Amazon SES(Simple Email Service)は、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドベースのメール送信サービスです。
開発者や企業が手軽にスケーラブルなメール送信機能を組み込むことを目的に設計されており、ニュースレター、取引メール、アラートメールなどを大規模に送信するのに適しています。
本記事では、そんなAmazon SESのサービス内容や機能について詳しく解説します。
また、他のメールリレーサービスと比較したときの機能や料金を解説していきます。
目次
Amazon SESとは?
Amazon SES(Simple Email Service)は、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドベースのメール送信サービスです。
開発者や企業が手軽にスケーラブルなメール送信機能を組み込むことを目的に設計されており、ニュースレター、取引メール、アラートメールなどを大規模に送信するのに適しています。
一方でHTMLメールのエディタなど、非技術者でもメール配信を使いこなすための機能は搭載されていません。
AmazonSESの主な特徴
Amazon Simple Email Service (SES)には以下のような特徴があります。
スケーラビリティと柔軟性
AmazonSESは、スケーラビリティと柔軟性に優れており、大量のメール送信に対応可能です。
利用状況に応じてリソースを自動的に拡張できるため、毎年1兆件以上のメールを処理する高い信頼性を持っています。
導入と統合が簡単
導入と統合も非常に簡単で、最短10分で設定が完了します。
他のAWSサービス(例:S3、Lambda)と簡単に連携できるほか、API、SMTP、管理コンソールを通じて多様な送信方法を選択可能です。
Amazon SESのサポート体制
システムを利用する際、サポートがしっかりしているかどうかは非常に重要です。ここでは、Amazon SESの日本語サポートの有無や、利用方法について解説します。
Amazon SESのサポート体制は、AWSのサポートプランに依存します。
基本的なサポート
AWS無料利用枠に含まれる基本的なカスタマーサービスが利用可能です。課金、アカウント、AWS Marketplaceに関する質問に対応しています。
有償サポートプラン
Developer、Business、Enterprise Supportの3つのプランがあります。
プランに応じて、技術サポートの範囲や応答時間が異なるので、以下の表を確認してみて下さい。
プラン | 最低料金 | 日本語サポート | 応答時間 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|
Developer | $29/月 | 平日9-18時のWebサポートのみ | 一般的なガイダンス:24時間以内 | テストや初期開発向け、基本的なサポート |
Business | $100/月 | 24時間365日、Web/電話/メール/チャット | システム障害:12時間以内 本番システム障害:4時間以内 本番システム停止:1時間以内 |
AWS Trusted Advisorのすべてのチェック機能利用可能 |
Enterprise | $15,000/月 | 24時間365日、Web/電話/メール/チャット | システム障害:12時間以内 本番システム障害:4時間以内 本番システム停止:15分以内 ビジネスクリティカルシステム:30分以内 |
テクニカルアカウントマネージャー(TAM)による専門サポート、コンシェルジュチーム対応 |
日本語サポートはあるのか?
Amazon SESは日本語でのサポートも提供されているそうです。
しかし、あくまで米国企業ゆえに日本語対応やサポートは限定的なようです。十分なサポートが得られそうかどうか、問い合わせをすることをお勧めします。
電話サポートはあるのか?
電話のサポートはプランによっては受けられます。しかし、有償プランのみなので注意しましょう。
ただし、メール配信関連のトラブルは緊急性が高く、専門知識がなければ解決が難しいことが多々あります。もしメール関連の知識が十分でない場合は、電話サポートが充実しているサービスの利用を検討することをおすすめします。
Amazon SESの料金
Amazon SESには最低料金はありません。
Amazon SESは完全な従量制料金のサービスで、使用した分のみ支払いが発生します。
サブスクリプションや契約交渉、最低料金は存在せず、E メールの送受信量とデータ使用量に基づいて料金が計算されます。
サービス | 料金 | 備考 |
---|---|---|
メール送信 | 1,000件ごとに0.10 USD | 最初の3,000件は無料(使用開始後12ヶ月間) |
メール受信 | 1,000件ごとに0.10 USD | 最初の3,000件は無料(使用開始後12ヶ月間) |
送信データ | 1 GBごとに0.12 USD | 添付ファイルなどのデータ量に応じて |
受信メールチャンク | 1,000件につき0.09 USD | 1チャンク = 256 KB |
専用IP(標準) | 1 IPあたり24.95 USD/月 | |
専用IP(マネージド型) | 1アカウントあたり15 USD/月 | |
Virtual Deliverability Manager | 1,000件のEメールにつき0.07 USD | 受信箱での配信 |
※料金は2024年1月時点の情報です。
※実際の料金は使用量や設定によって変動する可能性があります。
※AWSの他のサービス(EC2、S3など)を併用する場合、追加料金が発生することがあります。
日本円での支払いは可能?
