各メディアで取り上げられているAIは、2022年に「ChatGPT」が公開されたことによりさらなる発展の兆しを見せています。
「ChatGPT」とは、OpenAIがリリースした人工知能チャットボットのことで、テキストでの会話だけでなく文章の作成や添削といった複雑な作業を行うこともできます。
各分野でChatGPTのようなAIを活用した業務の効率化が進んでおり、特にAI技術の集客への応用は企業にとって興味関心の高いトピックでしょう。
AIを集客に応用することで新たな施策が生まれただけでなく、既に行われている集客施策の人的リソース削減も可能になりました。
この記事では、以前から多くの企業に採用されている集客方法である「メルマガ」を使った集客にChatGPTを活用する方法について解説しています。
また、メルマガへの応用だけでなくChatGPTの概要や利用方法についても解説をしているので、ChatGTPを自社の施策に活用しようとお考えの方は是非ご覧ください。
目次
ChatGTPとは
「ChatGPT(Generative Pre-trained Transformer)」は、人工知能の開発をおこなっているアメリカの企業「OpenAI」が2022年11月に公開した人工知能チャットボットです。
SNSやウェブ上に無料公開されているAI以上に自然でクオリティが高い回答が可能なため、業界内でも注目を集めています。
質問されたキーワードを識別し、あらかじめ決められた回答をするチャットボットとは違い、ウェブ上のテキストデータを学習し文章を生成するため以下のような特徴があります。
- 対話の品質が高い
- 幅広い分野に対応できる
2023年6月現在、ChatGPTは無料の「GPT- 3.5」と有料の「ChatGPT Plus」が最新バージョンとなっています。
両者の違いは、回答の正確性やサーバー混雑時の優先度、サポートの充実度などが挙げられます。
ビジネスで利用する場合は月額20ドルの「ChatGPT Plus」の利用も検討しなければなりませんが、まずは無料版で運用をしてみるとよいでしょう。
ChatGPTの仕組み
ChatGPTの仕組みを簡単に解説しましょう。
まず、ChatGPTはウェブ上にある膨大な量のデータを収集し、記憶・学習します。
その後、利用者からの質問に対して学習した内容をもとに、適切と思われる回答を導きテキストで出力します。
前項でも解説しましたが、質問に対してあらかじめ決められた回答を用意しているのではなく、学習内容をもとにオリジナルの解答を作り出します。
ただし、現在無料公開されている「GPT- 3.5」では2021年9月までのデータしか学習していないため、以降の情報については回答に反映されません。
ChatGPTの利用方法
ChatGPTの無料バージョンである「GPT- 3.5」の利用方法を解説します。
ウェブで「ChatGPT」を検索
「ChatGPT」のWebページを開きます。
上記のような英語のページで、画面左下にある「Try ChatGPT」をクリックしましょう。
サインアップ情報を入力
新規登録の場合は「Sign UP」をクリックし、以下の画面から情報を入力します。
Googleのアカウント情報と結びつけると、メールアドレスの入力などを省略することができます。
ChatGPTへどのような質問をすればいいのか
ChatGPTは、膨大なデータを学習しアウトプットすることができる人工知能ですが、曖昧な質問に対する回答は苦手です。
ここからは、ChatGPTを効率良く使うためのプロンプトについて解説します。
ChatGPT使われるプロンプト
「プロンプト」とは、PCやスマホの画面で文字が入力できる状態であることを示すマークのことを指します。
ChatGPTをはじめとするAI業界では、AIに対して出す指示や命令のことを表す言葉として使われており、ChatGPTに対しての質問はプロンプトと同義ということになります。
ChatGPTへのプロンプトとして使われているものには、以下のようなものがあります。
- 質問への回答
- 情報収集
- アイデアの提出
- 文章の要約
- プログラミングの作成・バグの発見
- 文章の翻訳
本記事の後半でも、上記のプロンプトを使いChatGPTの応答をメルマガに活用しています。
プロンプト作成のコツ
上記のような、目的でプロンプトを作成する場合は以下の点を意識しましょう。
- 回答する立場を指定する
- 条件を具体的に指定する
- 端的に質問をする
- 役を与えた上で回答させる
- 敬語を使う
「回答する立場の指定」とは、ChatGPTをどの目線に立たせて質問に回答させるかをあらかじめ決めておく、という意味です。
例えば「おすすめの料理は」という質問では、性別・国籍・年齢などの立場を指定することで、より精度の高い回答が得られるようになります。
また「条件を指定する」ことも質問者が求める形の解答を得る上で重要です。
文字数の指定だけでなく、「はい」か「いいえ」で答えて、のような解答方法の指定も場合によっては有効でしょう。
