人事採用の現場では売り手市場が続いており、採用担当者から求職者へ直接アプローチする「スカウトメール」を取り入れる企業が増えています。
しかし実際のところ、スカウトメールを送っても思うように返信が来ず、反応率の低さに悩んでいる採用担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、スカウトメールの返信率を高めたいという方に向けて、書き方のポイントや開封率を上げる件名付け方、スカウトメールの例文を解説しています。
目次
スカウトメールとは
スカウトメールとは企業側が求職者に対して直接送るオファーメールのことを指します。
スカウトメールは一般応募よりも広い範囲から求職者を選定できる点が魅力です。一般応募では転職の意思がある人物にしか届きませんが、スカウトメールを送ればはっきりと転職の意思を持たない人材にもアプローチできます。
当然のことながら、スカウトメールには全員が返信してくれるわけではありません。特に自動送信や定型文のままでは反応が悪いので、文面や件名を工夫して魅力的なスカウトだと感じさせることが重要です。
スカウトメールが有効な理由
現代の日本では有効求人倍率が高くなり、優秀な人材を確保するための競争が激しくなっています。求人広告を出して応募者を待っているだけでは、あっという間に他社に人材を奪われてしまうのです。
そうした背景から、スカウトメールを使った能動的な採用が注目されるようになりました。
特に、知名度が低くどうしても採用数が少なくなる中小企業では有力な採用方法と言えるでしょう。
また、コロナがきっかけとなり今まで以上に即戦力を必要とする企業が増えました。コロナ禍で景気の先行きが見通しにくくなったことにより、企業は育成に時間がかかる人材の採用を控え、スキルのある即戦力を求める傾向になっています。
特に「電気、電子、機械、IT(情報技術)、web、ゲーム、通信」といったジャンルは特に即戦力を求めるようになっており、スカウトメールが注目されている理由になっています。多くの候補者を集められないという問題も、送りたい相手に送りたい内容を直接伝えることができるスカウトメールが解決してくれるでしょう。
スカウトメールを効果的に使うには
中小企業以外にも、スカウトメールが効果的な事例があります。それは、待っていてもなかなか応募が集まらない専門職や採用市場に対象者が少ない職種です。
求める人材が少ない、または専門性が高いほど競争は激しくなります。例えば、慢性的に人手不足の「介護・看護」や特別な資格を必要とする「会計士・弁護士・司法書士」などはスカウトメールが有効です。
新しい職種、特殊な職種の場合は、そもそも求人を発見してもらうことが困難になるためスカウトメールを使った直接的なアプローチが重要です。
急募の場合もスカウトメールが効果的で、求人を出して応募を待つよりも、スカウトメールを使った方が短期間で多くの人材に募集をかけることができます。
スカウトメールの種類
スカウトメールも送り方は様々です。対象となる業種や募集人数によって適切な方法は異なるので、簡単にそれぞれの方法について解説します。
対個人に対するスカウトメール
まずは対個人へスカウトメールを送る方法です。求めるスキルや条件をかなり絞ってスカウトを行うので、専門的な業種や、募集人数が限られている時に使われます。
この場合「なぜあなたをスカウトしたのか」という点をしっかりと記載することがポイントです。メールの内容は、あなただけに特別にオファーをしている点を強調するようにしましょう。
対大勢に対するスカウトメール
オープンオファーとも呼ばれますが、全てのユーザーに対してスカウトメールを送る方法です。一気に多くのオファーをかけることができるので募集人数が多い場合や、企業の認知を高める目的でも利用されます。
また対大勢に対してメールを送る中で「希望する条件に合った人にのみメールを送る」ということも可能です。メール配信分野ではセグメント配信とも呼ばれますが、年齢、居住地、職歴、資格などある程度条件の合う人にだけメールを送るということもできます。
求人サイトなどを利用しなくとも、メルマガ配信の中で興味のある同業者を集め、その読者を整理し求人の段階でセグメント配信でオファーをかけるということも可能です。
返信率の高いスカウトメール作成のポイント
次に、返信率を高めるためのスカウトメール作成のポイントについて解説します。
求職中の方には日々多くのスカウトメールが届いています。そんなスカウトメールだらけの受信ボックスの中からあなたのスカウトメールを開封してくれるような工夫が大切です。
ターゲットを明確に
まずはスカウトメールを送るターゲット像を明確にしておかなければいけません。
