Web広告の業界には様々な専門用語がありますが、その中でもマストで覚えておきたい言葉に「アドネットワーク」というものがあります。
アドネットワークはごく基本的なアドテクノロジーの一つで、Web広告に携わるのであれば、ほぼ必ず触れることになるはずです。
アドテクノロジーについて理解しておけば、Web広告の成り立ちや仕組みが把握でき、間接的に広告運用の改善につながるでしょう。
本記事ではそんなアドネットワークについてわかりやすく解説しています。ぜひ最後まで読んでみてください。
マーケティングをはじめるなら、必ず押さえておきたいのが「デジタルマーケティング」についてです。
デジタルマーケティングは近年、マーケティング業界で大きく注目を浴びており、マーケティングに少しでも携わる方なら「どんなマーケティング手法なのか」を知っていて損はありません。
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目次
アドネットワークとは?
アドネットワーク(Advertising Network)とは、複数のWeb広告媒体によって構成された広告配信ネットワークのことです。アドネットワークを使って広告配信することで、多くのサイトやSNSに対して広告を同時配信できます。
たとえばGoogle ディスプレイネットワーク(通称GDN)というアドネットワークに対して広告を出稿すれば、Googleの関連サービス(YouTube、Gmailなど)やGoogleアドセンスを掲載しているサイトなどに一括で広告配信することが可能です。
GDNの他にもアドネットワークには様々な種類があります。具体的には動画広告に特化したアドネットワークや、位置情報でターゲティングできる広告配信が可能なアドネットワークなどです。
また、ほぼすべてのアドネットワークに共通している点として、広告費がクリック数やインプレッション数と連動して決まる(1クリックもしくは1,000インプレッションごとに10円~数百円ほど)ということが挙げられます。初期費用のようなまとまった資金が必要ないのです。
アドネットワークは少ない予算でも多くのユーザーに広告を表示させられるため、広告費に予算を割きにくい個人事業主やスモールビジネスにおいて、アドネットワークは強力な武器となりえます。
アドネットワークと「DSP」の違い
アドネットワークと合わせて知っておきたいアドテクノロジーの基本知識に、「DSP」というものがあります。
DSPは「Demand-Side Platform」の略で、複数のアドネットワークへの広告配信を一括で管理できる他、入札価格の最適化やクリエイティブ分析といった広告配信における様々な工程を自動で行ってくれる広告配信ツールのことです。
アドネットワークが広告媒体のネットワークなのに対して、DSPはあくまで「ツール」であるという点が両者の違いといえるでしょう。
なお、DSPについては下記記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてみてください。
DSPとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説!
アドネットワークと「アフィリエイト」の違い
アドネットワーク同様に、成果と連動して広告費が決まる広告の仕組みに「アフィリエイト」というものがあります。
アフィリエイトとは「成果報酬型広告」のことで、アフィリエイトサービスを提供する業者(ASP)を介し、ASPに登録している不特定多数のアフィリエイター(広告掲載側)に対して広告掲載を依頼する仕組みのことを指します。
アドネットワークとアフィリエイトの決定的な違いは、広告費の発生ポイントです。
アフィリエイトの場合、広告から何かしら成果(購入やユーザー登録など)が上がらない限り広告費は発生しません。一方アドネットワークは、広告が表示されたりクリックされたりすれば広告費が発生します。
その点でアフィリエイトはアドネットワークと比べ、費用対効果が高くなりやすい施策といえます。
ただし、アフィリエイトの場合は広告掲載が必ずしも約束されない点に注意が必要です。なぜなら、競合他社と比べて報酬単価が低い案件や、トレンドから外れた案件などはアフィリエイターに敬遠されやすいためです。
アドネットワークでも、ターゲティングがあまりに狭すぎたり、入札価格が低く過ぎたりすると広告が掲載されないことがありますが、アフィリエイトでも似たようなことが言えるわけです。
アフィリエイトで広告掲載を促すには、アフィリエイターに好まれるように案件設定を工夫する必要があります。
アドネットワークの特徴
アドネットワークへの広告出稿は、純広告や記事広告といった他のインターネット広告に比べて、以下のような2つの特徴があります。
- ブログやメディアなど多くのサイトにすぐ広告配信できる
- ユーザーデータに基づいた広告配信ができる
各特徴について詳しく見ていきましょう。
ブログやメディアなど多くのサイトにすぐ広告配信できる
アドネットワーク最大の特徴は、シンプルな手順を踏むだけで、多くのサイトに対し広告を同時配信できることです。アドネットワークを利用して広告配信すれば、手軽に多くのトラフィックを獲得できます。
ただし、多くのサイトに配信できる反面、広告の内容と関連度が低いジャンルのサイトに広告が掲載される場合もあります。
そのため、ブランドイメージを重要視する場合はアドネットワークを慎重に選ぶ必要があるでしょう。また、DSPを活用することでもそうした可能性を避けられます。
ユーザーデータに基づいた広告配信ができる
アドネットワークでは、ユーザー(広告閲覧)側のCookieやアカウント情報といったデータを利用してターゲティング広告を配信できます。適切にターゲティングすることで、非常に費用対効果の高い運用効果が期待できます。
ターゲット絞り込みに際しては、以下のようなデータが利用できます。
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- 年収
- Cookie(サイトの訪問データ)
- 検索キーワード
- 趣味・嗜好
- 購買データ
