ビジネスシーンで頻繁に登場する言葉のひとつに、「下記」があります。
たとえばメールで「下記の内容をご確認ください」や「下記日程にて実施いたします」などと使う機会は多いのではないでしょうか。しかし、「以下」も似たような意味で使われることがあり、「この使い方で合っているのだろうか?」「どちらを使うべきか迷う」と感じた経験はありませんか?
「下記」と「以下」はどちらも、これから述べる内容を示す接続語的な表現ですが、厳密には使い分けがあります。
間違った使い方をしてしまうと、相手に違和感を与えたり、曖昧な表現になってしまうこともあります。特にビジネスメールでは、丁寧さやわかりやすさ、そして信頼感が重要な要素となるため、正しい日本語を使う意識は欠かせません。
この記事では、「下記」の意味や基本的な使い方をはじめ、「以下」とのニュアンスの違いや混同しやすいシーンでの使い分け、さらに実際のビジネスメールでの具体例も交えて、丁寧に解説します。
よくあるNGパターンも紹介しながら、誰でも今日から自信を持って使えるように解説しますので、「言葉遣いに気を配りたい」「書き慣れた表現にもう一歩深く踏み込みたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
「下記」とは?意味と使用シーン
「下記」は、文字通り「下に記述する」という意味を持ち、これから記述する内容を指し示す役割を果たします。
メール、文書、プレゼンテーションなど、さまざまな場面で活用できます。
- メールで「詳細は下記をご参照ください」→本文下部に箇条書きで重要な要件を記載
- 会議の資料で「下記項目についてご検討ください」→資料の下部に記載された項目について注目を促す
このように、「下記」は、情報を効果的に伝達し、相手に的確な指示を与えるための重要なツールとなります。
しかし、「下記」は、あくまで下に記述された内容を指し示すため、記述する内容がない場合は使用できません。この点に注意して、「下記」を正しく使いこなしましょう。
「以下」とは?
「下記」と似た言葉に「以下」というものがあります。ここでは、「下記」「以下」の違いと使いわけについて解説します。
「以下」という言葉も、「下記」と同様に、ビジネスシーンでよく使用される言葉です。
しかし、「以下」は、「下記」とは少し異なる意味合いを持っています。「以下」は、ある基準点よりも下、または後に続くもの全般を指し示す言葉です。
数量、順序、内容など、さまざまなものに対して使用できます。
- 契約書で「以下の条項を遵守してください」と記載する
- 売上10万円以下の商品を死に筋と定義する
同様の表現「未満」と異なる点は「以下」は、基準となるもの(数字、内容など)を含みます。
「下記」と「以下」の基本的な意味と違い
「下記」と「以下」はどちらも「これから述べる内容」を指す語ですが、意味・使い方・適した文脈に違いがあります。
以下に具体的な違いを「意味の違い」「使い分けのポイント」「例文比較」の3つの視点で詳しく解説します。
意味の違い
「下記」は主に視覚的にすぐ下に書かれている具体的な情報を指すときに使われます。
たとえば、「下記の通りご案内いたします」や「下記日程をご確認ください」のように使われる場合、その直後に書かれている日付や情報が目に見える形で提示されている必要があります。
つまり「下記」は、すぐ下にある箇条書き、リスト、日付、名前などの明確な情報とセットで使うのが自然です。
一方「以下」は、数値の範囲や文章の構成など、やや抽象的な内容や連続した情報を示すときに使われます。
たとえば、「10名以下でご参加ください」という表現では、10名という数値を含めたそれ未満の人数の範囲を示しています。
また、「以下の手順に従ってください」といった使い方では、これから続く複数の文や段落を含めた指示全体を指します。
このように、「下記」は視覚的・物理的にすぐ下にある明示的な情報を示すのに対して、「以下」は文章や数値、概念的な範囲といったやや広がりのある内容を指す際に使われます。
どちらも「これからの情報」を指す点では共通していますが、文脈によって適切な使い分けが求められます。
項目 | 下記 | 以下 |
---|---|---|
意味 | 文章のすぐ下に記載されている具体的な内容を指す | それよりも下にある範囲全体や数値的に小さいものを含む範囲を指す |
概念 | 明示的・限定的(=目で見える項目) | 抽象的・範囲的(=概念的な下限) |
使い分けのポイント
それぞれの利用が適しているシーンを見比べてみましょう。
「下記」が適している場合
-
箇条書きやリスト、日程、資料など目で見て確認できる明示的な項目を指すとき
-
相手に特定の内容を確認してもらう意図があるとき
「以下」が適している場合
-
数値の範囲や文章・階層など抽象的で連続的なものを示すとき
-
内容が複数行にまたがる文章や、数量条件などを説明するとき
「下記」「以下」を用いた例文の比較
用例 | 自然な表現 | 不自然な表現(誤用の可能性) |
---|---|---|
スケジュールを示す | 下記日程で実施します。 (箇条書きの日時) |
以下日程で実施します。※意味は通じるがやや曖昧 |
手順を説明する | 以下の手順に従ってください。 (文章が続く場合) |
下記の手順に従ってください。※手順が長いと不自然 |
人数条件を述べる | 参加人数は10名以下とします。 | 参加人数は10名下記とします。※誤用 |
