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ユーザーエクスペリエンスとは?UX向上で考慮すべき要素と面白い事例もご紹介します

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2021.10.21 マーケティング

ユーザーエクスペリエンスとは?UX向上で考慮すべき要素と面白い事例もご紹介します

ユーザーエクスペリエンスは簡単に言ってしまえば、商品やサービスを利用するときに得られる心理的・感情的な体験のことを指します。

たとえば「このサイトは役に立つ情報がいっぱいあるな」とか「スタバで本を読む自分ってかなりイケてるかも」など、それらはもれなくユーザーエクスペリエンスといえます。

そんな抽象的な概念ゆえに「ユーザーエクスペリエンスってユーザビリティとほぼ一緒じゃない?」のような大雑把な理解をしている人も多いでしょう。

ユーザーエクスペリエンスを雰囲気で理解している人は、ぜひ本記事でユーザーエクスペリエンスの基本概念をしっかり把握しておいてください。

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ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?

ユーザーエクスペリエンスとは、ユーザーがコンテンツやブランド触れることを通じて得られる体験のことを指します。「User Experience」を略して「UX」と呼ばれることも多いです。

優れたユーザーエクスペリエンスはコンテンツの評価やブランドイメージに直結するため、ユーザーエクスペリエンスの向上は間接的に業績にも影響を与えます。

体験とは具体的にいうと、製品・サービスを使ったときの使いやすさ・使い心地・感動などのことを指します。たとえばあなたが「最近のiPhoneはカメラ性能がすごい」と感動したなら、それこそまさに、iPhoneがあなたにもたらしたユーザーエクスペリエンスです。

ユーザーエクスペリエンスの概念は世に存在するありとあらゆる製品・サービスで活かされており、国内のWebマーケティング業界でも2010年代に入ってから重視されるようになってきました。

なお、「UXデザイナー」といえば、大抵の場合はWebサイト・アプリケーションのユーザーエクスペリエンス設計を担当する職業のことを指します。

ユーザーエクスペリエンス設計時に考慮すべき3要素

ユーザーエクスペリエンスを設計する際には、以下3つの要素を考慮していく必要があります。

  • ユーザー中心設計
  • ユーザーインターフェース(UI)
  • ユーザビリティ

ユーザーインターフェースとユーザビリティについては、ユーザーエクスペリエンスとの違いも見ていきつつ、各要素について詳しく見ていきましょう。

ユーザー中心設計

高いユーザーエクスペリエンスを作り出すには、ユーザー目線に立ったコンテンツ・サービスの設計が必要不可欠です。そのような設計のことを「ユーザー中心設計」といいます。

ユーザー中心設計を適切に行うには、「そもそもどのような属性のユーザーがコンテンツに触れるのか?」「ユーザーは何を欲してコンテンツ・サービスに触れるのか?」という点を考慮する必要があります。

たとえばGoogleは、キーワード検索の他にも画像やニュース検索など、ユーザーが目的としている情報により早くアクセスできるような検索機能がありますよね。

キーワード検索においても、検索結果一覧ページの最上部にウィキペディアの概要部分が出てくる(リッチリザルト)など、検索結果を押さずとも目的とする情報がすぐに得られるような工夫がなされています。

Googleにあるそれらの機能は、ユーザーが求めている情報に効率よくアクセスできるよう、検索エンジンをユーザー目線で設計した結果であるといえるでしょう。

また、ユーザー中心設計に欠かせないのは、ユーザーのフィードバックです。

たとえばユーザーの声や計測ツールで取得した行動データなど、コンテンツに対するユーザーの反応を分析し、設計に活かすことで、ようやく本当の意味でのユーザー中心設計が達成されます。

ユーザーインターフェース(UI)

「ユーザーインターフェース(User Interface)」とは、ユーザーが製品を使うときに触るボタンや画面などのことです。

そもそもインターフェースとは異なる機器・装置の境界をつなぐ接点のことです。すなわちユーザーインターフェースとは、「ユーザーと機器・装置などの境界をつなぐもの」ということになります。

たとえば電子レンジを操作するためのダイヤル・ボタン群や、スマホのホーム画面や音量調節ボタンもUIの一種です。Webサイトでいえば、サイトを開いたときの見た目そのものがユーザーインターフェースといえます。

