自社の商品・サービスの認知や、顧客との信頼関係を構築するためのツールとして「ニュースレター」があります。
本記事では「ニュースレター」はどのような特徴があり、どんな目的で配信されるのか、どんなネタを配信すれば良いのかなど、ニュースレターの概要について解説しています。
目次
ニュースレターとは?
ニュースレターとは直訳すると「新しい手紙」という意味の通り、自社で発行する最新情報を提供する手紙のことを指します。
顧客だけでなく、広くは組織内に向けて発行される印刷物もニュースレターとなり、近年では電子媒体で発信される情報も広くニュースレターと呼ばれています。
似たようなものに「ダイレクトメール」がありますが、こちらは「広告・宣伝」を目的として「個人宛」に送るもので、ニュースレターよりも営業色が強いものを差しています。
ニュースレターを定期的に発信することで、お客様との接触回数が増え、自社商品・サービスを忘れさせないという効果があります。
また、特定ジャンルに特化した情報発信を行うことで、購読者にとって頼れる専門家としてのポジションを確立できます。
メルマガでしか得られない価値のある情報を定期的に配信できれば、購読者からの信頼も得られるはずです。
ニュースレターとメルマガの違い
ニュースレターと同じようなコンテンツとして「メルマガ」が挙げられますが、ややこしいので最初に両者の違いについて整理しておきます。
ニュースレターの辞書的な意味は、
- 企業や政府機関、学会などが従業員、株主、報道機関、一般の人々、会員などに発行する定期的な刊行物。
- 特定の予約購読者に送る時事解説、時事通信。
となっています。
ニュースレターの方が時事的な要素が強いという特徴はありますが、ニュースレターを紙媒体ではなく、メール配信すればそれは「メルマガ」と呼ばれます。配信形式がメールであるというだけでほとんど違いは無いと言ってもいいでしょう。
しかしながら、近年英語圏を中心に大流行している「ニュースレター」は、メルマガとは使われ方や成り立ち、背景が大きく異なります。
近年大注目の「ニュースレター」
近年大きく発展している「ニュースレター」について少し触れておきましょう。
英語圏における「ニュースレター」はより最新のトレンド情報を発信し、専門の有識者による質の高いコンテンツが特徴の「有料購読サービス」の事を差します。
自社商品・サービスの認知を向上させたい、顧客との接触回数を増やしたいという目的で使われているニュースレターとは少し異なったものになります。
質の高いブログ記事やニュースのサブスクリプションサービスと言った方がイメージしやすいかもしれません。サブスクリプションとは、NetflixやSpotifyのような、定額料金を払い利用するサービスの事を言います。
アメリカではインターネットメディア上での栄誉あるジャーナリズム賞であるOnline Journalism AwardにもExcellence in Newslettersというニュースレター部門が2020年より新設されました。
また、2021年1月には、米国Twitter社がニュースレター配信を支援するオランダのRevue社を買収したことも大きなニュースとなりました。
こちらは月額1,000円で利用できる「QUARTZ」というニュースレターです。英語の記事にはなりますが、グローバルなトレンドニュースを定期配信してくれます。
英語圏での「ニュースレター」は近年大きな注目を集めており、情報過多な現代において、質の高い情報をお金を払ってでも得たいという需要は増えていくことが予想されています。
一方、日本ではニュースレターと聞いてもそういったメディアを想像する人はまだ少ないかもしれません。自社商品・サービス、会社の最新情報を発信し、顧客との信頼関係構築に用いる「ニュースレター」が一般的な認識です。
以降は「有料でコンテンツを配信する」ニュースレターではなく、「無料で情報発信し、自社のへの認知関心を高める」為のニュースレターについて解説していきます。
ニュースレターを効果的に使うためには
ニュースレターは「セールス、宣伝、営業はなるべく少なくする」という点が特徴です。
ニュースレターは「顧客にとって有益な情報や会社のことをより詳しく知ってもらえるような情報」を送ります。もちろん、ニュースレターから販促を行う時もありますが、あくまでもニュースレターは信頼関係作りのコンテンツで、セールスは控えめにします。
ニュースレターを使って「注意を引く」
人がモノを買うまでのフローは「AIDAの法則」と呼ばれています。購買に至るまでには「注意を引き(Attention)、興味を持ち(Interest)、欲しいと感じ(Desire)、行動する(Action)」という段階があります。
