「送ったはずのメールが届かない」などメール配信における課題はビジネスの成果に大きく直結してしまいます。
このような場合、もしかするとあなたのメールはブラックリストに登録されていたり、スパムメールだと認識されている可能性があります。その他にも、メール配信における悩みは以下のようなものがあります。
- メールが届かないというクレームが頻発する
- 一斉に配信したメールが届くまでに何時間もかかる
- メールの不具合の対応や調査でエンジニアのリソースが足りない
- メールの配信数の増加にともないコストが莫大に膨れ上がった
このような課題には「メールリレーサービス」の利用がおすすめです。
この記事では、メールの大量配信を行う際でも高い到達率と高速配信を実現する「メールリレーサービス」を比較しご紹介しています。メールでのお悩みを抱えている方や、メールリレーサービスを検討している人は最後までご覧ください。
メールリレーサービスとは
メールリレーサービスは自社のSMTPサーバーと受信サーバーの間で、大量配信や高速配信を可能にするSMTPサーバーを提供しているサービスのことです。このようなサーバーの中継方法は使用されているプロトコルの名前から「SMTPリレー」とも呼ばれています。
無料で利用できるGmailやOutlookなども含めた一般的なメールサーバーは、一対一の通信をする上では問題ありませんが、大量配信を前提としたシステムではありません。そのため、大量配信をすると送信側のサーバーで配信遅延が発生するリスクや、メールクライアントが設定する送信上限に達してしまう可能性が発生します。
また、メールの大量配信はIPレピュテーションを下げる場合もあり、利用しているIPアドレスから送付されるメールの到達率を下げる要因となることもあります。
もし、「メールが届かない」などのトラブルが発生すると普段のメール業務はもちろん、売上の低下やクライアントとのコミュニケーションができないなど、様々な影響が考えられます。
メールリレーサービスの仕組み
メールリレーサービスは自社のメールサーバーから送信されるメールを一時的に受け取り、適切な経路で宛先に転送する仕組みです。この過程でスパムフィルタ対策や認証技術が適用されるため、迷惑メールとして分類されるリスクを軽減します。また、大量のメール配信時でもリレーサービスを利用することで安定した送信が可能です。
- メールのスパムリスクを低減
- SPF、DKIM、DMARC認証をサポート
- 安定的かつ高速なメール配信
例えば、マーケティングメールを何万通も送信する際、リレーサービスを利用すれば自社サーバーの負荷を回避でき確実にメールを届けられる点が大きなメリットです。
メールリレーサービスを利用するメリット
メールリレーサービスを利用することで得られるメリットは以下のようなものが挙げられます。
- 配信遅延が起こりづらくなる
- メールの大量配信が可能になる
- IPレピュテーションの維持ができる
GmailやOutlookまたは自社で運用しているメールサーバーと連携する場合は「SMTPリレー」と呼ばれる連携方法を採用することで、メールリレーが可能となります。
また、サービスにもよりますが、メールリレーサービスは既存のシステムとAPIで連携して使用することができるものもあります。API連携をする場合は、自社の基幹システムやECサイトと連携することで既存のシステムに大きな変更を加えることなくメール配信することができます。
メールリレーサービスが必要とされる理由
現代のメール環境は厳しい規制と競争があり、特にスパム対策の影響でメールが届かないことも珍しくありません。メールリレーサービスを利用することで、これらの課題を克服し到達率の向上やセキュリティの強化が図れます。また、重要な通知メールが届かないといった信頼性の問題も解決できます。
- ブラックリスト登録の回避
- 通知メールやパスワードリセットメールの確実な送信
- 大量メール配信の効率化
例えば、海外へのメール配信では現地のスパム規制に適応する必要がありますが、リレーサービスはこれを自動的に処理してくれます。
メールリレーサービスを選ぶときのポイント
メールリレーサービスの利用を検討する際のポイントについてを3点解説します。
安定してサービスを提供できるか
メールという性質上、サービスとしての安定性が最も重要と言っても過言ではありません。
価格が安くてもトラブルが頻発し、サービスが頻繁に停止する場合は大きなトラブルや機会損失につながってしまう可能性があります。
このようなリスクを回避するために、導入の実績がある企業や信頼性が高い企業が提供しているメールリレーサービスを選択しましょう。他のユーザーの口コミや、サービス提供の実績など、事前に情報を収集し、複数のサービスを比較検討することをおすすめします。