不特定多数に対してスカウトメールを送る場合は不要ですが、ある程度人材を絞って採用したい場合には、どのような人材を求めているのかを事前にはっきりさせておきましょう。性別や業務経験の有無、年齢でその人が会社に求める条件は大きく異なるはずです。
マーケティングで成果を上げるためには必須となるペルソナですが、求人の際にもペルソナを設定しておくことが大切です。
- 持っている技術・資格
- 会社に求める条件
- 転職回数
- 居住地
- 年齢
- 職歴
- 前職への不満
- 働き方への価値観
- 休日の過ごし方
一般的な求職で必要な情報だけでなく、パーソナルな部分まで想像しておくことで、そのような人物に魅力的と感じてもらえるようなスカウトメールが作れるでしょう。
以下の記事ではペルソナの作り方をテンプレートとともに詳しく解説していますのでご参考ください。
関連記事:ペルソナの作り方徹底解説!すぐに使えるテンプレートもあります
魅力的な件名をつける
受信ボックスの中にあなたのスカウトメールが埋もれないようにするには、件名を工夫する必要があります。
例えば以下のように工夫すれば少し目を引く件名になります。
「接客業経験者優遇! 大量採用中」→「接客業経験有の〇〇様へ。完全週休2日でゆとりのある働き方を。」
「〇〇化学メーカー研究職のご案内」→「業界No. 1の〇〇で働く、研究と自身のキャリアップを!」
メールを受け取った人がまず目にするのは件名です。その内容によってメールを開封するかどうかが決まる重要な部分となります。件名は20字〜40字で伝えたい内容はなるべく前半部分に記載し、メールの本文と同じくらい件名にはこだわりましょう。
ネガティブワードを避ける
求人におけるネガティブワードの使用に注意しましょう。
- 急募
- 大量採用
- 学歴不問
- 社内イベント多数
- ベンチャー
- 実力主義
- 稼げる
- 早期キャリアアップ
一見ポジティブな言葉も、職種によってはマイナスなイメージを感じてしまう方もいるようです。例えば営業職において「大量採用」「学歴不問」などというキーワードを使うと「誰でもいいからとりあえず人手が欲しいのかな」「これまでの営業経験は活かせない職場なのかな」といったような印象を与えてしまう可能性があります。
スカウトメールを作成する際には上記のようなワードの使用は控えた方が良いかもしれません。
特別感を出す
その他大勢のスカウトメールと差別化するためにはメールに特別感を持たせるということを意識しましょう。そんな特別感を簡単に持たせることができる方法が「宛名の差し込み」です。
人間は自分の名前の響きが好きで心理的にも名前を呼ばれると親近感を感じるという効果があるそうです。メールといえど相手の名前を差し込むことを大切にしましょう。「〇〇様へのお知らせです」「5年の営業経験がある〇〇様だけのご案内です」といったように、なるべく名前を使いましょう。
会社の魅力を伝える
適切なペルソナ設定や件名の付け方、本文中のテクニックなどが大切と先述しましたが、結局のところいかに会社の魅力を伝えられるかという点が一番重要です。
- 仕事の魅力…好きでやりたいと思い、やりがいを感じる仕事・活動ができる
- 待遇の魅力…満足のいく給与や休日、福利厚生などの権利がある
- 目標の魅力…組織の目標に強く共感できる
- 上司の魅力…実績のある上司と共に働ける
- 職場の魅力…素晴らしいメンバーと業務を共に行うことができる
- 会社の魅力…会社の文化や伝統、風土に魅力を感じることができる
会社の魅力といっても伝えることができる点はたくさんあります。スカウトメールの本文ではしっかりと自社のアピールを行いましょう。
スカウトメールの例文
それではスカウトメールの例文をいくつかご紹介していきます。
営業職に向けたスカウトメール
件名
【月収35万円超え!】新規開拓ナシ・ルート営業募集中!
本文
〇〇様
はじめまして。株式会社△△代表の田中です。
〇〇様のWeb履歴書を拝見させていただきました。
6年間営業として活躍してきたあなたに、ぜひ当社でそのスキルを活かしていただけないかと考え、ご連絡を差し上げました。ぜひとも〇〇様の能力を私どもの職場で存分に活かしていただけないでしょうか。
当社で働く魅力の一部をご紹介させてください。
*----------------------------------------------------------------------------------------*
◎新規開拓なしのルート営業です。
当社の営業は特許を取得している独自の商材です。他には無い強みがあるので、お客様のほうから毎日依頼が寄せられます。そのため、新規開拓の必要は一切ありません。
◎歩合給もあるので、平均月収は35万円!