資料を参照させる | 下記資料をご確認ください。 | 以下資料をご確認ください。※誤用の可能性あり |
このように、「下記」と「以下」は、それぞれ異なる役割を担っています。これらの違いを意識することで、より正確で分かりやすい文章を作成することができます。
ビジネスメールでの「下記」と「以下」の正しい使い方
ここからはビジネスのメールにおいてシチュエーション別にどのような表現が適切かを見ていきましょう。
箇条書きで情報を伝えるときは「以下」
ビジネスメールにおいて、情報を整理して伝えるために箇条書きは非常に有効な手段です。
箇条書きで複数の項目を列挙する場合は、「以下」を使用するのが適切です。
これは、「以下」が範囲を示す言葉であり、箇条書き全体を指し示すのに適しているためです。
例えば、「以下の書類をご準備ください:1. 履歴書、2. 職務経歴書、3. 職務経歴書」というように使用します。
この場合、「以下」は、履歴書、職務経歴書、ポートフォリオの3つの書類全体を指し示しています。
「下記」を使用すると、その直後に記述された項目のみを指し示す意味合いになるため、箇条書き全体を指し示す場合には不適切です。
箇条書きを使ったビジネスメールの例文
件名
来週の定例会議について(日程・持ち物のご案内)
本文
株式会社〇〇
営業部 佐藤様
いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の~~です。
来週の定例会議につきまして、ご案内申し上げます。
ご多用のところ恐縮ですが、以下の内容をご確認いただきますようお願い申し上げます。
【会議の詳細】
日時:2025年5月20日(火)14:00~15:30
場所:本社会議室A(3階)
【持ち物(以下の資料をご持参ください)】
先月分の営業報告書
今四半期の販売計画(最新版)
お客様アンケート結果(該当分があれば)
ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
何卒よろしくお願いいたします。
========
株式会社△△
経営管理本部 ~~~~
このように、箇条書きで情報を伝える場合は、「以下」を正しく使用することで、情報を明確に伝えることができます。
添付ファイルについて言及する時は「下記」
添付ファイルについて言及する場合は、「下記」を使用するのが適切です。
これは、「下記」が具体的に下に書かれる内容を指し示す言葉であり、添付ファイルがメール本文の下に添付されている場合に適しているためです。
例えば、「詳細は下記の添付ファイルをご確認ください」というように使用します。この場合、「下記」は、メールに添付されている特定のファイルを指し示しています。
「以下」を使用すると、添付ファイルだけでなく、メール本文全体を指し示す意味合いになるため、添付ファイルのみを指し示す場合には不適切です。
件名
資料送付のご案内(〇〇プロジェクト関連)
本文
株式会社〇〇
営業企画部 田中様
いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の~~です。
先日お打ち合わせさせていただきました「〇〇プロジェクト」に関する資料を、
本メールに添付にてお送りいたします。
ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。
【添付資料】
下記のファイルを添付しております。
〇〇プロジェクト進行スケジュール(PDF)
見積書(Excel)
ご不明点やご質問等がございましたら、お気軽にお知らせください。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
株式会社△△
経営管理本部 ~~~~~
このように、添付ファイルについて言及する場合は、「下記」を正しく使用することで、情報を明確に伝えることができます。
URLを記載する場合
URLを記載する場合は、「下記」を使用するのが適切です。これは、URLがメール本文の下に記載されている場合に、「下記」がそのURLを具体的に指し示すことができるためです。
例えば、「詳細はこちらをご覧ください:下記URL」というように使用します。この場合、「下記」は、メールに記載されている特定のURLを指し示しています。
「以下」を使用すると、URLだけでなく、メール本文全体を指し示す意味合いになるため、URLのみを指し示す場合には不適切です。
件名
ご確認のお願い(プロジェクト資料URLのご案内))
本文
株式会社〇〇
開発部 山田様
いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の~~です。
先日ご依頼いただきました〇〇プロジェクトの関連資料につきまして、
共有用のURLをご案内いたします。
下記リンクよりご確認いただけますと幸いです。
【資料共有URL】
下記のリンクをご参照ください。
https://example.com/share/project-documents-abc123
なお、リンクの有効期限は5月31日(金)までとなっております。
ご確認後、何かご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
=====
株式会社△△
経営管理本部 ~~~~~
