有事の際に自治体から配信される情報は、住民にとっては非常に心強いものです。
また、有事でなくとも地域の取り組みなどを知りたい住人は沢山いるでしょう。身近な自治体からの情報が積み重なることで、地域への愛着も根付いてきます。
実際に自治体から出されているメッセージには、以下のようなものがあります。
- 防犯情報
- 災害(気象)情報
- 行方不明者情報
- イベント情報
各都道府県でも公式の情報を配信するLINEアカウントやメールマガジンを運営していますが、さらに身近な市町村や数百人程度の地域でも同じ取り組みがなされています。
自治体から発信される情報は、地上波で取り上げられているような情報と比較して、より住民の生活に関わる情報を配信できるのが大きな魅力です。
この記事では、各自治体が住民に必要とされる情報をメルマガで配信するメリットや、具体例、配信時に利用すべきシステムについて解説しています。
市町村やそれよりも小規模な自治体が配信するメリットについても解説しているので、各自治体で生活安全や広報を担当している方はぜひご覧ください。
目次
LINE?メルマガ?自治体が情報を発信する際にオススメの媒体
自治体から発信される情報は「迅速・確実に希望している住民に届く」必要があります。
そのため、配信媒体の選択は慎重に考えるべきでしょう。
SNSが普及した近年では、政府関係の公的機関でもLINEを使った情報の配信がなされていますが、実は各省庁では同時にメールマガジンの配布も行っています。
例えば、厚生労働省では以下のような情報をメールマガジンとして、配信希望者に配信しています。
- 新着情報配信サービス
- 緊急情報配信サービス
- 厚労省人事労務マガジン
- 感染症エクスプレス@厚労省
なぜLINEだけでなく、わざわざメールマガジンの配布もしているのでしょうか。
それには、LINEをはじめとするSNSのアクティブユーザーの年齢層が関係しています。
アクティブユーザーが多く、若者を中心にコミュニケーション手段として大活躍しているLINEですが、年齢が上がるにつれユーザーの割合は減少しています。
公的機関から発信される情報なので、できるだけ多くの住民に平等にメッセージを届けることができなければ、公共サービスとしては考えものです。
ウェブマーケティングのノウハウを解説している「#GROVE」の調査によると、LINEの利用率は40代を境に減少し、60代の利用率は67.9%となっています。
一方のメールでは、アクティブユーザーの統計こそ見つからなかったものの、40代で84.1%、60代で71.6%の方が「メールアドレスを持っている」という結果になりました。(参考:生活定点1992-2020)
そのため、LINEを利用した配信だけでなく、希望者にはメールを使った配信も行う準備をしておくことで、高齢者を中心とした多くの住民に対応できるようになるでしょう。
自治体がメールマガジンを配信するメリット
ここからは、自治体がメールマガジンを使って情報を配信するメリットについて解説していきます。
よりローカルな情報を届けることができる
各省庁や地上波などから発信される情報は、台風や大雪などの気象情報や、新型コロナウイルス(COVID-19)などの感染状況など、広範囲の地域を対象とした情報になりがちです。
そのため、自分の生活圏の情報を入手する媒体としては最適とは言えません。
都道府県や市町村、あるいは地域レベルの自治体が発信する情報は、自治体の住民に向けたものになるので、規模が小さければそれだけローカルな情報を発信することができます。
過去に自治体から配信されたメルマガの具体例には以下のようなものがあります。
- 河川の氾濫・洪水情報
- 行方不明者情報
- 災害時の避難場所情報
都道府県全域に向けるような規模の災害や事件では、地上波でも速報が流れますが、地域を流れる河川の氾濫やその際の避難場所などが取り上げられることは滅多にありません。
そのため、住民が自分の命を守るための情報として、地域性の高いメルマガを配信している自治体は多くあります。
また、地域のお祭りなどのイベントに関する情報もメルマガで配信することができます。