UI/UXデザイナーという職業が存在するように、よいユーザーインターフェースはユーザーエクスペリエンスの向上に直結しています。

ユーザーエクスペリエンスとユーザーインターフェース(UI)の違い

ユーザーエクスペリエンスとユーザーインターフェースの関係についてですが、ユーザーインターフェースはユーザーエクスペリエンスが内包する要素となります。

ユーザーエクスペリエンスを向上させるとなった場合は、まずユーザーインターフェースの改善が検討されやすいです。

ユーザビリティ

「ユーザビリティ(Usability)」は「使いやすさ、使い勝手」を意味する言葉です。

ユーザビリティは基本的に「高い、低い」と表現されます。たとえば画面の大きいスマホは、手の大きい人にとっては使いやすい(ユーザビリティが高い)ですが、手の小さい人だと使いにくい(ユーザビリティが低い)です。

当然ですが、ユーザビリティは高ければ高いほどユーザーエクスペリエンスの向上につながります。

しかしながら、先ほどスマホの大きさの例で示したように、同じコンテンツでもユーザーの属性によってユーザビリティの高さは変わってきます。

適切なユーザビリティを提供するには、商品企画・開発時はもちろん、マーケティング時にも適切なターゲティングが必要となってくるでしょう。

ユーザーエクスペリエンスとユーザビリティとの違い

ユーザビリティもユーザーインターフェース同様、ユーザーエクスペリエンスに内包されている要素となります。

さらにいえば、ユーザーインターフェースは、高いユーザビリティを念頭において設計されるます。そのため階層的には、ユーザーエクスペリエンスの下にユーザーインターフェース、その下にユーザビリティが来るといった感じになるでしょう。

ただし注意しておきたいのは、具体的な形をともなったアウトプットであるユーザーインターフェースに対して、ユーザビリティは人間の感覚を指す抽象的な概念であることです。

そのためユーザビリティの向上は、ユーザーインターフェースの設計以外の要素も絡んでくることがあります。

ユーザーエクスペリエンスと「カスタマーエクスペリエンス(CX)」との違い

ユーザーエクスペリエンスと意味がよく似た言葉に、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」というものが存在します。ここではカスタマーエクスペリエンスとユーザーエクスペリエンスの違いについてかんたんに解説します。

カスタマーエクスペリエンスとは、顧客が商品・サービスを知ってから利用するまでの間に得られる、顧客の感情・心理的体験のことです。

カスタマーエクスペリエンスは、商品・サービスを知ってから購買に至るまでのプロセスすべてをひっくるめた概念となります。

そのため、ユーザーエクスペリエンスに非常に似た概念ですが、ユーザーエクスペリエンスよりも大きな意味合いの言葉といえるでしょう。

ユーザーエクスペリエンス向上に影響する4要素

ユーザーエクスペリエンスの質には、以下4つの要素が関係しています。

  • ビジュアルデザイン
  • 構造・階層
  • スピード
  • コンテンツのクオリティ

これらのどう設計するかどうかで、ユーザーエクスペリエンスの質も決まります。

ビジュアルデザイン

ビジュアルデザインは、文字通りコンテンツの「見た目」のことです。

どのような雰囲気なのか、文字の大きさや太さはどのくらいがよいか、どこにどんなアニメーションをつけるのかなど、視覚情報をユーザー中心に設計してあげることで、ユーザーエクスペリエンスの向上につながります。

また、ビジュアルはユーザビリティの観点からはもちろん、ユーザーの感受性をゆさぶるような「感動」を生み出す要素としても重要な役割を担います

構造・階層

機能や情報同士がどのようにつながっているのか、どのように関係しているか……すなわち構造・階層のデザインは、そのままユーザーエクスペリエンスのデザインをすることにつながります。また、構造・階層を改良することでユーザーエクスペリエンスも向上します。

たとえばブログに人気記事ランキングのプラグインを置いておけば、ユーザーはそのブログにある有益な情報にすぐアクセスできますし、ランキングの中身でサイトのジャンルをある程度判断することもできるでしょう。