このように、URLを記載する場合は、「下記」を正しく使用することで、情報を明確に伝えることができます。また、URLが長い場合は、短縮URLを使用したり、ハイパーリンクを設定したりするなど、工夫することで、メールの見やすさを向上させることができます。
「下記」「以下」を使う上での注意点
「下記」「以下」にはそれぞれ誤用表現があります。ここでは利用時の注意点について解説します。
「下記」の後に何も書かないのはNG
最も重要な注意点の一つは、「下記」の後に何も書かないのはNGであるということです。「そんな使い方しないよ」と思うかもしませんが、意外と使ってしまう人もいるので確認しておきましょう。
例えば、「詳細は下記」とだけ書いて、具体的な情報が何も記載されていない場合、受信者は何を参考にすれば良いのか分からず、混乱してしまいます。
このような事態を避けるために、「下記」を使用する際には、必ずその後に具体的な内容を記述するように心がけましょう。
もし、具体的な内容を記述することが難しい場合は、「詳細は後ほどお知らせします」など、別の表現を使用することを検討しましょう。
「以下」の対象範囲を明確にする
「以下」を使用する際にも、注意すべき点があります。
それは、「以下」の対象範囲を明確にすることです。
「以下」は、ある基準点よりも下、または後に続くもの全般を指し示す言葉ですが、その対象範囲が曖昧だと、受信者に誤解を与えてしまう可能性があります。
例えば、「以下の点にご注意ください」と書いた場合、具体的にどのような点に注意すべきなのかが明確でないと、受信者は困惑してしまいます。
このような事態を避けるために、「以下」を使用する際には、対象範囲が明確になるように記述しましょう。
例えば、「以下の3点にご注意ください」のように、具体的な数を明示したり、「以下の項目についてご確認ください」のように、対象となる項目を具体的に示したりすることで、対象範囲を明確にすることができます。
重言に注意
「下記」「以下」を使用する際に、もう一つ注意すべき点があります。それは、重言です。
「下記に記載されています」のように、「下記」と「記載」という単語を組み合わせると、重言となり不自然な印象を与える可能性があります。
※「頭痛が痛い」「車に乗車する」と似たような状況です。
ビジネスシーンでは、正確で丁寧な言葉遣いが求められますので、重言は避けましょう。
「下記のとおりです」など、よりシンプルな表現を心がけることで、より自然で分かりやすい文章を作成することができます。
「下記」「以下」の言い換え表現
「下記」「以下」はともにビジネスでは欠かせない再頻出表現ですが、あまり多用しすぎるとくどくなってしまいます。
ここでは、「下記」「以下」の類語や言い換え表現を紹介します。
「下記」の言い換え表現
「下記」の言い換え表現としては、「以下」の他に、「下」「下に示す」「別途記載の」などがあります。
例えば、メールで「詳細は下記をご覧ください」と書く代わりに、「詳細は下をご覧ください」と書くこともできます。
また、「下記URLをクリックしてください」と書く代わりに、「下に示すURLをクリックしてください」と書くこともできます。
さらに、契約書で「下記条項を遵守してください」と書く代わりに、「別途記載の条項を遵守してください」と書くこともできます。
これらの言い換え表現を使い分けることで、文章に変化をつけたり、より適切な表現を選んだりすることができます。状況に応じて、これらの言い換え表現を使いこなせるようにしましょう。
「以下」の言い換え表現
「以下」という言葉も、「下記」と同様に、状況によっては別の表現を使った方が適切な場合があります。
「以下」の言い換え表現としては、「下記」の他に、「次」「以降」「以降の」などがあります。
例えば、会議で「以下の点にご注意ください」と発言する代わりに、「次の点にご注意ください」と発言することもできます。
また、「以下の資料をご参照ください」と書く代わりに、「以降の資料をご参照ください」と書くこともできます。
さらに、「以下の日程で会議を開催します」と書く代わりに、「以降の日程で会議を開催します」と書くこともできます。
これらの言い換え表現を使い分けることで、文章に変化をつけたり、より適切な表現を選んだりすることができます。状況に応じて、これらの言い換え表現を使いこなせるようにしましょう。
まとめ
「下記」と「以下」は、どちらもビジネスシーンで頻繁に使用される言葉ですが、その意味や使い分けを理解することは、スムーズなコミュニケーションを図る上で非常に重要です。
「下記」は、具体的な内容が下に記述されている場合に、その内容を指し示すために使用されます。
一方、「以下」は、ある基準点から下、または後に続くもの全般を指し示すために使用されます。
この記事を参考に、それぞれの違いを理解し、ビジネスシーンで正しく使いこなせるようにしましょう。正しい言葉遣いは、相手に好印象を与え、円滑なコミュニケーションにつながります。
ビジネスメールだけでなく、会議での発言やプレゼンテーションなど、さまざまな場面でこれらの知識を活用することで、よりプロフェッショナルな印象を与えることができるでしょう。
日々の業務の中で意識して使い分けることで、自然と正しい言葉遣いが身につくはずです。
言葉は、コミュニケーションの基本であり、ビジネスにおける成功の鍵を握っています。「下記」と「以下」を正しく使い分けて、スマートなビジネスメールを作成し、ビジネスシーンで活躍しましょう。
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