例えば、身近な広告として15秒程度のテレビCMがありますが、テレビCMの主な目的は、行動させる(Action)ことではなく「注意を引くこと(Attention)」です。
ニュースレターの配信も同じような意識が大切です。
ニュースレターを使って商品を売るのではなく、お役立ち情報や最新のニュースで注意を引き、商品・サービス、会社への興味関心度合いを高めておくのです。
ニュースレターの目的は「購入に至りやすい状態」を作り上げておくことになります。
ニュースレターを行う際の注意点
ニュースレターを行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 基本的にセールス、宣伝は行わない
- 信頼関係の構築、親近感を持ってもらうことを目的とすること
- 会社のことを開示するような内容を発信する
- 顧客に有益な情報を発信すること
- 定期的に配信する(月1回程度)
先ほども説明したように、ニュースレターの目的は目先の利益ではありません。長期的な目線を持ち、じっくりと顧客との関係作りをしていくためにも、セールスや宣伝は極力少なくしましょう。
基本的に人間は売り込みを嫌います。続きが気になるドラマに挟まれるCMや、全く興味のない商品のメルマガやチラシなどを快く思う人はいないでしょう。
また、ニュースレターは最低でも月1回程度の配信を心がけましょう。業種やサービスによって適切な配信頻度は異なりますが、それ以上期間が開くと顧客の興味を失ってしまう可能性があります。
逆に配信頻度が高すぎても、相手に鬱陶しがられたり、ネタ切れになる可能性が高いので注意が必要です。ニュースレターは月1程度を目安に送るようにしましょう。
ニュースレターのフォーマット
ニュースレターと言っても、配信には色々な形式があります。
- ハガキや手紙など(紙媒体)
- メール配信
- SNS
- 自社HP・ブログ
それぞれの配信形式の特徴について解説していきます。
ハガキやチラシなどの紙媒体
まずは、ハガキやチラシなどの紙媒体で行うニュースレターから解説します。紙媒体とはいえ、その中でも様々な種類があります。
- ハガキ
- 封書
- チラシ
- パンフレット
- ミニ冊子
- FAX
紙媒体のニュースレターは、印刷、郵送コストがかかりますが「一覧性が高い」「保管、再読されやすい」という特徴があります保管されやすく、メールなどと比較して再読されやすいというというのは大きなメリットです。
また、顧客の年齢層が高い場合は紙媒体の方が好まれる傾向にあるのでターゲットに合わせて紙媒体を選ぶのも良いでしょう。
印刷方法や紙質、封筒のデザインやチラシの大きさなどにこだわれば、競合他社と差別化することも可能です。
自社HP・ブログ
自社HPやブログだと、手軽にニュースレターを発信できますが、わざわざHPやブログを検索してアクセスしてくる顧客はほとんどいないでしょう。
ニュースレターは基本的に「こちらから送るもの」です。
そのため、自社HPやブログにてニュースレターを発信する場合は、流入経路を整備しておくことが大切になります。その手段として、後ほど紹介するSNSやメールが使われます。
SNS
SNSによるニュースレターの発信は、即時性があり、不特定多数への拡散力が高いという点が特徴的です。
施行までのハードルが低く、手軽に情報発信を行える上、顧客リスト外にもアピールできるというメリットもあります。自社HPやブログのリンクをSNSで拡散し、投稿を見て興味を持ったユーザーからのフォローが得られれば、SNS上で新たな顧客リストを作っていくことができます。
ただし、SNS上に一度に載せられる情報に制限があったり、フォロー解除の手軽さから、離客の可能性が高いというデメリットがあるということも知っておきましょう。
メール配信
メールを使ったニュースレターの配信も多くの企業で行われています。
日本においてのニュースレターはメルマガとほぼ同じようなものと考えてもらって構わないかと思います。メール自体でニュースレターを完結させる形式もできますし、自社HPやブログの更新をメールで通知するという使い方もできます。
メールによるニュースレター配信はコストパフォーマンスに優れます。印刷、郵送コストがかからない上、不特定多数にではなく、年齢や性別、商品を何度か買ったことがある人、買ったことが無い人、などターゲットを絞ってニュースレターを送ることができます。
メール配信自体は無料で行うこともできるので非常に効率的な配信形式であると言えます。
ニュースレター配信で使えるおすすめのメール配信システムはこちらでまとめているのでぜひご参考ください。
【最新版】おすすめのメール配信ソフト8選。初心者の方にも分かりやすくご紹介します!
