広告やSNSなど、ECサイトの売上アップに欠かせないツールはいくつもあります。その中でも、リピーターの獲得や想起率アップによく貢献するのが「メルマガ」です。
メルマガというと「読まれない」「古い」というイメージが先行する人も多いですが、ECサイトにおいてメルマガはもはや必須の施策となっています。もう少しハッキリいうと「やらない方が損」です。
その理由も含め、本記事ではECサイトにおけるメルマガ運用の目的や、効果的なメルマガ作成方法について紹介します。
メルマガ作成の参考資料も複数紹介しているため、ECサイトのメルマガ運用に課題を感じているなら、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
ECサイトにおけるメルマガの目的・役割
ECサイトにおいてメルマガは「リピーター化の促進」「想起率の向上」というふたつの役割を果たします。逆にいえば、ECサイトではそれらの目的を達成するためにメルマガを運用すべきです。
目的を把握しておくことでメルマガの運用方針が固めやすくなるため、各目的の意味合いをしっかり把握しておきましょう。
リピーター化の促進
ECサイトの優先課題であるリピーターの獲得は、メルマガによって解決可能です。具体的にはメルマガで以下のような配信を行うことで、ECサイトの売上やユーザーの再訪問が促せます。
- 新商品の販売開始やセールの告知
- 人気商品やトレンドアイテムの紹介
- 誕生日特典の案内
- クーポンやポイントの利用期限通知
- 会員登録や商品購入など、コンバージョン後のフォロー
ECサイトのリピーター獲得施策としてリターゲティング広告がありますが、メルマガはリターゲティング広告より低コストで運用できる上、クリック単価も低く抑えられます。つまりメルマガは費用対効果が高いのです
現在、メルマガはECサイトにおける必須施策といえます。あなたのECサイトの課題がリピーター獲得なら、まずはメルマガの導入、もしくは運用の見直しと改善が優先事項となるでしょう。
想起率の向上
メルマガによって向上できる「想起率」とは、簡単にいえば「欲しいときに思い出してもらえるか」を意味する概念です。
例えば、あなたのECサイトが「コーヒー豆の販売」を専門にしていて、あなたのECサイトで買い物をしたことがあるユーザーがコーヒー豆を切らしそうだとします。
このとき、「そういえばあのサイトで色んなコーヒー豆売ってたな」と思い出してもらえれば想起に成功しています。逆に「とりあえず近所のスーパーで買おう」となってしまったら、想起に失敗したということです。
想起率を高めるにはECサイトの利用体験や商品の質も重要ですが、それ以上に効果的なのは定期的にユーザーと接触すること。なぜなら、想起率はユーザーのマインドシェア(ユーザーの意識配分)をいかに占有するかで決まるためです。
マインドシェアの占有は定期的な接触こそが最も確実な方法であり、だからこそメルマガは想起率の向上に役立ちます。
ECサイトの重要なメルマガ施策
ECサイトのメルマガ運用では、以下の施策を必ず実施しましょう。
- セキュリティ(なりすましメール)対策
- 購読者リストの管理
- ターゲット配信
- HTMLメール
- PDCA
各施策がどういったもので、実践によってどんな効果が得られるのか詳しく解説します。
セキュリティ(なりすましメール)対策
メールの差出人情報は、実は誰でも簡単に編集できるということを知っていますか?