そして、ChatGPTを使う上で覚えておきたいテクニックとして「ChatGPTに役を与える」というものがあります。
例えば「あなたはメールセキュリティのエンジニアです」と指定した上で、「メールセキュリティの問題点はなんですか」と質問をします。
そうすることで回答する立場を指定できるだけでなく、アウトプットする情報の範囲を限定することができるため短時間で精度の高い回答を得られるケースがあるようです。
上記の方法では、まれに回答を拒否されるケースが確認されていますが、何度か同じ質問をすることで改善される場合もあります。
またある調査では、ChatGPTに質問をする際に敬語を使った方が出力に良い結果が出た、という事例も報告されています。
参考記事:敬語によるChatGPTの驚くべき変化!プロンプトの本質に迫る
ChatGPTのプロンプトを作成する際は、ぜひ意識してみましょう。
実際に質問をする
上記画像の下部にある「Send a message.」に質問を入力するとチャットが開始されます。
左側にある「New chat」をクリックすると、既存のチャット画面を保持したまま新しいトーク画面を作成することができます。
ご紹介している画面はデフォルトの英語表記になっていますが、日本語で質問をすれば日本語で返答をしてくれます。
Googleの翻訳設定でサイト内を全て翻訳すれば、そのほかの文字も日本語に直すことができます。
ChatGPTをメルマガに活用するメリット
ChatGPTをメルマガに活用する場合はどのようなメリットが考えられるのでしょうか。
実際に質問をした画面を参考に解説します。
ネタの提案ができる
定期的なコンテンツ作成が求められるメルマガの配信では、ネタ切れに困るケースが散見されます。
ChatGPTに「メルマガのテーマ」について質問をしてみましょう。
「飲食店で配信するメルマガのネタ」と質問をした場合の返信が上記の画像です。
前項で解説したようなプロンプトを意識することで、自分では思いつかないネタを紹介してくれるかもしれません。
「新メニューをメルマガで紹介したい」と書き込んだところ、メルマガの構成を意識したテキストが返ってきました。
本文の要約ができる
メルマガの配信では読者にメルマガの趣旨を伝えるために、冒頭やまとめにコンテンツの要約を記載します。
メルマガのまとめは、ポイントをできるだけ短い文章で表現しなければなりませんが、一生懸命作った文章ほど不要な部分を削る作業は難しいものです。
ChatGPTを使うことで、作成したメルマガを短くまとめた文章を提案してもらうことができます。
上記の画像は「銀河鉄道の夜(著:宮澤賢治)」の冒頭部で3,000文字程度を入力し要約を依頼したものです。
比較的長めの要約の後に、2行で端的にまとめられた文章が返ってきました。
メルマガに応用した際に、作成者の意図するポイントがおさえられているかは実際に確認するしかありませんが、ある程度の精度は期待できそうです。
コピペして使うことができるので、作業時間の短縮につながるでしょう。
文章の添削ができる
ChatGPTに文章をコピペし「添削をお願いします」という旨のメッセージを送ると、本文の誤字脱字をチェックしてもらうことが可能です。
上記の画像では、あえて間違った文章を何箇所か配置して質問をしましたが、全て訂正された状態で回答されました。
一度目を通す必要がありますが、こちらも一定の精度は期待してよさそうです。
また、英語にも翻訳することができるので、海外の方へ向けたメルマガの作成にも便利です。
簡単なリサーチができる
ChatGPTを使うことでウェブ上に公開されているデータを簡単にリサーチすることができます。
下の画像では「日本の外食率に関するデータ」と質問をした際の回答です。
先述の通り、2019年までのデータしか参考にすることができませんが、大まかな傾向に関してはChatGPTを利用して把握できるでしょう。
ChatGPTを使いメルマガを作成してみる
実際にChatGPTを使いメルマガを作成してみましょう。
ネタを質問する
ChatGPTにテーマを提案してもらいましょう。
後述する「メール配信システム」に関するメルマガテーマを質問しましたが、ChatGPTの返信を確認したところ、どの業種においても通用するような概念的な内容になっていました。
質問の内容をもう少し限定的なものに変更してみましょう。
先ほどの回答よりも具体的な返答が返ってきました。
ChatGPTを使いメルマガのテーマを決める場合は「(業界名)のメルマガ」のようなアバウトな質問をするよりも、業界の専門用語などを使い明確なワードを引き出した方が良さそうです。
本文を作成する
「メール配信システムのセキュリティ」に関するメルマガの本文を作成してもらいましょう。
そのまま送信することはできませんが、プロットとしては十分なレベルの内容です。
質問が「メール配信システムに関するセキュリティ」という内容なので、セキュリティに関する総括的な返信になりました。