地域によっては回覧板や掲示板などを使って情報共有をしている自治体もあるかと思いますが、メルマガを配信すれば同時に多くの方へ向けて迅速に地域情報を共有することができるでしょう。
カテゴリーによって希望者を限定した配信ができる
メールマガジンの配信方法には「ターゲット配信」と呼ばれるものがあります。
ターゲット配信では、あらかじめ配信リストに受信者の年齢や居住地域、性別などを設定しておき、任意のカテゴリーにのみメールを配信することができます。
企業がマーケティング活動の一環として利用することが多い配信方法ですが、この機能を利用することで以下のようなメルマガを地域住民に向けて配信することができます。
- 子育てに関する情報
- 高齢者を対象にした健康教室などの情報
- 自治体主催のイベントの役員に向けた情報
上記のようなメルマガは、全ての住民を対象にしているわけではありませんが、条件に該当する方にとっては非常に大事な情報になるでしょう。
受信するメルマガのカテゴリーは、住民が自由に選択することができるので、必要のない情報が受信者のもとに届く心配はありません。
送り分けの工夫一つで、メルマガの解約率は大きく改善されます。
解説しているようなターゲット配信は、OutlookやGmailのような無料のメーラー・ウェブメールでも手作業で労力をかければ実現することができます。
しかし、無料のメーラーを使ったメルマガの配信には、後述するような「情報漏洩」や「キャリアブロック」などのリスクが伴います。
政府機関をはじめ、メルマガを配信している組織の多くは、これらのリスクを軽減し、かつ手軽にメルマガを送信するために「メール配信システム」を利用しています。
メール配信システムは、メールの一斉送信に特化したシステムなので、上記のようなリスクを軽減した上でメルマガの配信をすることができます。
コストや実際の使用感については後半で解説しているので、是非ご覧ください。
自治体からメルマガを配信する際の注意点
ここからは、自治体がメルマガを使って情報を発信する際の注意点に関して解説していきます。
解説をしている項目は先述したような、無料のメーラー・ウェブメールの使用時に発生することが多いものです。
一斉送信時に考えられるリスクについて把握し、トラブルのないメルマガの運営を心がけましょう。
情報漏洩
一斉送信時に発生しやすいトラブルとして情報漏洩が挙げられます。
OutlookやGmailなどで一斉送信を行う場合は、設定したメールアドレスが受信者同士からは確認できないようにBCCに設定し個人情報を保護した上で配信をするのが一般的です。
しかし、実際には毎年多くのメールアドレスの流出が報告されており、その多くはBCCに設定すべきアドレスをCCやTOに設定して送信してしまったことが原因です。
上記のようなメーラーでは、BCCやTOなどの宛先の設定は手作業で行わなければならず、どれだけチェック作業を徹底していても、情報漏洩のリスクは常に付きまといます。
自治体の規模に関わらず、情報漏洩は住民からの信頼を損なってしまう可能性があるため、絶対に起こらないような環境でメルマガを配信しましょう。
配信遅延・メール不達
地域の災害情報や避難情報は、住民の命を守るライフラインとも言える大事な情報です。
だからこそ、配信遅延・メール不達は万全に対策をしなければなりません。
それぞれの原因について解説をすると、配信遅延はサーバーの過負荷、メール不達は配信したメールが迷惑メールやスパムメールと判断されてしまうことが原因であることが多いです。
そもそもGmailなどのメーラーは、大人数(数百名以上)の方に向けた一斉送信に特化したサービスではありません。
そのため、後述するメール配信システムと比較してサーバーに負荷がかかりやすい設計になっています。
また、無料で利用できる一方で、配信できるメッセージ数に上限がある点にも注意です。
一度制限がかかってしまうと24時間以内はメールの送信ができなくなってしまうので、場合によっては有事の際にメールを送信できないこともあります。
そして無料メーラーは配信上限だけでなく、送信してもメールが相手のメールボックスに到達しない、不達メールにも注意が必要です。