例えば私がなんらかのやり方で、あなたのメールアドレスと本名を盗み出したとしましょう。そして、盗んだメールアドレスと名前を私が差出人情報に使って、あなたの家族に「交通事故を起こしてしまったのでお金を振り込んでほしい」とメールを送ります。
これは「なりすましメール」を使った詐欺の典型です。「何故そんなことができてしまうの?」と思ったかもしれませんが、残念ながらできてしまうので仕方がない、としか言いようがありません。
ここで重要なのは、自社から送ったメルマガが「なりすましメールではない」ことを証明する施策をとる必要がある点です。
なりすましメール対策を行うことで、ユーザーのメールクライアント上に「セキュリティ対策が取れている」という旨の表示がされるため、メルマガに対して安心感を持ってもらえます。また、なりすましメール対策はメルマガの到達率が向上するという効果もあります。
しかしながら、なりすましメール対策を行うにはメールサーバーの知識が必要です。そのため技術的な知識に疎ければ、設定に少々手を焼くでしょう。
もっとも簡単な解決方法は、メルマガ配信システムを利用することです。大抵のメルマガ配信システムはなりすましメール対策機能が備わっているため、サーバーの知識がなくても簡単になりすましメール対策ができます。
購読者リストの管理
メルマガの運用が長くなると、ユーザーの入力ミスによってメルマガが送れないメールアドレスが増えたり、送信先のメールアドレスが消えてしまっていたり、といったことが増えてきます。
そうしたメルマガが送信できないメールアドレスは「エラーリスト」といいます。エラーリストを放置するとメルマガの到達率が下がりやすくなるため、定期的にスクリーニングを実施し、購読者リストを常にクリーンな状態に保ちましょう。
また、購読者リストの管理は後に紹介する「ターゲット配信」の面でも重要です。各リストに生年月日・性別といった属性情報や、「問い合わせ履歴あり」といったアクションを紐付けることで、リストの性質に合わせてメルマガを送り分けることが可能になります。
購読者リストの管理の実践に壁となってくるのは、リストが増えてくると人間では作業が追いつかなくなる、という点です。リストが10件にも満たないような状況なら手動で十分追いつきますが、50件、100件となってくると人の力では到底無理でしょう。
これを解決するには、メルマガ配信システムやマーケティングオートメーションといった、ツールの力を借りる他ありません。ECサイトでメルマガ運用を続けていればリスト数は簡単に100件を超えるため、システムの導入はもはや必須といえます。
ターゲット配信
ターゲット配信とは、購読者の属性やアクションによってメルマガを送り分けるメルマガの配信方法のことです。ECサイトにおけるターゲット配信の活用例は以下の通りです。
- 生年月日が今月のユーザーにバースデークーポンを送る
- 商品Aの購入履歴があるユーザーに商品Bの宣伝を送る
- カートに商品が入ったままのユーザーにリマインドを送る
- セール対象商品が欲しいものリストに入っているユーザーへ割引を知らせる
このようにターゲット配信は、ECサイトの売上に直接貢献しうる施策です。ECサイトでメルマガを運用するなら、ターゲット配信は確実に実践しましょう。
HTMLメール
メールの形式はテキストメールとHTMLメールの二種類に分けられます。テキストメールは文字通り本文にテキストしか打ち込めない形式で、デザインの自由が利きません。その代わり作成工数が後述のHTMLメールより少ないため、少ない負担でメルマガに取り組めます。
一方HTMLメールとは、テキストの大きさや色を変えられたり、画像やボタンを設置できたりする、デザインの自由度が高いメールのこと。デザインにこだわるほど作成コストは増えますが、余力があるならぜひ取り組みたい施策です。
テキストメール | HTMLメール | |
デザイン | △:アスキーアートメールで多少は視覚に訴求できるが、HTMLメールには及ばない | ○:画像を貼ったりボタンを設置したりなど、ユーザーのクリックを促すデザインが可能 |
作成の手間 | ○:テキストだけなのでラク | △:デザインのこだわりによっては手間が増える |
開封率の計測 | ×:不可能 | ○:可能 |
ECサイトなら、例えば商品画像をふんだんに使ったカタログ風味のHTMLメール作成が、ユーザーの購買意欲を刺激するのに効果的です。また、大型セールのお祭り感を演出するためにもHTMLメールは役立ちます。
もし余力がなければテキストだけのメールで良いですが、それでもHTMLメールは使うべきです。なぜなら、HTMLメールを使わなければメルマガの重要指標である「開封率」が測定ができないためです。