- 位置情報
ターゲティング広告でよく用いられるのは、Cookieを利用した「リターゲティング」です。
リターゲティングとは、自社サイトに訪問したことがある(≒自社のプロダクトに興味がある)ユーザーに対して自社の広告を配信することで、高い費用対効果が期待できる施策です。
こうしたユーザー情報の他、デバイス(スマホやPCなど)やタイミング(時間帯や曜日など)を絞り込んで配信することも可能となっています。
また、アドネットワークでは出稿した広告のインプレッションやCTRといったデータも収集できるため、効果測定も効率よく行えます。
おすすめのアドネットワーク5選
アドネットワークには様々な種類がありますが、今回はその中でも代表的な以下5つのアドネットワークをご紹介します。
- Google ディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo! ディスプレイ広告(YDA)
- Facebook広告
- nend(ネンド)
- AkaNe by GMO(アカネ)
それでは各アドネットワークについて詳しくご紹介します。
Google ディスプレイネットワーク(GDN)
Google ディスプレイネットワークとは、Googleの関連サービス(YouTube、Gmailなど)やGoogleアドセンスを掲載しているサイト・アプリなどに広告配信ができるアドネットワークです。
Google ディスプレイネットワークで広告配信できるサイトやアプリは、なんと200万件以上存在します。この数字はアドネットワークの中でも世界最大級です。
Google ディスプレイネットワークの特徴は、やはりGoogleのサービスに広告配信できる点でしょう。今やGoogleのサービスは人々の生活に深く根付いているため、GmailやYouTubeに広告配信できることは大きな魅力です。
なお、Google スキルショップではGoogle 広告について学習できたり、認定資格が取得できたりします。スキルショップは無料で使えるため、Google ディスプレイネットワークで広告配信するなら、利用して損はないでしょう。
Yahoo! ディスプレイ広告(YDA)
Yahoo! ディスプレイ広告とは、Yahoo! JAPANが提供しているアドネットワークサービスです。元々は「Yahoo! ディスプレイアドネットワーク(YDN)」という名称でしたが、Yahoo! の広告サービスが統合される関係でYahoo! ディスプレイ広告に切り替わりました。
なお、Yahoo! ディスプレイアドネットワークは現在も利用できますが、2021年5月にはサービスが完全移行する予定です。
そんなYahoo! ディスプレイ広告の特徴は、Yahoo! の関連サービス(Yahoo!天気、Yahoo!知恵袋など)の他、Yahoo! ディスプレイ広告と提携する大手系のサービス(Yahoo!アドパートナー)に広告配信できる点です。
Google ディスプレイネットワークは個人の、Yahoo! ディスプレイ広告は法人の広告枠を獲得できるという点でそれぞれ特徴が異なるため、両者は平行して運用するのが理想です。
Facebook広告
Facebook広告とは、Facebook・Messenger・Instagramといった3つのFacebook関連サービスと、Facebookと提携するサードパーティサイト・アプリ(オーディエンスネットワーク)に掲載できる広告のことです。
アドネットワークという主旨からは若干それますが、Facebook広告の特徴はなんといってもFacebookやInstagramといった大手SNSへ広告配信できる点です。
また、オーディエンスネットワークへの配信でも、Facebookアカウントの情報が利用でき、精度の高いターゲティングが可能です。
なお、Facebook広告は以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてみてください。
Facebook広告とは?| blastmail Official Blog
nend(ネンド)
nendとは、アフィリエイトサービス『A8.net』で知られる株式会社ファンコミュニケーションズが提供しているアドネットワークです。
nendはスマホ向けに特化しているのが特徴的で、iPhone 4が登場した2010年7月からサービスが開始されました。
nendであればゲーム・ニュース・マンガ・グルメなど、様々なアプリ・サイトに広告が配信でき、GDN・YDAやSNSだけではカバーしきれない層にもリーチすることが可能です。
AkaNe by GMO(アカネ)
AkaNe by GMOは、GMOインターネット株式会社が提供するアドネットワークです。インフィード広告に特化しているのが特徴で、1,000件以上の媒体と提携しています。広告先の記事の効果測定も可能となっており、細かな配信調整が可能です。
インフィード広告とは?
コンテンツ(ブログ記事やニュースなど)の一覧ページにおいて、コンテンツとコンテンツの間に表示される広告のこと
また、広告の配信先がすべて開示されており、配信したい媒体にのみ配信する、というような設定も可能です。アドネットワークのデメリットである、ブランドイメージ毀損の可能性がある媒体への広告配信が抑えられるのは大きな魅力といえるでしょう
アドネットワークとは? まとめ
アドネットワークとは、複数の広告媒体から成るネットワークのことです。
仮に「JR山手線駅ナカ広告」というアドネットワークがあったとしたら、「JR山手線駅ナカ広告」に広告を出稿することですべての山手線の駅構内に広告を掲載できる、というようなイメージです。
アドネットワークには様々な種類がありますが、誰にでもおすすめしやすいのは「Google ディスプレイネットワーク(GDN)」と「Yahoo! ディスプレイ広告(YDA)」のふたつです。
GDNとYDNであれば、多数のユーザーに手軽に広告表示できるという、アドネットワークのメリットが十分に享受できます。また、いずれも低予算から始められるため、もしアドネットワーク選びで迷ったならGDNとYDNから試してみるのが良いでしょう。