しましょう。
3ステップ法は元々アメリカの有名なマーケッターが生み出した手法です。
意識すべきポイントは、ダイレクトメールのデザインやオファーはそのままにして、メッセージの一部だけを変えていくという点です。
「ご無沙汰しております」などのセオリーの挨拶から、「前回のお手紙はご覧になっていただけたでしょうか」のように段階を踏んで、全体にストーリー性を持たせることで、お客様と複数回のコンタクトをはかりましょう。
ダイレクトメールの手間を減らすには
送信するお客様が多い場合は、顧客の情報をリスト化したデータを駆使し、HTMLメールなどを使ってお客様にダイレクトメールを送るのがオススメです。
ピンポイントで数人のお客様に送信するのであれば、費用対効果を考えても手書きのダイレクトメールの方が良いかもしれませんが、数十人、数百人に手紙を書くのは現実的ではありません。
作成・郵送にかかる時間やコストを考慮すると、手書きのダイレクトメールは比較的小さな規模での宣伝でしか使えないコンテンツです。
今現在、ダイレクトメールの媒体に悩んでいる方や、手書きのダイレクトメールを送っていたが、限界を感じている方にはメール配信サービスを使った、HTMLメールを使うことで、課題を解消できるかもしれません。
作成に手間がかかり、専門家でないと扱えない代物のように感じるかもしれませんが、「HTMLエディタ」を使えば誰でも簡単にHTMLメールを作成することができます。
手書きのダイレクトメールとは違い、数百人〜数千人規模のお客様にダイレクトメールとしてお店の宣伝ができるので、HTMLメールは今や、ダイレクトメールの主流の媒体になっています。
紙媒体では出来ない、効果測定を行うことができるのも大きな魅力の一つです。
送信したダイレクトメールの「到達率・開封率」を把握し、よりお客様の反応が良いダイレクトメールを作成しましょう。
まとめ
今回は、アパレルショップで客様のタイプ別にダイレクトメールを送信する際のポイントを解説してきました。
ダイレクトメールでお客様に反応していただくには、それなりの工夫が必要であることがわかっていただけたかと思います。
冒頭でもお話ししたように、ダイレクトメールで忘れてはならないのは「お客様の反応」です。
アパレルショップの方とお話をしていると、「ダイレクトメールは送信しているけど効果測定はやったことがない」というお話をよく耳にします。
効果測定とは送信したダイレクトメールの到達率や開封率、クリック率などを測定し可視化することです。
ダイレクトメールを改善する指標になるだけでなく、費用対効果を測る際の参考にもなります。
もし、ダイレクトメールは送信しているけれども、それがどのくらいお店の売り上げや来店人数に影響しているかは把握していないという方は以下の記事を参考に、効果測定を検討してみましょう。
効果測定をするツールは、HTMLメールを作成することができる「HTMLエディタ」と共にメール配信サービスで使用することができます。
HTMLメールの作り方を5分で解説!最も簡単に作成する方法もこっそり教えます。
ダイレクトメールを使ったマーケティングで一番意識すべきなのは、お客様の反応を引き出すことです。
自社のダイレクトメールがどのくらいお客様の反応を引き出しているのか、理解した上で戦略的な集客を行いましょう。