スピード

ユーザーの目的達成までのスピード感もユーザーエクスペリエンスでは重要です。

具体的には、ユーザーの求めている機能・情報がアクセスしやすい場所にあったり、目当ての機能・情報にたどり着くまでの工程が短ければ短かったりすると、ユーザーエクスペリエンスが向上します。

これはサイトの場合、表示速度はもちろんのことですが、ビジュアルデザインや構造もスピードに関係しています。たとえばAmazonや楽天市場のトップ画面最上部には、セール中の商品一覧やキャンペーンの情報などではなく、商品検索バーがありますよね。

Amazonや楽天市場にアクセスするユーザーは、「買うものはすでにある程度決まっていて、価格や性能などの細かな比較検討をしたい」という人が多いためです。

コンテンツのクオリティ

コンテンツのクオリティはユーザーエクスペリエンスに大きな影響を与えます。物理的実体を伴うものであれば耐久性や寿命が、Webサイトのような情報コンテンツであれば、コンテンツの可読性や正確性などが挙げられるでしょう。

たとえば「確定申告のやり方」に関する記事であれば、ただ検索エンジンで得られた情報をまとめるだけでなく、税理士の監修も得られたら、情報の正確性と権威性が増しますよね。

ユーザーとしても、「税理士のお墨付きがあるなら信用できる情報だ」と安心感を持ってもらえます。また、シンプルに誤字脱字や文法のミスが少ないかどうか、つまり可読性や判読性も重要となるでしょう。

ユーザーエクスペリエンス設計の事例5選

ここからは、ユーザーエクスペリエンス設計の事例を5つ紹介していきます。

OS(オペレーティングシステム)

ユーザー(人間)ありきのコンテンツ設計のわかりやすい事例として、WindowsやMacのような「OS(オペレーティングシステム)」が挙げられるでしょう。

OSが誕生する前のPC(マイクロコンピュータ)は、「フォルダを開いて目的のファイルにアクセスする」という単純な操作ひとつとっても、複雑なプログラミング言語を操る必要がありました。

画面に出る情報もすべて機械語で表現されていたため、使いこなすにはある程度の習熟を必要とするのが昔のPCだったわけです。

しかし今となっては、マウスポインタをアイコンに合わせて左クリックするだけで目的のフォルダやファイルが開けます。

OSの登場でPCは、視覚的にも操作感的にも人間にとって違和感の少ないデザインとなり、習熟度が低くても簡単に操れるようになったのです。

Coke ON(コークオン)

Coke ON(コークオン)とは、コカコーラ社が提供しているコカコーラ公式アプリです。Coke ONにはスタンプカード機能があり、スタンプが15個貯まるとCoke ON対応の自販機で好きなドリンクが一本無料でもらえます。

スタンプが貯まる条件は下記の通りいくつかあります。

  • Coke ONを使って飲み物を買う
  • 一定歩数あるく
  • 誕生日やクリスマスといったイベント発生日にアプリをインストールしておく

Coke ONがユーザーエクスペリエンスの観点で面白いのは、自販機の飲み物=割高という印象を緩和している点と、ポケモンGOのように、散歩やウォーキングに無料ドリンクという価値を付加した点です。

「散歩ついでにあのコカコーラ自販機まで行って帰ってこよう」「あと少し歩けばスタンプが貯まる!」という風に、Coke ONは歩くという行為と自社商品をうまく絡めてユーザーエクスペリエンスを作り上げているのです。

また、スタンプのデザインが買った飲み物やイベントによって異なるのも、ちいさな喜びや発見を狙った設計になっているのがうかがえます。

スターバックス

スターバックスといえば誰もが知っているカフェチェーンですね。スターバックスCEOであるハワード・シュルツが「スターバックスはコーヒーではなく体験を売っている」といった主旨の発言をしたこともまた、ビジネスパーソンの間では有名でしょう。

スターバックスはオシャレな空間づくりはもちろん、PC作業が捗るWi-Fiや電源環境、スタッフのホスピタリティあふれる接客によって、「スターバックスでコーヒーを飲む」ことを特別な体験に仕上げているのです。

スターバックスでコーヒーを飲むというユーザーエクスペリエンスは言語化しがたいですが、強いていうなれば、「ドトールは適当な服装でもいいが、スターバックスの場合はオシャレしないと店と一体になれない」感じがします(筆者だけでしょうか?)。

