SEOは効果が出るまで長い時間がかかる上、必要な労力もそれなりに大きい施策です。
そのため「もうちょっと楽に順位を上げられないかな…」と、ぼやいてしまったことがあるSEO担当者も少なくないでしょう。
実際、過去には楽して上位表示を獲得できた手法が存在しました。それは「ブラックハットSEO」と呼ばれています。
本記事では、ブラックハットSEOの現在についてまとめています。ブラックハットSEOが今でも有効なのか知りたい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
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目次
ブラックハットSEOとは?
ブラックハットSEOとは、Google の検索エンジンの仕組みの穴を突くSEOの手法です。
具体的には、量産したペラサイトを利用して被リンクを意図的に獲得する、評価の高い他サイトのコンテンツを流用して検索結果上位を狙う、といった手法が挙げられます。
Google はブラックハットSEOを非常に厳しく扱っており、複数回に渡って大規模な検索エンジンのアップデートを行ってきました。
そのため先述のようなあからさまなブラックハットSEOは現在、全く意味をなしません。それどころか、検索結果から自サイトが取り除かれる危険性もあります。
ホワイトハットSEOとの違い
ブラックハットSEOの対となる概念に「ホワイトハットSEO」があります。両者の明確な違いは「Google のガイドラインを遵守しているかどうか」です。
- ブラックハットSEO……ガイドラインを遵守せず、上位表示のためにありとあらゆる手段を講ずること
- ホワイトハットSEO……ガイドラインを遵守してSEOを行うこと
ガイドラインの例としては、「低品質なコンテンツを作らない」「キーワードを乱用しない」などがあります。なお、Google が示すSEOのガイドラインは以下のページでチェックできます。
参考:SEO ガイドラインの概要 | Google 検索セントラル
Google の公式ガイドラインはいわば、「検索エンジンはサイトをこんな風に評価していますよ」ということを示す説明書です。SEO担当者なら、必ず内容を把握するようにしましょう。
ブラックハットSEOの歴史
ブラックハットSEOは、検索エンジンの複数回のアップデート(改良)によって駆逐されてきた歴史があります。
特に代表的なのは、「パンダアップデート」と「ペンギンアップデート」のふたつでしょう。実施された時期は下記のとおりです。
- 2000~2010年:ブラックハットSEOが横行
- 2011年:パンダアップデート登場
- 2012年:ペンギンアップデート登場
それでは各アップデートで、どのようにブラックハットSEOが駆逐されてきたのか見ていきます。
2000~2010年:ブラックハットSEOが横行
2000年に登場した Google は当時、被リンクによるコンテンツ評価を初めて取り入れた検索エンジンでした。これに目をつけた人々により、被リンクの大量設置によるブラックハットSEOがしばらく横行していました。
また、当時は検索エンジンのアルゴリズムが単純だったため、多数のコピーコンテンツが検索結果の上位に掲載されていました。
2011年:パンダアップデート
2011年以降はブラックハットSEOに大きな変化が起きます。まず2011年には「パンダアップデート」と呼ばれる、検索エンジンの大規模な改良が行われました。
パンダアップデートは「検索結果を改良することで、ユーザーにより良質なコンテンツを提供する」という目的で行われたコアアップデートです。これによって低品質なコピーコンテンツや自動生成されたコンテンツの順位が一気に下落しました。
2012年:ペンギンアップデート
コンテンツだけでなく、いよいよ被リンクによるブラックハットSEOも Google によって対策されます。
ペンギンアップデートは「質の低い被リンクを行うサイトの順位を下げる」という内容のコアアップデートです。ペンギンアップデートによって、質の低い被リンクが集まっているサイトはペナルティの対象に加えられるようになります。
ブラックハットSEOの手法
ブラックハットSEOの手法として代表的なのは、以下の4種類です。
- 被リンクを大量設置する
- コンテンツを大量生産する
- 隠しテキスト・隠しリンクを仕込む