営業経験がある〇〇様の場合、前職での経験を鑑みて月給は27万円以上からのスタートをお約束します、
詳細な給与は、面接でしっかりとご相談の上で決定したいと考えています。また当社には歩合給もございます。受注確率は高いので、当社の営業の平均月収は35万円を超えております。
*-----------------------------------------------------------------------------------------*
〇〇様の経験を活かしてぜひ収入UP、新規開拓の辛いノルマから解放されたい、強みのある商材を自信を持って営業した扱いたい。そんな考えをお持ちなら、ぜひ当社で働いてみませんか?
こちらは営業職の方に向けたスカウトメールの例文です。
名前の差し込みと会社の魅力を端的にまとめています。罫線もしっかりと使い、見やすいレイアウトにすることを心がけましょう。
医療職に向けたスカウトメールの例文
件名
【医療職】スキルを活かして働きたいあなたへ
本文
はじめまして。
今回〇〇様のプロフィールを拝見させていただきご連絡させていただきました。
〇〇に関する研究をされていらっしゃるとの事で研究内容、非常に興味深く読ませて頂きました。
弊社には食品のイメージをお持ちの方が多いですが、医薬品類の製造や販売も行っております。〇〇様の〇〇に関する研究や知識、技術力が当社の事業と通じるものがあり、是非弊社の医薬部門に力添えをいただけないかと思いオファーを送らせていただきました。
〜〜〜〜〜〜企業の説明〜〜〜〜〜〜〜〜
約30年前に創業した当社では、〇〇作りから研究を始め、現在は医薬品の開発にまで発展を続けております。
長年培った経験と技術で、医薬品・医薬原料・診断薬・バイオ関連商品の製造・販売を行い、グローバル展開もしております。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
是非一度直接お会いしてより詳しい仕事内容をお伝えしたいので、ご興味ありましたらこちらのメールアドレスにご連絡をよろしくお願いいたします。Zoomにて個別の面談を行います。(お時間は30分ほどです)
それでは〇〇様にお会いできるのを楽しみにしています。
スカウトメールでは、その後の導線をしっかりと記載しておくことも大切です。興味のある場合どこに連絡すれば良いのか、面接はどのような形式になるのかなど細かな点もメールに記載しておきましょう。
ベンチャー企業のスカウトメールの例文
件名
20代の方限定求人、一緒に新しい働き方を作りませんか?
本文
〇〇様
はじめまして。
株式会社〇〇の採用担当鈴木と申します。
今回〇〇様のご経歴を拝見させていただきご連絡いたしました。〇〇様の素晴らしい実績を拝見し、ぜひ一度お会いしたく、この度メールを送らせていただいております。
現在弊社では新しいプロジェクトを立ち上げる準備をしており、〇〇様のご経験を生かしていただけないかと考えております。
創業5年目の若い企業ですが、売り上げも順調に伸び続け、来期も〇%成長を見込んでおります。
弊社はまだまだこれからのベンチャー企業ではありますが、だからこそ風通しが良く、仕事と休暇のメリハリがしっかりとついた企業です。若い〇〇様も弊社の社風であればより能力を活かした仕事が実現できるのではないかと思っております。
まずは弊社についてと〇〇様の希望する働き方や将来のビジョンについて、お気軽にお話しできればと思います。
〇〇様のご都合の良い日時を、こちらのメールにご返信いただくかたちでお知らせいただければ幸いです。
〇〇様からのご返信、心よりお待ち申し上げております。
ベンチャー企業の若い人材をスカウトしたい場合の例文です。そのような人物がどのような条件を希望し、どのような働き方を求めているのか想像しメールを作成することが大切です。
まとめ
以上、スカウトメールの例文とスカウトメールの効果を最大限活用するためのポイントについて解説してきました。
スカウトメールで求人を効率的に行うためには、件名や本文中の宛名差し込み、求人の条件毎にターゲットを絞った配信を行うことが大切です。また、スカウトメールは、どのような件名だと開封率が高いのか、どのような本文やリンクだと反応率が高いのか、メールの効果分析を行うことが大切です。
そんなメール配信を行いたいのであればメールの専門システムである「メール配信システム」の利用がおすすめです。
希望する条件や、顧客情報を元にしたメールの自動振り分け送信や送ったメールの効果分析、件名や本文中の宛名自動差し込み機能など、スカウトメールを送る作業を効率化してくれる機能が揃っています。
blastmailであれば月額4,000円から専門のメール配信システムが利用できます。7日間無料で使うこともできるので、今回紹介したスカウトメールの例文を効率的に送る機能を試してみてくださいね。