この点が、スターバックスのユーザーエクスペリエンスとはなんたるかを示唆しているでしょう。

ドン・キホーテ

「驚安の殿堂」で有名なドン・キホーテは、商品がところせましと並ぶ「圧縮陳列」がユーザーエクスペリエンスを作り出しています。

しかし、圧縮陳列のどこがユーザーエクスペリエンスの創出につながっているのでしょうか? 人一人が通るのがやっとな通路や、大人でも手が届きにくい高さまで商品がならんでいる様は、ユーザビリティの観点でいえばあまりよろしくないように見えます。

しかしそれ以上に、圧縮陳列は「掘り出し物を発見する楽しさ」を演出することに一役買っており、ユーザビリティは低くとも特別なユーザーエクスペリエンスに仕上がっているのです。

ロビンフッド

ロビンフッドとは、アメリカのCodal社が開発・提供している金融取引スマホアプリです。株式やETFの売買から、オプション取引のようなデリバティブ、さらには仮想通貨取引も可能となっています。

ロビンフッドがターゲットとしているのは、1982~1996年の間に生まれたミレニアル世代と呼ばれる若者たちで、ここにユーザーエクスペリエンスの秘密があります。

金融取引といえば、価格変動を示すチャートや業績を表す指標など、情報量の多い画面を前にするのが一般的です。そのため投資は、経験の浅い若い世代に敬遠されがちでした。

しかしロビンフッドは、逆にそこに目をつけたのです。

取引画面をシンプルかつゲーム感覚で触れるユーザーインターフェースに仕上げ、ミレニアル世代が夢中な「スマホ」に焦点を当てることで、2016年は100万人だったユーザー数を2020年には1,300万人まで増やすことに成功しました。

ユーザーエクスペリエンスを学べる本3選

ユーザーエクスペリエンスについて体系的に学ぶなら、やはり書籍がもっとも適しているでしょう。今回は以下の3冊をご紹介していきます。

  • Web制作者のためのUXデザインをはじめる本
  • UXデザインの教科書
  • エモーショナル・デザイン

Web制作者のためのUXデザインをはじめる本

Web制作者のためのUXデザインをはじめる本

『Web制作者のためのUXデザインをはじめる本』は、ユーザーエクスペリエンスを学ぼうとする人の中でも、Web制作に携わる人へ特におすすめしたい本です。

「ユーザーエクスペリエンスとはなんたるか?」という基礎中の基礎から学べるだけでなく、ユーザーエクスペリエンス設計の実践的な内容も収められているため、インプットからアウトプットまでこの一冊で完結させられます。

UXデザインの教科書

UXデザインの教科書

『UXデザインの教科書』は、ユーザーエクスペリエンスの歴史背景や理論について書かれた本です。

非常に情報量が多く、ユーザーエクスペリエンスについて深く学べる内容となっています。そのためユーザーエクスペリエンスについて、すでにある程度知識や経験がある人におすすめの本です。

エモーショナル・デザイン

エモーショナル・デザイン

『エモーショナル・デザイン』は、ユーザビリティやユーザー中心設計の概念を初めて唱えた認知心理学者 ドナルド・A. ノーマンの著作です。

『エモーショナル・デザイン』はユーザーエクスペリエンスの専門書というわけではないものの、ユーザーエクスペリエンスという概念の根幹となるものが何なのかを学べる内容となっています。

ユーザーエクスペリエンスまとめ

ユーザーエクスペリエンスとは、ユーザーがコンテンツ・サービスに触れた際に得られる快適さや感動といったユーザー体験のことを指します。

高いユーザーエクスペリエンスを作り出すには、ユーザーがコンテンツの使用に慣れることを期待するのではなく、慣れずとも使いこなせるようなユーザーありきでの設計(ユーザー中心設計)が重要となります。

ユーザーエクスペリエンスを向上させるには、コンテンツのビジュアルや構造のデザインを見直す、ユーザーの目的達成までのスピードを改善する、コンテンツのクオリティを上げるといった施策が有効です。

また、高いユーザーエクスペリエンスには「ユーザーのフィードバック」も不可欠となってきます。ユーザーエクスペリエンス向上に壁を感じたら、ユーザーのフィードバックを参考にしてみると良いでしょう。

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