
病気や怪我による突然の入院。 自分自身が入院することになり業務連絡が必要な場合も取引先から入院の知らせを受けた場合も、ビジネスにおいては「迅速かつ配慮のあるメール連絡」が信頼関係を守る鍵となります。
しかし、いざメールを作成しようとすると、 「入院の理由はどこまで詳しく書くべき?」 「お見舞いメールで絶対に使ってはいけないNGワードは?」 と、デリケートな場面だけに言葉選びに迷ってしまいますよね。そこでこの記事では、ビジネスシーンでの「入院」に関わるメールマナーを徹底解説します。
- 【報告】自分が入院する際の、上司・取引先への連絡文例
- 【お見舞い】相手が入院した際の、心遣いが伝わるメール文例
- 相手に負担をかけない「返信不要」の添え方と忌み言葉
この記事を読めば、予期せぬ事態でも慌てず相手に好印象を与えるスマートな対応が可能になります。そのまま使えるテンプレートも用意しましたので、ぜひご活用ください。
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目次
お見舞いメールは相手への気遣い
ビジネスメールは業務の内容を伝えるのが中心ですが、お見舞いのメールではビジネスで関わりのある相手とはいえ、配慮をしっかりと表現しましょう。お見舞いメールを受け取る方は、精神的にも肉体的にも疲弊した状態であることが考えられます。
そのような相手に「お見舞いメールを受け取ったことで気持ちが楽になった」と感じていただけるようなメールを作成しましょう。ビジネスを円滑に進めるには、取引先だけでなく上司や同僚、後輩などとの良好な人間関係が不可欠です。
入院や被災などで落ち込む方の気持ちに寄り添い、気持ちよく職場に復帰していただけるように配慮しましょう。
【自分が入院する場合】会社・取引先への報告メール文例
予期せぬ病気や怪我で自分が入院することになった際、最も優先すべきは「業務を停滞させないための連絡」です。
自身の体調が辛い状況かもしれませんが、会社や取引先に迷惑をかけないよう最低限必要な情報を簡潔に伝える必要があります。ここでは、上司・社内向けと、社外の取引先向け、それぞれのシチュエーションに合わせた報告メールの文例を紹介します。
上司・社内への報告(病状・入院期間・緊急連絡先)
上司への報告では業務調整の判断材料となる「入院期間(復帰予定)」と「現在の業務状況」を伝えることが重要です。病名や症状については、プライバシーに関わるため詳細に書く必要はありませんが、「手術が必要」「絶対安静」など、状況の深刻度が伝わる程度に記載すると周囲もサポートしやすくなります。
件名
入院による欠勤のご相談(氏名)
本文
〇〇部長
お疲れ様です。〇〇です。
私事で大変恐縮ですが、体調不良のため医師の診察を受けたところ、
「〇〇(病名、または加療)」のため、入院および手術が必要との診断を受けました。
つきましては、急なお願いとなり誠に申し訳ございませんが、
下記の期間、お休みをいただきたく存じます。
【入院予定期間】
202X年〇月〇日 〜 〇月〇日(予定
※経過が順調であれば、〇月〇日より出社可能です。
【引き継ぎ・緊急連絡先】
現在進行中の案件につきましては、共有フォルダの「引き継ぎ書」にまとめました。
入院中は電話に出ることが難しいため、緊急の際は本メール、
または個人の携帯電話(090-xxxx-xxxx)までメッセージをいただけますと幸いです。
ご迷惑をおかけし大変心苦しいのですが、 早期復帰に向けて療養に専念いたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。
取引先への連絡(不在のお詫び・担当引き継ぎの案内)
社外の方へ連絡する際は私的な事情(病名など)は伏せ、「入院」または「療養」のため不在にする旨を伝えます。最も重要なのは、自分が不在の間、「誰に連絡すればいいのか」を明確にすることです。後任の担当者をCCに入れ、一通のメールで紹介と引き継ぎを完了させるとスムーズです。
件名
【重要】入院加療に伴う担当者変更のお知らせ(株式会社〇〇 氏名)
本文
株式会社△△
営業部 〇〇様
平素は大変お世話になっております。
株式会社〇〇の(自分の氏名)です。
私事で大変恐縮ですが、病気療養のため入院することとなり、
誠に勝手ながら、しばらくの間お休みをいただくこととなりました。
不在の間、貴社の担当につきましては、
本メールのCCに入れております同僚の「佐藤(後任者)」に引き継ぎを行っております。
【不在期間】
202X年〇月〇日 〜 〇月〇日(予定)
【期間中のご連絡先】
後任:佐藤 〇〇
メール:sato@example.co.jp
電話:03-xxxx-xxxx
急なご連絡となり、〇〇様には多大なるご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。
復帰の目処が立ちましたら、改めて私よりご挨拶させていただきます。
本来であれば直接伺ってご挨拶すべきところ、
メールでのご連絡となりますこと、重ねてお詫び申し上げます。
上司にお見舞いメールを送信する際の例文