サポート体制
上述したように、メールリレーサービスをはじめとするメール業務に関連するシステムは、トラブルの発生により取引先やお客様との信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、メールや電話などでの即時性のあるサポートを提供しているサービスの利用が望ましいでしょう。メールリレーサービスによっては海外ツールもありチャットサポートしか提供していないサービスもあります。
いざというときの対応をしっかりと提供してくれるサービスを選定しましょう。
自社との相性
自社が想定する連携方法を明確にしておきましょう。
SMTPリレーは多くのメールリレーサービスで提供していますが、他のアプリケーションとの接続を検討している場合は「API連携」を提供しているサービスを選ばなくてはなりません。連携先のシステムを明確にすることで、利用できるサービスもある程度限定されるでしょう。
その他にもサービスによって価格も異なりますので、チェックしておきたいポイントの1つとなります。
価格とコストパフォーマンス
メールリレーサービスを選ぶ際に、価格と提供される機能のバランスは重要です。利用量に応じた柔軟な料金プランを提供しているサービスが多く、自社の規模や用途に最適な選択が可能です。特に初期費用が無料、あるいは低コストで試せるサービスは導入のハードルを下げる点で魅力的です。
- 初期費用が無料または低コスト
- 送信量に応じた柔軟なプランがある
- 長期的に見たコストパフォーマンス
例えば、月間送信数が数万通程度の場合、定額制プランを選べば追加費用を気にせず運用できるため、コスト管理がしやすくなります。
おすすめのメールリレーサービス7選
ここからは、おすすめのメールリレーサービスをご紹介します。
- 提供会社
- 初期費用
- 月額料金
- サポート体制
上記の点については表でまとめ、解説してあります。自社で利用するメールリレーサービスの検討にお役立てください。
ブラストエンジン
公式サイト:blastengine(ブラストエンジン)
提供会社 | 株式会社ラクスライトクラウド |
初期費用 | 0円 |
月額料金 | 3,000円〜(10,000通) |
サポート | 電話・メール |
「ブラストエンジン」は株式会社ラクスライトクラウドが提供しています。ラクスライトクラウドでは、24,000社以上の実績がある14年連続シェアNo.1のメール配信システム「ブラストメール」の開発・提供も行っています。
blastengineはブラストメールの技術力で構築した配信基盤で、各メールプロバイダ、携帯キャリアドメインへの最適化と大規模ネットワークを経由してメール配信を行い、日本国内への圧倒的な到達率を実現しています。
高い到達率と高速配信に強みがあり、官公庁にも採用されるほどセキュリティは強固です。そして、一番の特徴は高いコストパフォーマンスにあります。上記の表でもご紹介していますが、初期費用がかからないうえに安価で利用することができます。
また、日本語でのメールや電話でのサポートにも対応しているため、使い方やシステムについて質問や不安がある場合でも安心です。メールリレーサービスにかかる費用を抑えたい方はもちろん、初めてメールリレーサービスの利用を始めたい方・乗り換え検討の方にもおすすめのサービスです。
blastengineは無料トライアルが可能ですので、まずはお試ししてみてはいかがでしょうか。
ベアメール
公式サイト:baremail(ベアメール)
提供会社 | 株式会社リンク |
初期費用 | 50,000円 |
月額料金 | 5,000円〜(10,000通) |
サポート | 電話・メール |
ベアメールは「株式会社リンク」が提供するメールリレーサービスです。
公式HPによると、IPレピュテーションの維持に定評があり、キャリアからのブロックを回避しメール配信が可能です。blastengineと同様に、ログの確認が可能で到達率の改善に役立てることができます。
一度の配信で数十万件のメールを遅延なく高速配信が可能になるベアメールですが、API連携などを利用する場合は、初期費用・基本料金にプラスしてオプション料金が必要になりますので、コストを気にせず予算が潤沢にある企業におすすめです。
SendGrid
公式サイト:SendGrid
提供会社 | Twilio Inc. |
初期費用 | 無料 |
月額料金 | 2,300円〜(40,000通) |
サポート | メールのみ |
