新型コロナウイルス(covid-14)の流行により、年齢を問わずライフスタイルに変化があった方は多いでしょう。
「株式会社キッズライン」の調査によると、2020年4月の緊急事態宣言前後で「働き方やライフスタイルに変化があった」と回答している人は、モニターの85%にもなったそうです。
人々の生活様式に変化があったことで、企業が自社のサービスを消費者にアピールする方法にも様々な変化が起こっています。
特に、スマホやインターネットの利用率が上がった、シニア層へのアプローチが注目されているのはご存知でしょうか。
この記事では、60歳以上のシニア層の実態や特徴、シニア層へ向けた集客について、データや事例を元に解説しています。
60代以上の方へ向けたサービスの集客を行う方は、是非ご参考ください。
目次
シニア層の実態
日本では以前から「少子高齢化」という言葉が注目されています。
世代別の人口変動は、ビジネスにも大きな影響を与えることは言うまでもありません。
しかし、シニア層の割合が多くなる、と言う漠然としたイメージだけでは、集客を成功させることは難しいです。
この記事では様々なデータを元に、シニア層への集客を解説していきましょう。
まずは、国土交通省が発表した「人口の推移と将来推計」を元にシニア層と呼ばれる年代がどのように変化していくのかを考えてみましょう。
(上部リンクは同調査のPDFに移行します。)
2025年〜2040年はシニア層の最盛期
同調査によると、2010年時点で「団塊の世代」を含む60歳前後は人口比率が大きくなっています。
2025年からは、団塊の世代だけでなく、そのジュニア世代がシニア層に差し掛かり、2040年では65歳以上の割合は全人口の35%を超えると予想されています。
提供しているサービスの種類にもよりますが、人口比率を考えてもこの世代に対して効果的な集客を行わなければならない時代が近くまで来ています。
シニア層の集客もオンライン化している
MMD研究所の調査によって、60〜79歳のスマホ保有率は77%と過去最高の割合を記録したことがわかりました。実施時期は2020年8月で、1度目の緊急事態宣言の後になります。
同調査では、スマホの利用に関する調査も行っており、以下のようなものがまとめられています。
- (中略)スマートフォンで新しく始めたこと・する頻度が増えた習慣・行動
- スマートフォンを利用していてよかったこと
スマホ購入によって行われるようになった習慣のトップは17%で「オンラインショッピング」に、利用していてよかったことでは26.6%で「情報収集がしやすい」がトップでした。
この結果を見ると、シニア層の情報収集の方法もこれまでとは変わっており、増加が予想されるシニア層に情報を届けるには、今までとは違うアプローチが必要になることが分ります。
詳しくは後述していますが、ウェブを使った集客方法にはSNSを使ったものや、メールを使ったもの、自社のホームページを使ったものなどが挙げられます。
チラシや新聞折り込みなど、ウェブを使わない集客方法でしかシニア層にリーチができないと言う認識の方は、これまでご紹介したデータを踏まえ、再考してみましょう。
シニア層への集客はターゲット設定がポイント
ここまでの解説では「シニア層」を一括りにしてお話ししてきましたが、実際の集客では、シニア層をさらに細かく分析して行う必要があります。
同じ年代の方だとしても、興味・関心は人それぞれです。
自社のサービスは、シニア層の中でもどのような人に需要が高いのかを分析し集客を行うようにしましょう。
このように、集客を行う相手を絞り込むことを、マーケティング用語では「ターゲティング」と呼びます。
ターゲティングを行うことで、得られるメリットには以下のようなものがあると言われています。
- 費用対効果が高くなる
- 個別感を演出できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
費用対効果が高くなる
集客のゴールをどこにするかにもよりますが、ターゲット設定を行うことで、費用対効果が高くなります。
無差別に行う集客では、自社のサービスを利用する可能性が低い方へも広告を流すことになります。
実際にターゲット設定を行ってみたら、広告の費用は半分で済んだのに……といった事態になってしまう可能性も充分にあります。
後述する、シニア層のグループ分けを参考に、自社のサービスを必要としているシニア層を見極めましょう。
個別感を演出できる
ターゲティングを行った集客では「〇〇(地域名)にお住まいの方限定!」のように、個別感を演出することができます。
シニア層に限ったことではありませんが、集客の第一歩は、より多くの方に自社のサービスに対して興味を持ってもらうことです。
ターゲティングした集客を行うことで、広告を目にしたシニア層の方に当事者意識を持ってもらうことができるでしょう。
詳しくは後述していますが、シニア層へ向けた個別感を演出できる集客手段の一つに「メールマガジンの配布」があります。
メルマガ、と聞くと講読希望者にサービスの情報をメールで配信する、というイメージしかないかもしれません。
しかし、実際にメルマガを使って集客をしている企業は、ターゲットを絞った配信はもちろん、受信者一人ひとりの名前を差し込むなどして個別感を演出しています。
集客に役立つ!シニア層のグループ分け
ここからは、居住地域や性別のように、どの世代にも適応できるグループ分け以外で、シニア層をターゲティングする際の分類方法に関して解説します。
シニア層の中でも、自社のサービスとの相性が良いのは、どのような方なのかを考え、集客に役立てましょう。
アクティブシニア
シニア層の中の2割は介護などを受けておらず、自立的・活発的に行動をする「アクティブシニア」と呼ばれる人たちで構成されています。
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アクティブシニアは以下のような特徴を持っているため、集客をかけたい企業が多くあります。