ここからはケース別で使えるお見舞いメールの例文をご紹介したいと思います。
まずは、上司にお見舞いメールを送信する場合に使える例文を見てみましょう。
入院時
件名
お見舞い申し上げます
本文
〇〇部長
ご入院された旨を聞き、大変驚いております。
長期の入院ではないとお聞きし、一安心しておりますが、その後の体調はいかがでしょうか。
業務のことも気になさるかとは思いますが、営業部一丸となって業務に当たりますので、まずは充分にご静養なさってください。
明日にでも病院へお伺いたく存じておりますが、取り急ぎメールにてお見舞い申し上げます。
尚、メールへの返信は気にせず、ご自愛くださいますよう。
〇〇部長の1日も早い回復を心よりお祈り申し上げます。
(署名)
被災時
件名
台風被害について
本文
〇〇部長
昨日のニュースで、部長のご実家方面の様子を拝見いたしました。
夏季休暇ということで、ご実家に帰られているとのことでしたが、部長、ご家族様共にお変わりありませんでしょうか。
営業部一同、心配しておりますので、状況の整理が着きましたら是非ご一報いただけましたら幸いです。
ご家族並びに、地域の皆様のご無事を心からお祈り申し上げます。
(署名)
同僚・後輩にお見舞いメールを送る際の例文
同僚や後輩に宛てたお見舞いメールは、上司に送信するメールと比較して、かしこまりすぎない表現を意識しましょう。
相手との関係性にもよりますが、メールになった途端にかしこまった表現をしてしまうと、普段とのギャップに違和感を感じてしまい、お見舞いの言葉が入ってきづらくなります。
相手との普段の会話を意識しながら、お見舞いメールを作成しましょう。
入院時
件名
体調いかがでしょうか
本文
〇〇さん、体調はいかがでしょうか。
元気な〇〇さんがオフィスにいないと、活気がないと部長も嘆いておられました。
まずはご自分の体をお大事に、ご自愛なさってください。
また元気なお姿で一緒に業務ができるよう、お祈りしております。
〇〇より
被災時
件名
地震被害について
本文
お疲れ様です。
今朝〇〇地方の地震に関するニュースを見ました。
お盆休みということで、〇〇地方に帰省されているようですが、ご家族も含めて被害に遭われていないでしょうか。
大きな地震でしたが、幸い怪我人等は報告されていないようで安心しましたが、〇〇さんもご無事でしたら何よりです。
部長も心配しておられましたので、落ち着きましたらご一報ください。
取引先にお見舞いメールを送る際の例文
最後に取引先の方へ送信するお見舞いメールの例文をご紹介します。
同じ会社で働く方に送信するお見舞いメール以上に、マナーや表現に気をつけながら文章を作成しなければなリません。
ビジネスメールのマナーを守りつつ、お見舞いメールを送る方への配慮を表現しましょう。
入院時
件名
謹んでお見舞い申し上げます
本文
株式会社〇〇 営業部 〇〇様
お世話になっております。株式会社--の高橋です。
ご入院されたとの一報を頂き、突然のことに大変驚いております。
その後のご病状はいかがでしょうか。心よりお見舞いを申し上げます。
平素よりお仕事一筋でお過ごしでいらっしゃったために、お体だけでなくご心労も多々おありであろうかと敬拝致しております。
お取引につきましては、貴社営業部の〜〜様にお取次いただいております。
〇〇様におかれましては、お仕事の心配はなされず、今は充分にご静養ください。
〇〇様の全快を弊社一同、心よりお祈り申し上げます。
(署名)
被災時
件名
謹んでお見舞い申し上げます
本文
株式会社〇〇 営業部 〇〇様
お世話になっております。株式会社--の高橋です。
今朝、拝見した報道によれば、御地が地震による被害に見舞われたとのことですが、貴社のビルや社員様、並びにご家族様はいかがかと案じております。
遠方ゆえ、すぐに駆けつけられず残念でなりません。
被害が軽微にとどまり、皆様がご無事であられることを心よりお祈りいたします。
私共にお手伝いできることがございましたら、気兼ねなくお申し付けください。
取り急ぎお見舞い申し上げます。
(署名)
お見舞いメールを作成する際のポイント
ケース別にお見舞いメールの例文をご紹介してきましたが、ここからは例文に使われているポイントを解説します。
件名をわかりやすくする
入院や被災などでお見舞いメールを受け取る方は、自分だけでなく様々な方から同様のメールを受信しています。
中には業務に関する連絡や、ご家族とのやりとりが含まれる可能性もあるので、件名でお見舞いのメールだとわかるようにしましょう。
お見舞いメールに使える件名は以下の例を参考にしてください。
- お見舞い申し上げます
- 謹んでお見舞い申し上げます
- 〇〇様 体調はいかがでしょうか
詳しい状況には触れない
入院された方の詳しい病名や入院時の状況などを記載することはマナー違反です。
また、本人から聞き出そうとするような質問も控えましょう。
もし、本人以外の方から病名などについて聞いていたとしても、メールには記載しない方が良いです。
また、社外の方などで「健康状態が悪く休暇をいただいている」と、理由がはっきりしない場合などは、あえてお見舞いメールを送信しない方がいいかもしれません。