ニュースレターのネタ例
それでは最後に、ニュースレターで配信されているネタの例を紹介します。
時事ネタやトレンド
ニュースレターのネタとしては時事ネタやトレンド情報が一般的なものとなります。
最新の情報は必然的に興味関心が高く、トレンド情報に絡めた内容のニュースレターを発信すれば読んでもらいやすくなります。
最近はネットで様々なニュースを得ることができますが、必ずしも大きなトピックスである必要はありません。天候やクリスマス、お正月などのイベント毎に絡めたお知らせなどでも効果を発揮します。
商品・サービスに関するお役立ち情報
こちらもニュースレターとしてよく使われるネタです。商品に関する豆知識や、ノウハウ、裏技やキャンペーン情報は読者に喜ばれるやすいのでおすすめです。
例えば、サプリメント販売会社のニュースレターを作成するなら、
- サプリメントの効能
- 栄養素に関する豆知識
- 適切な摂取頻度、摂取時間
- サプリメントと合わせて取ると効果的な食事
- お悩み別のおすすめサプリメント
- 体調不良の原因
このようなネタが考えられますが、紹介する栄養素やお悩みを細分化していけば配信するネタに困ることはないはずです。読者にも、自分が悩んでいることに対して専門家から直接情報が届くので喜ばれやすい内容です。
お客様の声
ニュースレターとしてお客様の声を発信するのも有効です。
ニュースレターを読んでいる中には、まだ購入には至っておらず、検討段階のお客様もいるでしょう。しかし、ニュースレターを購読しているということは、多少なりともその会社や商品・サービスに興味を持っているということです。
消費者は基本的に広告を見てもその内容を信じていません。販売側からの情報よりも消費者の口コミを参考に商品・サービスの良し悪しを判断しています。
お客様の声はそういった検討段階の方の背中を一押ししてくれるコンテンツになります。
会社紹介
商品・サービスに対する愛着を高めてもらうことを目的に、自社の企業理念や思いを発信することもあります。社員紹介なども自社に対する親しみを持ってもらう手段としては有効です。
会社紹介はニュースレターを行う中でも、優良顧客(何度か商品サービスを利用している)に向けて発信することで効果を発揮します。
興味関心が低い段階で、企業の思いなどを頻繁に発信されてもストレスなだけなので、配信頻度や配信するターゲット層には注意が必要です。
そう言った意味では、配信先を選択できるハガキやメールでのニュースレター配信がおすすめになります。
イベントレポート
セミナーや、展示会などを行った際にはイベントレポートも、ニュースレターの良いネタになります。
参加したかったけど参加できなかった方や、イベントには興味がなかったが、レポートを見てその後のセミナーや展示会へ参加したくなったという方もいるかもしれません。
また、ゴミ拾いなどのボランティア活動などもレポートとして発信できるネタになります。イベント自体を頻繁に行っていることは少ないかと思いますので、こういったトピックスがあればぜひ、ニュースレターのネタにしましょう。
まとめ
以上、ニュースレターとはどのようなものなのか概要を解説しました。
有名な経営学者ピータードラッカーは「マーケティングの究極は、セールスを不要にする」という言葉を残していますが、ニュースレターはまさにそのマーケティングを究極にする上で重要なツールになります。
ニュースレターの目的は「顧客との関係作り」「自社商品・サービスへのファン作り」です。
こちらから「買ってください」ではなく、「買わせてください」というお客様が増えるよう、自社の情報を開示し、お客様にとって役に立つ内容のニュースレターを発信し続けることが重要です。
ぜひ、セールスを促進するために有効なニュースレターに挑戦してみてはいかがでしょうか。