さらに「上記のまとめ」と質問をしたところ、以下のような返信になりました。
配信媒体にコピペして整える
ChatGPTからの返信を配信媒体のメールにコピペして文章を整えましょう。
近年のメルマガは、テキスト主体のテキストメール形式ではなく、イラストや画像が配置された「HTMLメール」形式で配信されることがほとんどです。
ChatGPTが作成した文章を元に、HTMLメール形式のメルマガを作成しても良いでしょう。
HTMLメールについては下記の記事で詳しく解説をしているので、興味がある方は参考のしてみてください。
関連記事:HTMLメールの作り方を5分で解説!簡単に作成する方法もこっそり教えます。
ChatGPTをメルマガに活用する際の注意点
ChatGPTを使いメルマガのコンテンツ作成をする際の注意点について解説します。
自動学習に基づく文章であることを忘れない
ChatGPTはあくまでウェブ上のデータを収集し統合したものをアウトプットしているAIです。
そのため、ウェブに公開されている情報が正しくない分野に関しては正確なアウトプットができないことを覚えておきましょう。
専門的な内容や、ウェブ上に情報が少ない分野に関しては事実関係をしっかりと確認した方が良いでしょう。
個人情報を入力しない
AIの発達に伴って、個人情報に関するセキュリティが世界的な問題になっています。
もし、AIの個人情報に関する学習に対してセキュリティの整備が追いつかなければ、ウェブと紐付けた個人情報が外部に流出してしまう可能性もあります。
メルマガの作成に限った話ではありませんが、ChatGPTをはじめとするAIを利用する際は個人情報を入力しないように気をつけましょう。
メルマガを配信するシステムではない
ChatGPTはAIを用いたチャットボットであり、メルマガコンテンツの配信が可能なシステムではありません。
そのためメルマガのテーマ決めや本文の提案はChatGPTを使うことで効率化することができますが、配信に関しては別のシステムを使う必要があります。
また、メルマガの配信形式として主流となっているHTMLメールの作成も、現時点ではChatGPTで代用することは難しいと言わざるを得ません。
ChatGPTをはじめとする対話型のAIの中には、HTMLの作成に定評があるものもありますが、本記事でご紹介している「ChatGPT-3.5 」では、集客に使えるHTMLをアウトプットさせるのは難しいでしょう。
ChatGPTを活用しメルマガの配信をするなら「メール配信システム」と組み合わせる
ChatGPTはメルマガの制作効率に貢献することができますが、メルマガを使った集客に関する以下の点では別のシステムを使う必要があります。
- メルマガの配信
- HTMLメールの作成
メルマガを使った集客はAIが発達する以前より採用され、一般化している集客方法です。
そのため、メルマガの作成・配信を効率化させるシステムはすでに多く開発されており、上記の点は「メール配信システム」を使うことでカバーできます。
メール配信システムは、メールの大量配信やメルマガコンテンツの作成に特化したシステムです。
大量のメールを遅延なく送信できるだけでなく、HTMLメールエディタや効果測定といったメルマガ集客に必須の機能を提供しており、多くの企業に採用されています。
メール配信システムの一つである「ブラストメール」は、シンプルな操作性とリーズナブルな価格帯で、14年連続で顧客導入数シェアでトップをとっています。
ブラストメールをはじめとするメール配信システムの情報は、以下の記事で詳しく解説をしているので、こちらもぜひご覧ください。
関連記事:メール配信システム比較20選!機能・料金を徹底比較
まとめ
ChatGPTは、ウェブ上のデータを学習し利用者の質問に回答するAIチャットボットです。
2023年6月現在、ChatGPTは無料版の「ChatGPT-3.5 」と、サーバーの回線強度やサポートが改善された有料の「ChatGPT Plus」がリリースされています。
ChatGPTを使うことで、メルマガのテーマ決めやプロットの作成を効率化させることができるでしょう。
しかし、コンテンツの作成や読者への配信には直接的に活用することができません。
したがって、メルマガのテーマ決めの際や本文のプロット作成などでChatGPTを使い、HTMLを含む実際のコンテンツ作成はメール配信システムで行うのが効率的にメルマガを作成する方法と言えるでしょう。
ChatGPTをはじめとするAI技術をビジネスに取り入れることで、業務の効率化が進みましたが全ての業務やシステムを肩代わりできるわけではありません。
既存のシステムとChatGPTを組み合わせて、業務にかかる作業コストの削減を目指しましょう。
本記事の後半に解説した「ブラストメール」は、7日間のトライアル期間を設けています。
ChatGPTの無料版である「ChatGPT-3.5」と共に利用し、効率的なメルマガコンテンツの作成・配信にトライしてみてはいかがでしょうか。