怪我やすぐに治る病気ではなく、精神的な病気で静養が必要な場合などは、メールを送ることで逆に負担をかけてしまう可能性があります。
社内の方であれば、ある程度の情報は入手できるかと思いますが、社外の方が休養されており、理由がはっきりしない場合は、お見舞いのメールを送信しない方が無難です。
業務の話は極力しない
お見舞いメールでは、業務に関する話題は極力避けるようにしましょう。
上司や取引先に対してはもちろん、同僚や後輩に対しても同様です。
まずは、体調が回復することや被災の被害が少ないことをお祈りする言葉を伝え、相手への配慮を忘れないようにしましょう。
ただし、大事な取引やりとりをしている相手などは、業務の引き継ぎや現場の状況に全く触れないことで相手の不安を煽ってしまう可能性があります。
「〇〇さんに引き継いでいただいております」
「計画通りに進んでおりますので〜」
などの言葉で、相手が療養に専念できるようにしましょう。
知らないと失礼!入院メールのNGマナーと忌み言葉
お見舞いメールは相手を励ますためのものですが、言葉選びを間違えると逆に不快な思いをさせてしまうことがあります。特に病気や怪我に関する話題では普段何気なく使っている言葉が「タブー」となるケースがあるため注意が必要です。
「追伸」「重ね重ね」はNG!使ってはいけない忌み言葉リスト
お見舞いのシーンでは「不幸が繰り返される」「長引く」ことを連想させる言葉は「忌み言葉(いみことば)」として避けるのがマナーです。無意識に使ってしまいがちなNGワードを以下にまとめました。メール送信前に必ずチェックしましょう。
- 重ね言葉(不幸が重なることを連想) 重ね重ね、たびたび、次々、くれぐれも、再び、再三
- 不吉な言葉(死や苦しみを連想) 死ぬ、苦しい、終わる、消える、四(4)、九(9)
- 継続を連想させる言葉(病気が長引くことを連想) 追伸(あとから書き足す=繰り返す)、長々と、続いて
例えば「くれぐれもお大事になさってください」は一見丁寧ですが、「くれぐれ(繰り返し)」が含まれるため、厳密なマナーを気にする方へは「どうぞお大事になさってください」と言い換えるのが無難です。
お見舞いメールには「返信不要」を添えるのが大人の気遣い
入院中の相手にとってメールを読んで返信を書くという行為は、想像以上に体力と気力を使うものです。お見舞いメールを送る際は、相手に「返信しなければ」というプレッシャーを与えないよう、件名や本文の最後に「返信不要」の旨を明記しましょう。
- 件名に 【返信不要】 と記載する。
- 本文の最後に 「なお、ご返信はお気遣いなさいませんようお願いいたします」 と添える。
- 「返信は無用に願います」 と書き添える。
また、昨今では「お見舞いの品」を病院に送ることが難しくなっています。メールにAmazonギフト券などの「ソーシャルギフト」のURLを添えるケースも見られますが、ビジネス上の関係性(特に目上の方)では「現金を渡すようで失礼」と受け取られるリスクもあります。
基本的には言葉だけのお見舞いに留め、どうしても何か贈りたい場合は、退院後に「快気祝い」として渡すか、復帰の際に渡すのがスマートです。
FAQ
- Q:ビジネスでお見舞いメールを送る際、最も大切な心構えは何ですか?
- A:業務の連絡よりも、相手の心身を気遣う配慮を最優先にすることです。相手は精神的・肉体的にも疲弊している可能性があるため、返信の負担をかけないよう「返信は不要です」といった一言を添えるなどの気配りが求められます。
- Q:メールの件名はどのように付けるのが適切ですか?
- A:一目で「お見舞いのメールである」と分かる件名にします。「お見舞い申し上げます」や「〇〇様 体調はいかがでしょうか」のように、他の業務メールと混同されない分かりやすい件名を設定しましょう。
- Q:本文を作成する際、避けるべき話題や言葉はありますか?
- A:詳しい病状を尋ねたり、「重ね重ね」「長引く」といった忌み言葉を使ったりするのはマナー違反です。また、相手を励ますつもりの「頑張って」という言葉も、療養中の相手には精神的な負担(プレッシャー)になる場合があるため注意が必要です。
- Q:業務に関する報告は一切しない方が良いのでしょうか?
- A:基本的には静養を優先させるため業務の話は避けるべきですが、例外もあります。責任感が強い相手の場合、全く仕事に触れないと逆に不安を感じさせてしまうことがあるため、「引き継ぎは完了しています」といった安心材料となる報告は有効です。
まとめ
ビジネスで関わりのある相手に、お見舞いのメールを送信する時は、相手への配慮を表現することが大切です。療養中や被災直後などは、本人やご家族の気持ちを考えて業務に関する連絡を極力避けるようにしましょう。
ただし、不自然に仕事の話題を遠ざけることで、本人の不安を煽ってしまうことも考えられます。その場合は引継ぎの状況などを伝え、本人が療養に専念できるようにしてあげましょう。
体と心が疲弊している時は、誰かからの言葉がいつも以上に暖かく感じられるものです。仕事で関わりのある相手とはいえ、これからも良好な関係でいるためにも、相手の立場に立った文章を作成しましょう。