- ユーザー用のページと、クローラー用のページを設置する(クローキング)
各手法について詳しく見ていきましょう。
被リンクを大量設置する
Google のコンテンツ評価基準の一つに「被リンク」があります。被リンクとは、自サイトのページが他サイトに紹介されることです。被リンクが多ければ検索エンジンにコンテンツを高く評価してもらえます。
被リンクは昔、ブラックハットSEOとして悪用されてきた経緯があります。たとえばサイト運営者自らが大量生産したペラサイトにリンクを設置したり、業者から被リンクを買ったりして、悪質に被リンク数を増やしていました。
しかし、それは被リンクの評価基準が量だけだったときの話です。現在は被リンクの質も重要な評価基準になっています。
検索エンジンは被リンクが自然に貼られたものかどうかを評価しています。具体的にはアンカーテキストにキーワードが詰め込まれすぎてないか、IPアドレスは分散しているか、といったことをチェックしています。
被リンク元と自サイトの関連性が高ければ、被リンクの評価も高まります。例えば本ブログはマーケティングに関係するコンテンツを中心に扱っています。そのため本ブログでマーケティング系の他サイトを紹介すれば、そのサイトは高く評価されるということです。
被リンク元が検索エンジンから高く評価されている(ドメインパワーが強い)サイトであれば、被リンク先のサイトも高く評価されます。極端な話、首相官邸ブログがただの個人ブログを紹介すれば、その個人ブログは高く評価されるということです。
ブラックハットSEO目的で作られる被リンクというのは、たいていドメインパワーの低いペラサイトが被リンク元だったり、自動生成された不自然なリンクだったりします。
そのため被リンクの大量設置をすると「質が低い被リンクばかり集まっている」と判断され、逆にペナルティを受けてしまいます。したがって、被リンクの大量設置によるブラックハットSEOは現在、まったく有効ではありません。
相互リンクやサテライトサイトの利用も注意が必要!
ペナルティを避けつつ質の良い被リンクを獲得するために、相互リンクやサテライトサイトを利用するケースもあります。ただし、それらも取扱には注意が必要です。
例えば一見自然な相互リンクも、双方のサイトジャンルが全く異なっていたり、相互リンクの羅列ページに設置されていたりします。そうした相互リンクは当然、「被リンク目的の被リンク」と検索エンジンに判断されるでしょう。
そもそも Google は、「自然に人気を得られるコンテンツを作ることが、被リンク獲得に最も効果的」と公式で言及しています。
これはある意味、「被リンク目的の被リンク」を評価したくないという Google の意図が窺える文面です。また、本当にそうであれば、検索エンジンが改良されたときに「被リンク目的の被リンク」は無意味になってしまうでしょう。
良質な被リンクを獲得したいなら、小細工よりも根本的なコンテンツ力を高めるのが最も近道なのです。
コンテンツを大量生産する
自動生成などを用いることにより、短期間で大量のコンテンツをつくることもブラックハットSEOの一種です。これは、サイト内のコンテンツ数が多いと検索エンジンから高く評価されやすくなることを利用しています。
結論からいえば、いずれの方法も現在は全く有効ではありません。その理由について詳細に見ていきましょう。
他サイトのコンテンツをコピーする
コンテンツの大量生産として最も安直な方法は、他サイトのコンテンツを流用してしまうことでしょう。
もちろん、丸々コピーしてしまえば簡単に重複コンテンツ扱いされてしまいます。そのためブラックハットSEO目的のコンテンツコピーには、「スクレイピング」を用いるのが一般的です。
スクレイピングとは、サイトから特定の情報を抽出する技術を指します。例えば商品価格を比較するために、複数サイトから価格情報だけを抽出するといった使い方が可能です。
ブラックハットSEOにおいてなら、特定のキーワードを元にサイトを調べ上げ、なおかつコンテンツの要所を抽出することで一つのコンテンツにまとめる、といった使い方ができてしまいます。
しかしながら現在の検索エンジンは、重複を発見する能力が非常に高くなっています。そのためスクレイピングによって作られたコンテンツも、スパムとして判断できるようになっています。
そもそもサイトを複製するという行為はSEO以前の問題です。