ブラストエンジンと同様、高いコスパが人気のサービスですがサポートがメールに限られている点は注意が必要です。先述したように、メールに関連するシステムに不具合が発生すると、取引先やお客様とのコミュニケーションに影響を及ぼす可能性があります。
例えば、自社のECサイトとAPI連携をしたメールリレーサービスに不具合が発生した場合、会員登録後のフォローメールが送られないなどのトラブルが想定されます。
また、SendGridのUIは英語で構成されている点も覚えておきましょう。トラブル時の対応を自社で行うリソースがあり、英語に抵抗がない環境の場合は、SendGridを利用することで高いコスパを実感できるでしょう。
WEBCAS e-mail
公式サイト:WEBCAS e-mail
提供会社 | 株式会社WOW WORLD |
初期費用 | 30,000円〜 |
月額料金 | 10,000円〜 |
サポート | 電話・メール |
上記の表でまとめてあるのは、ASP型でWEBCAS e-mailを利用した際の料金です。公式HPではメールリレーサービスのみの利用は導入企業の運用方法によって異なるとのことでした。
また公式HPによると、1時間あたり1,000万件の配信実績があると記載があり、1分間に換算すると16万件以上の配信が可能になる計算になります。そのため、先述したベアメールよりも配信能力が高いメールリレーサービスと考えることができそうです。
記載されている月額料金はASP型で10,000円でしたが、配信可能なアドレス数に関しての記載は見つけることができませんでした。コストが高くなる傾向にありますが、メールリレーサービスの導入時に柔軟なカスタマイズに対応できる点も高評価でした。
Cuenote SR-S
公式サイト:Cuenote SR-S
提供会社 | 初期費用 | 月額料金 | サポート |
ユミルリンク株式会社 | 150,000円〜 | 75,000円〜 | 電話・メール |
また、「メール文書作成」を含む、オプションの充実度も魅力的です。他のメールリレーサービスと比較してコストが高くなる点には注意が必要ですが、ベアメールと同様に数万通のメールを配信する企業向けのサービスと言えるでしょう。
Amazon Simple Email Service
公式サイト:Amazon Simple Email Service
提供会社 | Amazon Web Services, Inc |
初期費用 | 要問い合わせ |
月額料金 | 要問い合わせ |
サポート | 主にメール・チャット |
AWSが提供するツールとの連携に強く、すでに自社のシステムにAWSを取り入れている場合は高いパフォーマンスを発揮するでしょう。
特に「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」と呼ばれる、クラウドサービスで設置したサーバーからAmzon SESを呼び出すことで、無料で送信できるメールの上限がアップします。
運用モデルが多岐に渡るため、一定の月額料金を算出することはできませんでしたが、公式HPから料金の例を引用します。
上記の表では、1月に約26USDなので3,900円(2023年11月25日の為替:149.99円)程度のコストがかかることになります。
>>Amazon Simple Email Serviceの詳細はこちら
Curumeru
公式サイト:Curumeru
提供会社 | 株式会社ラクス |
初期費用 | 要問い合わせ |
月額料金 | 要問い合わせ |
サポート | 電話・メール |
メールリレーサービスだけでなく、効果測定や予約配信機能といったマーケティング寄りの機能を提供している点も特徴として挙げられます。ただし、契約時にはSMTPリレーとAPI連携のどちらかを選ばなければならないため、本契約の開始後に変更できるかは問い合わせが必要です。
また、API連携はオプション料金での提供になっています。
Customers Mail Cloud
公式サイト:https://smtps.jp/
提供会社 | 初期費用 | 月額料金 | サポート |
---|---|---|---|
HENNGE株式会社 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
Customers Mail Cloudは、HENNGE株式会社が提供するトランザクションメール、メールリレーサービス製品です。独自開発の配信エンジンを使用し、クラウドから簡単・高速・確実にメールを送信できるサービスです。SLAは99.9%を保証しており、信頼性の高いサービスと言えます。
SENDMAGIC
公式サイト:https://sendmagic.jp/
提供会社 | 初期費用 | 月額料金 | サポート |