- 仕事・趣味に対して意欲的
- 新しいものに比較的抵抗がない
- 健康・自立意識が高い
特に近年は先述のデータにあるように、スマホを持ったシニア層が増加しており、多くのアクティブシニアもその傾向にあると予想されます。
コロナウイルスの影響により、今まで行っていた趣味が制限され、ネットショッピングの利用などの消費活動に積極的なのも、アクティブシニアであると言われています。
ギャップシニア
ギャップシニアとは、体や心の不調から、自分の「やりたいこと」と「できること」の間にギャップが生じている人のことを指します。
後述するディフェンシブシニアと比較して、活動意欲が低くなってしまっているのも特徴の一つです。
ギャップシニア、という言葉は2014年に「日本総研」が命名したとされており、同企業では2020年のギャップシニアはシニア層の3割になると言われています。
これまでの認識では、ギャップシニアは情報の収集にも意欲的ではなく、消費活動に関してもアクティブシニアとの差が大きいものとされていました。
しかし、スマホの普及により、アクティブ・ギャップシニア間の情報取得や消費活動の差も縮まりつつあるのではないかと予想されています。
ディフェンティブシニア
シニア層の中でも最も多く、3割以上の方がディフェンシブシニアに分類されると言われています。
ディフェンシブシニアの特徴は、活動の意欲はあるものの、金銭的な理由などからサービスの利用が億劫になっていることなどが挙げられます。
そのため、低コストのサービスや無料のサンプルなどを入り口に集客を行うのが有効であると言われています。
ただし、上記のターゲットとは違い、新しいサービスよりも既存のサービスに需要を感じることが多いと言われていることも覚えておきましょう。
ケアシニア
ケアシニアは介護を受けているシニア層を指します。
ケアシニアに分類される方が、自分で情報を収集したり、サービスの使用を検討する例はそこまで多くありません。
そのため、ケアシニアをターゲットに集客を行う場合は、代わりに情報を収集する介護職員やご家族などに広告を見ていただけるように工夫をしましょう。
シニア層への集客媒体は?
スマホの保有率が上がり、ネットを通してショッピングや情報収集を行う習慣が芽生えてきているシニア層ですが、どのような媒体で情報を収集しているのでしょうか。
ここからは、ウェブを使った集客方法として代表的な「SNS集客」と先述した「メール集客」のデータを比較し、シニア層への集客に適した媒体について解説します。
SNS集客はシニア層には不向き
シニア層に限らず、スマホの保有率が上がったことで、SNSは私たちの日常的なツールとなりました。
ツイッターやインスタグラムなど、拡散力があり、市場規模の大きなSNSは各企業のマーケターも注目している媒体です。
しかし、SNSはターゲットを設定した上での集客には向いていない媒体でもあります。
なぜなら、SNSは匿名である上に、ユーザー情報と居住区・性別などの個人情報が結び付けられておらず、かなり大雑把なターゲット設定にならざるを得ません。
そのため、ウェブを使った集客の指標である、クリック率が、メール集客と比較して半分以下の1%前後と言われています。
クリック率、とは配信された広告に添付してあるURLがクリックされた割合で、広告から実際に次のステップに移行した方の割合、と捉えることができるでしょう。
また、4大SNS(LINE・Twitter・Instagram・Facebook)のユーザー数を年代別に比較すると、Facebook以外のSNSでは20・30代を境に減少傾向にあります。(参考:「Social Media Lab」)
上記の調査では60代までしか統計は取られていませんが、60代以上のシニア層ではさらに利用率は低下することが予想されます。
アクティブシニアなどはSNSを使って、情報収集をしている割合が高い、というデータもありますが、60代のSNSの使用率は平均して30%ほどであることを覚えておきましょう。
それぞれのSNSの特性や集客の特徴などは、以下の記事に詳しくまとめてあります。
是非ご参考ください。
SNS集客の特徴まとめ!各SNSのアクティブユーザーや性質を分析しました!
費用対効果が良いメール集客
一方のメールを使った集客は、ターゲットを設定しその上で集客することが可能です。
例えば、メールマガジンの配信では、配信リストと呼ばれるお客様の個人情報を管理したデータを元に配信するのが一般的です。
そのため、集客をする際に設定したターゲットに集中して集客をすることができます。
クリック率は、業種にもよりますが2〜3%が一般的と言われており、SNS集客よりも多くの方にサービスの詳細ページに移行していただけることが期待できるでしょう。
先ほど解説したように、ターゲット配信が可能になることで、同じ費用をかけてもSNS集客と比較して費用対効果がよくなる傾向があります。
以下の記事では、SNS集客とメルマガの費用対効果を比較して解説しているので、こちらも合わせてご覧ください。
メール集客は本当に意味がない?SNS集客と比較したメール集客の特徴を解説します
まとめ
新型コロナウイルスの流行により、自宅で過ごす時間が増え、コミュニケーションやショッピングのツールとしてスマホを持つシニア層が増加しました。
それに伴い、シニア層への集客の方法もウェブを使ったものが注目されつつあります。
しかし「シニア層」と一括りにして集客を行っても、十分な効果は期待できません。
シニア層は「アクティブシニア」「ギャップシニア」「ディフェンシブシニア」「ケアシニア」の4つに分類することができ、それぞれの傾向を見定めてターゲットを絞る必要があります。
ターゲットを絞った集客は、SNS集客よりもメール集客の方が行いやすく、費用対効果も高くなる可能性が高いです。
これから人口比率が大きくなることが予想されるシニア層の特徴を掴み、効果的な集客を心がけましょう。