スクレイピング自体は今日もよく使われている技術ですが、情報解析以外の目的で他サイトのコンテンツを保存するという行為は、著作権侵害に該当する可能性があります。これはサイトの規約でスクレイピングが禁止されている場合も同様です。
ワードサラダ
ワードサラダはブラックハットSEOの一種で、キーワードが大量に盛り込まれただけの意味不明な文章のことです。ほとんどの場合、「マルコフ連鎖」と呼ばれる数学的な概念によってワードサラダは自動生成されます。
ワードサラダの例(キーワード:新築 一戸建て)
新築と一戸建てはおすすめです。頭に思い描く新築はいい匂いがして、一戸建ては誰にとっても素晴らしいでしょう。一戸建てがひとりでに伸縮すれば、誰でも簡単に散歩ができます。だからこそ私は、神経接続に失敗したあの日、トム・ソーヤーを新築だと信じて疑いませんでした。
インターネットで調べ物をしているときに、上記例のような不気味な文章の記事に出くわしたことがある人もいるでしょう。
実際、注目度が低いニッチなキーワードで検索をかけると、今でもごくまれにワードサラダコンテンツを見かけることがあります。
そうなると、ワードサラダは今でも有効なブラックハットSEOなのでしょうか? いいえ、現在のクローラーはワードサラダをほぼ確実にスパム判定できるほどに高精度です。
先ほども書いたとおり、ニッチなキーワードで検索して極稀に見つかる、というレベルまでワードサラダは一掃されています。クローラーの精度がどのくらい高いか、その事実からある程度は推し量れるでしょう。
仮に一度上位を取れても、クローラーは毎日改良されているため、すぐにスパム判定されて検索結果から除外されます。
また、ワードサラダで上位を取れるキーワードを探すのも、そもそも困難です。ワードサラダでSEOを図るのは、総合的に考えて全く現実的ではありません。
機械翻訳
機械翻訳も過去、ブラックハットSEOに利用されてきました。例えば英語やスペイン語などのコンテンツを日本語に翻訳すれば、ある程度オリジナル性のあるサイトが作れるでしょう。
そのことを利用し、「Google 翻訳などの機械翻訳ツールで海外コンテンツを母国語に訳す」というブラックハットSEOが有効だった時期がありました。現在はもちろん、機械翻訳の文章をそのままコンテンツに使うのはペナルティの対象となります。
海外サイトの引用として機械翻訳を用いるときも、しっかり意味が成立しているかどうか、編集者の目でチェックするように注意しましょう。
隠しテキスト・隠しリンクを仕込む
隠しテキスト・隠しリンクは、それぞれ検索エンジンからの評価を高めるために行われていたブラックハットSEOです。
昔は、こうした小細工を用いれば、ユーザーに不快感を与えないようにしつつキーワードやリンクの情報をクローラーに伝えられました。
しかし現在は Google のガイドラインで明確に違反行為とされており、検索エンジンからペナルティを受けてしまう原因となります。
ユーザー用のページと、クローラー用のページを設置する(クローキング)
サイトにアクセスしてきた者が人間なのかクローラーなのかを判別し、表示させる(アクセスさせる)ページを場合分けすることはクローキングと呼びます。
例えば人間には Adobe Flash などで作られたリッチなページを、クローラーにはHTMLのみで構成されたシンプルなページを、といった具合です。
Google が掲げる10の事実に含まれる「3. 遅いより速いほうがいい」という項目から読み取れるように、Google は昔から処理の軽いページを高く評価するようにしています。
参考:Google が掲げる 10 の事実 | Google
そのためクローキングによるブラックハットSEOも、Adobe Flash を使ったサイト作りが流行っていた当時は当たり前のように行われていました。
しかし現在、クローキングは Google のガイドラインに違反します。昔は当たり前だったからといってクローキングを行ってしまうと、ペナルティの対象となってしまうため注意しましょう。
まとめ:ブラックハットSEOは有効でない上、将来性もない
すでに結論は見えていますが、ブラックハットSEOの有効性は現在、限りなく低くなっています。
総合的に考えてデメリットの方が大きく、今からブラックハットSEOを頑張る必要性は全くないといえるでしょう。
今からSEOを始めるなら、ブラックハットSEOよりも、ホワイトハットSEOの方が結果的には近道となるでしょう。