---|---|---|---|
センドマジック株式会社 | 50,000円 | 5,000円〜(1万通プラン) | 電話・メール |
SENDMAGICは2001年から提供されているメール配信エンジンで、1,000以上の総出荷ライセンスと350社以上の導入実績があります。1時間あたり200万通超の高速配信を実現し、各携帯キャリアやPC向けに最適な送信ロジックでメールを配信できます。配信30分でエラーメールが把握できるため、メール到達率の改善がしやすいのが特徴です。
アララ メッセージ
公式サイト:https://am.arara.com/
提供会社 | 初期費用 | 月額料金 | サポート |
---|---|---|---|
アララ株式会社 | 12,800円(ビジネス版) | 2,980円〜(プラン2000) | 要問い合わせ |
アララ メッセージは、メール配信、ステップメール配信、絞り込み配信、読者一括登録、オプトイン機能などを提供するサービスです。80,000社以上の導入実績があり、様々な規模の企業に対応しています。
Mail Publisher Transaction
公式サイト:https://emberpoint.com/service/mailpublisher/transaction/
提供会社 | 初期費用 | 月額料金 | サポート |
---|---|---|---|
エンバーポイント株式会社 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
Mail Publisher Transactionは、遅延なく確実に届ける高水準のメールリレーサービスです。受信環境ごとに最適な配信方法を採用し、高い到達性を実現しています。高度な解析モジュールによりエラーを回避し、PマークやISO27001の認定を受けており、セキュリティ強度の高いサービスを提供しています。1時間に最大4,100万通のメールを送信可能な高い配信能力が特徴です。
メールリレーサービス選定の際に併せて確認すべきポイント
メールリレーサービスを選定する際、提供元の信頼性や実績も重要な判断基準です。例えば、導入企業数や利用者の評価、サービスの稼働実績などを確認することで、信頼できるサービスかどうかを判断できます。また、トライアル期間やデモ利用が可能な場合は実際に使用感を確かめてから導入を決定すると良いでしょう。これにより、長期的に満足のいく選択が可能になります。
セキュリティ対策
メールリレーサービスを選ぶ際、セキュリティの充実度は欠かせません。スパムフィルタを通過しやすいSPF、DKIM、DMARC認証に対応しているかを確認することが重要です。また、暗号化通信や不正アクセス防止の機能を持つサービスを選ぶことで情報漏洩リスクを大幅に低減できます。
- SPF、DKIM、DMARC認証対応
- 暗号化通信(TLS対応)
- 管理画面へのアクセス制限
例えば、顧客情報を含む重要な通知メールを送信する場合、暗号化対応のリレーサービスを利用すれば、安全性を確保できます。
レポート機能の充実
メールリレーサービスには配信状況を可視化するレポート機能が求められます。開封率、到達率、エラーの原因などの詳細データを確認できれば、配信の問題点を特定し、改善するための貴重なヒントになります。結果として、より効果的なメール配信が可能になります。
- メールの到達率
- 開封率やクリック率
- エラー発生の原因
例えば、到達率が低い場合はリポートデータを基に問題箇所を特定し、送信内容や認証設定を見直すことで改善できます。
大量メール配信
大量メールを一度に送信する場合、リレーサービスの利用は必須です。自社サーバーでは処理しきれない規模の配信にも対応でき負荷の分散が可能です。特にマーケティングメールやキャンペーンメールの一斉送信で効果を発揮します。
- サーバー負荷 → リレーサービスで分散
- 迷惑メール判定 → 認証技術で回避
- 配信遅延 → 最適化されたルートを利用
例えば、セールのお知らせを10万通送信する場合、サービスを利用すれば短時間で効率的に配信が完了します。
まとめ
メールリレーサービスの利用には以下のようなメリットがあります。
- 配信遅延が起こりづらくなる
- メールの大量配信が可能になる
- IPレピュテーションの維持ができる
メールリレーサービスの運用方法は、「SMTPリレー」と、他のアプリケーションと接続する「API連携」に分けられます。自社の想定する運用方法や、配信規模に合わせてサービスを選択しましょう。
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