形式としてはHTMLメールを使用するが、本文はテキストオンリーというやり方であれば、作成コストをテキストメール並に押さえつつ開封率が測定できます。メルマガを配信するなら、HTMLメールの利用を前提として考えましょう。
なお、メルマガ配信システムにはデザインの入ったHTMLメール作成がPC初心者でも簡単にできる機能を備えるモノもあります。オシャレなメールを作りたいがHTMLの知識はないという方は、そうした機能を持つメルマガ配信システムの導入を検討してください。
PDCA
メルマガからECサイトの成果へとつながるまでの間には、「メルマガを開くか否か」「商品ページを開くか否か」といった、ユーザーの判断がいくつも挟まります。それらユーザーの判断を数字で表したのが、「開封率」や「クリック率」といったメルマガの指標です。
こちらが望むようなユーザーの判断を促進するには、指標のチェックと改善施策の実行が欠かせません。つまりPDCAがメルマガの効果を高めるのに必須ということです。
メルマガのPDCAを回す際にチェックしておくべき指標は4つあります。どれも重要なため、すべて覚えておきましょう。
- 到達率:メルマガがどれくらい届いたかを表す。購読者リストの管理度合いの影響を受ける
- 開封率:メルマガがどれくらい開封されたかを表す。メルマガの件名や差出人情報の影響を受ける
- 反応率:開封されたメルマガのうち、クリックされたメルマガがいくつあったかを表す。メルマガの本文の影響を受ける
- クリック率:配信されたメルマガのうち、クリックされたメルマガがいくつあったかを表す。メルマガ全体の効果を俯瞰的に評価できる重要な指標
ECサイトのメルマガ作成で注意すべき5つのポイント
メルマガの効果に影響を与えるのは以下に示す5つの要素です。
- 配信タイミング
- 配信頻度
- 差出人名
- 件名(タイトル)
- 本文
各要素でどんな点に注意すれば良いかを把握しておけば、より効果的なメルマガが作れるようになります。
それでは、具体的にどんなことに注意すべきかを解説していきます。
配信タイミング
ユーザーがメールボックスを開きそうなタイミングにメルマガを配信することで、開封率の向上が期待できます。
配信タイミングの決定で主な基準となるのは「曜日」と「時間」です。例えば一般的な会社員であれば、平日の通勤時間帯(朝と夕)や、昼休みあたりが狙いどきです。一方、専業主婦・主夫は朝と夕が忙しいと考えられるため、昼休みの前後を狙うのが効果的でしょう。
とはいえ、配信タイミングが開封率に与える影響は、後述の「件名」や「差出人情報」よりは小さいといえます。なぜなら、多くのユーザーはメルマガを開く際、件名と差出人情報の内容で開封するかどうかを判断しているためです。
そのため開封率を大きく改善したい場合は配信タイミングの見直しよりも、件名と差出人情報の改善を優先しましょう。
配信タイミングの微調整は日常的に行い、効果の高かったタイミングを発見して固定化するというやり方がおすすめです。
配信頻度
メルマガの配信頻度に決まりはありませんが、想起率の向上を図るという意味では「多めに送ったほうが良い」でしょう。
例えば毎月一通といった頻度ではユーザーのマインドシェアを獲得できません。想起率を向上させたいなら、週に一通は送った方がよいでしょう。ユーザーの反応が得られるのであれば、毎日でも送るべきです。
「メルマガをたくさん送ると嫌われるのではないか」という意見もあると思いますが、メルマガの各配信でしっかり価値提供ができていれば、あなたのECサイトが嫌われることはまずありません。
配信頻度を上げたタイミングで購読停止は増えるかもしれませんが、それはほとんどの場合、ユーザーがメルマガをスクリーニングしているだけです。ECサイトが嫌われたわけではありません。
ユーザーがあなたのECサイトを気に入っていて、なおかつメルマガが良質であれば、配信が多くても気にならないものです。
差出人名
差出人名とは、その名の通りメルマガを配信した組織や人の名前のことです。受信ボックス一覧に件名と共に表示される情報なため、開封率に少なからず影響します。
ECサイトの場合、ショップ名を差出人名に設定することが一般的かと思いますし、通常はそうすべきです。差出人名をコロコロ変えるとユーザーの記憶に残りづらくなり、リピーターや想起率の獲得が難しくなります。
ただ、時には差出人名を変更して、目新しさで開封率を得るという手法も取れます。例えば普段の差出人名は「ショップ名」だが、大型セールなど特別なタイミングでは「担当者の氏名+ショップ名」にするといった具合です。
件名や差出人名に人の名前を入れることは開封率アップの手法のひとつなため、引き出しのひとつとして持っておくと、いざというときに役立つかもしれません。
件名(タイトル)
