電話やチャットと並んで、コミュニケーション手段として欠かせない電子メール。
メール配信の観点から、電子メールの効果的な活用には、大量かつ高速に配信できる「メール配信システム」利用が不可欠です。
特に近年、メール配信システムでは「クラウド型メール」を活用したシステムが主流になり、採用する企業が目立ってきています。
クラウド型メール配信システムを含め、メールを効果的に配信するシステムの種類は主に2つあります。
- オンプレミス型メール配信システム
- クラウド型メール配信システム
この記事ではオンプレミス型、クラウド型のメール配信システムについて、それぞれのメリット・デメリットを解説いたします。
目次
メール配信システムとは
まず、「メール配信システム」の一般的な役割や種類を紹介します。
メール配信システムの役割
メール配信システムは、一斉に、かつ大量にメールを配信できることに特化しています。
実は、メールの大量配信はスパムメール判定にされやすい性質があるため、メールが届きにくい問題に直面する方が多くいらっしゃいます。
そのため、メーラーではなく専用のシステムが必要になります。
メール配信システムは大量にメールを届けやすいだけでなく、配信に便利な機能や仕組みがあります。
例えば、以下のような機能があります。
- 特定電子メール法を遵守した配信が可能
- スパムメールと誤解されないメール配信でリスク回避
- 通信の暗号化、個人情報漏洩防止対応など高セキュアな環境で配信
- ターゲット配信よるメールマーケティング
メール配信システムの種類
当記事の冒頭で記載した、以下2つの種類についてそれぞれの特長を見ていきましょう。
- オンプレミス型メール配信システム
- クラウド型メール配信システム
オンプレミス型メール配信システム
オンプレミス型は、自社サーバーにパッケージをインストールして利用する方法です。
社内システム部門や外部業者とのシステム導入の要件定義、仕様設計、構築、サーバー環境の設置、テストを経て利用できます。
特長としては、基本的には融通が利くため、自社独自のカスタマイズがしやすく構築段階で自社の要求を入れこむことができます。
また、社内セキュリティポリシーに準拠した環境を構築でき、情報漏洩対策に適しています。
クラウド型メール配信システム
クラウド型はインターネットを介し、サービス提供元のサーバーにアクセスして機能を利用します。
「サービスに申し込めばすぐに使える」、がクラウド型の特徴です。特長としては、導入までの工数や運用負荷を軽くできること、様々な機能を低料金で利用できることにあります。
では、次にそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
オンプレミス型メール配信システムのメリット・デメリット
オンプレミス型のメリット
カスタマイズ性が高い
オリジナルシステムの開発により、カスタマイズ性に優れ、現場の声をすぐに反映できることがメリットです。
また、ある程度、自社で開発を賄える企業や開発委託ができる予算があるのであれば、柔軟に機能拡張などができるでしょう。
顧客データを自社内だけで管理できる
自社サーバーや社内ネットワークを利用するので、外部の要因によって情報漏洩が起きるリスクを低減できます。
カスタムに特化した開発のため、自社のセキュリティポリシーに合った最適な環境も構築しやすくなるでしょう。
オンプレミス型のデメリット
総コストが高い
オンプレミス型は買い切り形式が殆どですが、カスタマイズによる構築や設計、サーバー環境の設置などで、初期費用が高いことが特徴です。
更に、サーバーの運用、メンテナンス、データ保存のためのハードディスク管理などで継続費用が発生しかねません。
また、システムの改修が必要になったとき、もともと導入時の要件に依存したプログラムからの改修が必要になるため、仕様変更で追加コストが大幅にかさむ場合があります。
システム規模拡張の対応が難しい
事業規模拡大に伴うシステム拡張が必要になった場合、利用環境を自社で整えなければいけません。
例えば、スマートフォンやタブレットなど端末の多様化に対応したシステム拡張をするべく、ソフトウェアの再開発や機能の追加構築で負荷が膨れ上がり、システム部門の手に負えなくなる可能性があります。
導入から運用まで時間がかかる
オンプレミス型は、社内システム部門や外部業者とのシステム導入の要件定義、仕様設計、構築、サーバー環境の設置、テストを経て利用するため、クラウド型メール配信システムに比べて運用までに時間がかかります。
クラウド型メール配信システムのメリット・デメリット
クラウド型のメリット
総コストを抑えられる
クラウド型メール配信システムは、月額・年額で利用料金を支払う、サブスクリプションで提供されています。
何よりその魅力は、様々な機能を低料金で利用できること、運用やメンテナンスは外部業者がすべて担うため、運用負荷を軽くできることにあります。
クラウド型は大勢のユーザーがコンピューティング資源を共有する想定にあるため、コスト効率が高いと言えます。
システム規模の拡大に対応しやすい
サブスクリプションの競争激化により、各製品のサービス強化でアップデートの頻度は高く、市場の変化を反映した機能がリアルタイムで実装されやすいことも特長です。
外部サーバーを利用することで、事業拡大に伴うシステム拡張でも、少なくとも自社のサーバーの容量に対する懸念はしなくてよいでしょう。
短期間で導入できる
標準機能のパッケージ導入によって、要件定義や構築に時間を要さず、オンプレミス型に比べて短期間で導入可能です。
デメリット
カスタマイズが容易にできない
クラウド型は、サービスプラットフォームを自社以外のユーザーとも共用するモデルなのでカスタマイズができないことが殆どです。
よって、ある程度は画一的な仕様に合わせる必要があります。
自社がもっとも使いやすいシステムを要求することができないため、そのサービスの標準機能や操作に合わせるべく、運用そのものを仕様に沿って変える必要がある、ということです。
選ぶならオンプレスミス型?クラウド型?
自社構築の「オンプレスミス型メール配信システム」または外部サーバー利用の「クラウド型メール配信システム」、選定するならどちらでしょうか。
かゆい所に手が届くような自社独自の仕様を追求するなら、もっとも使いやすいシステムになり得るオンプレミス型でしょう。
しかし、ひとつのシステムをカスタマイズすることによって、結果的にあらゆるシステムについて自社独自のカスタマイズが行われ、結果としてシステムはどんどん複雑化してしまう可能性があります。
それは、将来的に高いコストとなって跳ね返ってくるリスクになり得ます。
具体的には、例えばシステム拡張を自社で担う場合、社内に大きな情報システム部門を抱えることになります。
または、カスタム化をするベンダーに多額の経費を払うことになり、あげ句には、カスタム化を繰り返し構築・運用するベンダーにしか自社のシステムも分からなくなるといった状況が生まれてしまう可能性も出てきます。
対してクラウド型は、カスタム化は一部できないものの、総コストや運用負荷をオンプレミス型より抑えることができます。
更に、クラウド型メール配信システムは機能も品ぞろえも、年々ぐっと充実してきています。
料金面、機能面、セキユリティ面でもキャッチアップが進み、選択肢が増えてきていますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。