Amazon Web Services (AWS)では日本円での支払いが可能です。しかし、料金計算は米ドルで行われるため、同じ通数送っても為替によって月額の費用が変動する場合があります。
- 通貨設定: AWSアカウントの「お支払通貨の設定」を変更する
- 手続き: 管理者画面にログインし、「お支払方法」セクションから通貨を選択する
- 対応クレジットカード: 日本円での支払いには、VISAおよびMasterCardが対応
- 為替レート: AWS内部での計算は米ドルで行われますが、請求時にAWSが定める為替レートを基に日本円に換算される。
このように、AWSでは円での支払いが可能であり、特に外貨取扱手数料を避けたい場合には有利な選択肢となります。
他サービスとの比較
AmazonSESと同じように、長きにわたってサービスを提供している「blastengine」と比較してみます。
「blastengine」と比較
blastengine(ブラストエンジン)は株式会社ラクスライトクラウドが提供する、API連携とSMTPリレーに特化したメールリレーサービスです。
このシステムは、メール配信の高速処理、ISPからのレピュテーション維持、キャリアブロックの回避など、メール配信における様々な技術的ハードルに対応するために設計されています 。
この比較表から、ブラストエンジンはAmazonSESと比較して、特に日本国内向けのメール配信に強みを持ち、使いやすさと充実したサポート体制が特徴であることがわかります。
また、固定の月額料金制度により、使用量の予測が立てやすいという利点もあります。
AmazonSESの口コミ・評判
実際のユーザーから寄せられている口コミを一部ご紹介します。
ポジティブな意見
「自前でメール送信サーバーを立てる必要がなく、EC2やその他のAWSサービス、他のシステムからメールを送信できる便利さ。」
「従量課金制で非常に安価。」
「送信元認証(DKIMやSPF等)が利用でき、受信先メールサーバーの厳しい受信要件にも対応しやすい。」
※ITreviewより引用
価格と連携の充実度についての言及が多いようです。
改善点
「システムのアラート通知など、送信元ドメインを持たない任意のメールアドレスでの送信ができない。」
「Google Workspaceのメーリングリストなど、特定の条件下でメールが受信できなくなる問題が発生することがある。」
「バウンス管理を適切に行わないと、アカウントが停止されるリスクがある。」
※ITreviewより引用
エラーや不具合の多さ、サポートについてはネガティブな口コミが多く挙げられています。
AmazonSESのメリット
Amazon Simple Email Service (SES)は、企業や開発者にとって非常に魅力的なメール配信サービスです。
導入が簡単
最大のメリットは、簡単な導入と設定が可能であることです。
最短10分程度で設定が完了し、すぐに利用を開始できるため、技術的な知識が少ないユーザーでも手軽にメール送信を始めることができます。
他のAWSサービスとの互換性が高い
Amazon SESは他のAWSサービスとの統合が容易であり、EC2やElastic Beanstalkなどと連携することで、より効率的なシステム構築が可能です。
豊富な監視・分析機能も備えており、開封率やクリックスルー率などのデータを通じてメール配信の効果を測定し、改善に役立てることができます。
AmazonSESのデメリット
Amazon SESには、いくつかの注意すべきデメリットがあります。
これらを理解した上で自社で取り入れるべきメール配信システムか検討しましょう。
送信量に制限がある
また、送信量に制限があります。24時間以内に送信可能なメール数に上限があり、大量のメール送信を行う場合には注意が必要です。
さらに、メールの配信は100%保証されているわけではありません。ISPの判断やユーザーの設定によっては、メールが削除されたり拒否されたりする可能性があります。
配信の不確実性
運用面では、適切なメールリスト管理や送信コンテンツの確認が必要となり、これらの作業に時間と労力がかかります。
専用IPを使用する場合は、使用していない期間でも追加料金が発生するため、コスト面での考慮も必要です。
サービス停止のリスク
最後に、AWSの判断によってサービスが停止された場合、問題の改善と再発防止計画の報告が必要となり、ビジネスに影響を与える可能性があります。
これらの点を考慮し、Amazon SESを利用する際は適切な運用管理が不可欠です。
AmazonSESの代わりのメールリレーサービス
AmazonSESは高機能で便利なサービスである一方、サポートに不安が残ったり、外国製のサービスであるがゆえに導入をためらっているもいるかと思います。
そこで、AmazonSESと同様のメール配信サービスで、日本企業が運営している、リーズナブルなメール配信システムを紹介します。
API連携・SMTPリレーサービスならブラストエンジン(blastengine)
ブラストエンジンは、日本国内の企業向けに提供されているメール配信プラットフォームで、AmazonSES同様、API連携・SMTPリレーで大量のメール配信やトランザクションメールの配信を効率的かつ確実に行うことができるサービスです。
国内企業が運営しているサービスなので、サポートも日本語でメール/電話の対応が可能でなっており、AmazonSESと比較しても手厚いフォローが可能です。月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
大量のメールを一斉送信するならブラストメール(blastmail)
ブラストメールは、14年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。
非技術者向けに作られたメール配信システムで、使いやすさと圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
迷惑メール対策機能はもちろん、セグメント配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能はすべて揃っています。料金はシンプルなアドレス数課金のみです。最も安いプランなら、月額4,000円で導入することができます。
また、業界トップクラスの配信速度と到達率も魅力の一つです。
「メールマーケティングにかかるコストを落としたい」「たくさん機能があっても使いこなせない」といった方にはブラストメールがおすすめです。
無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
まとめ:AmazonSESはこんな企業におすすめ
AmazonSESは以下のような企業におすすめです。
AWSの他のサービスと連携したい企業
既存のAWSサービスを利用している企業や、AWSのエコシステムを活用したい企業にとって、AmazonSESは統合が容易です。
開発者やエンジニアが多い企業
AmazonSESはAPIやSDKを通じて既存のアプリケーションと直接統合できるため、開発リソースが豊富な企業に適しています。
他にもメールリレーサービスについては以下の記事で詳しく解説してあるので、ぜひ読んでみてください。