無料メーラーで発生する不達メールは、受信側の迷惑メールフィルターに引っかかってしまうことが不達メールの原因になることが多いです。
こちらも、有事の際に発生してしまうと住民の混乱を招いてしまう可能性があるので、万全の準備をしなければなりません。
メルマガを配信している自治体が利用しているツール
自治体から発信されているメルマガは、全国版のニュースでは取り上げられないローカルな情報を、タイムリーに発信することができるというメリットがあります。
また、メルマガの内容には全住民が必要とする災害・避難情報などから、高齢者向けのイベント情報のように必要な人が限られる情報なども含まれます。
カテゴリーごとに受信者を分けるような配信は、Outlookのようなメーラーでも可能ではありますが、手作業で受信者を設定する配信は誤送信による情報漏洩を招きかねません。
そのため、メールの一斉送信業務がある企業や自治体では、情報漏洩やメール不達などのリスクを下げるために「メール配信システム」を利用してメルマガを配信しています。
メール配信システムは一斉送信に特化したメールシステムで、宛先を自動的にBCCに設定する機能や先述した「ターゲット配信」などのツールを提供しています。
また無料のメーラーの利用と比較して、セキュリティのアップはもちろんメール不達などへの対策も充分に行われているため、キャリアブロックに引っ掛かる可能性も激減するでしょう。
メール配信システムの利用で得られるメリットはそれだけではありません。
メーラーを使ったメルマガの配信では、受信者のメールアドレスを集めリストに手作業で記載するという作業が伴います。
受信者の規模が大きくなればなるほど、時間も労力もかかる作業になりますが、具体的にはメール配信システムが提供している「空メール登録」を使うことで、コストを軽減することができるでしょう。
空メール登録とは、受診を希望する方が自分のメールアドレスを入力しメールを送信するだけでリストにアドレスが登録される機能です。
複雑な作業は必要としないので、受信者にとっても便利な機能と言えるでしょう。
メール配信システムとメーラーの違いは、以下の記事に詳しくまとめてありますので、自治体からメルマガを配信しようとお考えの方はぜひご参考ください。
関連記事:5分でわかる!メール配信システムの仕組みとは?メーラーとの違いも解説します。
まとめ
自治体から発信されるメルマガは、地上波で取り上げられるような情報と違い、自身の生活圏に関係する内容であることが多いです。
災害情報や避難情報のような住民の命に関わるような情報は、テレビや新聞からは入手できないことが多いため、配信する環境を整えることによって住民の安心にもつながるのではないでしょうか。
近頃はLINEなどのSNSを利用して、情報を配信している組織もありますが、SNSの利用をしていない方にも平等に情報が届くようにメールの配信も準備が必要です。
その際は、セキュリティやメール不達のリスクを考え「メール配信システム」の利用がオススメです。
メール配信システムの利用をすることで得られるメリットについてまとめておきましょう。
- アドレスの誤設定による情報漏洩のリスクが激減する
- メール不達を防止することができる
- 配信者の労力を軽減することができる
- カテゴリ別に受信者を絞ったターゲット配信機能が使える
メール配信システムにかかるコストは提供する企業によって様々です。
一例として、空メール登録・ターゲット配信といった解説してきた機能を提供している「ブラストメール」では4,000円/月で利用することができます。
ブラストメールは自治体での利用例も多く、セキュリティを重視しているメルマガ配信にはかなりオススメです。
キャリアブロックや情報漏洩を防ぐ充分なセキュリティがあり、余計な機能提供をしていないためシンプルな設計になっています。
そのため、他のメール配信システムと比較して低価格で利用することができ、官公庁などにも利用されています。
セキュリティを考慮されるのであれば、低価格で自治体配信に必要な要素が網羅できるブラストメールの導入を検討してみてください。
7日間の無料体験期間も設けており、担当者に電話で相談することもできるので、導入前にお試しで利用してみてはいかがでしょうか。