メルマガの開封率は件名の善し悪しによって決まります。配信タイミングや差出人名も開封率に影響しますが、件名ほどではありません。開封率の大きく向上させたいなら、まずは件名の見直しから始めましょう。
開封率の高い件名を作るコツは色々ありますが、メルマガ初心者にまず覚えてほしいのはターゲットを絞り込むことです。
例えばレディース服の新作を訴求したい場合、単に女性全体へアピールするのではなく、年齢や趣味嗜好まで想定してターゲットを絞り込みます。
- 年齢を絞り込むパターン
今シーズン注目の大人かわいいワンピース入荷♪ - 趣味嗜好で絞り込むパターン
Instagramで1万いいね超え!話題のトレンドアイテムが数量限定で入荷 - 購入履歴で絞り込むパターン
○○をご購入の××さんにおすすめの新作アイテムをご紹介します
もっとも簡単かつ手軽なターゲットの絞込み方は件名にユーザーの名前を入れることです。メルマガ配信システムを利用していれば、特殊なテキストタグを利用することで、読者名をメールの件名や本文に挿入できます。
他、細かなテクニックとしては以下のようなものがあります。
- 重要な情報は文章の先頭に入れる(後半は省略されてしまうため)
- 数字を入れる
- 「先着」「期間限定」など限定性を盛り込む
- あえて「読まないでください」と入れてみる
なお、下記の資料ではメルマガの件名の作り方について詳しくまとめています。日々のメルマガ作成業務のお供として、ぜひ活用してください。ダウンロードは無料です。
本文
メルマガにおけるひとまずのゴールは、本文中のボタンをクリックしてもらい、ECサイトにアクセスしてもらうことです。
たとえメルマガが開封されたとしても、クリックしてもらいたいボタンやテキストの場所が分かりにくかったり、コンテンツが魅力的でなかったりすると、クリックされません。そのため、本文作成時は以下のような点を意識しましょう。
- 件名と内容の一貫性を高める(本文に合わせて件名の方を調整するのも可)
- クリックしてもらいたいボタンやテキストは必ずファーストビューに収める
- クリックしてもらいたいURLを記号で囲ったりボタン化したりなど、視認性を高める
- 大型セールなどで多数の商品が割引になる場合、目玉商品を特にアピールする
- 服やインテリアなど、見た目が重要な購買決定要因となる商品はHTMLメールを使って画像で訴求する
なお、メルマガの作り方については下記資料にて詳しくまとめています。無料でダウンロードできるため、メルマガ作成にぜひ役立ててください。
これで全部分かる。もう迷わない。みんな読んでるメルマガ作り方大全
ECサイト運営におすすめのメルマガ配信サービス
ECサイト運営にメルマガを活用するなら、ECサイトの導入事例が多数あるメルマガ配信システム「ブラストメール」の導入がおすすめです。
ブラストメールにはターゲット配信や効果測定など、ECサイトにおけるメルマガ運用に必要な機能がすべて揃っています。
しかもこれだけの機能が揃っていながら、ブラストメールは月額4,000円からの低価格で導入可能。これは業界最安水準の料金です。 ブラストメールは現在7日間無料で使えるため、検討中の他のシステムや現在使っているシステムとの比較にぜひお役立てください。 無料お試し申込みフォーム|メール配信・メルマガ配信ならブラストメール ECサイトにおいてメルマガは、販売促進やリピーターの獲得、想起率の向上など、重要な役割をいくつも果たします。 ただし、メルマガの効果を十分引き出すには、ターゲット配信やPDCAサイクルを回すなどといった施策を講じる必要があります。メルマガを運用するなら、本記事で紹介した5つの施策は必ず実行するようにしましょう。 また、メルマガを実際に作成する際は、各要素で開封率や反応率といった指標を意識してください。 なお、ECサイトのメルマガ施策は、メルマガ配信システム選びが結果的に成否を分けるといっても過言ではありません。 なぜなら、メルマガ配信システムと一口にいっても様々なサービスがあり、機能も使い勝手もまちまちなためです。自社の目的に合わないシステムを選んでしまうと、思うようにメルマガが運用できず、メルマガ施策は失敗する可能性があります。 そのため、もしメルマガ配信システムをこれから導入するのであれば、比較検討は慎重に行いましょう。サービスを選ぶ際は、無料体験が可能なサービスを中心に比較し、「実際に使ってみてどうだったか」という部分を軸にするのがおすすめです。 また、すでにシステムを導入しているが「使いにくい」「触れる人が少なくい」という問題を抱えている場合、サービスを変えることで劇的に改善される可能性があります。この場合も無料体験を実施しているサービスを中心に検討し、現状との比較をサービス選定の軸としましょう。
ECサイトにおけるメルマガまとめ